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冬のソナタに恋をして

ヨングクとチンスクの思い出 高校生番外編③



ヨングクとチンスクは、チュンサンの記憶が戻ったと聞いて、不思議な気分がしていた。チュンサンと過ごしていたのはほんのちょっとの間だったが、彼はまるで嵐のように強烈な存在だったのだ。
ヨングクにとって、チュンサンは自分とは真逆の存在だった。端正な顔立ちと、筋肉質なスタイル、成績優秀で影のある不良っぽい性格、自分とは真逆すぎて、嫉妬もしなければ、羨ましいとも思わない存在だった。ヨングクは元の性格が単純かつ善良で、まっとうな両親に愛情深く、でも大雑把に育てられたので、卑屈なところが全くない少年だったのだ。だから、ヨングクはチュンサンを転校生として素直に受け入れることが出来た。一方でチンスクにとって、チュンサンは都会から来た得体の知れない男子生徒だった。ユジンの話ではタバコは好むし、遅刻もサボりも平気、不良だから近づかないのが一番、と思っていた。何よりチンスクにとってはヨングクが一番かっこよく見えていた。一度それをチェリンたちに言ったら、鼻で笑われてしまったけれども、チンスクは心の中ではヨングクが一番だった。チンスクもまた、ヨングクに負けず劣らずシンプルかつ善良なタイプで、人を疑わない『純粋』を絵に描いたような女の子だったのだ。

ある日の昼休みに、チンスクが学校のベンチに座っていると、ヨングクがやってきて、チンスクの膝に寝転んだ。チンスクはびっくりして悲鳴を上げてしまった。するとヨングクは、大発見というように、占い🔮結果を話し出した。ヨングクは占いが好きで、それが結構当たるのだ。
「カンジュンサンはみずのとの生まれだろ。で、チョンユジンはつちのえの生まれなんだ。だから、一見相性が悪いようで、実は惹かれあうことになるんだよ、、、これはサンヒョクに言わないと!」
ヨングクはブツブツと言っている。チンスクはよく分からなかったが、ヨングクいわく、みずのとの人は内向的であまり意欲的ではないけれど、得意なことで信じられない才能を見せるらしく、反対につちのえは、明るくて社交的だが、内面はナイーブで意外に決断に迷うそうで。当たらずも遠からずかなぁとチンスクは思っていた。ヨングクは、昔からの親友のサンヒョクとユジンがくっつけば良いと思ってるけど、チンスクはサンヒョクはユジンに夢中だけど、ユジンは友達としか思っていないと感じていた。すると、ヨングクは「あのな、友達が恋人になって、恋人が奥さんになるもんなんだよ。」と言った。チンスクは、もしかしたらわたしも友達からいつかはヨングクの恋人になるのかなぁと少しワクワクするのだった。

その日の午後の音楽の授業はピアノのノクターンのテストだった。チンスクのうちにはピアノがないし、第一両方の手を別々に動かすなんて、もっとも苦手なことだった。チンスクは案の定失敗してしまい、この世の終わりのように落ち込んでいた。昼休みにヨングクに
「両手両足合わせて20本だから20点だろうな。」と大笑いされたのが本当になってしまった。すると、チンスクの後にチュンサンが指名された。ところがチュンサンはピアノの前に座ったきり、まるで弾く気がない様子なのだった。先生はチュンサンに再テストを言い渡したが、チュンサンは全く動じる様子はなかった。そんなチュンサンを心配して、ユジンが「先生、チュンサンは転校生だからノクターンは弾けないんです。」と口添えしていた。おかげでチンスクと彼だけが再テストになってしまった。チンスクは、チュンサンはやっぱりふてぶてしいし、ヨングクの占い通り意欲がないタイプだわ、と思っていた。そして、ユジンはチュンサンの世話ばかり焼いている。

その次の日の午後だった。ユジンとチュンサンは自習をサボって消えてしまったのだ。教室中が大騒ぎになって、みんな口々に2人は付き合っているに違いないと囃し立てていたけれど、チンスクはそうではないと思っていた。きっとチュンサンに脅されてユジンが無理矢理授業をサボらされたのだと信じていた。チンスクはユジンと一緒にトイレに行ったときに、思い切って聞いてみた。
「ねぇ、ユジン。本当はチュンサンに脅されてサボったんでしょう?わたし、クラスのみんなに話してあげるから。」
するとユジンは笑い出した。
「チュンサンは全然怖くないわ。」
そこに突然チェリンとその取り巻き女子たちがやってきた。

「ちょっと、チョンユジン!あんたカンジュンサンはわたしのものだって言ったでしょう!」
すると、ユジンもしっかりとチェリンを見つめて言った。しかも、勢いをつけて髪の毛を跳ねさせたせいで、ユジンの髪の毛が後ろでチェリンを睨みつけていたチンスクの目に当たってしまった。痛い、、、。
「だから、何よ?」
「何ですって?分かってるのに尻尾を振るなんて。あんた、友達のフリしてチュンサンを誘惑したわね。ブサイクな女の典型的なやり方じゃない。」
「尻尾?なんでも知ってるあんたはいくつ尻尾があるのよ?」


そう言うと、ユジンはチェリンのスカートを思いっきりめくり上げて笑いながら逃げたした。チンスクも慌てて一緒に逃げたのだった。あのとき、後ろでチェリンが「ちょっと!チョンユジン!」と叫んでいた声を覚えている。あの頃のユジンは、チェリンと渡り合えるほど勝気だったし、底抜けに明るかった。しかし、チュンサンが死んだ後、ユジンは暗くなり、少し遠くなってしまったのだ。
結局、チュンサンは死んでいないことが分かった今、これからサンヒョクとユジン、そしてチュンサンはどうなって行くのだろうか。再び現れたチュンサンが、これからどんなに大きな嵐を巻き起こすのか、チンスクは不安で仕方なかった。わたしたちは、あの嵐の数ヶ月で多かれ少なかれ、傷を負ってしまったのだから。

そして、チンスクは一緒に飲んでいるヨングクの横顔をそっと見つめた。ヨングクとは高校生の時からもう10年も一緒にいる。わたしたちもいつかは友達から家族になれるのだろうか。すると、ヨングクがおどけたように言った。
「おっ、チンスク!さてはこのイケメンヨングクさまに惚れたな?お前には100年早いぞ。」
チンスクはYESというかわりにチャミスルをグイッと飲み干してみせた。こうして2人の賑やかな夜はふけてゆくのだった。

コメント一覧

kirakira0611
@breezemaster さま、こんばんは。
そうなんです。わたしはyoutubeのlucky star02さんの完全版をもとに書いてます。冬のソナタで検索しても出てこないyoutuberさんです。よかったら観て観てください。忘れてた場面が沢山あります。平凡でほのぼのした二人が良い味を出してくれてます。
最近くらい場面ばかりなんで、明るい場面も入れてみました。
ありがとうございました。
おやすみなさいませ。
breezemaster
おはようございます^^
ヨングクとチンスク、主役では勿論無いんですが、節々で、
ドラマを盛り上げてくれていますよね。
ある日の昼休みに、ヨングクがやってきて、チンスクの膝に寝転んだ。ヨングクは、大発見というように、占い🔮結果を話し出した。
こんなシーンが有ったんですね^^;、
そして、二人の育ち方、言われるとまさに純粋で真面目な二人なのが、
読みながら、あらためて認識できました。
そして、波乱万丈なユジン、チュンサンと違い、
二人は、ほのぼのと愛を育んでいくんですよね。

チェリンとその取り巻き女子たち、
これも、ドラマでありがちなシーン、そして、女子高生の明るくて奔放なユジン、
会話はさておき、何か微笑ましさを感じさせていただきました^^
kirakira0611
@samsamhappy さま、えーっそうなんですね。ヨン様ファンだったんですね。それはそれは、、、失礼してしまいました。申し訳ないです。4月の雪は多分そんなに冬のソナタから時間がたってないから、ごく短い間でしょうか。まだ、写真集は持ってますか?かなりモムチャンなヨン様ですよね❤️
ちなみにわたしは冬のソナタから先は観てないです。皆さまの話を聞いたら観るのはやめよう、、、。でも母のうちにはヨン様マグがあるほどファンだったので、当時パパ、初恋、ホテリアーは観ましたね。当時の韓国ドラマは有名なのは観ましたね。でも、忘れちゃった。キムサムスンでよく観てたダニエルヘニーにアメリカドラマで会うようになってビックリ‼️
正直、昨今の韓国ドラマの進撃と日本の衰退は悲しいです。エミー賞はすごい!
第二の青春に敬意を表してステキなヨン様を書きますね。
ちなみに、四季シリーズはこれからも観ないでしょう。イメージはこれだけで得たものに固定して、冬のソナタだけにフォーカスして書ききりたいです。雑念が入りそうで。
では今日も良い一日をお過ごしください。晴れますように!
samsamhappy
バイプレイヤーだから仕方がないけど
この2人のスピンオフ的なものや
特別編があっても良さそうですよね。
忘れてた高校時代の記憶が蘇ってきましたよ。ありがとうございます😊
あれだけ人気のドラマなら
日本ならきっとあったはず。
ほんと中途半端な作品(笑)

私もヨン様の四月の雪までの作品は
若い頃のドラマも観てますが
大王四神記だけは先に進めませんでした😅
写真集も懸賞で当たり、ファンクラブにも入ってましたし、グッズも持ってます。今となっては懐かしい思い出です。第二の青春だったかな(笑)
kirakira0611
@hananoana1005 さま、そうなんですね!
ちなみにヨン様ファンですか?
わたしは未視聴なので、いつか観たいです。
この前ヨン様下げ発言してすみません💦
おやすみなさい💤
hananoana1005
キラキラ✨さん~再びです。
ペヨンジュンとソンイエジン主演の映画「四月の雪」を観ました。
その中でリュスンスは友情出演していました。

返信コメント不要です(^_-)-☆
おやすみなさい(-_-)zzz
kirakira0611
@hananoana1005 さま、ありがとうございます😊
平凡な幸せというのは実に高い希望なのですが、実は平凡な人にこそ、幸せは訪れるのだと感じる二人です。チンスク、ヨングク、キム次長、チョンアさんは無くてはならないキャラですね!

ちなみにヨングク役のリュスンスさんはヨン様と仲良しだったそうで、ドラマでは絡みがなかったですが、エピソードはいろいろありそうです。気が合いそうな二人です。
また、隙間エピを書きたいです。
今日もありがとうございました😊
おやすみなさいませ。
kirakira0611
@81sasayuri1018 さま、こんばんは♪
そうなんです。この二人の関係もまた良いですよね。まさに友達から恋人へ、夫婦にという平凡だけど、穏やかでしあわせな家庭を築ける二人ですね。ある意味一番幸せな登場人物かもしれないです。

20話まで終わったんですね。なんとも尻切れとんぼな終わり方で、イマイチだなとわたしも思います。上手に終われるといいです。

あはは🤣確かにおっしゃるとおり繰り返しばかりで、文字にするとウンザリしてきます。
最後だから
もう会わないから
お願い
何回もありますね(笑)
ではまた。
おやすみなさい😴
hananoana1005
こんばんは🌜
更新有難うございます🌸

ヨングクとチンスク、この二人を見ていると安心しますよね~
二人は善人で人畜無害というか、とても温かくて傍にいると誰もが心地よくなり、リラックスさせてくれる不思議な魅力を感じます。

ヨングクはチュンサンに関心がなかっただろうけれども、もし、彼が自ら関わって来たならば拒まないだろうとも思えますよね~
二人は、このドラマになくてはならない箸休め的存在ですね❣
キラキラ✨さん~二人をクローズアップして頂きありがとうございます。
81sasayuri1018
こんばんは。

この二人いい関係でしたね~
チンスクの膝に寝転んだところ、ああ、ヨングクはチンスクに安心感を抱いているなと思ったんです。

私はお先に最後20話まで観てしまいました。
でも、あの場面で終わるのは何とも・・・ですので、
キラキラさんの終わり方も期待してます。

このドラマ、繰り返しが多いですね~
ヨングクの予言。トランプの予言。パズルはめでの再会(最終回もでしたね)。
「最後のお願いがあるんだけれど聞いてくれる?」の繰り返しフレーズ。
ではではまた。ご無理なさらずにね! ありがとう♡
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