重要文化財の近代建築

重要文化財という定義を通して、全国の近代洋風建築を掲載し、文化財の保護、活用に貢献できるようなブログを目指します

神子畑鋳鉄橋

2010-01-19 22:40:58 | 兵庫県


建築年 1885年
指定年 1979年
所在地 兵庫県朝来市佐嚢字水田1637-7から1645-3
設計者 不明(工部省の技師か)
コメント 神子畑(みこはた)という厳粛な名前の地に立つ日本で三番目に古い鉄橋。神子畑銀山から神子畑川下流の生野にある精錬所へと運ぶために作られた馬車道の途中に架けられた橋の一つ。鉱山開発の指導に当たっていたフランス人技師の指導が予想される。非常に端正な印象を与えるが、2009年の台風9号が神子畑川流域に壊滅的被害を与えたのにもかかわらず僅かな損傷ですんだという堅固さを持つ。

旧ハッサム住宅

2009-11-20 20:53:50 | 兵庫県
外部


内部



倉庫

附属屋


建築年 1902年
指定年 1961年
所在地 兵庫県神戸市中央区中山手通5-3-1 地図
設計者 A.N.ハンセル(推定)
コメント 神戸における異人館の移築保存の先駆け的存在。異人館の中で最も早く重文指定を受け、神戸市により相楽園内に移築保存された。庭園内には少し異質な感じもするが半世紀近くもこの場所に建っているのかと思うとそれはそれで感慨深い。近年の修復を経て美しい緑色を取り戻した。女中用の付属屋が他にはあまりなく印象的。

旧小寺家厩舎

2009-11-08 21:55:18 | 兵庫県
外部


内部


建築年 1910年
指定年 1970年
所在地 兵庫県神戸市中央区中山手通5-3-1 地図
設計者 河合浩蔵
コメント 明治の実業家小寺泰次郎の邸宅内に息子で後の神戸市長小寺謙吉が立てた馬屋。以前あった和風の邸宅は神戸大空襲で全焼し、庭園や灯篭、城郭を思わせる巨大な門、そしてこの豪華すぎる馬屋が往時を思わせる。シャンデリアや尖塔状の階段室など馬屋としては間違いなく日本一の豪華さを誇り、一見するとそこいらの異人館より立派に見える。


旧ハンター住宅

2009-10-17 18:21:22 | 兵庫県
外部

内部


建築年 1890年
指定年 1966年
所在地 兵庫県神戸市灘区青谷町1-1-4 地図
設計者 不明
コメント 幾何学模様の窓が連なるファサードの圧倒的な存在感が特徴で、異人館の中でも最大級の規模を誇る。ただし表の華やかさに比べると裏が地味で、さらに内部も心なしか荒廃しているように見え、革命前夜に逃げ出した貴族の館のようだった。 1963年に現在地に移築され、なぜか動物園のカバ舎の隣にある。(ちなみにこの動物園は、パンダもコアラもカバの赤ちゃんもいる)

小林家住宅

2009-10-03 19:48:07 | 兵庫県
外部

内部


建築年 1903年
指定年 1980年
所在地 兵庫県神戸市中央区3-10-11 地図
設計者 不明(A.N.ハンセルか)
コメント 「風見鶏の館」に比べると知名度は低いが、すぐ隣にあるためセットで訪れる観光客が多い。「萌黄の館」という愛称があり、典型的なコロニアル様式の建物である。アメリカ領事のハンター・シャープの邸宅として建てられ最終的には神戸電鉄社長小林秀雄の邸宅として維持されてきた。華麗な玄関ホールと神戸の町を見渡すベランダが見所。

移情閣

2009-09-05 20:32:45 | 兵庫県
外部

内部


建築年 1915年
指定年 2001年
所在地 兵庫県神戸市垂水区東舞子町2051 地図
設計者 横山栄吉
コメント 八角三層という奇妙な概観の洋館で、もともとは中国人実業家の別荘であった。神戸中心部からおよそ二十分程度にもかかわらず、都会離れした美しい風景の広がる舞子浜は、明治時代別荘地として繁栄し、この移情閣はその唯一現存する建物である。しかし道路の敷設や台風などで何度か増改築が行われ、現在は孫文記念館となっている。またコンクリートブロックを利用した珍しい構造の建築物でもある。

旧山邑家住宅

2009-01-28 21:37:11 | 兵庫県



建築年 1924年
指定年 1974年
所在地 芦屋市山手町3-10 地図
設計者 フランク・ロイド・ライト
コメント グッゲンハイム美術館、落水荘など、教科書的に超有名なアメリカの建築家、FLライトが基本設計をし、遠藤新らがライト帰国後完成させた。酒造家山邑氏の別邸として建てられ、現在は淀川製鋼所が保有している。芦屋市の高級住宅街の中にあり、眼下には大阪湾の絶景が広がる。外部は斜面にへばり付くように、内部は無駄に階段と幾何学的な装飾がある不思議空間になっている。私は建築の最高の理想は周りの環境と共鳴しあう神社建築だと考えているが、その理想を現代に生かすのならば、ライトの有機的建築のようになのだろうな…と思った。

旧トーマス住宅

2008-11-19 16:58:21 | 兵庫県
外部

内部



建築年 1909年
指定年 1978年
所在地 神戸市中央区北野町3-13-3
設計者 ゲオルク・デ・ランテ
コメント 通称「風見鶏の館」。多分、神戸で一番有名な洋館だと思う。通称の通り、屋根の上に乗る風見鶏は神戸の象徴的存在で、街中を歩いていると、色々なところでこの風見鶏をあしらったデザインを見かける。ドイツ人貿易商のトマス氏の邸宅だった。設計をしたドイツ人ゲオルク・デ・ランテは、韓国が植民地から開放50周年を記念して破壊した朝鮮総督府の基本設計者。内部の城郭風の食堂は見事でアール・ヌーヴォー風のデザインも随所に見受けられる。

旧神戸居留地十五番館

2008-10-31 19:26:53 | 兵庫県


建築年 1882年頃
指定年 1989年
所在地 神戸市中央区浪花町15番地
その他 典型的なコロニアル様式の建物。神戸居留地時代の唯一現存する建物として有名。ただし阪神大震災により全壊し、1998年に再建。以前はアメリカ領事館と使われていたようで、現在はカフェレストランになっている。旧居留地は、大正、昭和の銀行建築やオフィスビルはよく残っているが、このような庭付きの住宅建築がビルの谷間に突然現れると、タイムスリップしたかのような錯覚に陥るとともに、不思議な安心感を覚える。異人館で有名なのは山の手で、坂を登る元気がないときは、ここだけでも見ていくといいかもしれない。