自首と出頭

先週末の時事通信に，以下の二つの記事がありました。

成人式で立ち小便「わしじゃ」＝軽犯罪法違反で書類送検－広島県警
成人式が終わった後，会場近くの道路で立ち小便をしたとして，広島県警呉署は４日，同県呉市の塗装工の男（20）を軽犯罪法違反の疑いで呉区検に書類送検した。
立ち小便をしているところが全国中継のテレビニュースなどで放送され，成人の日の夜，「テレビに映ったのはわしじゃ」と同署に電話して出頭した。

62歳男を逮捕＝神奈川県警－「罪償いたい」と自首
昨年11月に横浜市内の公園でホームレスの穂刈壽さん＝当時（63）＝が殺害された事件で，戸部署捜査本部は４日，殺人容疑で住所不定，無職清野英昭容疑者（62）を逮捕した。
清野容疑者は３日，東京都八王子市の交番に「罪を償いたかった」と自首した。

ここでは，犯罪を犯した人が，警察署に行ったことを，「出頭」，「自首」と表してあります。
実は，「自首」と「出頭」には，天と地ほどの差（？）があるのです。

国語辞典（大辞泉：小学館）には，以下のように書いてあります。
■自首
犯罪事実または犯人の発覚する前に，犯人が自ら捜査機関に犯罪事実を申告し，その訴追を求めること。刑が減軽または免除されうる事由となる。
■出頭
本人がその場所，特に役所・警察などに出向くこと。「裁判所に―する」

上の内容を簡単にいいますと，警察がその事件や犯人を知る前に，警察に行くことが「自首」です。
警察が知った後で行くことが，「出頭」となります。
そのまんまやん（笑）。

ですから某テレビドラマ（上の写真は，特に関係ありません・笑）などで，罪を犯した若い男が警察に追われているとき，彼の恋人が「お願い，自首して」という場面では，法律上自首にあたらないことになります。
正式には「お願い，出頭して」が正しいのです。

まあ，盛りあがりませんね（笑）。

しかし，出頭と自首に法律上の違いはあるにせよ，裁判での刑の確定の際には，その事情が考慮される可能性は高いです。
むしろ辛い逃亡生活を続けるより，「出頭」した方が，気が楽になるんじゃないでしょうか。
って，誰にいうとんねん（笑）。