FUNAGENノート

私の考えたことや、読書から学んだことを伝えます。
私の脳は書いたり読んだりすることで研ぎ澄まされると思っています。

「指鹿為馬(しろくいば)」は今も生きている

2018-04-11 16:23:17 | コラム
「指鹿為馬(しろくいば)」は今も生きている
 知人の書家の書いた作品、「指鹿為馬(しろくいば)」というのを、書道展で拝見しました。この「指鹿為馬」の意味について、調べてみました。司馬遷の「史記」で出てくる言葉で、訓読みでは「鹿を指して馬となす」と読むようです。国家権力が鹿を馬と言えば、家臣はみな同じように鹿を見て馬とせねばならないという意味合いなのでしょう。それに従わず「いや、やっぱり鹿は鹿だ」と言う人は、排斥されることになるでしょう。自殺者も出してしまいました。前川氏(前文科省事務次官)は今も権力から排斥されているようです。
 いずれにしても、今国家の様相は危機的な状況にあります。次から次と新たな問題が発覚しています。防衛省の問題もそうです。表に出てくるのは、やっぱり「馬」でなく「鹿」でしょうという情報なのですが、そのつどそれを乗り切ろうとやっきです。したたかでありません。国民もなめれれたものです。
 あの財務省の改ざん劇、口裏合わせ、そして新に家計問題の「首相案件」という記録(メモ)の発覚、どれを見ても明らかに国家権力が関わっていることは明らかなのですが、肝心の殿様は、知らぬ存ぜぬを通していいます。家臣たちも、いざとなれば「記憶はさだかではないが、会ってはいないし、言ってもいない。」ということになってしまっています。
 殿様の家臣は、殿様を守ることに余念がありません。しかし、常識で考えてみましても、官僚たちが、あえて改ざんする意図は何でしょうか。立身出世のためだけでしょうか。そうだとしても、ばれてしまうと、佐川氏のようなことになり、もともこもなくなります。それでも、佐川氏は殿様を守っています。まるで江戸時代の家臣のようです。
 しかも、現代のような世の中で、官僚が殿様のために、自分たちだけであのような国民をだますような行為を行うとは思えません。また、動機も目当たりません。実際には、殿様の取り巻き、江戸時代で言うと、大老、老中、若年寄などがいて、「殿のご意向」だということをあの手、この手でほのめかし、それに官僚が従わされたということではないでしょうか。
 だから、家臣である柳瀬氏(当時首相秘書官)を国会で喚問しても、鼠一匹ででこないでしょう。先にも述べたおきまりの「私の記憶は・・・・会っていないし言っていない。」ということだけしか出てこないでしょう。何か決定的な証拠(写真、録音など)が無い限り、いわゆる水掛け論となるでしょう。
 国会や地方議会の証人喚問では、「記憶にありません」という言葉がよく使われます。これだと、関わったか、関わらなかったか、どちらにしても何も見えてきません。あの有名なロッキード事件の証人喚問で、小佐野賢治氏が「記憶にございません」と連発していたのを思い出しました。
 多分今回も、柳瀬氏を証人喚問しても、それを「記憶云々」で乗り切り、終わった後に株価が上がり、何もなかったような日本になってしまうかもしれません。
 しかし、どう考えても、疑いははれないでしょう。森友と首相夫人の関係、家計氏と首相のお友達関係が、この二つの問題が出てくる背景としてあることは、だれがみても明らかです。火のないところに煙はたたないのですから。
 もし、国民の中に、お友達の便宜をはかってあげるのあたりまえでしょうという気持ちがあるとすれば、それは検討違いです。私が友人に都合をつけてあげるとしても、それは自分のお金や物や時間であって、国民の税金ではありません。
 役人と業者の癒着からくる贈収賄は、れっきとした犯罪です。同じように、国家権力と民間業者などとの間に、金銭の授受はなかったとしても、私的な関係で国の税金や特権が使われること、これも犯罪です。
 もうそろそろ、首相に、あなたは「はだかの王様」なんですよと言う人が、与党の中から出てきていいのではないでしょうか。いつまでも官僚のせいにして、乗り切ろうとするのは、卑怯者のやることです。
 私たちも、支持する政党がないから仕方ない、野党がふがいないから、決められない政治になるのいやだからなど、よけいなことは考えないで、「首相、あなたは《裸の王様》なんですよ。」と言おうではありませんか。


*****************************
「戦中・戦後世代から現代を見つめる」(風詠社・船場幸二著)1400円(税抜き)
発売中です。書店(注文可能・紀伊國屋新宿本店の社会ー社会評論売り場在庫あり)やネット(アマゾン、楽天、紀伊國屋など)でどうぞ!。知り合いの皆様に紹介頂ければ幸いです。ネット通販もどこでも、在庫があるようになってきました。ネット通販、高齢者のお手伝いもお願い出来れば幸いです。