福知山線脱線転覆事故から、早いものでもうすぐ一年を経過しようとしている。
あの時は、速報が流れた時からテレビとパソコンにかじりつき、ブログで逐一速報を流す体勢を取っていたっけ。
さて、その事故なのだが、JR西日本の立件を見送る公算という記事が出ているので、まずはこちらをご覧頂きたい。
Yahoo!ニュース…<福知山線脱線事故>JR首脳の立件見送りへ 兵庫県警…毎日新聞
まあ、記事の内容としては納得のいくものである。個人的には、本来ならばJR幹部を立件すべきだとは思うのだが、物証に乏しく、高見運転士も殉職したとあれば、立件するのは非常に困難である。
これが、産経新聞だと、このような記事になる。
Yahoo!ニュース…JR西の日勤教育、過密ダイヤ…実態、他社と同じ 捜査本部…産経新聞
待 て や こ ら 。
日勤教育はともかく、過密ダイヤが他社と差異がないのは当たり前やろ。
問題は過密ダイヤなのではなく、運転時分に余裕があったかどうかだ。産経新聞の言うとおり、過密ダイヤが行き過ぎていたとなれば、山手線や中央線などは行政指導、あるいは運行停止命令ものである。
運転時分に余裕がなければ、わずかに客扱いに手間取ったとしてもすぐ遅れるし(週末の深夜時間帯にしばしば電車が遅れを持つのはこのため)、遅れたとしても取り戻すことは不可能なくらいのタイトなダイヤ構成では、運転士の心理に悪影響が及んだとしてもなんら不思議ではない。
JR西日本で大事故が発生して、なぜ東日本で大事故が発生してないかといえば、東日本は一部の列車を除いて(成田エクスプレスなど)、余裕時分を持ってダイヤ構成されているので、取り返すことが可能だからである。よく、「なぜ東は西に比べて電車がちんたら走っているのか」という疑問をぶつけられることがあるのだが、過密ダイヤの余裕時分を取っているからである。仮に福知山線で事故を起こした当該列車のダイヤのように、「余裕時分全くのゼロ」で中央線快速電車のダイヤを組んだとしたら、ひとたびどこかでちょっとでも輸送障害が起こったら、たちどころに快速電車の運行は麻痺状態になってしまう。
産経新聞のように、過密ダイヤだからといって、それが事故につながったと断定するのは間違っている。問題は「過密ダイヤ」ではなく「運転時分の余裕の有無」なのである。はっきり言って、事故から一年も経っているのにこの不勉強とは今更なにをか況やで、この記事を書いたのがもし鉄道記者だとしたら、記者クラブに産経新聞のブースなどいらぬ。まあ、捜査本部とあるから、鉄道のシステムに詳しくない社会部記者が書いたのかなという気もするのだが。
「運転時分余裕ゼロ」というのは、ある意味運転士と車掌を追い込む無茶なダイヤ構成で、そこでJR西日本の首脳陣を立件できないかと思うのだが…。物証がないのか…。残念である。
あの時は、速報が流れた時からテレビとパソコンにかじりつき、ブログで逐一速報を流す体勢を取っていたっけ。
さて、その事故なのだが、JR西日本の立件を見送る公算という記事が出ているので、まずはこちらをご覧頂きたい。
Yahoo!ニュース…<福知山線脱線事故>JR首脳の立件見送りへ 兵庫県警…毎日新聞
兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故を捜査している県警尼崎東署捜査本部が、JR西日本の垣内剛前社長(62)ら当時の本社経営陣について、業務上過失致死傷容疑での立件を断念する方向で検討していることが20日分かった。新型ATS(自動列車停止装置)が現場カーブに未設置だったことなど、経営陣の判断にかかわる複合的な要因が事故の背景として指摘されているが、死亡した高見隆二郎運転士(当時23歳)が制限速度を大幅に超えて現場カーブに進入した異常運転を経営陣が予見することは困難だと判断した模様だ。
一方で捜査本部は、同社大阪支社幹部らへの事情聴取を進めており、法人としての管理責任の追及が可能な鉄道事業法などの適用について捜査を進めている。
調べなどによると、高見運転士が運転する快速電車(7両編成)は昨年4月25日午前9時19分ごろ、時速約115キロ(制限速度70キロ)で現場カーブに進入して脱線。107人が死亡した。事故直前の約40秒間は運転操作が行われておらず、高見運転士に何らかの異変があった可能性が高い。
業務上過失容疑の立件には、誰が異常運転をどのように予見していたかを立証する必要がある。捜査本部は高見運転士の健康状況などを調べているが、異変をうかがわせる明確な物証は得られていない。
一方、列車を安全な速度に自動調整できる新型ATSが現場カーブにあれば事故は防げたとされているが、JRには新型ATSの設置義務はなかった。同社は90年ごろから新型ATSの設置を順次進めており、福知山線だけが遅れていた。しかし、これ以前に現場で事故はなく、捜査本部は福知山線への設置の遅れをもって、投資を決定する経営陣の刑法上の責任を問うのは困難だと判断している模様だ。
また、運行の遅れを調整できるダイヤの余裕がなかったことも指摘された。事故を起こした快速は現場手前の伊丹駅で約1分半遅れており、高見運転士が、乗務員に懲罰的な再教育を科す「日勤教育」を恐れ、遅れを取り戻そうと焦ったことが事故の遠因と指摘する声もある。しかし、高見運転士の死亡で精神状態の解明が困難なこともあり、異常運転との因果関係の立証は困難とみられる。【田中謙吉、近藤大介】
まあ、記事の内容としては納得のいくものである。個人的には、本来ならばJR幹部を立件すべきだとは思うのだが、物証に乏しく、高見運転士も殉職したとあれば、立件するのは非常に困難である。
これが、産経新聞だと、このような記事になる。
Yahoo!ニュース…JR西の日勤教育、過密ダイヤ…実態、他社と同じ 捜査本部…産経新聞
兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、尼崎東署捜査本部が、JR東日本や関西私鉄各社などから運転士教育の懲罰性や、ダイヤ編成の過密さについて任意で聴取した結果、JR西日本の実態と明確な差異がなかったことが十九日、分かった。これまで日勤教育や過密ダイヤが運転士の焦りを招き、事故を引き起こした要因として指摘されてきたが、事故との因果関係を立証するのは困難との見方も出ている。捜査本部は会社側の管理責任について慎重に調べを進めている。
捜査本部は、JR西と他社の実態を比較した結果、他社にも運転ミスに対するペナルティーとして乗務を外して繰り返しリポートを書かせるなどの運転士教育をしているケースがあり、懲罰性についてJR西と明らかな差はみられないことが分かった。
また、過密とされたダイヤ編成についても、福知山線以上に運行本数が多い路線はJR東などにあるが、多数の死傷者を出す事故は発生していない▽JR西がダイヤを厳守するよう運転士に与えた重圧は他社に比べて突出していない-などを確認した。
待 て や こ ら 。
日勤教育はともかく、過密ダイヤが他社と差異がないのは当たり前やろ。
問題は過密ダイヤなのではなく、運転時分に余裕があったかどうかだ。産経新聞の言うとおり、過密ダイヤが行き過ぎていたとなれば、山手線や中央線などは行政指導、あるいは運行停止命令ものである。
運転時分に余裕がなければ、わずかに客扱いに手間取ったとしてもすぐ遅れるし(週末の深夜時間帯にしばしば電車が遅れを持つのはこのため)、遅れたとしても取り戻すことは不可能なくらいのタイトなダイヤ構成では、運転士の心理に悪影響が及んだとしてもなんら不思議ではない。
JR西日本で大事故が発生して、なぜ東日本で大事故が発生してないかといえば、東日本は一部の列車を除いて(成田エクスプレスなど)、余裕時分を持ってダイヤ構成されているので、取り返すことが可能だからである。よく、「なぜ東は西に比べて電車がちんたら走っているのか」という疑問をぶつけられることがあるのだが、過密ダイヤの余裕時分を取っているからである。仮に福知山線で事故を起こした当該列車のダイヤのように、「余裕時分全くのゼロ」で中央線快速電車のダイヤを組んだとしたら、ひとたびどこかでちょっとでも輸送障害が起こったら、たちどころに快速電車の運行は麻痺状態になってしまう。
産経新聞のように、過密ダイヤだからといって、それが事故につながったと断定するのは間違っている。問題は「過密ダイヤ」ではなく「運転時分の余裕の有無」なのである。はっきり言って、事故から一年も経っているのにこの不勉強とは今更なにをか況やで、この記事を書いたのがもし鉄道記者だとしたら、記者クラブに産経新聞のブースなどいらぬ。まあ、捜査本部とあるから、鉄道のシステムに詳しくない社会部記者が書いたのかなという気もするのだが。
「運転時分余裕ゼロ」というのは、ある意味運転士と車掌を追い込む無茶なダイヤ構成で、そこでJR西日本の首脳陣を立件できないかと思うのだが…。物証がないのか…。残念である。
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