旅する骨董屋 喜八

チベット圏を中心にアンティークや古民芸・装飾品を旅をしながら売買する喜八の、世界の様々な物や人その文化を巡る旅のブログ。

日本人に生まれた幸運という事

2019年12月11日 | 日記


旅レポート、
ちょっとブレイク。

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トビリシ滞在中のある日、
夕方、宿のある最寄り駅を通ったら、
2人組の警察官に呼び止められた。

ん?

どーやら、本物の警察だ。

パスポートを見せて、とか
何日間滞在してるのか、と
聞かれた。

パスポートは宿に置いてあるよ、と言うと、
「何人だ?」と聞かれた。

俺の服装が
日本人観光客っぽくないからだろうか

使い込まれた革ジャンに手ぶら、
一眼カメラも持ち歩いてはいない。

後ろめたい事は一切ないので、

「おら、日本人だ。」

と自信を持って答えると、
「あ、日本人なんだね、じゃあオーケー」
と言われ解放された。

ふーむ

移民チェックなのだね

宿に戻り、
宿のスタッフに
「今さー、警察に止められたよ」と言うと、
どーやら、
トビリシは、
昨年から
不法滞在の取り締まりが厳しくなっているとの事。

日本人は大丈夫(日本人はビザ免除滞在可能期間が長い)なんだけど、
今、不法滞在の外国人労働者のチェックが
厳しくなってるのよねー、と言う。

そー言われてみれば、
入国の時にも入国審査を終えた後、
空港の出口でもチェックを行っていたな

確かに、
宿にもアゼルバイジャン人が長く泊まっていて、
日中、宿に居ない。
観光客という感じではないので、働いているのかもしれない。
留学かもしれんが、ジョージアで何を学ぶのだろう。
ビザ関係は分からないが、
ジョージアに観光以外の
何らかの目的を持って滞在しているのだろう。

現地で友達になったジョージアに何年も住むインド人には、
「ジャパンのパスポートはすごく強いだろ、
もし、俺がジャパン・パスポートを持っていたら、
すぐに先進国へ行き、そこで働いて金を稼ぐぜ」と言う。

インドのパスポートは驚くほど国際的に弱い。
それは、インド人の旧知の友人にも前から聞いていた。

海外に出てみて、
様々な国の人間と会うと、
「日本人」である強み、
または
非常に恵まれた環境、
であるのを感じる時は、
よくある。

イスタンブールで友達になった
若いイラン人女性とも話したが、
彼女の話しを聞く限り、
お国柄上、他の国へ行くのがすごく大変で、
行ける国も限られている、と言う。

彼女はドイツ人の婚約者がいるらしいが、
偽装結婚を疑われて、
結婚どころか、
ドイツに入国する事すら出来ない、と言う。

そこで、俺は聞いた。

「愛した人が居る国へ行くのは、すごい良い事だね
でも、
ドイツに一度も行った事も無いまま、
結婚してイキナリ、ドイツに移り住むのではなく、
取得が難しい結婚系のビザより、
観光ビザを取ってみて、
一度、
観光としてドイツを訪れて、まずは、その土地を感じてみたら?」
と。

彼女の答えは簡潔だった。

「ドイツがどんな国でも、私の国よりマシよ」と。

彼女は、
自国イランでは同じ宗教の人間でないと
結婚は認められない、
しかも
親に相手を決められた結婚も当たり前だ、とも続ける。

つまり
彼女の置かれた環境は、
自由恋愛の状況ではなく、
かつ
独身女性としては労働や旅行する事すらも
制限される。


日本人である僕らは、
旅する選択も幅広く持て、
恋愛も自由が認められている。


しかし、それらは、
国を変えると、
当たり前の常識ではない。


イスタンブールの同じ宿だった
チリ人の若い女性旅人は言った。

「チリは、いつも政治的な暴力的な争い事が絶えない。
それらの写真が、SNSには、毎日の様に溢れている。
それを見るのが辛くなって、
私は国を出たわ」
と。

今、彼女はオーストラリアに住んでいるらしい。

みな、
自国に不自由さを感じ、
外を目指す。

しかし、
国籍、
現実的かつ具体的に言うと、
パスポートの問題が大きく立ちはだかる。

僕ら日本人は
恵まれている。

日本は
奇妙な国であり、
閉鎖的で極所的で、
ある種の、生き辛さがある。
悪い面は、
挙げればキリがない。

俺も、
日本は合わないと感じる場面や、
マジ、キツイなー、ジャパン、
と思う時は数知れずある。

一方、
日本人、
日本のパスポートを持てる、
と言う一点に関しては、
「恵まれた条件」を持っている。

国や状況にもよるが、
先述の国々に比べ、
多くの他国へ出入りできるという選択肢を
比較的、
制限が低い状況で行う事が可能なのだ。

それは、
先人達や国がつくってくれた、
素晴らしい事実、
であるのを忘れないようにしたい。

クソみたいな政治家や役人もいるが、
ちゃんとやっている人はやってるのだ。


そんな事を思うのでした。





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