リーダー経験は早期から 早稲田大学教授 東出浩教
企業において新製品の発売や新規事業のスタートを成功させ、顧客に価値を届けるには「チャンピオン」と呼ばれるリーダーが欠かせない。英米ではものづくりで活躍する「プロダクトチャンピオン」の需要が高い。
チャンピオンの仕事の第1段階は、社内で新たな製品やプロジェクトのアイデアを見いだすことだ。このときチャンピオンは企業内起業家(イントラプルナー)だ。第2段階ではアイデアを絞り込み、ビジネスプランを作る。第3段階で必要な人材や資金を調達。第4段階で会社の正式な事業になるまで指導する。この過程で社内の反対勢力からプロジェクトを守ることも大事な任務だ。
職務範囲を超え、非公式な活動もしながらプロジェクトを形にする。
やや古いが、1974年に米航空宇宙局(NASA)に対する米国のアロック・チャクラバルティの調査では、チャンピオンが存在したプロジェクトの大半が成功。ところが、存在しなかった場合は大部分が「さほど成功しなかった」だった。
英米ではビジネスプランを作成するまでは課長を目指す30歳代がチャンピオンのイメージだ。人材や資金を調達する40歳代後半以降の幹部クラスはエグゼクティブチャンピオンとも呼ばれる。
私の研究室に在籍した古村修平氏と私の共同研究(2012年)によれば、日本企業では実績と人脈を積み上げた40歳代のベテランが、チャンピオンの様々な役割を1人でこなす例が多い。企業がチャンピオンを育てるには、20歳代後半にはリーダシップ経験を積ませ始めなければならない。
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