

前回のつづき
カシオドロスの手紙その2
お前たちの家がどの様に出来たか思い起こすのは私にとっても興味深いこと。
多くの有能で高貴な人々がヴェネト地方から出たものだ。
ヴェネト地方は、南はラヴェンナとポー河に接し、東はアドリア海沿岸の美しい浜辺に接している。
潮の満ち引きによる海水が、時には地を閉じ時には地を開く。
そこで暮らしているお前たちの家は水鳥のように、海面に漂ったり岩の上で翼を休めているように見える。
自然の営みで成立したのではなく、お前たちの努力の結果だ。

そこに住む人々が豊富に持っている食糧とは魚🐟しかなく、富める者も貧しき者も平等に分けあっている。
また皆同じような大きさと造りの建物は、隣人を羨望するという世俗の悪からお前たちを遠退けている。
ベネツィアに住むお前たちは、塩田の開発が主な産業で他地域に居る人々が畑ですきを引き鎌を使うのに、お前たちは塩を細かくするために、石臼(うす)を回す。
黄金、それを持たなくても人は生きて行ける。
だが、食物を保存するだけでなく、より美味にする塩は誰にとっても必要だ。
だからお前たちは塩を売り、必要で欲しいものを買い求めることが出来るのである。
では船を整備しておくように。
お前たちの家の横につないで欲しい。
お前たちの家畜と同じように。
イストリアには、ベテランのロレンティウスを派遣したから、彼が農産物を終結
したら、運搬して欲しい。
何らかの障害や経費の問題が理由で輸送の遅延がないよう農産物がなるべく早くラヴェンナに到着するよう全員で努力して欲しい❗
絶句✨
記憶、地理、自然、物理、比喩、歴史、
讚美、正義、生業、倫理、物質、生活 だけではなく、
遠回しに許可を気付かせている。
支配者を忘れないようにと。

塩が利いている。
文明国ロマネスクの教育に
絶句✨
カシオドロスの手紙(指令書)
塩野七重著作
ローマ世界の終焉より
ローマ人の物語
からの引用文です。
ありがとうございました❗