重要文化財の近代建築

重要文化財という定義を通して、全国の近代洋風建築を掲載し、文化財の保護、活用に貢献できるようなブログを目指します

旧山邑家住宅

2009-01-28 21:37:11 | 兵庫県



建築年 1924年
指定年 1974年
所在地 芦屋市山手町3-10 地図
設計者 フランク・ロイド・ライト
コメント グッゲンハイム美術館、落水荘など、教科書的に超有名なアメリカの建築家、FLライトが基本設計をし、遠藤新らがライト帰国後完成させた。酒造家山邑氏の別邸として建てられ、現在は淀川製鋼所が保有している。芦屋市の高級住宅街の中にあり、眼下には大阪湾の絶景が広がる。外部は斜面にへばり付くように、内部は無駄に階段と幾何学的な装飾がある不思議空間になっている。私は建築の最高の理想は周りの環境と共鳴しあう神社建築だと考えているが、その理想を現代に生かすのならば、ライトの有機的建築のようになのだろうな…と思った。

旧京都中央電話局西陣分局舎

2009-01-24 19:20:46 | 京都府・滋賀県



建築年 1921年
指定年 2006年
所在地 京都市上京区油小路通中立売下ル甲斐守町97 地図
設計者 岩本禄
コメント 夭折の建築家、岩本禄の唯一現存する作品。戦前からこのような建物が街中にある京都という町の懐の深さに感激する。現代では何気ない日常に埋もれているが、ふっと足を止めて眺めていると、建築に詳しくない私でも、これは一体何なのだろう…と思う。前衛芸術的な突拍子もない存在感が、もはや京都という厚い地層に埋もれつつ、足を止めて眺める者に、強いメッセージを発し続けている。

旧学習院初等科正堂

2009-01-05 16:54:35 | 千葉県・茨城県
外部

内部


建築年 1899年
指定年 1973年
所在地 千葉県成田市大竹1451 地図
設計者 新家孝正
コメント 成田と言えば新東京国際空港で有名だが、昔は御料牧場があり、現天皇が学習院初等科に入学の際、講堂が建替えになったので、この旧講堂は成田の遠山尋常高等小学校に下賜された。その後1975年に現在地、房総風土記の丘に移築された。現時点で、千葉県唯一の重文指定の近代建築。極めて簡素だが、屋根の傾斜を見ていると、社寺建築に通じる端正さを感じさせる。どうでもいいが、周辺には異様に沢山古墳があり個人的には楽しかった。

旧岩崎家住宅

2009-01-04 18:38:52 | 東京都
外部

内部

撞球室


建築年 1896年
指定年 1961年
所在地 台東区池之端1-3ー45 地図
設計者 ジョサイア・コンドル
コメント 三菱財閥創設者岩崎弥太郎の長男岩崎久弥が、日本近代洋風建築の父、ジョサイア・コンドルに依頼して作り上げた洋館。ジャコビアン様式を基調とし、様々な様式を組み合わせて素晴らしい空間を作り上げている。洋館と地下通路で結ばれた撞球室と隣接する和館の大広間、そして塀まで重文指定を受けている。
個人的な話だが、ここは私の近代建築探訪の原点。初めて訪れたとき、この建物と敷地全体が織り成すストーリー性に感激し、私の想像力の火山が噴火しそうだった。日本一の近代建築は何処かと聞かれたら、私は間違いなくここと答えるだろう。 

日本ハリストス正教会教団復活大聖堂

2009-01-03 20:47:08 | 東京都


建築年 1891年
指定年 1962年
所在地 千代田区神田駿河台4-1-3 地図
設計者 ミハイル・アレフィエヴィッチ・シチュールポフ ジョサイア・コンドル
修復設計者 岡田信一郎
コメント 通称ニコライ堂。日本最大のビザンティン様式の日本ハリストス正教会の聖堂。大聖堂の名に値する圧倒的な重量感と存在感で駿河台にたたずむが、関東大震災で半壊。岡田信一郎によって修復され現在に至る。内部は装飾も控えめで簡素だが、宗教的空間が織り成す形而上学的経験ができそうな雰囲気に満ちいてる。ただ、周りがビルに囲まれて、圧迫感は否めない。
 

三井本館

2009-01-02 21:24:57 | 東京都


建築年 1929年
指定年 1998年
所在地 中央区日本橋室町2-1-1
設計者 トローブリッジ&リヴィングストン事務所
コメント 旧三井財閥の本拠地。関東大震災で破損した旧社屋の後に建てられた新古典主義の建築。写真で見る限り一般的な銀行建築だが規模が尋常ではなくそのダイナミズムに圧倒される。内部の営業室はまるでニューヨーク。七階には三井記念美術館がある。関係ないが三井住友銀行大阪支店も内部が素晴らしい。

日本橋

2009-01-02 21:11:22 | 東京都


建築年 1912年
指定年 1999年
所在地 中央区日本橋一丁目
設計者 米元晋一 装飾部 妻木頼黄
コメント 明治最後の年の完成した近代日本道路の起点となる橋。ルネサンス様式の橋梁と和洋折衷の青銅製照明塔の装飾が調和し、日本の明治の成長を肌で感じられる。また大阪の淀屋橋の開放的な雰囲気と異なり、異常なまでの厳粛さと閉塞感がある。その閉塞感の原因は、デザインもさることながら、上を走る首都高にある。何とかならぬものか…