こう(立憲パートナーズ)ブログ

政治についてあれやこれや語るブログです。

消費税は政治生命を懸けるレベルの問題

2019-06-20 10:49:21 | #政策
立憲民主党内で、消費税に関する激論が止まりません。
正しくは党内というよりも、ネットを中心とした支持者の中でという事でしょうか。

そもそもの発端は、れいわなんちゃらとかいう新しくできた弱小政党の党首が
消費税減税および廃止を打ち出し、それに賛同をする人たちが
「なぜか立憲民主党を巻き込もう」とし、それに対して激論が展開されています。

ここに来て、落選中の立憲所属の方や候補者から、その消費税廃止の主張も飛び出してきました。
「立憲民主党はボトムアップの政党なんだから、議論くらいしなさいよ」というご主張です。
twitterでこういう主張の人から意見を貰うのですが、とある人は、
「書面で、”消費税廃止はしない”と明確に記載されていないのだから、廃止を謳ってもいいじゃないか」という
トンデモナイ主張をされた事もありました。
ちょっと面白すぎてコメントもないのですが、書面に書かれていなければ何でも主張していいという事になれば、
それこそ政党ガバナンスは崩壊します。
「他党の応援をしてはならない」と書かれていないから、れいわの候補の応援にも行きますよ、
こんな事もまかり通るわけです。書かれていない事でも、常識で考えれば分かる事をごねるわけですので
もはや議論の必要性すら感じません。

消費税については以前もブログに書いたのですが、
立憲民主党は、先の民主党政権で「社会保障と税の一体改革」をまとめた当事者も多いわけです。
あれは必要な政策制度だった。だけれども、時期とタイミングが悪かったとも思います。
政権が弱体化している状態で、震災からの復興もまだ道半ばの状態でする話ではなかったとも思います。
しっかり政権の基盤が安定した中でやっていれば、世間の評価も変わっていたと思いますが、
実施した意味は大きかったと思います。
そんな経緯もあって、消費税増税の容認という立場は明確です。
ただし、アベノミクスの金融緩和マヒ状態で経済の足腰がグラグラのままで増税をするのは致命傷。
そういう判断から、枝野代表は増税凍結を主張しています。至極まっとうですね。

これを覆すかのように、消費税を廃止しようという候補や支持者がいるのですが、
もしそれに乗っかるようであれば、そのれいわなんちゃらに移籍していいと思います。
そもそも立憲民主党の理念政策と一致しませんし、どうせ激論してもその方々の意見は絶対に変わりません。
なにせ消費税とは、本来は内閣や総理大臣が政治生命を懸けるほどの難易度の高い問題であるからです。
消費税を上げたがために倒れた政権は数多い。そして野田政権の致命傷にもなりました。
10%までの増税を法律としてまとめたのは民主党政権です。安倍政権はそれに乗っかっているだけ。
だから増税するのは安倍政権ですが、すごく楽をしているラッキーな政権なわけです。

そんなレベルの話を、当選もしていない候補者が軽々に口に出すべきではない。
そもそも消費税を無くしたとして、じゃあ消費税分の財源はどうするんですか?という話になります。
これ、私の友人が良い話をしてくれました。

友人は、消費税無くしてほしい~と主張をしています。ならなくしたらどうするのか。その補填は?と質問すると、
「消費税無くしたら車買うし、その分消費する。消費税分があるから思いとどまっているものがいっぱいある。
だから消費が加速するから他の税収入は増えるだろうし賃金も上がるし問題ないよ」
と彼は言いました。

それならば私はある一定程度納得です。
消費税を無くせば消費が加速する。→企業が潤い賃上げ・設備投資などを行う。→法人税も払えるし所得税も見込める。
→結果、消費税分を穴埋めできるだけの経済の好循環が生まれる。

こういう理屈です。彼はそのつもりです。消費をするつもり。だから納得できるんです。
国民の大多数がそうならば私は消費税を無くしてもいいと思います。

だけれども、れいわなんちゃらとかその支持者とかトンデモ候補が主張しているのは、
消費税を無くす代わりの財源として
「法人税アップ、ODA・防衛費の見直し、はたまたは国債の増発」をすべきと言っています。

これ、最もらしい代替え案のように聞こえるじゃないですか?
でもそもそも、代替え案を用意するって事は、「消費が活性化されない」事を認めたようなものなんですよ。
もし、消費が活性化され経済の好循環が生まれたら財源問題はクリアできるんです。友人はそう主張している。
だけれども彼らは「財源が生まれない、つまりは消費が加速しないこと」を暗に認めているんです。
たからこちらの挑発に乗って代替え案なんてものを主張しだすんですよ。

消費税を無くす事によって消費が活性化されないなら、消費税は無くす意味がありません。
「あ~消費税無くなってよかった。ラッキー」で終わる話です。
そんなものは消費税でなくても他の税金でも同じ話ですよ。バカバカしくて聞いてられません。

勿論、私は消費税を無くしたとて、「大多数の国民は消費を活性化させる事は出来ない」と思っています^。
108(税込み)のものが100円になったとして、もう一つ買おうと思います?
216万円(税込み)の車が200万円になったとして、買おうと思いますか?
私は思えません。
でも友人は「買う!」と言い切ります。それならばよく分かります。いい事ですよ。
消費をしたいが消費税が邪魔で踏み切れない人にとってはいい事です。でも大多数はそうじゃない。
そして代替え案を最もらしく用意する人たちは、消費が進まない事を分かっているのに減税を主張し、
経済の好循環が生まれない事を自分で主張しているのに「やるべき」と言い張るんです。
全くもって情けない話です。

消費税をたとえ0にしても、消費が進むのはもって1年だけでしょう。もって、ね。
友人のような人たちもいるわけですから。
ただ今後も0が続くとなれば、別に今急いで買う必要もないわけだから買わないんです。だって0なんですもん。

これが消費税の罠ですよ。国民は慣れるんです。0にも慣れる。だから消費は進みません。
1%ずつ上げていけば、毎年かけこみ消費が続くんじゃない?という意見もありますが、
毎年POSシステムを変えられます?えらい負担です。田舎や商店は対応できます?税務署は混乱しません?
社会的に不可能ですよ、そんな事は。社会を知らなさすぎる人の意見でしょう。

発展途上国の中には消費税を0にして消費が活性化した国が一部あります。これは認めます。当たり前です。
なぜならば「発展途上国」だからですよ。欲しいものがたくさんあるんです。
だけど、日本は近代国家です。欲しいものはあらかたそろっている。8%を0%にしたところで
「よっしゃー買いまくるぞー!」なんて事にはなりません。
せいぜい、「家庭がちょっと樂になる。貯金しよう…」くらいです。これでは消費は活性化されません。

こういった近代国家の国民の心理をちゃんと考えて物を言っているのか疑いたくなります。
それほど消費税減税や廃止は荒唐無稽な話だと言えます。夢物語。ただのポピュリズム、しかも悪質な方のね。

政治生命を懸ける覚悟で減税や廃止を主張するならば、これを乗り越える明確な根拠を提示してください。

もう一度言いますが、
「みんなで議論しましょうよ。議論するのはいい事じゃないですか!」はダメですよ。
何逃げてるんですか。自分がアホだからみんなで知恵を出しあおうなんて甘えた事言うのは政治家として失格ですよ。