氣温がぐんと下がって、強い風が吹いて、ふと氣がついたら お隣小学校のイチョウの木の葉っぱが ほとんどなくなっていました。
暖かい日続きで 今が12月だということも忘れそうなほどだったけれど、やっぱりもう冬なんだね。
10日の今年さいごの読み聞かせで、ずっと “封印” していた絵本を 6年ぶりに読みました。
担当学年は 5~6年生、6年前にはまだ保育所に通っていた子たち。
読んだ絵本は、「100万回生きたねこ」 。
絵本の筋は、書きません。
まだご存知ない方には、なるべくなら なんの予備知識もない まっさらなままで、この本と出会っていただきたいから。
心からおすすめしたいけれど、どういうお話かは語りたくないジレンマ、ここからこの話 どうやって進めましょう。。。。
筋は書かないけれど、内容には どうしても触れないわけにいかないので、よし まっさらな状態のままでいよう、と思われた方は ごめんなさい、ここまでにしておいてください m(__)m
* * * * *
この絵本を読めなくなったのは、その中のたった二文字、「ええ」 というせりふが どうしても納得いくように読めなかったため。
100万回も 死んでは生き 死んでは生き を繰り返した、自分大好き、今でいうところの 「自己中」 なねこを がらりと変えた、白いめすねことの出会い、そして その白いねこが ねこに向かって言った、「ええ」 という言葉。
ビートルズのジョン ・ レノンが、オノ ・ ヨーコの個展で 初めて彼女と出会ったとき、作品 「天井の絵」 で 部屋の真ん中の白い脚立に昇り、ぶら下がった虫眼鏡で 天井に書かれた小さな文字を読んだら、「YES」 と書かれていた、というエピソードが好きです。
ふたりの出会いのきっかけとなった 「YES」 という言葉、そして その後のふたりのたどった道筋、それほどまでに人生を大きく動かす 「YES」 に匹敵すると思える、白いねこの 「ええ」 。
いつものように なにげなく借りてきた絵本の たった二文字を、何度練習しても、どうしても満足いくように読めない。
たった二文字だからこそ、そこにすべてを変えるほどの力がある、と意識するほどに、どう読めばいいのかわからなくなって、深夜まで 呻吟し続けることに。
迎えた当日、この本を子どもたちに紹介できたことはうれしかったけれど、「ええ」 は やっぱり満足できませんでした。
そして、この本は この 「ええ」 を消化できるまでは もう読むまい、と決めたのです。
それが、今回の読み聞かせの前日、図書館でふと 「100万回生きたねこ」 を見かけたとき、なぜか 「読みたい、 読もう」 となって。
理由はまったくわからないまま、「読みたい」 という思いに なんの抵抗も覚えなかった自分に驚きつつ、それならば と素直に借りてきました。
その晩、久しぶりに声に出して読んでみて、びっくり。
くだんの 「ええ」 に、なんの引っかかりもない。
うまいとかへたとか そんなことじゃない、ただ自分の中で、自分の 「ええ」 という声が、なんの違和感もわだかまりもないまま すぅーっと通り抜けて消えてゆく、それを見送る あたたかく満ち足りた思い。
そして当日、やはり 「ええ」 は すんなりあたたかく通り抜けていきました。
変わったんだな・・・・と、思うともなく思いました。
あの 「ええ」 は、ほかでもない、自分が 自分に対して言った 「ええ」 だったのかもしれません。