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高知 きたむら動物病院blog

四国高知にて2009年1月に開院いたしました動物病院のブログです。

犬のワクチンと抗体検査のお話

2025-06-25 13:05:02 | 獣医療
我々が日常的な業務として行っている「ワクチン接種」。
なんだか「なんとなく」やっているようにも感じられるかもしれませんが、犬や猫のワクチンに関しては、指針いわゆるガイドラインというものがあります。

WSAVA(世界小動物獣医師会)が改訂しているガイドラインがあります。
 犬と猫のワクチネーションガイドライン
なかなか長いので我々でも全部読むのは労力がかかりますが・・・

それを踏まえて、ワクチンメーカーが日本の現状に合わせた資料も出ています。
WSAVAワクチンネーションガイドライン改定等による     ⽇本の状況変化と感染症対策の将来 

このガイドラインを大まかに言うと、犬のワクチンは生まれた年はスケジュールに則り確実に接種。高知のようなレプトスピラ発生の可能性がある地域は罹患する可能性がある生活のワンちゃんにはレプトスピラワクチンを毎年接種、それ以外のワクチン(ジステンパー、パルボ、アデノウイルスなど)に関しては生後26か月と52カ月の接種以降は3年に1回の推奨になっています。

改定前より接種スケジュールが煩雑になっており、このガイドラインに完全に則って行うことは現実的には難しいため、当地域の状況に合わせた接種計画にて行っています。

昔からと言いますか、従来の方法である成犬は年1回の追加接種で基本的には問題が生じていないため、基本的にはそれで今も継続しています。また、レプトスピラのような細菌性の疾患のワクチンはウイルス性のものよりも抗体の減少が早いと考えられるためやはり年1回接種しています。

しかしながら、ガイドラインを考慮して接種計画を再考すると、ジステンパー、パルボ、アデノウイルスに関しては接種間隔をあけ、レプトスピラは毎年、となります。
レプトスピラに関しては、感染リスクの高い生活のワンちゃんに接種を推奨しており、生活環境をお聞きした上で選択して頂いております。

ここで、当院の考えが入るのですが・・・





当院は、「ワクチチェック」という犬の抗体検査という院内検査を行っています。
ジステンパー、パルボ、アデノウィルスに関して抗体が十分量あるかどうかがその日にわかります。

何年前からかは忘れましたが、この抗体検査、はじめはワクチン接種により副反応が出る、ワクチン接種に不向きな病気の治療中であるなど、ワクチン接種を回避すべきワンちゃんに、まず抗体検査を行って十分抗体があればそもそもジステンパー、パルボ、アデノウィルスなどの接種は不要ということを証明できるため開始しました。

この検査を当院がしたほうがいいと判断したワンちゃん以外に、抗体検査を希望される方も出てきました。

そうして何年も抗体検査を行っているのですが、多くのワンちゃんはそれらの抗体はたしかに3年は十分あると実感します、が、なかにはそうでもない、抗体が落ちやすいワンちゃんもいるようで、ちょっとそのままガイドラインどおりにはいかないかな、ジステンパー、パルボ、アデノウィルスの接種を3年あけるのであれば、少なくとも抗体検査はしておいたほうが無難、というのが現時点での私の考えです。
これは当院の考え方であり、他の動物病院さんの考え方や方法を否定するものではありません。また、これらの考えは新しい知見が出た場合に変わることもあります。

抗体価が低い場合でも、ウイルスがいざ侵入してきたときに過去の免疫記憶によりスピードは落ちるものの抗体が産生されることは十分考えられますが、抗体価が十分ある「ウイルスへの兵隊がたくさんいて訓練されている状態」であるかどうかは非常に重要であると考えます。


レプトスピラも種類というか「株」があり、ワクチンでカバーできるものとできないものもあったりなど、

そもそもワクチンもその子の免疫の反応に効果は個人差がありますし、完全なものではなくできるだけ感染症を門前払いにしましょう、侵入してきても抗体が抵抗して発症しないようにしましょう、もし発症してもできるだけ軽症で済むようにしましょう、というものです。

その子その子にあった効果的な計画を立てることが最も大切なことだろう、と考えています。


余談ですが、私は自分の子供が生まれる前、風疹のワクチンを2回打ったのですが抗体価が16倍から上がりませんでした。
防御はできる最小限の抗体は作られた?といったところでした・・・・


※猫の院内抗体検査に関しては今のところ行っておりません。
犬と猫の一般診療・内科・皮膚科・内分泌・理学療法
高知県高知市北川添24-27 088-880-5123
休診日 水曜日 日曜日 祝日
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9:00-12:00 14:30-17:45
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梅雨、高温多湿、皮膚病、外耳炎の時期。と、また値上げ・・・。

2025-06-14 19:50:37 | 獣医療
毎年のことですが、前月末~今月あたりから犬の皮膚病の患者さんが急増しています。

毎年多いのが「膿皮症」「毛包炎」といった、毛の根元が蒸れることで発生しやすくなる細菌性の皮膚病。


口まわり、顎下や足先の皮膚炎、特に「掻いたり舐めてしまう部位」の悪化が止まらない症状。



高温多湿により発生率が上がる外耳炎。



これらの症状は飼い主さんが「様子を見て」も何も良いことはなく、治療が早ければ早いほど症状も軽くて済みますし、なにより動物が痒くてストレスを受ける状況からできるだけ早く脱出できるようにしてあげたいものです。

また、「慢性化」してしまっていることも多々ありますが、慢性化していてなかなか完治というわけにはいかない症状でも、できるだけ症状が軽い状況で過ごさせてあげることが最善です。

そして、これらの症状は自宅でのケアや環境を整える「コツ」があるため、単に病名と治療をするだけではなく、どういった過ごし方が最適であるか、犬の生活、性質、居る環境や、飼い主さんの可能な範囲などを考慮、折衷してケースバイケースで方針を考える必要があります。

皮膚病に限らず、「うまくお付き合いする病気」は多々ありますが、とにかく今からの時期、冬手前くらいまでは皮膚症状がある子が多いうえに、一頭一頭同じではないので個別で考えて対処するしかありません。

その、個別で最善を考えることが仕事のキモとも考えているので、当院に来られる方は、私はそのような考えであることをご理解いただけると幸いです。


話は変わりますが、7月からまたいくつかの価格が上がります。
メーカー値上げなので我々も否応なく連動しないとならないので心苦しい限りですが・・・

当院でよくお出しするものとしては、
「ビクタス錠」(抗菌剤)
「オーツスポットフォーム」(お手入れフォーム)
「オーツダーマルカーム」(保湿・皮膚保護剤)

院内検査キットの「スナップジアルジア」

コストプッシュインフレの時代なので、値上がりに連動して世の中の賃金上昇のサイクルができれば良いのでしょうが、世の中を見る限りなかなかそうもいかなさそうなのでどうやって経済的な采配するか、各御家庭大変な時代です。

当院は2009年の開業以来長らく価格を変えていなかった項目が多かったため、実は数年前から慌てて適正価格とはどのくらいかを考え始めたくらいに、私は経営音痴ではあります・・・。2009年と比較したら現在は1割以上物価上昇してるみたいです・・・。


さて、当面の定休以外の時間変更予定です。

6月23日(月) 午前休診 午後通常診療
7月3日(木)午前休診 午後通常診療
7月31日(木) 休診

どうぞよろしくお願い致します。

高知 きたむら動物病院
犬と猫の一般診療・内科・皮膚科・内分泌・理学療法
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熱中症の対策と、ストレス対策と。

2025-05-23 23:41:21 | 獣医療


今年も日本動物愛護協会様から
「イヌ・ネコの熱中症予防対策マニュアル」
を送っていただきました。

以前も少し書いたかもですが、7月くらいになるとほとんどのご家庭でエアコンは入っているので、むしろ今から6月あたりが熱中症注意な期間とも言えます。

とにかく蒸すと熱がこもるので、少なくとも除湿はしたほうが良いですし、昔のような土間があったり床がタイルの風呂のような冷が取れる場所もないので、ひんやりシートや凍らせたペットボトルなどの工夫もしてあげたほうがよいでしょう。

開院から16年半、当院では幸いにも担ぎ込まれた熱中症の動物で亡くなったことはありませんが、飼い主さんが帰宅されたら「おそらく熱中症で亡くなっていた」というご連絡を頂いたことはあります。

こればっかりは「対策して防ぐ」ことが最善ですので、今すぐできること・・・例えば暑い時間に散歩にでていたら早朝や夜間にする、などは今日からできますね。

自分が車を運転していて、昼下がりなどにワンちゃんを散歩させているのを見かけるだけで、ハラハラしますし大丈夫か不安になるものです・・・・。


さて、前回の続きですが、仕事をするうえで、動物にとっても、飼い主さんにとっても、スタッフにとっても、自分にとっても「できるだけストレスを発生させない」ことが重要であると考えています。

我々の仕事は、ストレスをどうマネジメントするかをちゃんと考えるか否かで、長い目で見るとそれぞれの人生、犬生、猫生に大きく違いが生じると思いますし、影響が出ると考えます。

治療で病気が治る、治らないで考えると、治らないことなんていくらでもありますし、つきあっていかないといけない病気もたくさんあります。
そして、生き物である以上、当たり前ですが死亡率は100%です。

しかしながら、「できるだけストレスをかけない治療方針」「できるだけ自覚症状はなんとかする治療方針」であれば、その動物が生まれてから亡くなるまで全部の時間、有意義な治療方針を考えることができます。

そういった方針をご説明し、ご理解いただいている飼い主さんが多くご来院されておりますので、我々としても日々有難く仕事ができます。

しかし、我々も人間ですので、なかなか難しいことも直面します。
相互理解ができず、仕事がストレスフルになる場合もあります。


ひとつの例を。

とある病気の猫で、その病気に関しては診断もついて治療も順調であったんですが、飼い主さんから「口臭をなんとかしたい」というご相談を度々受けていました。
しかし、私は何度嗅いでも口臭を感じず、口腔内も全く問題が無い。

私は、この猫さんは口腔内には問題が無い。そもそも普通の猫よりも口臭も少ない。飼い主さんがスキンシップを行い、わずかな口臭が気になる可能性はあると思うが、診察する限り治療適応な症状でもなく、また歯磨きや口に入れることも嫌がるので、これを治療すること自体が不要であるし、猫のストレスになるので、飼い主さんが許容したほうが現実的だと思う、と伝えました。

「でもなんとかしたいんです。」

これを、診察のたびに、15分20分、同じ話を繰り返し。
同じような話の診察をを3、4回しました。

どう懇切丁寧にご説明しても、ご納得することができない人だと判断しました。

その後、治療中の病気の内容を記した書面をお渡しし、申し訳ないが当院は貴方の願望には対応しがたい、今後は他の病院へかかるように指示しました。

その飼い主さんは、その口臭を治療しましょうと言って頂ける先生にかかられたほうがいいのです。私は、問題ない状態の猫に、わざわざ日々嫌がる可能性がある口のケアをすすめることはできないので、私の治療方針と飼い主さんの願望にミスマッチがあったということです。

お互いにストレスがかかることはもう終わりにしましょう、ということです。

我々は、できるだけ飼い主さんと動物に最善の治療方針と診断治療を提供したいと考えていますが・・・
我々が治療しにくい、指示を聞いていただけない、いくら努力してもご納得して頂けないと感じる飼い主さんに対しては、我々が十分に力を発揮できないので、不十分な仕事をご提供することはむしろ申し訳ないので差し控えることが最善という判断をします

ですので、相性の良い他の病院さんを探されることをおすすめすることや、お断りすることもあります。


我々にも人生があります。

仕事があり、家庭があり、趣味の時間があり、それらをどうやって後悔することなく前向きにできるだけ明るくやっていくかを考えています。
ストレスから解放される人生はあり得ませんが、意識してストレスを減らす、発生させないように努めることは大きな意義があります。

否定的なネガティブワードを用いず、飼い主さんとの会話は最大限ポジティブワードで行う。
手術などの予定が偶然ぽっかり空いた日などはランチに出ることもあったり。
誰かがミスした時は「疲れてるのかな、心配事とかないかな」とまずカバーする、全員「ダラダラせずできるだけ早く帰ろう」ということは一致している、といった、極力前向きに仕事できるような「気の持ち方」というのはあります。


休診日前に具合の悪い動物さんは休診日に時間を決め対応することは多いのですが、

「先生休みないね~、ちゃんと休んで下さいよ。」

と言って頂けることもたまにあります。
そういった労いの言葉を頂けると、よし頑張ろうと思うものです。

逆に、願望や要求を突きつけるだけの言葉は、まともに受けると心にダメージを受けますし、必要なこと以外は聞き流すことだってあります。

なぜなら、診察の上でその動物に獣医療的に必要なことを判断するのは獣医師側であり、その治療内容をどうやっていくか、動物の状況、飼い主さんの状況、コスト、現実性などを総合的に勘案し、できることできないことがあるか、など話し合っていくかが「ふつうの診察の流れ」です。

診断治療に関係ない、あるいは必要性が低い、医療内容を飛び越えた飼い主さんの「願望」を叶える場ではないからです。

我々が仕事として努力してなんとかできる領域と、飼い主さんにしかどうにもできない領域とあり、通常は我々も飼い主さんもすり合わせ相互協力をして、その動物に最適な方法を無意識のうちに探っているのです。


現在、当院に来られている飼い主さんは、ほぼ100%、問題なく仕事させて頂いており、有難い毎日です。

スタッフや私が心身ともに良い状態であり機嫌よくいられること、日々の診療で飼い主さんおよび動物にとっても、とても大切なことではないでしょうか。

私は診療中常に「動物、飼い主さん、スタッフ、自分」全方向のストレスマネジメントを考えています。

それが、良い診療につながる原理原則だと信じています。


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資質とストレス と、診療時間変更お知らせ

2025-05-15 13:51:40 | 獣医療
5月も半ばになり、だいぶ蒸し暑くなってきました。
どのご家庭もエアコンが入る時期になるとむしろ蒸し暑さの管理が
いくぶん良いのですが、いまから6月くらいのほうが影響が出ます。
へばっているようでしたら除湿をしてあげるとワンちゃん猫さんも
楽かもしれません。

診療時間変更
6月23日(月) 午前休診 午後通常診療
7月3日(木) 午前休診 午後通常診療


開業して17年目、曲がりなりにもなんとかやってこれています。
この仕事、業務をこなしていくうえで最も大切なことがあります。

動物病院なので、診断技術、治療技術いわゆる「腕」は大切です、
が、それが最も大切ではないかもしれません。

自分が開業して5~6年目で感じて考えて出た結論なんですが、
自分が考えたこの仕事で最も大切な資質というか要素というのが・・・

「いつも機嫌よくいること」

じゃないかなと。

飼い主さんは、機嫌が良い方、普通の方、不安を抱える方が
大半です。それらどなたにも良い対応をするためには、まず
自分も含めたスタッフ全員が「機嫌が良い」ことが大切で、
獣医療従事者側が機嫌が悪かったり、ストレスを抱えてたり、
機嫌が良い状態じゃないことは何一つ良いことがありません。
そもそもそんなところに連れていきにくいでしょうし。

自分の機嫌は「管理」できます。
自分で機嫌よくいられるために、意識的にちゃんと整理整頓して
コントロールすることに努めるのです。
機嫌良く仕事することを第一に考えておけば、おのずと必要な
ことはわかってきます。

スタッフに関しても、ストレスや不安を抱えた状態では十分に
心の余裕を持った仕事はできないでしょう。

少なくとも、私(院長)はスタッフにできるだけストレスを
抱えないようにできるよう考えていることや、私はスタッフを
守る立場であること、できるだけ仕事はきちんとかつ手早く
終えて早く帰ること、といったことを打ち出しています。

そういった、我々の側が機嫌よく仕事ができる環境を整えてこそ、
飼い主さんにも良い仕事をご提供できるであろうと考えています。


また、治療方針も同様で、私が常に考える最善策とは、
犬も猫も人も

「できるだけストレスを発生させない、
発生していたらできれば取り除く」

ことです。

例を挙げると・・・
猫に多いのですが、教科書的には、飲み薬が必要な病気でも、
飲み薬を嫌がることが多いので、薬が大丈夫な猫以外はできるだけ
飲み薬を使わない方針を立てる。毎日追いかけまわしてそれ自体が
猫も人も日々のストレスになるようなら何のための治療か
よくわからないので思い切ってやめる。次善の策を考える。

犬猫が怒りっぽくなった。機嫌が悪い。触らせない。
・・・・腰痛があって、常にストレスになっていた。
全然珍しくありません。
腰痛疑いの猫にレーザー治療や電気鍼治療を行うと、
非常に軽快して動きが良くなった、結構あります。


不治の病。末期の腎臓病や悪性腫瘍などなど。
「予後不良」
家で見てやって下さいと言われそうな場面。
私は、週何回かの通院は可能かお聞きすることが多いです。

その動物が病院嫌いで通院ストレスが発生するのであれば
そうはしませんが、そういった子でなければ、不治の病だから
こそ、最後まで通院でできることをやりましょう、自覚症状を
取り除きましょうという方針を立てます。

動物側だけではなく、飼い主さんの立場で。もう予後不良
だからと家でただただ弱っていくのを見るのもしんどいものです。
通院で、私やスタッフと話したり動物をチェックするだけでも、
多少の気持ちのしんどさを和らげることも多いものです。

これはもう、診断治療とは別物の方針ですが、いかに見送るか
ということと、いかに動物の自覚症状を管理するかということと、
いかに動物とヒトのストレスを管理できるかということを考えると、
非常に大切な方針で、こういったことを考えることこそが、
大切な要素であると私は考えています。

診断も治療も、「仕事の手段」なんですよね。
仕事の目的ってどこにあるか、見えないものなので、
ちゃんと考えて把握することは大切です。

こういった仕事をすることが目的なので、ストレスを発生させない
ことは最優先課題です。

次回は、ストレスを発生させないための仕事の仕方を書こうかと思います。



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湿度の話。犬は湿度が高くなると、かゆみ、皮膚病が増えます。

2025-04-11 18:43:11 | 獣医療
ついこの間まで寒かったように思うんですが、4月に入って気温も上がってきました。
それとともに、季節性の皮膚病、かゆがるワンちゃんがちらほらご来院しだしました。

5月に入り梅雨になると、皮膚病や外耳炎を患うワンちゃんが非常に多くなり、その傾向は秋まで続きます。

この症状の時期ですが、気温もありますが、どちらかというと「湿度」が重要な要因で、目安として湿度が60%以上になると「皮膚病の時期」です。

冬場、湿度が50%以下の乾燥した時期は、乾燥によりかゆみが増すタイプのアトピー性皮膚炎以外は、比較的皮膚病の発生が落ち着いている時期です。

湿度が60%以上になると、いわゆる家の中のダニなども活動が盛んになります。ダニが関連する症状は人も犬も嫌なものですので、まだ気温がそこまで高くなくとも、蒸すなと感じたら除湿や布団乾燥機をおすすめします。

ちなみに、夏場で冷房を効かせた状態で気温が25度などでも、ダニには適した温度になるようで、気温を基準として考えるよりも、とにかく湿度を下げるほうが良いようです。

湿度が関連する皮膚病は、ダニ以外にも細菌性、酵母様真菌、それ以外の真菌なども関わることも多く、また湿度要因以外でもノミやマダニなども活動も盛んになるため、特にかゆがるワンちゃんにとっては受難の時期です。

「アトピー性皮膚炎」や、「膿皮症、毛包炎」、「外耳炎」などといった環境や湿度、細菌真菌などの微生物が関わる症状を少しでも発生を抑える、悪化を抑える重要な対策が「除湿」です。


膿皮症


脂漏性アトピー性皮膚炎(治療前、治療後)

また、皮膚に明らかな赤みや湿疹が無くとも、湿度が上がると痒がるワンちゃんがおります。

犬の被毛はそのまま生えている「シングルコート」と、長い毛の下のほうに短い毛(アンダーコート)が密に生えている「ダブルコート」があるんですが、柴犬やレトリバー、パグやコーギーといった、アンダーコートが密な犬種は特に、「蒸れるだけで痒い」ということがあり得ます。

アンダーコートが多いワンちゃんは除湿も必要ですが、ブラッシングが重要で、セーターを着た状態からちょっとでも蒸れないようにしてあげるような感じです。

また、被毛の根元が蒸れると膿皮症などの皮膚病も発生しやすいですし、湿潤しやすい部位はそもそも皮膚炎になりやすいので、湿度が高い日本の環境は、皮膚病に着目すると非常に悪条件です。

皮膚病だけではなく、湿度が高いと身体に熱がこもりやすくなり「熱中症」の危険性も上がります。例年熱中症は6月あたりから発生し、夏本番の前のご家庭によってはまだエアコンを使ってない状況が要因のようです。

4月はまだ熱中症の時期ではないものの、湿度が関連する季節性の皮膚病はすでにご来院し始めておりますので、痒がる様子や皮膚が赤い、耳を振るなどのようなことがあったら「様子を見ずに」お早めに受診下さい。

様子をみて良いことってホントにありませんので・・・。


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