目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「きつねのはなし」 森見登美彦

2009年08月05日 | 読書
またもや森見作品ですが・・・。

「きつねのはなし」(森見登美彦 新潮文庫)

文庫になったので読みました。
”新潮文庫の100冊”にも入ってます。
(帯のキャンペーンマークを2枚送ると
パンダのマスコットがもらえます)

私、「宵山万華鏡」の感想で、
いつもの脳天気なアホ大学生の話ではなく
いつもの森見文体でない
暗くて怖い不気味な物語は
森見さんっぽくなくてイマイチ、
というようなことを書きましたが、
この「きつねのはなし」を読んだ後では
こちらのホラーワールドの方こそが
森見さんの真骨頂?!
などと思うほどです。

京都を舞台にした不思議で不気味な4つの短編。
それぞれが微妙にリンクしています。
メインとなるのは 芳蓮堂という骨董屋。

・骨董屋でアルバイトする学生の奇妙な体験。
・物語上手な先輩の話。
・その先輩の話にリンクする、家庭教師をした大学生の話。
・そして、祖父の通夜に集まった親戚が
祖父(父)の思い出話をしながら
芳蓮堂から届けられる”家宝”を待つ話。

文章から、体にまとわりつく
不気味な気配や空気の匂いが
感じられるようなおどろおどろしい物語たち。

なんのへんてつもない日常の裏側には
暗い世界に通じる扉があって
ふとしたきっかけで 誰もがそこに
足を踏み入れるかもしれない・・・という
気持ちにさせられます。
特に夕暮れの京都の路地を歩くのが
怖くなるかも。

ネタバレになるので言えませんが、
「果実の中の龍」に出てくる先輩の姿や
言葉が森見さん自身のように思えてしまいます。

幻想的な妄想世界と現実を
行き来する不思議な人だ・・・。

あまりにも彼の世界にハマってしまったので
イロイロ調べては雑誌の特集号の
バックナンバーまで買い求めてしまいましたよ。
その中に彼の直筆アイデアメモが載ってましたが
・・・さすが理系の京大・・・って感じでした(笑)
コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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わたしも… (maqui)
2009-08-06 17:59:57
いやぁ森見ネタ、食いついてしまいます(笑)
わたしも実は「きつねの…』を読み出した時は、えぇ~?いつもの森見さんじゃない…と思ったものの、途中からぐいぐいと引き込まれて、読み終ったらもしかしてこういう小説こそ、森見さんの魅力が映えるのかな?とも思えてしまいました~。夏の京都ともぴったりだし。すっかりハマり、つい『宵山…』まで買っちゃった。楽しく読んでいます!
返信する
そうですよねー!! (kino)
2009-08-06 23:49:56
>maquiさま
そうですよね!!私も、「宵山」ではじめて
”アホ大学生”もの以外の森見作品を読んで
戸惑いましたが、この「きつねのはなし」で
納得しました。
”読み終えたくない”と思う作家さんって
久しぶりです。もっともっと読みたいー!

重複したコメント、消しておきますね。
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