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高知 きたむら動物病院blog

四国高知にて2009年1月に開院いたしました動物病院のブログです。

湿度の話。犬は湿度が高くなると、かゆみ、皮膚病が増えます。

2025-04-11 18:43:11 | 獣医療
ついこの間まで寒かったように思うんですが、4月に入って気温も上がってきました。
それとともに、季節性の皮膚病、かゆがるワンちゃんがちらほらご来院しだしました。

5月に入り梅雨になると、皮膚病や外耳炎を患うワンちゃんが非常に多くなり、その傾向は秋まで続きます。

この症状の時期ですが、気温もありますが、どちらかというと「湿度」が重要な要因で、目安として湿度が60%以上になると「皮膚病の時期」です。

冬場、湿度が50%以下の乾燥した時期は、乾燥によりかゆみが増すタイプのアトピー性皮膚炎以外は、比較的皮膚病の発生が落ち着いている時期です。

湿度が60%以上になると、いわゆる家の中のダニなども活動が盛んになります。ダニが関連する症状は人も犬も嫌なものですので、まだ気温がそこまで高くなくとも、蒸すなと感じたら除湿や布団乾燥機をおすすめします。

ちなみに、夏場で冷房を効かせた状態で気温が25度などでも、ダニには適した温度になるようで、気温を基準として考えるよりも、とにかく湿度を下げるほうが良いようです。

湿度が関連する皮膚病は、ダニ以外にも細菌性、酵母様真菌、それ以外の真菌なども関わることも多く、また湿度要因以外でもノミやマダニなども活動も盛んになるため、特にかゆがるワンちゃんにとっては受難の時期です。

「アトピー性皮膚炎」や、「膿皮症、毛包炎」、「外耳炎」などといった環境や湿度、細菌真菌などの微生物が関わる症状を少しでも発生を抑える、悪化を抑える重要な対策が「除湿」です。


膿皮症


脂漏性アトピー性皮膚炎(治療前、治療後)

また、皮膚に明らかな赤みや湿疹が無くとも、湿度が上がると痒がるワンちゃんがおります。

犬の被毛はそのまま生えている「シングルコート」と、長い毛の下のほうに短い毛(アンダーコート)が密に生えている「ダブルコート」があるんですが、柴犬やレトリバー、パグやコーギーといった、アンダーコートが密な犬種は特に、「蒸れるだけで痒い」ということがあり得ます。

アンダーコートが多いワンちゃんは除湿も必要ですが、ブラッシングが重要で、セーターを着た状態からちょっとでも蒸れないようにしてあげるような感じです。

また、被毛の根元が蒸れると膿皮症などの皮膚病も発生しやすいですし、湿潤しやすい部位はそもそも皮膚炎になりやすいので、湿度が高い日本の環境は、皮膚病に着目すると非常に悪条件です。

皮膚病だけではなく、湿度が高いと身体に熱がこもりやすくなり「熱中症」の危険性も上がります。例年熱中症は6月あたりから発生し、夏本番の前のご家庭によってはまだエアコンを使ってない状況が要因のようです。

4月はまだ熱中症の時期ではないものの、湿度が関連する季節性の皮膚病はすでにご来院し始めておりますので、痒がる様子や皮膚が赤い、耳を振るなどのようなことがあったら「様子を見ずに」お早めに受診下さい。

様子をみて良いことってホントにありませんので・・・。


高知 きたむら動物病院
犬と猫の一般診療・内科・皮膚科・内分泌・理学療法
高知県高知市北川添24-27 088-880-5123
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4月、予防の季節、フィラリア予防とノミマダニ対策について。

2025-04-04 00:28:39 | 獣医療
やっと寒い時期が終わり、今月は狂犬病予防接種とフィラリア予防、ノミマダニ対策などのご要望の時期です。

今回は、当院のフィラリア予防の考え方と、ノミマダニ対策、お薬に関して。
ちょっと長いですが、今回でまとめてますので是非最後までお読みください。

フィラリア予防の期間のお話
いまや動物病院にかかられている飼い主さんには当たり前と言えば当たり前の、現代の獣医療の基本ともいえるフィラリア予防。
もしフィラリア症にかかってしまったら、心臓内の寄生による心臓病としての咳や腹水などの症状、フィラリアに対しての炎症症状による心肺の炎症などが発生します。治療はなかなか手を焼きますし、状態によっては治らず苦しい症状を抱えながら亡くなります。

余談ですが、大昔のフィラリア予防は、予防期間毎日お薬を飲ませていた時代があったと勤務医時代に聞きました。
今は月1回の投薬になったから良い時代になったよ、と当時の院長から聞いたものです。

基本はどの動物病院でも同じだと思いますが、動物病院によって微妙に方法が違ったりしますので、当院の方針を。

まず、予防期間についてですが、現在は気温をもとにした、HDU(Heartworm Development heat Unit)という算出により推定されるフィラリア感染が成立する期間の設定が目安になります。

HDUを用いた近年の犬糸状虫感染期間(2024年データ集計) | SACNAVI|共立製薬 

これによると、2002年から2024年に関して最速と考えられる日が4月26日、最終と考えられる日が11月27日、となります。

フィラリアに感染している犬の血液を吸血した蚊が運んできた「フィラリアの幼虫」を駆虫することがフィラリア予防ですので、蚊が出始めてから開始、出終わってからあとで飲ませて終了、が基本になります。

この設定ですと、4月26日に感染したとして5月中~下旬から予防を開始し、11月27日に感染し終わって12月中~下旬まで月1回投薬で問題ないと考えられます。

ですが、当院は推奨の投薬期間は今のところ4月末から12月末で設定しております。

上記のリンクにもあるとおり、

このように犬糸状虫感染期間は、天候概況、温暖化や異常気象の影響から感染開始日・終了日ともに大きく変動し、過去の動向から正確な感染期間を予測することは困難です。従って、犬糸状虫症予防薬の投薬開始日・終了日は、余裕を持って設定する必要があり、そうすることで、適正な投与・効果的な予防につながるものと考えられます。」

ということで、当院は「安全域」を重視した期間設定をしています。
局所的に蚊の発生が試算上よりも早い、あるいは遅くまで発生することはあり得ます。4月末から12月末の月1回で設定しておけば、仮に3月末に蚊が発生していたり、12月初旬まで蚊がいて、感染している犬からフィラリアを運んできてたとしても大丈夫です。

期間を設定せず、フィラリア予防薬月1回年中投与の方もおられます。

(※もちろん、5月に入ってからご来院されフィラリア予防を希望される方も多くおられますので、その場合はできるだけ早く開始、となります。)

フィラリア予防薬は、駆虫薬(虫下し)ですので、飲ませた後半日も経てば体内にほとんど残りません。また、もし間違いで1度に複数飲んでしまっても問題ない程度の安全な薬です。
月1回が年に8回でも9回でも12回でも、薬に関しては安全性は問題ないと考えられます。

犬のフィラリア予防のお薬
今のことろ、チュアブルタイプ(おやつ)、錠剤タイプ、粉薬タイプのどれかを選択して頂くことがほとんどです。



余談ですが、オールインワンタイプ(フィラリア予防とノミマダニのお薬が全部配合されているお薬)は、他のお薬より高価なため、当院ではオールインワンをご希望の方や、このタイプでないと飲ませられないワンちゃんに向けて処方しております。

どうしても飲み薬が飲めないワンちゃんには、背中に滴下するタイプにすることもあります。



※当院は、フィラリア予防の注射薬は採用しておりません。注射をご希望の方は他院にお問い合わせ下さい。


猫のフィラリア予防のお薬
猫に関してですが、以前に比べ猫のフィラリア予防も飼い主さんに少しづつ認知されてきております。

猫のフィラリア症は検査で検出される確率が犬より低い、心臓が小さいため1匹だけ感染などもあり得る、犬に比べ急死などの可能性が高くなる、といった、「犬よりは可能性は低いけども、もしかかってたらおおごとになる。」という性質のものです。

猫のフィラリア予防に関しては、犬よりも飲み薬が大変な子が多いことと、ノミマダニのスポット剤で対応が可能なことから、専らスポット剤となることが多いです。



今のところ当院では上記の3つの選択肢になりますが、おすすめといいますか、非常に利便性が高いのがブラベクトプラス猫用です。

1回滴下したら3か月有効で、ノミ、マダニ、回虫、鉤虫、フィラリア予防まで可能ですので、自宅でスポット剤をつけるのが難しい猫ちゃんも、3か月に1回滴下しにご来院されています。

なお、条虫症の治療が必要な際は、ネクスガードキャットコンボを使用します。


ノミマダニ対策
ノミマダニ対策に関しては、3月あたりからすでにノミが発生しているワンちゃん猫ちゃんがおられますので、3月から11月あるいは12月までが基本の推奨期間になります。
しかし、野良猫の体表には冬でもノミがいる場合があったり、マダニも冬でも活動する種類がありますので、ノミマダニ対策に関しては、散歩コースや近所に野良猫が多い、野山のフィールドワークが多い、などの飼育環境により年中対策を推奨しています。

猫は先ほど述べたフィラリア予防のスポット剤がノミマダニ対策になりますので、ここ数年は「ブラベクトプラス」を処方することが増えました。

しかし、昔から使用されているフィプロニル製剤いわゆる月1回背中につけるスポット剤もいまだ多くの方に使用されています。
フィプロニル製剤はノミマダニ対策ですのでフィラリア予防は特に希望されない猫の飼い主さんには従来通り処方しておりますが、

やはり毎月つけるのが大変あるいは忘れるという方が多いので、やはり3か月に1回の「ブラベクトプラス」を希望される方が増えてますので、結局はそれでノミマダニとフィラリアまで対策が出来ている、ということが増えました。

犬のノミマダニ対策ですが、当院では従来通りのフィプロニル製剤「フィプロスポット」か、3か月に1回の「ブラベクト錠」、最大4カ月まで有効な「ブラベクトスポット犬用」、月1回の飲ませるお薬「クレデリオ錠」のどれかを選択して頂くことがほとんどです。


このブラベクト錠、ブラベクトスポットが登場してから、非常にノミマダニに関しての問題が減りました。もちろん、ノミマダニが1度は犬の皮膚まで上がってきて触れないと駆虫効果を発揮しないので、付着することまでを防ぐ「忌避効果」はありませんが、ブラベクトを使用してノミが発生したりマダニが吸血するまでに至ることは稀になりました。(マダニが上がってきて皮膚に吸血しようとして薬が効いて死んだマダニがいたというのを見たことはありました。)

ブラベクト錠はポーク風味なので、ポークを好まないビーフ風味のほうが好む子は「クレデリオ錠」で処方することもありますし、飲ませるのもつけるのも大変なワンちゃん(小型犬に多い)は3~4カ月に1回ブラベクトスポットをつけに来られてる方もおります。

ちなみに、最もコストを抑える予防としては、フィラリアは錠剤で4月末から12月末月1回、ノミマダニ対策は月1回のフィプロニル製剤のスポットで3月から11月、といった組み合わせです。この組み合わせで対策されている方も多いです。


フィラリアもノミマダニも、予防をしっかりしてあげることは手間もコストもかかります。

ですが、運悪くフィラリアにかかってしまったら治すのも大変、あるいは治せず苦しい転帰を辿る、ということがあります。
また、フィラリアに感染しているワンちゃんがどこにいるかは全く把握できません。高知市内でも散発的にフィラリア症は発生しており、そのワンちゃんは多くが「症状が出た状態で受診」されています。ということは、すでに数年フィラリアを抱えた状態で生活していた可能性があります。

ノミマダニ予防も、ノミマダニによる皮膚症状などもワンちゃん猫さんのストレスになりますし、ノミマダニが媒介する病気などもありますので、かかってしまって対策のほうが結局はコストもストレスも多くなってしまうと思います。

そのワンちゃん猫さんへのやりやすさ(飲み薬、スポットetc...)、コストなどを勘案し、最適な万全対策をしてあげて、ワンちゃん猫さんにストレスのない生活をさせてあげたいものですね。

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綿棒の話

2025-03-29 21:16:33 | 獣医療
私に限ったことではなく、日々の仕事で頻繁に使用する道具…仕事じゃなくても、「使い勝手」が良いものに自然となっていることが多いと思います。

今回は、耳の処置をする際の「綿棒」。

私は、耳の処置(外耳道洗浄)は日々行う処置だからこそ、非常に気をつけることと、洗浄するのであればどうやって最大の効果が得られるかが治療の肝だと昔から考えています。

開業する以前、私は関東のいくつかの動物病院を転々としていました。決して仕事ができる人材ではなく、どちらかというといわゆるポンコツという扱いでした。

最初の職場は、外耳道洗浄の際、鉗子を使いなさいと言われました。
「モスキート鉗子」

その当時はそれで覚えようとしていました。

短い期間で退職し、次の職場では…

「耳に道具を入れるな。事故が起こる。洗浄液だけ入れて洗浄せよ。」

ということで、そうしていました。

3つめの職場。
獣医師が何人かいましたが、それぞれがめいめい好きな方法でやっていました。

4つめの職場。
この綿棒を使いなさい。ただ、耳垢を奥に押し込んだら取れなくなるから気をつけて、あとは状態を見て処置しなさい。
「ルーツェ式棬綿子」

このような経験があり、動物病院の世界では、前の職場で教わったことが別の職場ではNGということもあることを学びました。

となると。

結論としては、当たり前ですが「耳に合わせて最適を考える」のが一番だろうと思います。

小型犬の細い耳では耳垢溶解液で耳垢を溶かしたあとルーツェ式で除去して洗浄液が良いですし、大型犬の大きく深い耳では耳垢溶解液、洗浄液を入れてジャブジャブ洗えます。奥に残る場合はルーツェ式で除去することもあります。

腫れて出血している耳では刺激性のない洗浄液を用い綿棒入れずに済ませますし、猫だと洗浄液を入れるのを極端に嫌がることが多いので、液を耳に入れずにちょっと浸けただけのルーツェ式やモスキート鉗子のほうが処置しやすいこともあります。

動物の性格や状態によっては、洗浄せずに点耳薬を入れて、飲み薬を開始して腫れや痛みが引いてからじっくり処置、ということもあります。

手数、手段は多いに越したことはないので、ポンコツなりにいろいろな病院を見た結果得られたものもあったとは思います。

その、耳の処置で使いなれてて大事な道具「ルーツェ式」が最近生産終了してしまったということで…慌てて探しました。
開業16年で、折れたりとかで○○本廃棄したので、△△本あればあとXX年は持つかな、といった本数を購入。

いわゆる普通の綿棒は自分の感触では硬いので、耳垢採取には使いますが、洗浄処置では使いにくいんですよね。もちろん使ってる先生も多いと思うので、いわゆる「好み」の範囲です。

ということで、またひとつ、使い慣れた道具が生産終了したので、これからも使うために確保したのと、

これから、もっと使い勝手の良い道具が出てきたら良いな、と淡い期待を持ったのでした。

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好酸球のお話

2025-02-20 19:12:08 | 獣医療
当院は、一般的な診断治療と、当院独特の診断治療とを組み合わせて最善の方法を模索しています。

一般的なことについては、当院でなくとも書かれているWebや先生、書籍はたくさんあると思いますので、当院独特の方法を思い浮かぶままつらつらと記してみようと思います。



これは、とある方法で顕微鏡で観察している「好酸球」という名前の、白血球の1種です。
血液のなかには血球というものがあり、白血球、赤血球、血小板などがありますが、その白血球には、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球といった白血球のなかの種類に分けられます。

当院で行う血液の観察には、「血液塗抹」という染色して顕微鏡で観察する方法、「網状赤血球検査」という、貧血時に若い赤血球がちゃんと出てきているかを観察する方法、「好酸球数算定」という、直接好酸球を顕微鏡で見て数える方法などがあります。

この、「計算板による好酸球数算定」を行っている動物病院はほとんどないかもしれません。

この方法は、「計算板」という道具を使い、好酸球だけ見えるような液と血液を混ぜ合わせ観察します。





好酸球は、アレルギーや寄生虫感染、副腎ホルモンの変動などにより増減します。
好酸球が多ければ、アレルギーや寄生虫、好酸球増多症、副腎ホルモンが少ないかもしれない、などが示唆されますし、好酸球数が少なければ、副腎ホルモンが多いかもしれない、ストレス性で少ないかもしれないといった状況が示唆されます。

これを利用し、アレルギー体質があるかどうかの目星をつけたり、副腎皮質機能亢進症治療中の薬の量が適正かどうかなどの目星をつけたりしています。

好酸球数が多ければ、少なくとも好酸球数が多くなる要因がありますし、低ければ、副腎皮質機能亢進症を抑える治療中であれば、お薬の量が足りないかもしれない、といった判断の目安になります。

一般的には、好酸球数は「百分比」といって、白血球を数えて、その割合で算定しますが、この方法では好酸球数などは正確には計測しづらく、この計算板の算定が最も正確に計測できます。

百分比をもとにした好酸球数では、一般的な犬の基準値は1250まで、猫は1500までとなっていますが、当院独自の集積データでは、計算板による算定で犬は600もあれば多いほうで、1000を超えることはあまりありません。
皮膚炎の症状が出ていて好酸球数が500~600もあったら十分体質があると判断しています。
ちなみに、好酸球が上がっていたらアレルギー体質がある可能性は十分考えられますが、好酸球が上がってないからアレルギー体質ではない、ということではないのが身体の奥深いところです。

猫は独特の体質があり、好酸球数が上昇しやすい子がおります。
計算板の実数計測で4000~5000といったこともさほど珍しいことではなく、「好酸球性皮膚炎」「好酸球性潰瘍」「粟粒性皮膚炎」などどいった猫の体質的な皮膚病や、「喘息」などでは好酸球だけで15000を超えていたこともあります。
このような体質では厳格な症状管理が必要なため、定期的に好酸球を計測することは非常に有用です。

この方法は、研修させていただいた神奈川県藤沢市の大師匠「故 米倉忠夫先生」が日常行っていた方法で、3年間勤務していた神奈川県横須賀市「ながのペット病院」でも行っていました。

血液を染色して顕微鏡で計測するのは手間がかかる方法ではありますが、これにより得られる情報は非常に価値があるため、当院は必要に応じて適宜行っています。

これは本当に当院独自のことなのであまり話もしたこともないのですが、16年経っても相変わらず計測しているので、おそらく自分が獣医辞めるか顕微鏡が見えなくなるかまでは続けると思います。

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原点

2025-01-29 00:39:59 | 獣医療
今年はやる気が続けばいろいろと書いていこうかなと思っております。

開業して16年経過し、ずっと変わらないところと、時間とともに変化してきたところとあります。
結果的にですが、これまでずっと変わらないところに当院なりの信念が存在するように思います。

この仕事を目指した原点となる出来事があります。

私が小学5年生のときの話です。

当時お世話になっていた動物病院に、我が家の猫が入院していました。
入院前からかなり具合が悪いことはわかっていましたが、入院後もどんどん容態は悪化しました。約40年前の話なので正確ではないかもしれませんが、全身にぼこぼこと腫瘍ができていたので今思えばリンパ腫か何かだったのかもしれません。

ある日母親と面会に行き、もう意識が混濁した状況で、先生と母親が話した後、母が私に

「どうするで?あんた決めや。」

と、治療を断念して連れて帰るかどうかの決断を聞いてきました。

まだ小学生でしたので、入院すれば回復するものだと思っていたので、呼吸はしているものの意識が無い状態を見て、当時の私には重すぎる決断をしました。

連れて帰りました。その後すぐに亡くなりました。

当時は当時なりの時代背景がありました。

いわゆるインフォームドコンセントの前の時代で、ヒトの医療でも厳しい現実を告知しないということも普通にあり、たとえば癌患者本人には告知しないということもおかしいことではありませんでした。

お世話になった病院さんは手を尽くして頂いたことは感じてましたし、その当時も今も変わらず感謝しております。私達家族に現実を伝えることが可哀想と思って頂いていたようにも感じました。当時の時代背景から見ても、できることをして頂いたと思います。

当時小学生の自分が感じた正直な気持ちが私の仕事の原点です。

「連れて帰るならもうちょっとだけ早く連れて帰りたかったな。」

意識が混濁する前の状態も見ていたので、連れて帰るなら、撫でて鳴き声が聞きたかったな、と。

その時の感じたことは約40年経っても変わらず私の心に宿っています。
私の仕事の根本である、「治療方針作成は最短ルートで行う」ことにつながります。

できるだけ早く治療方針を作成して、どうするかを話し合う、希望や要望があればお聞きする、できることできないことを伝える、できることは最大限やるといった、状況改善のために必要なことを優先順位をつけながら迅速に考えることを重視しています。

そのための話し合いができない、話が嚙み合わない人は断ることもあるくらい、徹底しています。

また、当院はできるだけ入院させない方針を取っています。
通院でできることは最大限通院で。
念のための入院はありません。
私が入院治療じゃないとどうしても無理と判断した場合のみ、入院治療を推奨します。
具体的には24時間入院点滴が必要な、「急性膵炎」や「急性腎不全」「糖尿病性ケトアシドーシス」等の場合が多いです。他にもありますが割愛します。

もちろん、こういった治療内容に関しては病院によって考え方や方針が違いますので、その病院、その獣医師によっての判断があり、他の病院のご判断を否定するものではありません。

私はそうしている、というだけです。


私は大したことはできませんが、生まれた子犬子猫から見送る間際の老犬老猫まで方針は一貫していて、

「生まれてから亡くなるまでひたすらQOL(Quality of Life )改善」

しか考えてないということです。

難しい手術や、難しい病気を完治を目指して戦う、あるいは昼夜問わず対応する、といったことは獣医1人とスタッフ数人では現実的ではありませんが、

飼い主さんと犬さん猫さんのQOLを考え、お付き合いしないといけない犬猫の病気があれば最大限上手に付き合う、といったことであれば当院でもできることですし、また16年経過した現在そういった仕事はできているのでは、と感じています。

うまくいかないこともいろいろありますが、うまくいかないことも含め全部お伝えし、どうやって上手にお付き合いするか、どうやってできるだけハッピーエンドを目指すか、といったことを考える仕事をするようになるきっかけになった原点が、小学5年のその日だったことは間違いないでしょう。

もう50が見えてきてますが、少年の心を忘れない・・・といえば聞こえはいいですが、単にまるで成長していない中年男性・・・というわけではないと信じたいところです。

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