旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

チベット人ディーラーとの仕入れ 店を持たない業者編

2017年09月02日 | 旅行


僕は、チベットでの仕入れは幾つかの方法で仕入れをやっている。

骨董屋・古道具屋など店から仕入れるやり方、
路上に立つ行商、露店から仕入れるやり方、
地元民に声をかけ、直接交渉で仕入れるやり方、

そしてもう一つ、

店を持たない業者から仕入れるやり方だ。

これは、上記の三方法に比べ、コネクションが必要になる。
なぜなら、店などを持たないので、そもそも彼らに会うチャンスがない。

なので、人伝い、紹介、または偶然の出会いなどで彼らに会う事になる。

東チベットのとある街で、偶然の出会いにより一人の男性に会った。

彼はアンティーク業者を主として生活してるようでは無かったが、
古い物を持っているとの事なので、
彼の家に呼ばれ、家に招き入れられた。

おそらく、副業としてアンティーク売買もしているディーラーなのだろう。

そこは中心部から徒歩5分ほどの家々が立ち並ぶ住宅街エリアだった。
二階建ての家だったので、貧困層のレベルではない家柄なのであろう。

僕が今まで行った事のある、定住している伝統的な一般人のチベット人の家は、概して薄暗いのが常だが、
彼の家は日が差し込み明るく、比較的現代的だった。

彼は、チベット語と中国語しか話さなかったが、
彼の息子が英語を少し話せた。

チベットにおいて英語を話す事は珍しい事だが、
今や、インドやネパールなどに勉学留学または、他の理由で行き、また戻ってくるという事を目にするようになった。
なので、稀だが、英語を話す人がいるにはいる。

どこの家でも定番だが、家に招かれると、まず、おもてなしを受ける。
バター茶や茶菓子などを出してくれる。

少し世間話のような事をした後、彼は奥の部屋から袋や箱を持って来て、
おもむろに商品を見せ始めた。

じゃらっと机の上に広げられた装飾品や数珠や、石など。

数珠は大きなサイズの価値の低い数珠しかなかったし、
お目当ての布ものは無かったが、
チベットのお守りトクチャや銀の装飾品で、幾つか良い物があった。
良さそうな物をピックアップし、金額交渉に入った。

値段は交渉次第だが、路上に立つディーラー達との交渉と同じく、
タフな交渉になる時もあるし、良心的な時もある。
その時は、吹っかけられる事もなく、現実的な金額の売買ができた。

しかし、もし同じ状況で欲しくない物しかなかった時は、立ち去るタイミングを計らなければならない時もある。

まぁ、とにかく、色々あるご自宅交渉だが、チベット人の生活を垣間みれるチャンスでもあるし、
仲良くなると、今度は泊まっていけよ、という事にもなる。

これも仕事も兼ねた旅の醍醐味の一つである。




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