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冬のソナタに恋をして

発覚①




サンヒョクとユジンはユジンの実家を辞去して、ドライブを楽しんでいた。ユジンはすっかり気分を害しており、無表情のままぼんやりと外を眺めていた。サンヒョクは墓前に結婚の報告をしたことと、ユジンの母親に結婚資金を渡せたことですっかり気分がよくなって、にこにこして話していた。ユジンが無口になってしまったことはあまり気にしていなかった。

「ユジン、怒った?ユジンてば、本当に怒ったの?」

ユジンは仕方なく話し始めた。

「いいえ、ただ、、、」

「ただ?なんだよ」

「あなたは温かくて優しい人なのに、別人に見えることがあるの。なんでも相談もなく一人で決めてしまって、時々私はどうしたらよいかわからなくなるの、、、。


しかし、ユジンの気持ちはサンヒョクには届かないようだった。サンヒョクは何でもないというように笑った。

「大丈夫。僕を信じてついてくればいいんだよ。」

ユジンは何を言っても通じないと諦めて、あきれたように笑うしかなかった。

「やあ、今日は気分がいいなあ。ユジン、久しぶりにドライブしようよ。ユジン地図を出して。」

サンヒョクはさらにご機嫌になって鼻歌でも歌い出しそうな顔つきをしていた。ユジンはダッシュボードの中をガサゴソと探した。すると地図や書類の間に、カンミヒのピアノコンサートのパンフレットが無造作に入っていた。ユジンはドキッとして手に取って固まってしまった。



「ああ、それか。この前仕事で行ったんだよ。10年ぶりに凱旋帰国したらしい。」

「ピアニストなのね」

ユジンはパンフレットをまじまじと見つめながら思わずつぶやいた。

「何が?知り合い?」

サンヒョクが不思議そうに言った。

「ああ、イミニョンさんのお母さんなのよ、、、。」

ユジンは仕方なしに話した。

するとサンヒョクの顔色が見る見るうちに変わっていった。サンヒョクは慌てた様子で車を路肩に止めた。あまりの急ブレーキにユジンは何事かとびっくりしてしまい、運転するサンヒョクの顔を覗き込む。



「サンヒョク?!」

「今なんて?イミニョンさんのお母さんがカンミヒだって?彼女は母親なのか?」

「うん、、、」

「本当なのか?」

サンヒョクの顔は怖いくらい真剣だ。

「、、、前に会ったの。」

ユジンはためらいながら言った。偶然とは言えミニョンの親に会ったと聞いて、いきさつを知らないサンヒョクがまた嫉妬するのを恐れたのだ。彼は怒ってショックを受けているのだろうか。しかし、サンヒョクは別の意味で衝撃を受けており、ユジンの懸念には気づかなかった。彼女の言葉を聞いて、それならユジンの勘違いではないのだとサンヒョクは悟り、動けなくなった。頭の中で父親の声が響いた。



『10年前にカンジュンサンという子が、私を訪ねてきたんだ。その子が君の息子かもしれないと思ったんだ』

すべてのパズルがカチッとはまった音がした。カンミヒの息子かもしれないカンジュンサンが父を訪ねてきた。そして、カンミヒの息子であるイミニョン、、、。答えは一つしかない。サンヒョクは今すぐそれが事実かを確認しなければと思った。しかし、ユジンにはそのことを知られてはいけない。絶対に。絶対に。

「ユジン、そういえば今から中学の同級生に会いに行くんだった。ちょっと行ってくるね。」



サンヒョクはそういうと、猛スピードで車をUターンさせた。ユジンを家の近くでおろして、うちで待っているように、と告げて行ってしまった。ユジンはサンヒョクの慌てぶりに呆然としながら、彼を見送るしかなかった。最近のサンヒョクは思い付いては一人で暴走している。何も聞かずに放っておいたほうが良いだろうと考えていた。自分の事も怒ってないようだし、嫉妬にかられているようでもないので、ほっとしていた。ぼんやりしていると、南怡島に向かうバスが走ってくるのが見えた。ユジンは家に帰らずに、バスに乗ってブラリと散歩を楽しむことにした。

コメント一覧

kirakira0611
@81sasayuri1018 さま、ありがとうございます😊
あの時と言わず、いつもサンヒョクはユジンの方ばかり見ていて、命がいくつあっても足りない運転ですが(笑)このときは特に怖いですね。
ショック‼️というお顔で良い仕事をされてますね。
ミヒはミヒは本当に罪深い人ですね。
せめてミニョンには本当のことを言ってあげて欲しかったです。
ではおやすみなさい。
81sasayuri1018
こんばんは。

>サンヒョクの顔色が見る見るうちに変わっていった。

あの時の運転怖かったです。
でもサンヒョクの中で一気につながったんですよね・・・

しかし、ミヒったら・・・
あのミヒの嘘部分を無くしてドラマを作った方がむしろ良かったかなって思うほどでした・・・
二人が可哀そうすぎて・・・
kirakira0611
@samsamhappy さま、ありがとうございます😊
そうでした。この話はパズルに始まり、パズルで終わりましたね。
そしてパズルのピースがひとつずつ埋まるんですね。
なるほど。
気づかせてくれてありがとうございます😊
嬉しいです。
kirakira0611
@breezemaster さま、カバーのスクショってサンヒョクの😱が〜んて感じを表現してますね。パク・ヨンハさん、すごい。
これから怒涛の展開です。
ありがとうございました😊
samsamhappy
パズルと言えば…ミニョンの引越し作業中拾った🧩。ミニョンとの初対面の日理事室の壁のパズル🧩を埋めたシーン。監督はこれからひとつひとつ埋まっていくパズル🧩の伏線としてこのシーンを入れたのかな⁈相変わらずの自己中サンヒョク。このまま結婚したら…と思うと地獄ですね😅
breezemaster
前回に引き続き、開いていたパズルの隙間が
徐々に埋まっていく展開、
パズルって進みだすと一気に完成するんですよね

カバーの写真が変わりましたね。
そんなサンヒョクの態度の大きな変化を
感じさせてくれています。
ドキドキしながら、知っている展開ですが、
楽しませていただいています^^
kirakira0611
@usagimini さま、いつもありがとうございます😊
みなさんDVっておっしゃるので、本当にそうなんだなあとしみじみ思うのです。ドラマで観てると流してたので、新鮮ですね。
確かに優しくなったり急に怒ったりDVですね。

わたしもユジンの襟首が気になってました。寒そうだし、鎖骨が浮いていて寒そうすぎて。細いなぁと心配になりました。
ユジンはずっと薄着ですね。わりといつもペラペラで痛々しく見えるようにしてるのかと思ってました。
ありがとうございました😊
usagimini
こんばんは。ユジンが「サンヒョクが別人に見える。」って、
そういう二面性は、DVの特徴ですよね。 婚約式が台無しになったことの代わり? にしても、ユジン母にお金を渡すって、どうなんでしょうね。 
そんなことを思いながら、実は、私が一番気になったところは、ユジンが薄着なことでした。韓国は寒いのに、すごく襟ぐりがひろいセーター?をペラっと一枚だけなんて、寒そうぅぅ…と、観ていました。(笑)
kirakira0611
けいこさま、ありがとうございます😊
いつも楽しくブログを拝見してます。
とっても嬉しいお言葉、励みになります❤️
これから怒涛の展開なんで、頑張りますね。
ありがとうございました‼️
kirakira0611
@charlotte622 さま、ありがとうございます😊
サンヒョク、、、どんどん株を下げてますね。
みなさんの言うように優しいようでモラハラですよね。
地味な場面ですけれども、このときのサンヒョクの鈍感ぶりはわたしなら別れる決定打ですね。
こういう独りよがりは治らない気がするんです。
これからミニョンさんは試練のときですね。
コメントありがとうございました😊
嬉しかったです。
kirakira0611
@hananoana1005 さま、ありがとうございます😊
わたしも本屋でこれはと言う本に会ったときのワクワク感というかときめきは分かります。
緊張するとお腹も痛くなりますね。
サンヒョク、がーん😱ときてますね。
これから怒涛の展開ですね。
ありがとうございました😊
けいこ
更新ありがとうございます。
結末知っててもワクワクします。
筆運びにいつも感心と感激。
あーーあ、知らずにこちらを読みたかった!と思う私がいます。
charlotte622
今晩は🌜何でも自分1人で決めてしまうサンヒョク…隠れモラハラ気質がありますね。ユジンが気を悪くしているのもわからないのは、相当鈍いのかただの自己中なのか…😓
えっ、もしかしてミニョンはチュンサンの兄なのでしょうか⁉️だから顔がそっくり⁉️そして何かの理由で兄弟が死んだことを忘れている…?興奮してきました‼️(笑)
hananoana1005
こんばんは(´▽`*)
いつも有難うございます🌸

まさに急転直下❕
サンヒョクの胸はザワザワ
結末を知っていても私の胸も震えを感じました!
変な話ですが、お腹が痛くなりますよね~こんな時。
書店で探していた本が見つかった時の気持ちに似ています。
変なコメントですみません😢
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