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その昔、広大な大陸を国土とした大国、大地人民共和国は、世界の陸を支配していた。
しかし、その国王は代々すべて事故で死ぬという恐ろしい宿命にあった。
そもそもの始まりは、初代国王が大地人民共和国の技術の粋を集め製造した、当時世界最大の大型蒸気機関車 「ドーモッス」号の試運転において、デッキから転げ落ち、轢かれて死亡したこと。
その後、二代目は大型高級乗用車 「ミガッティ」の試運転において、事故で放り出され、後続車に轢かれて死亡。
三代目は、スノーモービルで転げ落ち、後続モービルに轢かれて死亡。
四代目は、闘牛士の真似事をして牛に踏まれて死亡。
後世の著名な歴史家は言った、「轢死は繰り返す」
HO
その昔、大海に囲まれた小さな島国、水底人民共和国は、世界の海を支配していた。
しかし、その国王は代々すべて水死するという恐ろしい宿命にあった。
そもそもの始まりは、初代国王が水底人民共和国の技術の粋を集め製造した、当時世界最大の大型豪華客船 「大タニック」号の処女航海において、氷山の一角に激突、沈没して水死したこと。
その後、二代目は大型戦艦 「山と」 の処女航海において、海底の山と激突、沈没し水死。
三代目は、ジェットスキーで岩と激突、沈没し水死。
四代目は、サーフィンで鮫に噛まれて水死。
後世の著名な歴史家は言った、「溺死は繰り返す」
たった三行で作ってしまうとは、恐れ入りました。
私は繰り返しを表す為に四代目までかかったというのに。
四代目は、かなりいいかげんになっています。
「牛に踏まれて死亡」 は、轢死とはいいません。
牛に轢かれて善光寺って言うじゃないかって?
違うって!
「鮫に噛まれて水死」 は、おそらく噛まれたら水死の前に死にます。
咬死?
「ジョーズ」をもって咬死の嚆矢とする。なんてね。
あっ! ひとつ浮かびました。
延々とバンジョーの音色が響く喫茶店。
マスターが一言。
「デキシーは繰り返す」