「政府は、外国人労働者の在留資格「特定技能」のうち、熟練した技能がある「2号」について、対象を現在の2分野から11分野に広げることを閣議決定した。幅広い分野で外国人の永住に道を開く」(朝日)
3年前に新設された「熟練した技能」が必要な2号は、3月末で11人だという。1号は15万4864人、技能実習生は32万4940人となっている。開いた口が大き過ぎてパッチを充てるしかない惨状だ。技能実習生と特定技能1号は在留期間5年だが、特定技能2号は在留期間の更新上限なしで家族帯同できるという。
経済界は、「人で不足の中、一生懸命働いてくれる従業員は宝。優秀な技術者を長く雇用できるのはありがたい」という本音が聴こえてくるのも当然だ。だが、『優秀な技術者』という形容詞に経済界の驕りが滲み出ている。優秀な技術者だったら賃金の安い日本に留まるだろうか。そういう態度で、日本に受け入れてあげるという感覚ではとても世界で生き残れるとは到底思えない。
世界のトップ経営者達は、欧米の白人といわれる人種をはるかに凌駕して世界経済をけん引している現状である。その殆どはアメリカ等に留学した若者たちであろう。米中の険悪な状況が続いているが、その頭脳は米国などで育まれた人が多くを占めるように思える。日本でも優秀な官僚の殆どは米国や英国に留学して知識や視野を広げて政財界をけん引しているように思える。
方や人口は坂道を転げるように減少しているが、その代替措置として安易に技能実習生や特定技能1号者で穴埋めしようとしている国の姿勢には唖然としてしまう。嘗て、食糧難に見舞われた日本は、外務省の杜撰ともいえる海外移住政策によって筆舌に尽くしがたい災難辛苦を味わったという話がある。現在でも世界で380万人、中南米で224万人の日系人が暮らしているという。(その中に私の親族が含まれている)
改正入管法問題もそうだが、安寧な地位と場所を確保している人たちが、他人事のように物事を机上で淡々と推し進めているようで適わない。もう少し自分事として問題解決にあたれないものなのだろうか。特定技能2号が3年で11人という数字が示すのは日本人の島国根性に他ならない。小生の半世紀近い仕事経験からしても特定技能2号を上回る日本人が何割居るだろうか?はなはだ疑問である。
不良品を乱造しろというのではない。海外から日本を助けに来てくれる人たちにもう少し”おもてなし”ができないものだろうかと言いたいのである。あのふざけた東京五輪を開催する代わりに、海外から来ている人たちや難民の人たちに温かい手を差し伸べていればどんなに開かれた先進国の日本になっていただろうに、金をばら撒いて観光客誘致に汗をかく必要もなかったのにと悔やまれてならない。
『巷で出来の悪い事例が数多ある。例えば、マイナンバーが一例だ。お粗末な号令の下、世界に笑われるような杜撰な実態が次から次と起こって、制度設計自体を見直す意見まで出てきている始末だ。”デジタル庁には哲学がない”とその筋の先生に指摘されても仕方がない。出来うるならば、あのスパコン富岳のように世界一のマイナンバー構築をできなかったものだろうか。号令をかけた政府が無念でならない。
ではどうすればいいのか。簡単である。何兆円もの金を注ぎ込むから間違いが起こるのである。いいものだったら賢明な国民性からして自然とマイナンバー取得者が増えるはずである。どうして新型コロナで国民全員に10万円もの金をばらまくのか、国民の利便性向上のマイナンバーに2万円もの金をばらまくのか。国には金が有り余っているとしか思えない。商売していたら、お金を配って商品を売る商人がどこにいるのだろう。』