旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

ウズベキスタンの民族衣装に関するあれこれ

2019年12月18日 | 仕入れ旅


はじめに言っておきますと、
ここでの話しは、
あくまで限られた個人的体験での
あれやこれやです。

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東西南北の物という物が集まる
交易の地、イスタンブール、である。

僕が特に興味を持つのは、
中央アジアの物が多く流れているという事だ。

今や多くは、中央アジアの民族文化のデザインを
デザイン・ソースとした新しい物達だ。

しかし、
それらのデザインは素晴らしく、
また、
質の良い物も多い。

クッションやショールなどインテリアから
ファッションに至るまで幅広くある。

実際、イスタンブールには中央アジア出身の業者もいるし、
知り合いの店でお茶をしていると、
ウズベキスタンから売りにくるウズベク人行商のオバチャンにも
会う機会もある。

しかし、
みな、口を揃えて言うのが、
「昔は、多く古い物が手に入った。今は、ほとんど、ウズベキスタンからやってこない」

ウズベキスタン人を妻に持つ知り合いの業者は、
「ウズベキスタン現地では、古い物は、もうほとんど国外に出てしまった。
残っているとしても、凄い高い金額になっている」
と言う。

実際にウズベク現地の業者とのやりとりを携帯で見せてくれると、
そこには先方からのとんでもない金額提示がされているのを目にした。

「困ったことだよ」と知り合いは嘆く。

ふーむ
どこの国でも同じなんですな。

チベットでも、古く良い物の多くは
国外に流出していて、
今や金持ちになったチベット人富裕層が買い戻しているのである。

中国にしても同じで、
もう何年も前からになるが、日本から買い戻している。

業者間などでの売買で市場に流れる場合は、
まだ手に入れられる機会はあるが、
一度、収まる所へ収まってしまうと、
その後、長い年月、市場には出てくる機会は限られる。

ウズベキスタンの民族衣装である、
古いイカットのチャパンに関しても同様で、
多くは欧米をはじめとする諸外国へ出て、
今や、イスタンブールでも驚く程高額な値が付けられている。

イスタンブールにしても、
行く所に行かないと、
良い物とは出会えない。

もちろん、
新しい民族衣装だったり、
そもそもが数の多い民族衣装は山の様にありまっせ。

一転、
古く良い物となると
数はとたんに減る。

卸の店に行っても、
古いイカットのチャパンかー、
あと一着、ラストで持っているぐらいだよ、とも言う。

因に、
ウズベクノ絣文様は、
日本で言う絣は絣だが、
縦横の織糸が、シルク×シルクが、
シャーヒィだっけな、
そうゆー名らしく、
正式にはイカットというのは、
コットンとシルクを用いた絣を指すらしい。




これ、古い、シャーヒィ
中央アジア独自の模様が美しい。
日本の着物にも共通する部分があるよーにも感じる。
元々は、ウズベキスタンのお隣の国トルクメニスタン人が前の持ち主だったようだ。
共通する絣文化があるとの事。





シルク生地なので、
シャリシャリとした質感。
物の背景が何であれ、
美しい民族衣装、とは個人的に思う。





卸業者の店に一着のみ残っていた
ウズベクの古いイカットのチャパン。
えらい高かった。
写真だと伝わらないが、
実物は、えらく魅力的であった。
因に、ちょいと離れた場所の一般人は普通は行かない、
とゆーか、まず見つけられない店にあった。





古いイカットは独特の風合いになるようだ。
シャーヒィに比べ、柔らかい手触り。


古いイカットのチャパンは、
ごくごく一部の店や、
高級な老舗の店に行けば、
何着かは目にする事ができるが、
どれもすごく高い。

昔、店を持たない卸業者のアパートの一室の倉庫兼ショールーム?に
行った事があるが、
市場相場よりは安いが、それでも、それ相応に高額だった。


古いシャーヒィのチャパンは、
イカットに比べるとまだ比較的安い印象だが、
柄や色、古さ、状態等で、すごく高額なシャーヒィもあり、
その金額差はけっこうな幅がある。


この世界も奥が深そうだ。





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