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ケンタシノリのバルコニーから眺めて

【第1話】真夜中のこわいお化けと水助くんのおねしょ

 むかしむかし、ある山おくに小さな家がありました。

 その家には、やさしいおじいちゃんとおばあちゃんがふたりでくらしています。

 そんなふたりがいつも楽しみにしているのが、男の子がこの家にやってきておとまりをすることです。でも、この家におとまりできるのはおじいちゃんからの手紙を受け取った男の子だけです。

 手紙を受け取った男の子たちには、ある共通点が3つあります。

 1つ目はいつもはらがけ1まいだけですごしていること、2つ目はおふとんにおねしょをしてしまうこと、そして3つめはお化けがとてもこわくて便所へ行くことができないことです。

 今日も、小さな家へはらがけをつけたぼうず頭の男の子がお母さんといっしょにやってきました。家の前には、おじいちゃんとおばあちゃんがやさしい顔つきで立っています。

「ぼうや、わしの家へよくきたね。お名前を教えてくれないかな」
「ぼくの名前は、水助みずすけで10才の男の子だよ!」

 おじいちゃんの前で自分の名前を言った水助ですが、となりにいるお母さんが持っているものを見て思わず顔を赤らめています。

「おやおや、どうしたのかな?」
「えへへ……。今日もおふとんにおねしょをしちゃった」

 水助は10才になっても、まだおねしょが治る気配がありません。お母さんがわざわざ持ってきたのは、水助がやってしまったおねしょぶとんです。

「母ちゃん、おねしょしてごめんね」
「おねしょのことぐらい、あたしは気にしていないから」

 おねしょをしちゃった水助にやさしく声をかけるお母さんに、おじいちゃんとおばあちゃんはそれぞれ口を開けました。

「おねしょぐらいのことでしょんぼりしたら、男の子らしくないぞ」
「おふとんへおねしょをしたってだいじょうぶだからね」

 水助はおじいちゃんとおばあちゃんのはげましを受けると、いつもの明るい顔つきにもどりました。

 こうして、水助は小さな家でおじいちゃんとおばあちゃんとおとまりをすることになりました。しかし、庭の物ほしのほうから不気味な声らしきものが発していることに水助は気づいていません。

「フヒヒヒヒヒ……。今日もおねしょが治っていない男の子がおとまりにきたようだな」
「きのうの夜も、男の子がわしらの姿を見ただけで便所からにげ出してこの家へもどっていったし」

 不気味な声の主がだれなのかはまだ分からないし、すがたもまったく見えません。

 しかし、声の主は目の前にあるおねしょぶとんをじっと見つめています。物ほしには、この家におとまりした男の子のおねしょぶとんがほされています。

「あれだけこわがらせれば、おねしょをしちゃうことぐらいたやすいものさ」
「今日の男の子もお化けを相当こわがっているだろうし、夜がくるのが今から楽しみでたまらないなあ。フヒヒヒヒヒ……」

 その笑い声は、すがたが見えないこともあって不気味さをきわだたせています。

※第2話以降は、こちらの小説投稿サイトにて読むことができます(無料です)。 
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