カモシカさんの山行記録・旅日記etc.

山は心のふるさと。登山(アルプス~低山まで)・ハイキング・小旅行の気ままな記録です。

三ッ岳(雪山デビュー 2ーB)

2008-01-23 | 山行記録

 雪山デビュー 三つめは

      三ッ岳 敗退!

 

 坪庭~北横岳間のメインルートから横道へ入る。

 当初の予定は 
 <坪庭-北横ヒュッテ-横岳-~ 三ツ岳-雨池山-雨池峠-坪庭>
 
の予定だ。
                     

 山をはじめたばかりの素人同然のころ歩いたルートだ。
 夏場ならお手軽なお散歩コースだが、冬場は三ッ岳~雨池山へはめったに人が
 入らないと聞いていた。

 三ッ岳の先はスノーシューで坪庭までラウンドするつもりでいた。
 ルート不明瞭な場合や万一時間切れの場合には、
 行けるところまで行って引き返せばいいくらいの心積もりでいた。

 しかし、前半の三ッ岳で困難な局面に出くわすことになる

 

 枝道から進行方向を伺うと、どっさり積もったふかふかの状態の雪だ。
 予想通りのルート状態なので、スノーシューに履き替えてのスタートだ。

 スノーシューなら足をとられることもなく快適にルートを進めた。
 いたずら心で少々脇にそれて柔らかそうな雪の上に乗ると
 スノーシューといえどもズッポリ埋まる。

 三ッ岳までは比較的メジャーなはずだが、早くもこの状態だ。この先、
 三ッ岳~雨池山方面へのルート状態を予測すると一抹の不安が頭をよぎる
 のであった。

 

 ソフトクリームのような樹氷の林を辿る。ルートは狭い。

 

 一旦林が途切れ、三ッ岳のピークが確認できる。

 

 岩岩のピークが近づいてくる。

 

 あとひと登りのところまで迫る。

 

 進行方向右手には、縞枯山が見える。

 

 樹林帯を抜けると強風がもろに体にぶつかる。

 

 直下まで来ると 足元の雪質も急変する。
 ここで12本爪のアイゼンに履き替え、慎重に岩稜帯へと侵入していく。

 

 トレースが見当たらない。それほど人が入っている感じはしない。
 もっとも急峻な岩場で、雪が強風で飛ばされ、岩肌が露わになっている部分や
 氷結している部分、岩と岩の隙間だけに雪が積もって下は空洞の部分など 
 雪山初心者にとっては条件の悪い状態が続く。

 夏場なら、遊び感覚でひょいひょい登ってしまうこんな小さな山も手強い。

 幸い途中からも展望はよく、小ぶりながらも気持ちのいいピークである。

 

 登り始めて下を振り返る。

 

 慎重にアイゼンを噛まして登っていく。

 

 いよいよ山頂直下まで迫る。

 だが、ここで困難な局面に遭遇する。

 岩の上にしっかり雪がついていれば、もっと楽に登れると思うのだが・・・。

 安全なルートを見出せない。

 時折、強く吹く風に冷やりとする。

 

 岩の上の雪面を慎重に登るが、この上で限界だった。

 

回り込んで、斜上を試みるが万一の事態を考えると躊躇して動けない。

 

 風で雪が飛ばされている。こっちはアイゼンが利かない。

 

 どうしても確信の持てるルートが見出せない。

 

 一つひとつの岩についている雪質も異なる。
 柔らかいの、アイス、ミックスなど夏場なら、どうということない岩場が怖い。

 

 スリップしたら・・・・・。

 

 強引に登れば登れるかもしれない。 だが、・・・・・。

 

 下りまで考えると 臆病になる。

 

 滑落しても穂高のようなことはないが、それなりに高い。前後に誰もいない状況だ。

 

 一枚岩の岩ではなく幾つもの岩が重なり合っているピークだ。

 ストックで(今回のコースならとピッケルは置いてきた)雪面を突いてみるが、
 空洞の穴が開いている箇所多々ある。
 踏み抜けば、ズッポリ穴の中に落ち込む事態となり、自力で抜け出すのも困難だ。

 

 スリップしたら、停まらない。怪我も避けられないだろう。強風も怖い。

 

 今の実力では、困難である。まして独りで、滑落したり、岩の穴に落ちたら
 自力脱出・生還の確信が持てない。
 初冬の阿弥陀南稜や丁須ノ頭のTOPに登った時のGOサインがどうしても
 出せなかった。
山頂を目前にして不甲斐なさでいっぱいだ。
 雪山の熟達者なら、いとも簡単に登って、降りてくるのかもしれない。

 臆病者、意気地なしといわれてもいい。安全登山を第一に、撤退を決めた。

 

 せめて、山頂に近いところからの展望を眺めながら下ることにしよう。

 坪庭の雪原の向うには南アルプス。

 

 下りにかかると足元はこんな感じ。

 

 視線を上げると先程までいた北横岳が見える。

 

 さらにその右にプリンのような山容の蓼科山の頭が見える。

 

 坪庭に向かってのんびり下っていく。

 

 坪庭の雪の造形。

 

 朝とはまた違った味わいをかもし出す。

 

 縞枯山。手前の平地の雪原の風紋が、今日1日の風の強さを物語る。

 

 RWの山頂駅がすぐそこに見える。フィナーレは近い。

 

 天狗岳から続く南八の峰々を眺めながら下る。

 

 帰路、夕日に輝く赤岳・阿弥陀岳・権現岳を望むことができた。

 「また来るよ!」 いつものように手を振って今日の山にさよならするのであった。

 

 

 

 雪山デビュー2日目の所感

 北横岳

 お手軽な山と楽観していたが、とんでもない。アプローチは至って簡単だが、
 これだけ風が強いと立っていることさえままならない。
 前日の蓼科山よりはるかに強烈な風を経験した。
 幸い足場は踏ん張れるだけの余地があったから、よい経験で済んだが、
 これが切り立った岩だったら(まだ当分行くことはないが)と思うとぞっとする。

 三ッ岳

 夏場なら、ルンルンノ丘って感じだが、雪があると容易ではなくなる。
 しくじったら岩と岩の隙間の穴にズッポリとはまり危険と判断。
 風も強く振り返るとトレースがかき消されている。

 たけ小屋の仲間たち(ロビ隊7人衆)が、3日に登頂した時には、雪がしっかりと
 ついていて足が決められたようだが、今回は、岩の氷結の上に新たに雪。
 ズッポリ穴が見えている部分も多数。
 また、隠れていて一見雪がたんまり乗っている部分でも念のために突いてみると
 ズ ッポリだ。
 強風、足場の不確かさ、ズッポリ穴の恐怖、など危険要素が多数ある。
 単独行でもあること、登ってくる人の姿もなかったことから、撤退を決めた。

 夏山なら超初心者のための山なのに、
 これほどまでに難度・危険度がアップするとは!
 いい経験になった。

 

 

 雪山の魅力雪山の怖さ、ほんのちょっぴり体感できた。

 もっとダイナミックな展望と稜線を求めてチャレンジする気持ちがわかる。

 私もいつかはと思う。

 しかし、毎年繰り返される雪山の事故・遭難。

 山の総合力が問われる雪山登山。
 まだまだ修行。精進しなくてはと思うのであった。

 自然は大いに楽しみたい。
 しかし同時に、自然に対して謙虚でなくてはならないと思うのである。

 雪山へのはじめの一歩は踏み出した。

 あの雪の頂に立ってみたい。だが、ビスターリ、ビスターリ・・・・・・・・。
 

 

 

 

コメント (26)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北横岳(雪山デビュー 2-A) | トップ | 08’春を探そう A 「さく... »
最新の画像もっと見る

26 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良い判断だったと思います。 (三脚マン)
2008-01-23 22:35:02
雪と岩と氷のミックスは、一番怖いと思います。
氷かと思ったら、岩、アイゼンは噛みませんね。
気を使うところです。

風も怖いし、ホワイトアウトも怖い。
いろいろありますが、お互い経験を積んで、雪山を続けましょうね。
返信する
美し過ぎる! (たんべぇ)
2008-01-23 22:37:07
北横岳といい三ツ岳といい、思いっきり冬山してますね~
これだけキレイな景色を見せつけられたらもう行くしかありません!
で、2月になったらわたしも出動しま~す(^-^)v もうガマンできません。
でも、けっこう厳しいですね、晴れるといいな!!
返信する
Unknown (食う寝るさんだ~す)
2008-01-23 22:58:02
三ツ岳の撤退は単独でその状況なら当然ですよ~。
無理しないのがなによりですよ。

オイラ達の時も、写真では解り難いのですが、鎖への取り付きと、その先の一手は厄介だったのですよ~
しかも、やっぱり雪が抜けるとこ一杯で、意外と危ない状況だったと思います。
風もそうとう強かったですしね。

状況判断、なにより心のアンテナですね(笑)
返信する
Unknown (ロビン)
2008-01-23 23:14:40
ムリは禁物ー ウリは食物ーっていうじゃん。
よかったですねー 無事で何より。
なんつたって、単独でズッポシはまる!ってのが一番怖い。
・・・と私は思うのです。(もちろん滑落も)
だってハマリながら何をしても抜けないで
蟻地獄のように、通りかかる人を待つなんて。。。怖すぎー
雪山はちょっとずつの進歩ですよ。
その過程を楽しまなくっちゃ。
それより キレイな雪景色と戯れられてよかったねー
返信する
雪山怖そうですね (えいじ)
2008-01-24 00:09:30
カモシカさんのレポートに見せられて北八ヶ岳に行ってきましたが、北横岳方面に向わなくて正解だったと思いました。私も昨年一人で日光の切込湖に行ったときに岩の間に嵌まって怖い思いをしたことを思い出しました。お互い気をつけて楽しみましょう。
返信する
Unknown (シャイン)
2008-01-24 01:07:10
雪山の楽しさと恐さ。。
色々な面で素晴らしいご経験でしたねぇ♪
自然だけは手玉に取れない・・
からこそ魅力尽きる事なく挑戦も続いてくのかな^^?
返信する
雪山 (やまとそば)
2008-01-24 22:07:34
雪山綺麗ですね!
そして、撤退!!
それも皆様の判断通り素晴らしいと思います。
無理はしない事ですね←私自身にも言い聞かせます(汗)
返信する
緊張感 (りん)
2008-01-24 22:14:19
リアルに細かくレポして下さって有難うございます。
緊張感が伝わって私までドキドキしてしまいました。
私はいつも連れていってもらう形でしか雪山は歩いてこなかったので、今でも一人では入れません。
雪山は綺麗で楽しいですが、今回のカモシカさんの緊張感をいつまでも忘れてはいけないと改めて思いました。
穂高で滑落した時の記憶もまだ残ってたまに蘇る時があるんです。
バウンドして背中を強打したこと、頭が上に下に横になって滑ったこと・・・。止まって~!と祈りやっと止まってくれたこと・・・。
カモシカさんも今回の判断が次回に繋がったのだと自信を持って下さいね。
私もいつか無理のないように少しずつ経験を重ねていきたいと思っています。
返信する
勇気ある撤退 (山空花)
2008-01-25 12:41:41
敗退だっていいじゃあありませんか。
これだけの景色に出会えればお釣りが来ちゃいますよ~(*^_^*)
それに、冬山初めてすぐで何でも出来ちゃったらつまらないじゃないですか。
あともう少し雪が積もったら行けるかもしれないですし。

それにしても、カモシカさんの撮る写真は正に紺碧の青空ですよね~。一体どんな業を使っていらっしゃるのでしょう??
今回も青い空に白い雪景色、ご馳走様でした(^o^)/
返信する
三脚マンさん (カモシカ)
2008-01-25 20:19:33
雪と岩と氷のミックス、やはり難しい局面なのですね。
強風、ホワイトアウトetc.
>お互い経験を積んで、雪山を続けましょうね
 ありがとうございます。教えを請いながら、ついて行きます。
返信する

コメントを投稿

山行記録」カテゴリの最新記事