木のぼり男爵の生涯と意見

いい加減な映画鑑賞術と行き当たりばったりな読書によって導かれる雑多な世界。

《少年と自転車》

2012-12-25 02:12:19 | 日記


少年と自転車(2011年)

いじけっちまった少年が、非行に走らないかヒヤヒヤもの。
ただ、一緒に住もうって言って欲しかった─
少年が本当の愛情を見つける物語。

父親に邪険にされた少年の心の痛み。
大人に対する不信感。
行き場の無い怒り。
週末だけ里親になってくれた女性。
いい人だけど、少年はなかなか愛情を示せない。
心を開いてくれない少年を、我慢強く温かく見守る彼女。

傷ついた人間に手を差し伸べる事。
人に対する信頼を取り戻させるまで、どれほどの忍耐が必要なのか思い知らされる。

とにかく観てる間中、ハラハラし通し。
悪い展開になりませんように、と念じながら鑑賞。

決して根っからの悪い子ではなく、
本人もどうしていいか分からないだけだから。
もう一度チャンスを~。
幸せになれる機会を~。
監督~、頼むよ~。

ホント、心配させないで欲しい。

自転車を走らせて帰るところがある。
待ってる人が居る。

これって重要。
とくに子供にとっては、世界の全てになり得ること。

いつもながら、ダルデンヌ兄弟監督作には、
ハッとさせられる。

冷たくもあり、温かくもある独特の目線で人間を見つめる。
冷静に紡がれる映像は、登場人物に寄り添いつつも、決して同調はしない。
にも関わらず、そこにあるのは否定では無く、未来。
絶望してこそ始まることもある人生。
人生は続く、という真実。

少年と自転車(2011年)
監督・脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:セシル・ドゥ・フランス、トマス・ドレ、ジェレミー・レニエ

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