うんたま森のキジムナー

シーシャガウガウ

子供の頃、正月になると獅子舞が家に
やって来てた。笛の音に合わせて動く
怪獣のような獅子舞が怖かった思い出がある。
舞が終わると祖母が私に「これ餅代やと言うて
渡しなはれ」と祝儀袋を差し出す。
恐る恐る近づいて渡したものだ。
子供心に餅代がお金であることは気づいていた。
「バァちゃん、たこ焼き買いに行くから餅代
ちょうだい」と言って、引っ叩かれた。

宮古島では旧暦の八月十五日、満月の夜になると子供
たちが手作りの獅子舞で各家庭を回り厄払いをする
習慣がある。以前は次から次へと近所の子供たちが
やってきたものだがここ数年は子供の数も減り、
獅子舞の姿も珍しいものになった。
この近所は昔ながらの習慣を大切にしているところで、
毎年、我が家には近所の子供達が獅子舞にやってくる。
我が家に来れば酒を飲んでいる大人達が小遣いを
くれることを知っているからだ。

一昨日が十五夜で毎年なら家で子供たちがくるのを待つ
のだが用事が出来て街の居酒屋へ出かけていた。
「子供たちが少なくなって獅子舞がなくなった」
と昔を振り返るように話す大人たち。少々事情が
変わってきたようだ。子供たちは街へ繰り出している
のだ。居酒屋で飲んでいると次から次へと自慢の獅子舞を
披露しにくる。「シーシャガウガウ、シーシャガウガウ」
と掛け声をあげて舞うのだがこれでは次から次へ来る
獅子舞を店の迷惑と考える主人に「出ていけ」と
叱られることもあるので「商売繁盛、商売繁盛」と
掛け声も工夫をこらしているようだ。

酒の入った観光客は小遣いを奮発する。子供たちの連携
プレーはすさまじく「あの店であの客から多く小遣いを
もらった」と言う噂はまるで光か音のスピードより
早く伝わる。獅子舞の小遣いは百円と相場が決まって
いるので、けっして渡し過ぎないようにしてください。
中には一晩で親より稼ぐ子供たちもいるようだ。
よくない、よくない子供のうちから観光産業に目覚める
のは文化を否定することにもなりかねないからね。

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