「まさか……ここであなたに出会えるとは思っていませんでしたね」
苦し紛れに笑って見せたが、どことなく高揚感に満ちあふれていた。
「もうちっと、後の方がよかったかじゃろうか?」
「いえ、とんでもない。いずれはお目にかかることになりますからね……」
老人は不敵な笑い方をする。自信があるんだろうな。
「わしを倒して、行くというのか」
「親友との約束ですので。『あの場所』に行くと」
「お前らが言う『あの場所』とは、『ヒルズ・オブ・ネビナ』のことじゃろ」
「……さすが。ご存じで」
やっぱり知っていたかと、苦笑いを浮かべるしかなかった。
この国の中心地、王族たちが暮らす一郭がある。これを囲うように街が形成されている。ここから見て東側に作られた場所に王室直属騎士団の詰め所がある。この場所こそ、『ヒルズ・オブ・ネビナ』と呼ばれている。
「ここからの景色はいいものじゃった」
「でしょうね。選ばれし者のみが入れる所ですからね」
何が言いたいんだ、この老人。嫌みにも聞こえる。
「しかし、あなたがここにいるっていうのは、意外ですけどね」
「世の流れというものじゃ」
「そのまま引退して隠居生活でもしていただけるものだと、思っていましたが」
「まだまだわしは、現役じゃ」
何気ない台詞だが、威圧感を乗せてくる。素性を知らなければただの老人にしか見えないに、途轍もないオーラを感じる。
「二、三年ほど師匠に付いて回っていた時代、あなたの戦い方を見ています。その時と雰囲気が変わらないから恐ろしい」
「それはそうと、師匠殿はご健在かね」
「ご存じなんでしょう、数年前に騎士団を外されたくらい。そもそも、独り立ちしてから長いこと会っていませんけどね」
「会いたくない。……ってところじゃろうな」
「小言を言われたくないので。あなたみたい」
睨み付けるように言ってみたが、また不気味とも言える笑い声を上げた。
オレもコリエンテ、利汰右衛門もそうだが、『twenty』のメンバーの元に付いていた時期があった。誰かにつかなくても候補には入れる。ただ、いくつかある選択肢の内、それが一番の近道なだけだった。
「わしのはアドバイスじゃよ。彼奴とは違う」
「そうは見えませんけどね」
すると、目の前にいたはずの老人が消えた。
「今の動きは見えたかな?」
後ろの方から声がするので振り返ると、そこにあの老人が立っていた。
「それと、これは返そう」
何かを投げてきたので、受け取った。
「あ! オレのサイフ!!」
「それでもまだ『小言』というつもりかな?」
「さすが、長年在籍していただけありますな……」
「それでもわしに勝負を挑むかね」
「いや……。なかなかこういう機会はないので。元・王室直属騎士団と対戦できるのは」
≪ 第9話-[目次]-第11話 ≫
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苦し紛れに笑って見せたが、どことなく高揚感に満ちあふれていた。
「もうちっと、後の方がよかったかじゃろうか?」
「いえ、とんでもない。いずれはお目にかかることになりますからね……」
老人は不敵な笑い方をする。自信があるんだろうな。
「わしを倒して、行くというのか」
「親友との約束ですので。『あの場所』に行くと」
「お前らが言う『あの場所』とは、『ヒルズ・オブ・ネビナ』のことじゃろ」
「……さすが。ご存じで」
やっぱり知っていたかと、苦笑いを浮かべるしかなかった。
この国の中心地、王族たちが暮らす一郭がある。これを囲うように街が形成されている。ここから見て東側に作られた場所に王室直属騎士団の詰め所がある。この場所こそ、『ヒルズ・オブ・ネビナ』と呼ばれている。
「ここからの景色はいいものじゃった」
「でしょうね。選ばれし者のみが入れる所ですからね」
何が言いたいんだ、この老人。嫌みにも聞こえる。
「しかし、あなたがここにいるっていうのは、意外ですけどね」
「世の流れというものじゃ」
「そのまま引退して隠居生活でもしていただけるものだと、思っていましたが」
「まだまだわしは、現役じゃ」
何気ない台詞だが、威圧感を乗せてくる。素性を知らなければただの老人にしか見えないに、途轍もないオーラを感じる。
「二、三年ほど師匠に付いて回っていた時代、あなたの戦い方を見ています。その時と雰囲気が変わらないから恐ろしい」
「それはそうと、師匠殿はご健在かね」
「ご存じなんでしょう、数年前に騎士団を外されたくらい。そもそも、独り立ちしてから長いこと会っていませんけどね」
「会いたくない。……ってところじゃろうな」
「小言を言われたくないので。あなたみたい」
睨み付けるように言ってみたが、また不気味とも言える笑い声を上げた。
オレもコリエンテ、利汰右衛門もそうだが、『twenty』のメンバーの元に付いていた時期があった。誰かにつかなくても候補には入れる。ただ、いくつかある選択肢の内、それが一番の近道なだけだった。
「わしのはアドバイスじゃよ。彼奴とは違う」
「そうは見えませんけどね」
すると、目の前にいたはずの老人が消えた。
「今の動きは見えたかな?」
後ろの方から声がするので振り返ると、そこにあの老人が立っていた。
「それと、これは返そう」
何かを投げてきたので、受け取った。
「あ! オレのサイフ!!」
「それでもまだ『小言』というつもりかな?」
「さすが、長年在籍していただけありますな……」
「それでもわしに勝負を挑むかね」
「いや……。なかなかこういう機会はないので。元・王室直属騎士団と対戦できるのは」
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