やっと寒い時期が終わり、今月は狂犬病予防接種とフィラリア予防、ノミマダニ対策などのご要望の時期です。
今回は、当院のフィラリア予防の考え方と、ノミマダニ対策、お薬に関して。
ちょっと長いですが、今回でまとめてますので是非最後までお読みください。
今回は、当院のフィラリア予防の考え方と、ノミマダニ対策、お薬に関して。
ちょっと長いですが、今回でまとめてますので是非最後までお読みください。
フィラリア予防の期間のお話
いまや動物病院にかかられている飼い主さんには当たり前と言えば当たり前の、現代の獣医療の基本ともいえるフィラリア予防。
もしフィラリア症にかかってしまったら、心臓内の寄生による心臓病としての咳や腹水などの症状、フィラリアに対しての炎症症状による心肺の炎症などが発生します。治療はなかなか手を焼きますし、状態によっては治らず苦しい症状を抱えながら亡くなります。
余談ですが、大昔のフィラリア予防は、予防期間毎日お薬を飲ませていた時代があったと勤務医時代に聞きました。
今は月1回の投薬になったから良い時代になったよ、と当時の院長から聞いたものです。
基本はどの動物病院でも同じだと思いますが、動物病院によって微妙に方法が違ったりしますので、当院の方針を。
まず、予防期間についてですが、現在は気温をもとにした、HDU(Heartworm Development heat Unit)という算出により推定されるフィラリア感染が成立する期間の設定が目安になります。
HDUを用いた近年の犬糸状虫感染期間(2024年データ集計) | SACNAVI|共立製薬
これによると、2002年から2024年に関して最速と考えられる日が4月26日、最終と考えられる日が11月27日、となります。
フィラリアに感染している犬の血液を吸血した蚊が運んできた「フィラリアの幼虫」を駆虫することがフィラリア予防ですので、蚊が出始めてから開始、出終わってからあとで飲ませて終了、が基本になります。
この設定ですと、4月26日に感染したとして5月中~下旬から予防を開始し、11月27日に感染し終わって12月中~下旬まで月1回投薬で問題ないと考えられます。
ですが、当院は推奨の投薬期間は今のところ4月末から12月末で設定しております。
上記のリンクにもあるとおり、
「このように犬糸状虫感染期間は、天候概況、温暖化や異常気象の影響から感染開始日・終了日ともに大きく変動し、過去の動向から正確な感染期間を予測することは困難です。従って、犬糸状虫症予防薬の投薬開始日・終了日は、余裕を持って設定する必要があり、そうすることで、適正な投与・効果的な予防につながるものと考えられます。」
ということで、当院は「安全域」を重視した期間設定をしています。
局所的に蚊の発生が試算上よりも早い、あるいは遅くまで発生することはあり得ます。4月末から12月末の月1回で設定しておけば、仮に3月末に蚊が発生していたり、12月初旬まで蚊がいて、感染している犬からフィラリアを運んできてたとしても大丈夫です。
期間を設定せず、フィラリア予防薬月1回年中投与の方もおられます。
(※もちろん、5月に入ってからご来院されフィラリア予防を希望される方も多くおられますので、その場合はできるだけ早く開始、となります。)
フィラリア予防薬は、駆虫薬(虫下し)ですので、飲ませた後半日も経てば体内にほとんど残りません。また、もし間違いで1度に複数飲んでしまっても問題ない程度の安全な薬です。
月1回が年に8回でも9回でも12回でも、薬に関しては安全性は問題ないと考えられます。
犬のフィラリア予防のお薬
今のことろ、チュアブルタイプ(おやつ)、錠剤タイプ、粉薬タイプのどれかを選択して頂くことがほとんどです。


余談ですが、オールインワンタイプ(フィラリア予防とノミマダニのお薬が全部配合されているお薬)は、他のお薬より高価なため、当院ではオールインワンをご希望の方や、このタイプでないと飲ませられないワンちゃんに向けて処方しております。
どうしても飲み薬が飲めないワンちゃんには、背中に滴下するタイプにすることもあります。

※当院は、フィラリア予防の注射薬は採用しておりません。注射をご希望の方は他院にお問い合わせ下さい。
猫のフィラリア予防のお薬
猫に関してですが、以前に比べ猫のフィラリア予防も飼い主さんに少しづつ認知されてきております。
猫のフィラリア症は検査で検出される確率が犬より低い、心臓が小さいため1匹だけ感染などもあり得る、犬に比べ急死などの可能性が高くなる、といった、「犬よりは可能性は低いけども、もしかかってたらおおごとになる。」という性質のものです。
猫のフィラリア予防に関しては、犬よりも飲み薬が大変な子が多いことと、ノミマダニのスポット剤で対応が可能なことから、専らスポット剤となることが多いです。

今のところ当院では上記の3つの選択肢になりますが、おすすめといいますか、非常に利便性が高いのが「ブラベクトプラス猫用」です。
1回滴下したら3か月有効で、ノミ、マダニ、回虫、鉤虫、フィラリア予防まで可能ですので、自宅でスポット剤をつけるのが難しい猫ちゃんも、3か月に1回滴下しにご来院されています。
なお、条虫症の治療が必要な際は、ネクスガードキャットコンボを使用します。
ノミマダニ対策
ノミマダニ対策に関しては、3月あたりからすでにノミが発生しているワンちゃん猫ちゃんがおられますので、3月から11月あるいは12月までが基本の推奨期間になります。
しかし、野良猫の体表には冬でもノミがいる場合があったり、マダニも冬でも活動する種類がありますので、ノミマダニ対策に関しては、散歩コースや近所に野良猫が多い、野山のフィールドワークが多い、などの飼育環境により年中対策を推奨しています。
猫は先ほど述べたフィラリア予防のスポット剤がノミマダニ対策になりますので、ここ数年は「ブラベクトプラス」を処方することが増えました。
しかし、昔から使用されているフィプロニル製剤いわゆる月1回背中につけるスポット剤もいまだ多くの方に使用されています。
フィプロニル製剤はノミマダニ対策ですのでフィラリア予防は特に希望されない猫の飼い主さんには従来通り処方しておりますが、
やはり毎月つけるのが大変あるいは忘れるという方が多いので、やはり3か月に1回の「ブラベクトプラス」を希望される方が増えてますので、結局はそれでノミマダニとフィラリアまで対策が出来ている、ということが増えました。
犬のノミマダニ対策ですが、当院では従来通りのフィプロニル製剤「フィプロスポット」か、3か月に1回の「ブラベクト錠」、最大4カ月まで有効な「ブラベクトスポット犬用」、月1回の飲ませるお薬「クレデリオ錠」のどれかを選択して頂くことがほとんどです。

このブラベクト錠、ブラベクトスポットが登場してから、非常にノミマダニに関しての問題が減りました。もちろん、ノミマダニが1度は犬の皮膚まで上がってきて触れないと駆虫効果を発揮しないので、付着することまでを防ぐ「忌避効果」はありませんが、ブラベクトを使用してノミが発生したりマダニが吸血するまでに至ることは稀になりました。(マダニが上がってきて皮膚に吸血しようとして薬が効いて死んだマダニがいたというのを見たことはありました。)
ブラベクト錠はポーク風味なので、ポークを好まないビーフ風味のほうが好む子は「クレデリオ錠」で処方することもありますし、飲ませるのもつけるのも大変なワンちゃん(小型犬に多い)は3~4カ月に1回ブラベクトスポットをつけに来られてる方もおります。
ちなみに、最もコストを抑える予防としては、フィラリアは錠剤で4月末から12月末月1回、ノミマダニ対策は月1回のフィプロニル製剤のスポットで3月から11月、といった組み合わせです。この組み合わせで対策されている方も多いです。
ブラベクト錠はポーク風味なので、ポークを好まないビーフ風味のほうが好む子は「クレデリオ錠」で処方することもありますし、飲ませるのもつけるのも大変なワンちゃん(小型犬に多い)は3~4カ月に1回ブラベクトスポットをつけに来られてる方もおります。
ちなみに、最もコストを抑える予防としては、フィラリアは錠剤で4月末から12月末月1回、ノミマダニ対策は月1回のフィプロニル製剤のスポットで3月から11月、といった組み合わせです。この組み合わせで対策されている方も多いです。
フィラリアもノミマダニも、予防をしっかりしてあげることは手間もコストもかかります。
ですが、運悪くフィラリアにかかってしまったら治すのも大変、あるいは治せず苦しい転帰を辿る、ということがあります。
また、フィラリアに感染しているワンちゃんがどこにいるかは全く把握できません。高知市内でも散発的にフィラリア症は発生しており、そのワンちゃんは多くが「症状が出た状態で受診」されています。ということは、すでに数年フィラリアを抱えた状態で生活していた可能性があります。
ノミマダニ予防も、ノミマダニによる皮膚症状などもワンちゃん猫さんのストレスになりますし、ノミマダニが媒介する病気などもありますので、かかってしまって対策のほうが結局はコストもストレスも多くなってしまうと思います。
ノミマダニ予防も、ノミマダニによる皮膚症状などもワンちゃん猫さんのストレスになりますし、ノミマダニが媒介する病気などもありますので、かかってしまって対策のほうが結局はコストもストレスも多くなってしまうと思います。
そのワンちゃん猫さんへのやりやすさ(飲み薬、スポットetc...)、コストなどを勘案し、最適な万全対策をしてあげて、ワンちゃん猫さんにストレスのない生活をさせてあげたいものですね。
高知 きたむら動物病院
犬と猫の一般診療・内科・皮膚科・内分泌・理学療法
高知県高知市北川添24-27 088-880-5123
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