
彼の倉庫にひときわ眼を引く布があった。
壁にかけてあったウズベクの古く素晴らしいスザニ。
一見すると、サマルカンドのスザニだと思ったが、
正確には、ウズベキスタンとタジキスタン、キルギスの中間にあるホジェンド(レニナバート)のスザニだそうだ。
その大判の布は、一目で通常のスザニではないと分かった。
今でこそ、日本でも知られた刺繍布になったウズベキスタンのスザニだが、
15年前には今ほどで知られてはいなかった。
昔、僕は青山の洋書屋で見た海外のインテリア雑誌に載っていたスザニに一目惚れをした。
調べていくと、その布がウズベキスタンの布である事が分かったが、
その当時、ウズベキスタンへの渡航は僕にとっては金額的に高く、交易の地であるイスタンブールで見つけようと思い、
トルコへ旅に出た記憶がある。
なので、スザニは思い出の布でもある。
それから暫くし、スザニは日本でも買えるようになったし、
もちろん、イスタンブールでも新しいスザニから少し古いスザニまで様々あり、簡単に買える。
しかし、本当に良いと思えるスザニは少ない。
あってもとんでもなく高いのだ。
僕が出会った業者の倉庫にあったスザニは素晴らしかった。
が、やはり値段はそれ相応に高く、仕入れとしてはリスクがあるので買うか非常に悩むところだが、確かに相場より安い。
どうしたものか。
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