別館 兄弟仁義

超常現象ドラマの兄弟愛と家族愛をうっとおしくつつくブログ

スーパーナチュラル シーズン11 気まぐれ感想5の2

2018-11-24 14:41:24 | シーズン11


あんたにはほとほとがっかりだよルシファー

いやもうね(^^; サムがどんなひどい目に合わされるのか…! あれだけすがっていた神からの伝言がルシファーだったショックはいかほどのものか…、という不安が消えたのは良かったが、あまりにもセコくちっせえ魔王の小細工。まあSPNはゲームオブスローンズではないので、とんでもない拷問シーンとか入れられないけどね。サマンドリエルとサムの頭にボルトを突き刺したS8、9が限界だった。
裏切りと口八丁はクラウリーで良しとして、魔王はちょっとはスケールのデカいことしろよ…。
指パッチンも、〇ベンジャーズIWのさのやんの威力を見習えよ(さのやんとは)
「ベッドは下がいい、上がいい? それとも一緒に寝る?」とかさ。ファンガールを騒がせたいためのセリフかよ。萌えねえ! 下世話すぎるだろ地獄の王子が!

でも実はルシファーの作戦は、ある意味では的確なんですよ。腹立たしいが。
サムは自分が「選ばれし者」という自負がある。大きな目的のために選ばれ、それにより不幸や悲惨な目にも合わされる。そういう自覚があるんだよね。だから自分にこそ神が命じてきたと信じた。その性格をルシファーはわかっていて、神を利用した。『神の命令』ならば、サムは器を承諾するだろうと。世界を救うためなら、かつての気概を今は持てないのかと揶揄すれば、自分を受け入れるだろうと。
ところがどっこい、サムは成長していた。ルシファーに、「お前は新しいことができない老人だ」と言い放つところは胸がすく。そう、天使は成長しない。とくにこの元大天使の魔王は。人間は苦しみながら成長する。
私はルシファーというキャラに思い入れがあるんで(マイベストの俳優が演じてるから。それもD級映画 笑) もちっとどうにかできんのかといつも思ってしまうんだが、スパナチュ上のルシだからね…。
サムの成長ぶりが見れたのは良かった。あの若サム、カッコいいなと思ったらなななんと! シーズン初期で可愛い子サムを演じたコリン君その人だと!? うわあこれこそ真の成長ぶり。ビックリ。S5で天国に行ったディーンに、花火を見せてよとねだった子サムも彼。あの時はまだ兄の腰に抱きついてた。あれから6年(S11当時)この時19歳。そりゃ大きくなるわ。今はもう20過ぎか…。
小さかったサミーが、成長期に入ってデカくなるそのままを体現してくれた!

「ディーンや過去の自分は関係ない。仲間や家族に揺るぎない信頼がある。彼らが僕を強くしてくれた」「死ぬ覚悟はできている。大切な人を失ってしまう覚悟もできている。でも貴様の犬にはならない」
素晴らしい宣言でした。そしてこのセリフは、シリーズ終盤にも効いてくる。

しかしこの展開は、各所から非難と不満が大勃発したんだよね💦 一番はキャス。なんで器を承諾した!? てか、天使が元天使の器になるって??? 
死神がバイトする世界なので、そういうこともありなんでしょうが(^^;
器のジミーの魂はとっくに天国に行っており、キャスの身体はジミーの人間の外形を神が修復したってことみたいね。となると、あれはキャス自身の肉体になるのか。それでも魔王が天使を器にできることの理由になんのか。わかるはずもなし。

承諾したことについては、一応その心理は出てはいると思う。アンブリエルから言われた「使い捨て」「ボスはウィンチェスター」、アマラに言われた「出来損ない」「自分をふがいないと思ってる」
キャスは自分自身にしかできないことで、この状況を救いたかった。そこを巧みに「あいつらは類人猿。俺しかダークネスを倒せない」と誘導したルシ。
アマラが言った、「使い古されてすっかりくたびれている」というのもねぇ。これは先行きのキャスの未来を匂わせているのか気になるところ。ミーシャも言ってるみたいだし。
使い古しのエクスペンダブル。今できることをしないと先はあるのかわからない…。

ミーシャのマーク・ペリグリノに似せた表情や演技はさすがで、顔つきが全然違う。しかしミーシャは活躍してもキャスじゃないのでファンは複雑だったろう。
ルシファーがさんざんこだわり続けたサムを見限って、キャスに乗り換えたことにも不満な人が多かった。ルシファーinサムとミカエルinディーンの対決を望む人ってまだ多かったんだよね。
その前に製作上の都合とはいえ、ミカエルのザマはなんだよ。メンタル弱すぎっだろ!
というか、その場にいるはずのミカエルは見えないってことをどう解釈していいのかわからんのだが。たぶんロウィーナの魔法は、異次元空間である檻からルシファーだけを浮かび上がらせたんだね! 魔法すごい!(突っ込んでも無駄) とにかくアダムをどうにかしてください、いい加減に…。
私はルシファーがいよいよサムを見限ってくれて良かったよ。やっと新しいことをしたじゃない(笑)

さらにはシーズン8のアメリア問題を今更持ち出し、ルシの口を通して、サムはディーンを探さずに普通の生活をしていたことに罪悪感があると言わせたこと。これも怒る人がいっぱいいたなあ。あの時のサムの心理については、私なりにS8で書いています。
アメドラの長期シリーズは後付けで話を作っていかざるを得ない。ファンは設定の統合性やキャラの性格の一致を求めるけど、ショーランナーも脚本家もどんどん変わっていく現場において、すべての制作人が過去話全部を把握しようとしてるとは思えないんだよね。なにせ本数が多い(^^; それがスパナチュを大事にしてくれてない、ファンを馬鹿にしてる!というのはわかるけど、まあ無理だと思う。
私としては、あくまでキャラが実在するかのように考えて自分の中で無理やり昇華してる(笑) あれはこういう心理だったんだよきっと、と。はい、こじつけです。
それは私の視聴法。声をあげるのも大事だし、文句のある人はどんどん物申した方がいいとも思う。私はリアルタイムで見ておらず、1年弱遅れのDVD組。しかも今ごろ11感想を書いてるわけで、発言のしようもないんだわ(笑)

話を戻して、サムが罪悪感から兄の刻印を世界がどうなろうが取ろうとしたというルシの言い草は、そりゃ的外れでしょ。あんたこの兄弟をS5以降はリアルタイムで見てないはずだが、どこで情報入れた。檻ん中でDVD見たのか。
サムは確かにあの時は罪悪感があった。でもその後、メタトロンやガドリエルで兄との関係が悪化したのもくぐりぬけ、兄弟はより絆を深めた。罪悪感が有る無しにかかわらず、サムは兄から刻印を取ろうとするに決まってる。今ごろアメリア問題持ち出したのは、これまたメタ事情であの時の大騒ぎの答えをぶち込んだ形なんだけど、これいらなかった。いやむしろ、遅れてるルシを見せるのに的確…?

サムのターンだったので、ディーンは忙しく動いたわりに心理描写は少なかった。キャスをアマラの確認に行かせたことはかなり解せないが。アマラの気まぐれがなきゃ、アンブリエルと同じ運命だったはず。
ディーンって、家族とみなした仲間には結構無茶やらせることはあるけどね。ボビーもよく使われてた。一緒に行けば、アマラが生きていてもキャスを消さないよう頼んだはず。吐き気に負けたか。キャスは何のかんの言っていつも生き残るので大丈夫だと思ったか。
いや結局、サムが応答なしのほうが最優先事項なんですね。キャスも不憫な。でも彼が一番わかってる。
死地に向かうに際し、アンブリエルに「私達捨て駒よね」と指摘させることで、キャスの心に不甲斐なさ感を植え付ける。そしてルシファーの器を承諾するという流れなんだろうが。

ディーンはサムとは違い、ダークネスに選ばれたことを自分が特別だからとは思ってない。ひるんでる。ルシファーがサムにした手は使えない。
そのくせ、ディーンは実は「強者に惹かれる」というところがある。アマラに「あなたは戦士。抵抗するのは性(さが)」と言われたように、圧してくる者に立ち向かう男。であると同時に、戦士はいつでも強い者に憧れ、惹かれる。アマラもしかり。そしてアマラは、ただ一人の弟に裏切られた。これも兄のトラウマをかき乱すんだろうね。

一番胸に迫ったのは、ロウィーナの告白。
ついにクラウリーは、長年の疑問にして最大の心の枷、なぜ母は自分を憎むのかの答えを知る。
それはありきたりに思えて、心えぐる一人の女の叫び。魔女ではなく、母であり女であったロウィーナ。
自分の父親が母が祭りで楽しんだ誰とも知れぬ男の一人ではなく、彼女が真剣に愛した男であり母と自分を捨てた男だとも知る。

「お前が憎い。憎まなければ愛してしまう。愛は私を弱くする。弱さなんてまっぴら」
噛み絞めるように絞り出される母の言葉が、これほど理解できる息子もいないだろう。
クラウリーもまた、兄弟との関係、人間の血を入れられたこと、息子ギャビンとの再会で大きく変わった。その変化は彼を窮地に追い込み、苦い思いをさせ続けてきた。それでもクラウリーはそれを捨てられない。愛の愚かさと豊かさ。ウィンチェスター兄弟に教えられたこと。これを捨てて元の悪魔の王に戻れば、それは単純にして退屈な世界。殺そうとしても、一緒に旅した思い出や、母との関係を相談した時には親身に話を聞いてくれたディーンに惹かれてる。いつも塩対応なサムに対しても、自分にはできないことをしでかす力を認めてる。クラウリーが兄弟を殺せない、殺さないのはこれなんだと思う。兄弟のいない、退屈で起伏の無い地獄には戻れないのだ。

以前はクラウリーは父親似で、ロウィーナはその男を憎む理由があるのかと思ってた。でもクラウリーを愛することは、かつての自分に戻ることだった。愛におぼれ、愛に捨てられ、堕ちた女に。
助けてくれた家の息子を愛したのも、自分とは縁もゆかりもない他人だったから。
冒頭のお笑いのクリスマスが彼女にとっての悪夢なのは、「母に戻った自分」を見させられてるからなんだね。
S10での地獄で息子を陥れる策略をしつつも、兄弟とつるんでることには本気で怒っていた。それは息子が情に負けて、ウィンチェスター兄弟への感情で動いているのが許せなかったから。

ファーガスと呼ばれることは、生前の何もなしえずに死んだ平凡な男を思い出すから、いつも「クラウリーだ」といい続けた。それは母親と同じ。昔の自分が憎いから。それを知っててロウィーナはそう呼んだ。
生き残りのし上るためには、鬼にも蛇にもなる。悪魔にも魔女にもなる。屈辱と喪失感からその道を選んだ、似た者親子。

全てが腑に落ちた時に、魔王に首を折られた母を見て、クラウリーは何を感じたのだろう。自分に迫る破滅に、それを感じてる場合ではなかったろうが。
ロウィーナがこれで終わりかは…。もう知られてますね。以下次号(笑)
ルースさんのロウィーナは大成功だったと思う。大好き。あくどい彼女も、意外に女らしい彼女も、スペシャルな魔女ぶりも。ヴィジュアルもいい。そしてマークのクラウリーも、以前よりずっと好きになった。この親子のドラマは私は推し。


9話では弟が魔王に立ち向かうという時に、ダークネスとランデブーしてた兄。
10話ではサムをルシから取り戻そうと兄が奔走している間、弟は魔王と思い出アルバム巡りしてた。
人外に求められすぎる兄弟と、この素敵なすれ違いぶり…。

この回はキャラが総出で、関係性も込み入ってて、ルシファーの件を抜かせば力作だったと思う。現在ショーランナーになっているアンドリュー・ダフの脚本。


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