露は科学的に言えば、大気中の水蒸気が気温の低下によって水滴となって姿をあらわしたもの。この点では霞、雨、霜、雪などと同じく、変化しツズケる水蒸気の仮の姿のひとつ。文学的には、露は古くから「はかないもの」の象徴とされてきた。揺れると、こぼれ、日がさすと、たちまち干上がって消滅してしまうからだ。「露の世」「露の命」という慣用句は、この世のはかない露にたとえる。秋の季語にしているのは、秋は夜の気温が下がるので露が結びやすいからだが、澄きった露の玉が秋の涼しさ、冷ややかさを感じさせるからでもある。「白露や角に目を持つかたつぶり 蘭 雪」「露の世は露の世ながらさりながら 一 茶」「芋の露連山山影を正しうす 飯田蛇笏」「金J剛の露一つぶや石の上 川端茅舎」。(落ち落ちて露は木の葉となりにけり ケイスケ)。
タマスダレ;玉簾。(ヒガンバナ科)花言葉は、潔白な愛。南米原産、ヒガンバナ科の球根植物。明治の初めに渡来。花壇の縁取りなどに植えられる。草丈20~30㎝、葉は線状で肉厚。春~秋に10枚ほど出葉すが、この葉を簾に見立てた花名である。7~9月に長さ20~30センチの花茎を伸ばし、その先端に径4~5センチの六弁花を上向きにつける。花色は白,花弁の外側が桃色を帯びる。「レインりリ一」の英名があるが、雨の日の翌日に花茎が延びる。「厨口から出て玉簾咲く小径 桧山 實」「新月や夜は花とづる玉すだれ 藤井静江」「しろじろと息つめてをり玉すだれ 伝田 藍」。(雨後の日の玉簾は溢れけり ケイスケ)。