ぷ~さん日記

最近おなかがぷ~、仕事もぷ~さんの日記 

結婚記念日

2009年09月03日 | ホテル旅館
いやいや、私のではありません。

今の仕事は、北関東にある異業者が買収してまだ2年の小さな旅館の支配人をしています。
オーナーは利益と資金繰りにしか興味が無いので、運営はすべて私にお任せです。


ここではなぜか、いろいろな記念日にご利用する方が多いのです。

彼女、彼の誕生日に、
家族の誕生日に、結婚記念日に。。。。。

昨日もありがたいことに満室でしたが、中年ご夫婦でケーキのご予約がありました。
「ママ、ありがとう」の、いたってシンプルなメッセージ付きで。

但し、奥様には「サプライズ」とのことでご注文してあることやご提供タイミングは内緒。
奥様がエステにかかっている間に、こっそりと打ち合わせ。

ご結婚記念日に、奥様のねぎらいに今回の小旅行を計画されたとか。
なんとご本人は記念日すら忘れているかのように、まったく話題になっていなかったようですが、奥様が忘れているわけはないですよね。

で、わざと遅いご夕食スタートで、このご夫婦だけが残るように調整。
奥様はおなかがすいているのに、と大いに不満顔。

最後のデザートご提供の時は、ご主人の目論見の通り、このご夫婦だけになりました。
さあ!ここでケーキの登場。
私からは勝手にドイツ製の手ごろな発泡ワインを進呈します。

私と女性スタッフ、二人で、お席に(当館はすべて目隠し程度ですがお食事席は独立しています)登場!
もちろん、小さなキャンドルは忘れていません。


「ご結婚記念日おめでとうございます!そして、末長いお幸せを。」
お二人だから、当然小さいデコレーションケーキです。
4号サイズ。でも食べきれるわけはありません。

そして「結婚式を思い出していただけますよう、ワインで乾杯をどうぞ」
とずいぶん昔の婚礼ウェーター経験を思い出し、精一杯気取って注ぎました。


奥様のあの驚いた顔と、ご主人の言葉、
「ママ、二十年間ありがとう。これからも頼むね」


奥様はわざとでしょう、照れ隠しなのか、ぶっきらぼうに、
「結婚記念日なんて忘れていたわ」と、口に含みましたが、
だまされません。小さく震える手と目にいっぱいの涙を見つけましたよ。


これだから、この仕事はたまりません。

お客様から感動と喜び、そして人生の癒しをいただけます。

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