三嶺 2日目

2008年12月16日 | 登山

 5時に目覚めた。熟睡できた、ようだ。昨夜冷たかった足先は眠りに落ちる直前には暖かくなっていた。人間の体は上手く出来ている。大脳から指令を出さなくても血液を流して体を温めようとする。朝目覚めた時、元の冷たい足に戻っていたのは体のエネルギーを無駄遣いしない仕組みになっているためだろうか。小憎らしい体の本能である。もし意識的に腹部の脂肪を燃やして熱に変えることができるならば、寒冷地で眠れば減量できるのにと思った。

 日の出時刻を気にしながらうたた寝を繰り返した。6時半、シュラフにくるまったまま起き上がり壁にもたれて座った。窓越しに山頂を眺めていたら少しずつ薄光が差し始めた。昨夜からの風は弱くなっていたが寒そうだった。外に出れば素晴らしい景色が待っているとわかっていても前向きになれなかった。のろのろと服を着て登山靴を履いた。ダウンジャケットの風防を被り山頂へ向かって歩いた。

 太陽は石立山の左から登った。残念ながら空は焼けなかった。山肌も赤くならなかった。モルゲンロートに必要な条件とは何だろうか。もし、“日頃の行い”だとしたら何度冬山に来ても見られないと思った。

 西方向には雪を被った西熊山から天狗塚に続く稜線。天狗塚の南には綱附森。北は黒笠山から東膳棚、矢筈山と続き、落合峠を挟んで寒峰に至る峰々。東には昨夜泊まった小屋の向こうに剣山と次郎笈が黒く見えた。朝の光を浴びて、今日一日の始まりを体の細胞レベルで感じ取ることができた。できたような気がした。寒かったが外に出て良かった。

 山頂で30分ほど滞在してから小屋に戻った。起きた時から気付いていたがポリ容器の水がシャベットになっていた。一応、水の凍結が気がかりだったので、夜中に目覚めるたびにポリ容器を転がしていた。何もしていなかったらカチンコチンになっていたかもしれない。湯を沸かしてパンとコーヒーだけの朝食を採った。

 三嶺小屋には今年2回目の泊まりである。無銭泊は何かしら申し訳ない。かと言って、箒掃除以外に出来ることが見当たらない。高知県に税金を払ってもいないし、小屋修繕目的の募金箱があれば遠慮なく泊まれると思った。

 昨夜、ザックの中の荷物を全部床の上に拡げていた。ひとつずつ確認しながらザックに戻した。それから箒で掃除し8時に小屋をあとにした。まずは小屋裏の高台に立った。昨日も確認したが、名頃から塔丸に登るルートをもう一度瞼に焼き付けた。いつしか塔丸~剣山~三嶺を周回したいと思う。

 本日2回目の三嶺山頂に着いた。昨日から数えると4回目だ。当分三嶺には来なくていいかと言うとそうでもない。また来たいと思う。別れを惜しみつつ1806m峰を目指した。昨日歩いた足跡は風で消し飛んでいた。1806mへの分岐道も雪で隠れていた。コメツツジを踏まないように用心して進んだ。

 2年ぶりの北西尾根ルートを下った。ふるさと林道を1時間10分歩き12時にいやしの温泉郷に着いた。天気は崩れかけていた。















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