名無しの教師の日誌

ある公立中学校教師の教育私論と日記です。

指導しない指導~現状編~

2018-02-17 12:29:34 | 教育に関する私論
最近、幼少期に見ていたドラえもんのアニメを見るのがマイブームです。

それを見ていると、宿題を忘れたのび太に対し、先生が

「野比、また宿題を忘れたのか!?」
「バカモンー!廊下に立ってなさい!!!」


と叱責するシーンが普通に見られます。

時代だなぁ、と感じます。



そのドラえもんが作られたのは、おおむね30年前ですか。

当時と今では、まるで状況が違います。

今は、厳しい指導を行なうと、すぐに体罰だ人権侵害だという話になり

最近は、指導死などという言葉が聞こえるようになりました。

今、先ほど述べたドラえもんの先生のような指導をしたら、暴言というジャンルの体罰だと言われかねませんし

廊下に立たせる=学習する権利を侵害している=人権侵害である、というドラが乗るでしょう。

教師が悪者になって終わる可能性があります。

体罰や、それに近いような厳しい指導は、今日では教師はやるべきではありません。

そのような今の社会情勢が良いことなのかどうかをここで議論するつもりはありません。

単純に、教師にとって、やる意味が無いしリスクが大きすぎるのです。



体罰はもちろん、始めに例示したドラえもんの先生のような叱責は、現在ではほぼ効果の無い指導です。

理由はいくつかあります。

まずは、親がやらない
(もちろん、すべての親がそうでは無いでしょうが、その傾向が昔よりも強い、という意味です。)

親がやらない指導を、教師がやったところで、子どもが反省することはありません。

子どもの中で

「ああ、悪いことをして叱られてしまった」という気持ちよりも

「先生にひどいことをされた」

という感情が勝る可能性が大なのです。

また、今の子どもは、昔の子どもよりも、マスメディアの情報に良く触れます。

そのため、メディアの「体罰は悪だ」「人権侵害のような指導を無くそう」という論に感化されています。

ですから、体罰・厳しい指導を受けた子どもは

「悪いのは自分では無く先生だ」となるのです。

そして、体罰は文部科学省が全面的に禁止しているので、もめ事になった場合、錦の御旗は生徒・保護者側になるのです。

体罰とは行かないまでも、厳しい指導を行なった場合、大きなリスクを背負うことになります。

「体罰」と「体罰まではいかない厳しい指導」の線引きは難しい部分でもあるので

教師側が体罰と認識していなくても、生徒側が体罰と認識すれば、教師は窮地に立たされるのです。

というわけで、「子どものため」とか「社会のため」とかそんな価値観は棚上げしての論になりますが

体罰や厳しい指導は、教育的効果がほぼ期待できず、教師にしてみたら自分の立場を悪くするだけなので

やるべきではありません。



先日、こんなことがありました。

自分のクラスでは無かったのですが、某クラスで、授業中に、お菓子の包み紙の切れ端を教室内で発見してしまいました。

その場では、「こんなものが教室で見つかって、残念だ」と生徒達に告げるのみにとどめ、犯人捜しはしませんでした。

授業後、事の委細を、学年主任とそのクラスの担任に話し

「学年全体で、持ち物検査でもしますか?それで犯人が分かるとは思いませんが、プレッシャーにはなるかと思います」

と学年主任に意見を具申したところ

「いや、それは人権侵害になる時代になったらしい。管理職からやるなと言われている」

と言われ、却下されました。

時代は変わったようです。

結局、学年集会を開き、全員に説諭して、終わりました。

というか、それ以上やれることがありません。



「身内かばいだ」と批判をされるでしょうけど

学校と教師は、昔はどの大人も(程度の差はあるだろうが)当然のようにやっていた指導の選択肢の1つをを封じられたわけです。

「○○はいけないことだから、やめなさい」と言ってやめてくれるような子どもばかりなら、誰も苦労はしませんが

そうでないのは、あきらかです。


教師がひどい体罰をして処分されたとか、書類送検されたなんてニュースをしばしば聞きますが

これは、悪戦苦闘・試行錯誤の末、ついに我慢ならなくなってやっちゃったんだろうな、と極めて同情的な想像をしてしまいます。

ま、どのような同情的な事情があれ、キレちゃって子どもをケガさせた段階で、教師側の負けなんですけれども。

「暴力事件」を起こす前に、その先生は、その先生なりに、一生懸命生徒と向き合い、生徒を更正させようとしていたのだろうな、と私は想像してしまい、なんとも切ない気分になります。



続く……


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
師弟より黒板の問題 (ゆり)
2018-08-13 05:37:24
体罰お仕置き先生は昭和40年代平成一桁まで当たり前ドラマの家族ゲーム僕の先生は体罰先生原作は小さい車修理工場長渕編は嵐のは内容は忠実家はサラリーマンにでも映画の生徒役が久しぶりにやはり体罰お仕置き先生私のちびまる子ちゃんの年は小学一年44年前担任は新米で美術の先生結婚していたの妊娠して子供生まれてすぐ止めた又新米先生も担任は美術の先生やはり体罰お仕置き先生ビンタ静かにしないかー女子の先生だけどクラス全員先生にビンタ3年は国語のベテラン先生平和4年は一番やばいスパルタ気取り先生体罰なんかもうプロレスダンプの前のブラックペアーの池下みたいいいえダンプ松本が先生リングの金網デスマッチで勉強する感覚3年も担任またクラスメイトたちもあのダンプ松本竹刀鎖で体罰お仕置きしながら気に入らない生徒はレッテルはる劣等生はいらねーんだよー又竹刀で脅していいなり仕様と暴露しても口が上手い生徒が加害者に父兄がうちの子ビンタされた後歯が折れたと校長先生にいっても口上手い本当にPTAに暴露されてからしばらく出張つまり当時体罰お仕置きスパルタきどり先生小学校の先生多くいた男子の先生より女子の当時優生学ガリ勉女王のクラスとダンプ松本合わせた私の4ー5ー6年生の担任音楽の先生は心広いと聞いたけどではない全科目教えるから中学高校は科目変わる先生違うと大学は東大早稲田慶応明治中央法政の六大は音楽美術体育家庭科技術は習わない音大体育大学いくしか美術音楽の資格の小学校の先生は女子の先生個性より劣等生ははいじよ支援クラスのある学校送り当時は私の学校には支援クラスは無かったつまり劣等生は知能テストも受けなくていい2年の担任はトラブル劣等生とヒステリー生徒専用係りノート記録しなさいトラブル劣等生ヒステリー生徒そんなことして先生なんの特に当時詰め込み教育ガリ勉劣等生追い出したがる先生が多かった私の小学校の女子の先生多い学校今は体罰禁止でも学年が上がるとわからない
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Unknown (筆者)
2018-08-13 15:47:38
コメントありがとうございます。

「当たり前」は時代と共に変遷するものですけれども
教育に関しては、それがちと急すぎるように感じます。
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