■混迷の大統領選
お疲れ様でした。筆者も火曜日からずっと注目し続けていたアメリカ大統領選が混迷の末、
ようやく日曜日によって大勢が判明した模様です。
激戦の末、トランプ大統領は民主党候補のバイデン氏に敗れる事が確定をしました。
一期4年で退任する大統領は久しぶり。そして民主党にとっては前回敗れたヒラリーさんの意趣返しが出来たというところでしょうか。
元々、支持率で大きく水をあけていたバイデン氏でしたが、開票が進むにつれてトランプ陣営の巻き返しがあったように思います。
それもそのはず。大規模集会を開いて、怒涛の追い上げを後半見せていたトランプ陣営は直接投票が多く、
対してコロナを意識して大規模集会などを控えていたバイデン陣営は、これまたコロナを意識して郵便投票などが多い。
両陣営の性質をしっかり反映させたような投票行動が、一時的にトランプ有利の現象を引き起こしていて、
国内外に「ほら、やっぱりトランプが強い。勝つんじゃないか」という空気を作り出していました。
笑ってしまったのが、一部コメンテーターやネットのトランプ支持者たちが、こぞってメディアの事前調査や世論調査などが
いかに不正にまみれていて実体に合っていないか等という事を惜しげもなく発信していたことです。
実際は、投票行動による開票の差が、トランプ有利に見えていただけで、初めからバイデン有利は変わらなかった。
その事をあずかり知らぬ人たちが、トランプ有利の情勢に沸いて口を滑らせてしまったという事です。
この界隈の方々は今は沈黙しているか、郵便投票に不正がある。裁判でひっくり返る。という主張をトランプ大統領とともに行っているようです。
こうなってくると事態は泥沼で、仮にトランプ陣営がすべて逆の立場ならば、「正義は勝った」というに違いないという事。
この自分たちを「絶対的正義」と位置付けて、もはや宗教のように「それに反する者は敵」「売国奴」「スパイ」「不正」などと言っちゃう。
こういう強い言葉・強い態度が受けるという潮流はリーマンショック以降の世界的不景気に大きな効果をもたらしました。
そして、中国やロシア等、世界で台頭してくる勢力に対する強気な態度が強固な団結力を生んだ。それ自体は自然な事なのですが、
この「絶対的正義」を妄信してしまうことで、それに合わなくなった人たち、そこから零れ落ちる人たちの事を鑑みなくなってしまう。
そしてその人たちをも「敵」としてしまう。ここで「分断」が起きるのだと思います。
この強固な団結力と絶対的正義をもってしても4年でトランプ陣営が破れてしまった最大の原因はこの省みない「分断」のせい。
コロナ対策の失敗や、経済政策の反発や、人権侵害など、トランプ大統領のもたらした「この道しかない」方針は多くの分断を生んでしまったのです。
「この道しかいない」という言葉は、今私が勝手に比喩しただけで、トランプ大統領の直接的な言葉ではありません。
ですが、大統領がうちだした方針というのはまさにこの言葉で比喩されるでしょう。
そして、自分たちに反する者たちを敵とみなす姿勢は、「こんな人たちに負けるわけにはいかないんです」とのた打ち回った
安倍晋三前総理大臣と完全に一致します。賢明なアメリカ国民は、こういった勢力に鉄槌を下した。それが今回の大統領選でした。
中道路線として民主党候補として名が早くから挙がっていたバイデン候補は、はじめは支持をなかなか伸ばせませんでした。
急進的左派と言われながらも、若者から熱い支持を得ていたサンダース候補に押されていたのは周知の事実です。
しかし、バイデン候補が最終的に候補者として選ばれた事、これって結構大事な点だと思います。
舌鋒鋭い攻撃的なトランプ大統領に対して、アメリカのあるべき姿をしっかりと見せなければいけない、分断を進めた大統領に対して包摂する姿勢を見せないといけない。
そうなったときに、民主党候補に必要となったのは、安心して任せられる幅広い政策を打ち出せる社会を包摂できる候補の姿です。
サンダース候補は左派には絶対的な支持がありましたが、それではやはり不安と思う国民も多かった。そこに民主党は過敏に反応したのだと思います。
そして、8日に勝利演説を行ったバイデン候補は、「分断から結束に移るべきとき。相手は敵ではない。同じアメリカ国民だ。」と語りました。
これこそトランプ大統領に対する最も強力で鋭い対立軸です。すべての政策に、この演説が生きてくるのだと思います。
国民に対し、「こんな人たちに~」と言ったり、辞任会見の際に「国政選挙において支持をくださったすべての皆様に感謝」と、支持者にのみ感謝を述べた
そんな安倍晋三という政治家とは真逆を行くニューリーダーと言えるでしょう。
加えて言えば、最大野党として戦っている立憲民主党および枝野幸男代表には、このアメリカ国民の判断とバイデン氏の勝った理由に学んでほしいと思います。
枝野立憲は、バイデン氏の足元にも及んでいません。
しかし、バイデン氏に投票をしなかったアメリカ国民の不安や不満も大いに理解できます。
トランプ大統領のやってきた事にも私は一定の理解ができます。彼自身というよりは、アメリカにおける時代の要請のようなものだったのだと思います。
これから疑惑などにバイデン氏は真摯に対応していく必要もあるでしょう。
そして何より、分断を加速させた経済的不景気という状況を改善することに注力をすべきです。不景気はすべての争いの元になります。
暗礁に乗り上げた不景気の渦から、だれか強力なリーダーシップでもってこれを救い出してほしい。という国民の声は大きなうねりとなります。
バイデン氏はこの声にこたえられるか。そして日本ではこのアメリカ大統領選をこういった視点から野党は見る事が出来るのか。
大事な分岐点になると思います。
お疲れ様でした。筆者も火曜日からずっと注目し続けていたアメリカ大統領選が混迷の末、
ようやく日曜日によって大勢が判明した模様です。
激戦の末、トランプ大統領は民主党候補のバイデン氏に敗れる事が確定をしました。
一期4年で退任する大統領は久しぶり。そして民主党にとっては前回敗れたヒラリーさんの意趣返しが出来たというところでしょうか。
元々、支持率で大きく水をあけていたバイデン氏でしたが、開票が進むにつれてトランプ陣営の巻き返しがあったように思います。
それもそのはず。大規模集会を開いて、怒涛の追い上げを後半見せていたトランプ陣営は直接投票が多く、
対してコロナを意識して大規模集会などを控えていたバイデン陣営は、これまたコロナを意識して郵便投票などが多い。
両陣営の性質をしっかり反映させたような投票行動が、一時的にトランプ有利の現象を引き起こしていて、
国内外に「ほら、やっぱりトランプが強い。勝つんじゃないか」という空気を作り出していました。
笑ってしまったのが、一部コメンテーターやネットのトランプ支持者たちが、こぞってメディアの事前調査や世論調査などが
いかに不正にまみれていて実体に合っていないか等という事を惜しげもなく発信していたことです。
実際は、投票行動による開票の差が、トランプ有利に見えていただけで、初めからバイデン有利は変わらなかった。
その事をあずかり知らぬ人たちが、トランプ有利の情勢に沸いて口を滑らせてしまったという事です。
この界隈の方々は今は沈黙しているか、郵便投票に不正がある。裁判でひっくり返る。という主張をトランプ大統領とともに行っているようです。
こうなってくると事態は泥沼で、仮にトランプ陣営がすべて逆の立場ならば、「正義は勝った」というに違いないという事。
この自分たちを「絶対的正義」と位置付けて、もはや宗教のように「それに反する者は敵」「売国奴」「スパイ」「不正」などと言っちゃう。
こういう強い言葉・強い態度が受けるという潮流はリーマンショック以降の世界的不景気に大きな効果をもたらしました。
そして、中国やロシア等、世界で台頭してくる勢力に対する強気な態度が強固な団結力を生んだ。それ自体は自然な事なのですが、
この「絶対的正義」を妄信してしまうことで、それに合わなくなった人たち、そこから零れ落ちる人たちの事を鑑みなくなってしまう。
そしてその人たちをも「敵」としてしまう。ここで「分断」が起きるのだと思います。
この強固な団結力と絶対的正義をもってしても4年でトランプ陣営が破れてしまった最大の原因はこの省みない「分断」のせい。
コロナ対策の失敗や、経済政策の反発や、人権侵害など、トランプ大統領のもたらした「この道しかない」方針は多くの分断を生んでしまったのです。
「この道しかいない」という言葉は、今私が勝手に比喩しただけで、トランプ大統領の直接的な言葉ではありません。
ですが、大統領がうちだした方針というのはまさにこの言葉で比喩されるでしょう。
そして、自分たちに反する者たちを敵とみなす姿勢は、「こんな人たちに負けるわけにはいかないんです」とのた打ち回った
安倍晋三前総理大臣と完全に一致します。賢明なアメリカ国民は、こういった勢力に鉄槌を下した。それが今回の大統領選でした。
中道路線として民主党候補として名が早くから挙がっていたバイデン候補は、はじめは支持をなかなか伸ばせませんでした。
急進的左派と言われながらも、若者から熱い支持を得ていたサンダース候補に押されていたのは周知の事実です。
しかし、バイデン候補が最終的に候補者として選ばれた事、これって結構大事な点だと思います。
舌鋒鋭い攻撃的なトランプ大統領に対して、アメリカのあるべき姿をしっかりと見せなければいけない、分断を進めた大統領に対して包摂する姿勢を見せないといけない。
そうなったときに、民主党候補に必要となったのは、安心して任せられる幅広い政策を打ち出せる社会を包摂できる候補の姿です。
サンダース候補は左派には絶対的な支持がありましたが、それではやはり不安と思う国民も多かった。そこに民主党は過敏に反応したのだと思います。
そして、8日に勝利演説を行ったバイデン候補は、「分断から結束に移るべきとき。相手は敵ではない。同じアメリカ国民だ。」と語りました。
これこそトランプ大統領に対する最も強力で鋭い対立軸です。すべての政策に、この演説が生きてくるのだと思います。
国民に対し、「こんな人たちに~」と言ったり、辞任会見の際に「国政選挙において支持をくださったすべての皆様に感謝」と、支持者にのみ感謝を述べた
そんな安倍晋三という政治家とは真逆を行くニューリーダーと言えるでしょう。
加えて言えば、最大野党として戦っている立憲民主党および枝野幸男代表には、このアメリカ国民の判断とバイデン氏の勝った理由に学んでほしいと思います。
枝野立憲は、バイデン氏の足元にも及んでいません。
しかし、バイデン氏に投票をしなかったアメリカ国民の不安や不満も大いに理解できます。
トランプ大統領のやってきた事にも私は一定の理解ができます。彼自身というよりは、アメリカにおける時代の要請のようなものだったのだと思います。
これから疑惑などにバイデン氏は真摯に対応していく必要もあるでしょう。
そして何より、分断を加速させた経済的不景気という状況を改善することに注力をすべきです。不景気はすべての争いの元になります。
暗礁に乗り上げた不景気の渦から、だれか強力なリーダーシップでもってこれを救い出してほしい。という国民の声は大きなうねりとなります。
バイデン氏はこの声にこたえられるか。そして日本ではこのアメリカ大統領選をこういった視点から野党は見る事が出来るのか。
大事な分岐点になると思います。