
客室の杉板が綺麗に張られました。この後に自然塗料で保護します。
一般に杉材は材木として価格に優れています。
ところが旅館では、消防法に従って、壁に使用する場合は不燃処理を施す必要があるので、7倍から10倍程度まで一気に価格が高くなります。木材を多用した素朴な空間は、意外に建築費が掛かるのだなと実感しています。
床材として使うのであれば、不燃の制限がないので安価に使用できます。そのため里海邸でも床はほとんど無垢材にしました。
ただし、杉材は柔らかく動きやすいので、家具との相性や湿気などとの兼ね合いを十分考慮する必要があります。実際に、外部の軒天に施工していた杉板が、海の湿気で膨張し外れてしまうトラブルがあり、結局すべて桧材に交換することになりました。
里海邸の床は、家具の動きが大きいところや湿気の多いところは比較的動きの少ない桧にし、寝室などで使用する床の杉材はなるべく硬い赤身部分を使用します。どちらの木も熱伝導率が低い木材で、足から体温が奪われにくいため、素足で過ごすのに向いている木材として住宅でも多く採用されているようです。どちらも香りの良い木ですね。