日本戦略研究所

日本再興の砦

郵政民営化で官僚の資金源を断て

2005-08-23 16:37:03 | Weblog
 「郵政解散」、官僚の壟断から政治救う好機  政治評論家・屋山太郎【産経新聞 正論2005/08/22】

「郵政解散」の意義は日本の病巣清算

 ≪反対派の非公認は当然だ≫
 今回の総選挙を(1)政党のあり方(2)官僚政治システムの根本的改革-のきっかけにしなければならない。

 小泉首相が「構造改革の本丸」としてきた郵政民営化法案が参院で否決されたことについて、「改めて国民の声を聞いてみたい」と衆院を解散した。小泉氏は過去3回の国政選挙と、2回の自民党総裁選で郵政の民営化を唱え、03年の衆院選のマニフェスト(政権公約)では「郵政事業を07年四月に民営化する」と明確にしている。
ところが、自民党では郵政族が反対し、総務会での多数決も「認めない」として、ついに参院で否決してしまった。

 これまでの自民党政治は、勝てる総裁を担いで、適当な政策を並べて政権を取る。取った後は総裁が公約したものであれ、「党内のコンセンサスが得られない」と改革案をつぶす歴史の連続だった。

 選挙制度を小選挙区比例代表並立制に変えたのは、こういうインチキな政党の歴史を清算し、まともな政党政治を確立する狙いだった。
党内で論議して最後は多数決で決め、それに従うというのが政党政治、民主主義の基本だ。これは民主党にも当てはまる。

 小泉総裁が最重要と信じる郵政民営化について、国民の声を聞く以上、反対派を公認しないのは当然だ。
賛成の人は自民党、反対の人は民主党と色分けがはっきりし、国民の政党評価を容易にする。


 ≪「官」の握る金を取り戻せ≫
 郵政民営化に失敗すれば、明治以来の「官僚内閣制」を清算できないだろう。明治の官僚内閣制は官僚が行政府と立法府の二府を握るというものだった。後発資本主義国として、当時は必要だったが、今日もこの形がまったく変わっていないのが日本の病巣だ。

 総理大臣が民営化の号令をかけているのに、総務省の郵政担当の次官級官僚二人は、与党を民営化阻止の根回しに歩いた。
目に余る動きに、首相は二人を担当替えしたが、本来なら解任されて当然だ。一方で、旧郵政官僚の長谷川憲正参院議員は、与党や総理大臣の意向を無視し、総務省(旧郵政省)の手先となって法案つぶしに動いた。

 党の最重要法案をつぶす動きに除名もできないのでは政党の体をなさない。各省ともこの種のOBを送り込み、出身省の指示によって立法府を牛耳っている。
本省と結びついたOBを排除しない限り、三権分立はありえない。

 郵政民営化が必要なのは、個人金融資産1400兆円のうちの約四分の一にあたる340兆円を「官」が握る形をやめるためだ。この資金を使う公団、事業団が乱立し、本来、税金を使うべき道路や橋を金利のついた金で造る悪習が蔓延(まんえん)した。

 瀬戸内海の本四架橋三本で、毎年500億円の赤字が発生している。古くは国鉄が2兆円の赤字を垂れ流し、それを郵貯・簡保を原資とする財政投融資資金で賄い、利子分を一般会計に計上した。見た目には200-300億円だが、裏に2兆円もの金利のついた借金が隠されていたのだ。

 小泉内閣が誕生したとき、亀井静香元政調会長は30兆円の財政資金を投入して景気対策をやれ-と提唱した。亀井式景気対策は、官業の部分に金をぶち込んで景気をよくしろというものだが、もともと官業に金を投入しても波及効果は少ない。


 ≪民営化は官僚の資金源を断ち、改革をもたらす≫
 その効率の悪い景気対策を歴代続けてきたからこそ、国と地方の借金が770兆円にも膨らんだのである。なぜそんな無駄をやったか。
特殊法人への天下り官僚に仕事を供給してやり、そのおこぼれを政治献金として政治家がもらう政・官・業の癒着システムが完成しているからだ。

 日本の公共投資はGDP(国内総生産)比で、先進国の3倍以上(6.2%)もあった。小泉政権発足以来、相当減ったが、増えた主因は郵貯・簡保の金を無駄に使ったからだ。財務省は「財投はすでにやめた」と強弁しているが、郵貯・簡保の金が官の手にある限り、官業システムは存続する。

 いまどき、先進国で中央省庁が建設技監を雇っている国があるか。建設技監を雇えば、そのための事業を国が作ってやらねばならない。
日本道路公団から関連会社への天下りとすさまじい談合。すべて官が直轄事業をやることから発生する不正だ。

 郵貯・簡保を民営化すれば、その金はおのずと必要なところに流れていく。そもそも直轄事業などはまったく必要ない。金さえ渡せば、地方が適切に使うからだ。

 国の官業システムの資金源を断ち、官僚の壟断(ろうだん)から政治を救うチャンスだ。 (ややま たろう)


原爆投下や東京大空襲による民間人大量虐殺はアウシュヴィツより悪質であった

2005-08-21 16:30:41 | Weblog
米国による大量虐殺の被害国 日本を裁いた東京裁判の欺瞞  上智大学名誉教授・渡部昇一 【産経新聞 2005/08/21】

 ≪謝罪を忘れたアメリカ文明≫
 「私たちは広島に原爆を投下したことを後悔していない」と、その時の飛行士たちが声明しているということをテレビのニュースで知った。同じ話を聞いたのは十数年前のハワイであった。その時は日米開戦50周年で、ブッシュ大統領(今の大統領の父)が本土からハワイにやってきて、半分以上沈んでいる戦艦アリゾナの上で追悼式をやったのであった。そこで記者から質問を受けた。

 「あの戦争が原爆で終わったことをどう思っているのか」これに対してブッシュ大統領は「アイアム ノットソリー」と答えたのであった。私もたまたま開戦50周年記念で日系市民に講演するためハワイにいたので、現地のテレビ中継で見たのである。

 通常ならば、一発で十万人以上もの市民を殺したことに対して“ソリー”と感ずるのが正常である。ところが悪いと内心では思っていても、謝らないのがアメリカ文明-あるいは国際的慣習-である。そのことをわれわれも「自動車事故のときに絶対謝るな」という形で戦後教えられてきている。自分は謝らないで何とか相手の落ち度を見つけて逆襲するのである。原爆を落としても、悪いと思わないと主張するアメリカ人たちの論拠はいつも同じである。

 「もし原爆を落とさなかったら、もっと多くの人たちが死ぬような戦争が続いたことであろう」

 私もこれと同じことを聞かされたことがある。それは政治と関係のない学会がベルリンで行われたときの、自由時間における雑談の中でであった。私はこう答えた。

 「もし戦争を早く終わらせるために、普通の市民を大量虐殺してもよいというならば、毒ガスでもよかったのではありませんか。なぜそうしなかったのです」

 その人はアッと気付いた様子だった。そして「そういう見方があるとは知りませんでした」といった。この人には良心が正常に働いていた。


 ≪市民攻撃の思想ない日本軍≫
 日本の真珠湾攻撃から日米の戦いが始まったことは確かである。無通告攻撃の非難はあったが、それは日本政府や軍首脳部の意図でないことが明らかであったので、東京裁判でも問題にされなかった。真珠湾攻撃は奇襲であったにせよ、一般市民を攻撃の目的にはしていない(多少の被害者が出たといわれるが、それは米軍の高射砲の破片のせいだとされている)。

 他の戦場でも日本軍が市民の大量虐殺の計画を示したことはない。シナ大陸の戦場でも、北京、上海、漢口などの大都市でも市民への虐殺行為などは皆無といってもいい。

 南京だけは日本軍のオープン・シティーの勧告を無視して市街戦をやることにした敵側に責任がある。市街戦をやれば市民にとばっちりがかかる。しかも敵は便衣兵(市民の服装をした不法戦闘員)が多くいた。

 そのような事情の下で一般人が被害を受けることは、アメリカもベトナムや、イラクのファルージャで体験していることだ。こういう場合の一般人の被害と、初めから市民虐殺を計画したのとでは根本的に異なる。日本軍には市民大量虐殺の思想はなく、ヒトラーやルーズベルト、トルーマンにはそれがあったと断言できる。

 原爆に限らず、三月十日の東京大空襲でも、一晩に十万人もの一般市民が殺された。十万人殺すのにアウシュヴィツでは何カ月必要だったろう。


 ≪「二度と戦争を…」の方便≫
 こんなことを私がいうのは、反米思想を煽(あお)るためではない。東京裁判の根本的な不正を指摘したいためである。

 東京裁判におけるキーナン首席検事の論告を読んでいたら、それはまさにアメリカに向けられるべきものであることが明白であった。彼は文明の裁判といいながら、事後法を使い、裁判管轄権をも明らかにしえない裁判で、ソ連をも民主主義国といい、大量虐殺の被害国を裁いたのである。

 それは二度と戦争が起きないようにするため、と彼はいったが、裁判終結後、2年もたたぬうちに朝鮮戦争が始まり、次いでベトナム戦争…と続いている。東京裁判をやらせたマッカーサー元帥は、アメリカ上院で「日本が大戦に突入したのは自衛が主たる目的だった」と証言してくれたが、日本のマスコミはそのことを国民から隠し続けている。

 そして原爆も日本が悪かったからだという市長もいる。東京裁判を弁護する大新聞*もあり、政治家もいる。嗚呼。(わたなべ しょういち)

*朝日新聞


杉並区、扶桑社の歴史教科書採択

2005-08-13 11:33:54 | Weblog


左翼の組織的妨害活動にもかかわらず、杉並区は扶桑社(つくる会)の歴史教科書を採択した。
子供達のために最適な教科書を選択した委員の方に、そして左翼過激派の妨害を監視するために杉並区役所に集まった有志の方々に敬意を表します。(日本戦略研究所)


○杉並区、扶桑社の歴史教科書採択 【産経新聞 2005/08/12】
 東京都杉並区教委は十二日の臨時教育委員会で、区立中二十三校と区立済美養護学校中学部で来春から4年間使用する歴史教科書として、新しい歴史教科書をつくる会のメンバーらが執筆した扶桑社の教科書を採択した。来年度の1年生約二千百人が使用し、自治体としては最大数となる。東京二十三区での採択は初めて。

 杉並区教委の採択審議は四日に行われたが、歴史の採択で意見がまとまらず、公民、地理、地図とともに継続審議になっていた。再審議では五人の教育委員のうち、納富善朗教育長、大蔵雄之助委員(東洋大教授、元TBS報道局長)、宮坂公夫委員(幼稚園園長)が扶桑社を支持、丸田頼一委員長(千葉大名誉教授)と安本ゆみ委員(元杉並区立小PTA連合協議会会長)が他社を推し、扶桑社に決まった。公民は大阪書籍が選ばれた。

 扶桑社の教科書は栃木県大田原市が市区町村で初めて採択。東京では都立の中高一貫四校、ろう・養護学校二十一校や私立の玉川学園中などが採択しているが、市区町村立中での採択はこれまでなかった。

 区役所には過激派の中核派が支援する「『つくる会』の教科書採択に反対する杉並親の会」や共産党と友好関係にある「杉並の教育を考えるみんなの会」の活動家ら反対勢力のほか、扶桑社教科書を支持する人たちやインターネット掲示板「2ちゃんねる」の呼びかけで集まったグループなど計約1150人(警視庁調べ)が詰めかけ、騒然とした雰囲気の中で審議が行われた。


○杉並区、扶桑社教科書を採択 罵声の中冷静な審議 【産経新聞 2005/08/13】

 ■賛否両派ら1000人以上集まる
 「非難や中傷は非常に残念」「狂気じみた妨害活動」-。十二日行われた東京都杉並区教委の教科書採択審議への過激派を含む組織的圧力に、関係者は顔をしかめた。
扶桑社支持派や「過激派の妨害を監視する」とする中立派も集まり、千人以上が区役所にあふれた。新しい歴史教科書をつくる会幹部は賛否双方の教育委員に「妨害の中での理性的な議論に敬意を表明したい」と語った。(教科書問題取材班)

 ≪中核派関与≫
 杉並区で扶桑社採択反対運動が目立った背景には、中核派が都議選に出馬した支援候補の選挙運動と連動して活動を展開したことが大きい。機関紙「前進」は毎号一面で採択阻止を呼びかけ、「『つくる会』の教科書採択に反対する杉並親の会」を支援。公安当局は中核派の動きを注視してきた。扶桑社支持派も危機感を募らせ、警視庁によると、この日の動員は「親の会」280人 ▽共産党系など二百人 ▽扶桑社支持派四百人 ▽その他270人-と、賛成、反対がほぼ拮抗(きっこう)した。

 審議は公開で行われ、二十枚の傍聴券を求めて約930人が長蛇の列。抽選にもれた人たちは音声だけが流れる別室などで審議に聞き入った。午前十時過ぎから始まった審議は歴史だけで2時間を費やした。

 ≪偏見「論破」≫
 「(扶桑社で学べば)戦争に向かうのではないかと不安を持った」。審議で一貫して扶桑社採択に反対した安本ゆみ委員はこう主張した。

 これに対し納富善朗教育長は「過去の歴史は戦争や紛争ばかり。扶桑社は戦争がなくならない現実を踏まえて平和にどう貢献するかを考えさせる」と反論。一社だけを排除しようとする姿勢に異議を唱えた。

 安本委員は最終的には「私は歴史の専門家ではない」などとかわすのが精いっぱいだった。

 ≪教育長を中傷≫
 扶桑社採択が決まると傍聴席の反対派は「扶桑社は教科書でない」「(教育長は)退場だ」などと大声で叫び、納富教育長を名指しして「大罪を犯した」「歴史に汚点を残した」と罵声(ばせい)を浴びせた。

 審議終了後、納富教育長は「委員個人に対する非難や中傷が生じたのは非常に残念」とのコメントを発表。憤りをにじませた。

 審議を傍聴したつくる会の藤岡信勝副会長は報道陣に「狂気じみた妨害活動」と指摘。圧力にも負けずに冷静な審議を進めた委員五人について「心より感謝と敬意を表明したい」「非常にレベルの高い議論だった」と述べた。


○教科書採択 審議の要旨 【産経新聞 2005/08/13 】
 大蔵雄之助委員(東洋大教授、元TBS報道局長)
 前回皆さんからいろいろな意見も出たし、もう1回教科書を読み直してみた。8冊の教科書を読んでみて同じ記述があるかどうか見た。そういう作業をしたとき、扶桑社が一番指導要領に近い記述をしていることが分かった。

 安本ゆみ委員(元杉並区立小PTA連合協議会会長)
 教科書は、いろいろな立場の人が納得はできないが理解はできるという最大公約数であるべきだ。(扶桑社の教科書が)あの戦争で「日本の将兵は敢闘精神を発揮してよく戦った」「多くの国民がよく働き、よく戦った」と書くなら、苦しんだ普通の人々の生活も書くべきだ。日本に都合の悪い歴史の事実を書かないことで行間から戦争に向かうのではないかと不安を持った。

 宮坂公夫委員(幼稚園園長)
 (扶桑社以外の)他の教科書を見ると、何か日本の過去は戦争ばかりといった印象になるが、過去の日本人の中にも外国人に尊敬され感謝された人も大勢いた。こういった人を載せて、昔の日本人にも外国の人のために尽くした人物がいたと子供たちに知らせるのは大事だ。歴史の人物を伝える個所は扶桑社が一番多い。扶桑社に関しては韓国、中国などの外国も巻き込んで批判があるのは承知しているが、もしわれわれの中で韓国などがうるさいから見送ろうという考えがあるならば、反対に韓国、中国に対する最大の侮辱だと思う。言うべきことは言う、それが本当の友好につながる。

 納富善朗教育長
 帝国書院と大阪書籍、扶桑社の(平和構築への)書き方の違いだが、帝国書院と大阪書籍は理念型だ。扶桑社は戦争はなくなりそうにもない、としている。3社の教科書を見ていくと、少なくとも共通して言えるのは、多くのページが戦争と紛争と争いだ。過去の現実から未来の現実を予想すると、残念ながら戦争や争いはなくならないのではないか。現実を直視した書き方が、争いを賛美したり助長しているとは全く思わない。(教科書は)そういう現実を踏まえて、中学生が世の中をよく知って平和がどう構築されるのか見極めていく素材だから。扶桑社の書き方から戦争賛美とか戦争に向かうことになるとかは思わない。

 安本委員
 私は歴史の専門家ではないし私の価値観がある。一番大切なのは現場の先生の気持ちだ。(教員が書いた)調査票では帝国書院でよいと多く書かれていた。

 丸田頼一委員長(千葉大名誉教授)
 扶桑社は全般的に説明調だ。(これまでの議論で)帝国書院や扶桑社などが出てきたが、大阪書籍も捨てがたい。

 宮坂委員
 教育長も言ったが、争いはなくならない。日本も明治以降戦争を行ったが、原因がある。われわれの父祖にも言い分がある。その言い分を子供にも聞いてもらおう。その上で批判するならば批判をする。一方的に語るのでは駄目でバランスが非常に大事。バランスを持っているのがどこかというと、大阪書籍もいいが扶桑社の方が上ではないか。

 大蔵委員
 子供たちが自発的な学習をするのは、全体に興味を持ってからだと思う。興味を持たせる意味では扶桑社が成功している。
安本委員に聞きたいが、「行間から戦争に向かうと思った」では議論はできない。それはどこかを言わないと。(答えはなし)

 納富教育長
 人物、文化遺産を取り上げ伝統文化を築いた先人の担い手を受け継ぐには、どのような歴史を経ていくのか。それを一番伝えているのは扶桑社だと思う。オンリーワンとして一つ挙げるのはやめるが、あえて順位をつけるのならば扶桑社、大阪書籍、帝国書院となる。

 丸田委員長
 歴史については扶桑社を教科書として採択する。


                ◇
 ◆愛媛の採択仮差し止め却下 松山地裁「申し立て憤慨に過ぎぬ」

 松山地裁は十二日までに、中高一貫校など愛媛県立学校への中学校用教科書の採択から、扶桑社版歴史・公民教科書を排除するよう求めた市民活動家らの仮差し止め申し立てについて、「申立人らの歴史観、信念と異なる教科書を採用されることに対する憤慨に過ぎない」として却下した。愛媛県の一連の教科書裁判で司法判断が示されたのは初めてで、全国で作業が進む教科書採択にも影響を与えそうだ。

 県教委などを相手取り、教科書採択の無効確認訴訟などを起こしている「えひめ教科書裁判を支える会」のメンバーら県内の七人が、今月二日に「同教科書が公立学校で使用されれば、アジア地域の人々に耐え難い精神的苦痛を与える」と差し止めを求めていた。

 同申し立ての本訴に当たる扶桑社版教科書の採択からの排除を求める訴訟は、まだ期日が決まっていない。

○「戦争」発言で公開質問状 教科書つくる会 【産経新聞 2005/08/09】
 新しい歴史教科書をつくる会の八木秀次会長と藤岡信勝副会長は八日、東京都杉並区教委の教科書採択審議で扶桑社の教科書について「戦争に向かわせる」と発言した安本ゆみ教育委員(元区立小PTA連合協議会会長)に具体的な記述を明らかにするよう求める公開質問状を送った。

 安本委員は平成13年の採択審議で北朝鮮の拉致事件を「事実かどうか分からない」と発言。この問題も含め十一日正午までの回答を求めた。

郵政民営化は「小さな政府」の原点

2005-08-11 20:51:27 | Weblog
○ 郵政民営化は「小さな政府」の原点=竹中担当相

竹中経済財政・郵政民営化担当相は、ロイターのインタビューに応え、郵政民営化は「小さな政府」の入り口の問題だとし、国民に「小さな政府」か「大きな政府」かの選択を迫る選挙だと述べた。
大きな政府とは、役人天国・官僚天国・重税国家だとも指摘、郵政民営化の是非を問う今回の選挙は、政権のためではない、日本の将来を決める選挙だと熱く語った。

 一方、郵政民営化に反対しながらも対案も出せない民主党には、「小さな政府」は実現できないとした。

 <総選挙の争点は、郵政民営化>
 総選挙の争点について、竹中担当相は、「今までの政治史のなかで、今回の選挙ほど、論点が明確な選挙はない。小さな政府か、大きな政府かを問う選挙だ」とし、「小さな政府を創るということの象徴に郵政民営化がある」と位置づけた。

 大きな政府では公務員は減らず、役人天国・官僚天国・重税国家だとも指摘。2年後には人口減少国家に入る日本にとって、「小さな政府を創らないと大変なことになる」と強調した。今後控える年金改革や財政再建も、「大きな政府のもとで行うか、小さな政府のもとで行うかで、国民の税負担は全く違ってくる。だからこそ、小さな政府(が必要)。その入り口に郵政民営化があり、全ての問題に共通する原点だ」と強調した。
 さらに、今回は郵政民営化法案が否決され、国民に信を問うとして衆議院を解散したのであり、総選挙の争点は、「郵政民営化、それに尽きる」と述べた。

 <民主党の「小さな政府」は中身もみえない>
 民主党が掲げる「小さな政府」についても、「全く理解できない。郵政公社の民営化に反対し、民間で出来る仕事を公務員にさせておいて、小さな政府を創るとは誰が考えても理解できない」と批判。3年間で10兆円の歳出削減を目指すとする民主党のマニフェスト(政権公約)の柱についても「一方で、高速道路は無料とする。そのための支出は国が負うことになる」と述べ、
郵政民営化に反対しながらも対案は出せず、歳出カットの中身も矛盾する民主党の「小さな政府」は、「中身をみるにも中身が見えない」と切り捨てた。

 さらに、郵政民営化に反対した自民党反対議員や民主党など野党には共通点が2つある、と指摘。
竹中担当相は、
(1)自民党では特定郵便局長の、民主党では労働組合の既得権益を守るという力学が働いていること、
(2)民営化に反対はするが対案も出さない──をあげ、既得権益を守り批判のみの対応であったことの問題を指摘した。

 <郵政民営化法案はベストの法案>
 選挙の行方や、参議院の構成が変わらない状況で法案を提出して可決されるかなどについて、竹中担当相は、「国民の審判を受けるのだから」として論評を避けた。ただ、「いずれにしても、これは、ひとつの政権のためではない。日本の将来のために、小さな政府か大きな政府かを決めてもらうこと。私は、小さな政府でなければ困ると思う。全力を傾けて訴えていきたい」と、熱い思いを語った。

 自民党反対派議員への対抗馬として衆議院への鞍替え要請があれば受けるかとの質問意対しては、「私の役割は全国を回って郵政民営化に対する支持を頂く。私が、ひとつの選挙区に張り付いてしまって、全国を回れなければ、それは得策ではない」と述べ、「現実的に考えてもらえば、あり得ない選択だ」と明確に否定した。
 一方、小泉首相は総選挙で勝った後、法案を再提出する意向を固めている。与党内調整で民営化の理念が後退したともみらえる法案の修正の可能性について、竹中担当相は、金融、財政、行政改革、物流にかかわるルールと制約のなかで、「今の法案は非常によく出来た法律だ。ベストだと思っている。一部を変えたら、整合性が取れなくなるという完成度の高い法律になっている。この体系はしっかり維持しなければならない」と述べ、法案修正の考えがないことを示唆した。 [東京 11日 ロイター] 


○ 郵政解散 小泉首相会見要旨 【産経新聞 2005/08/09】

■不思議でならない反対/再度、成立へ努力したい
 ■過半数取れなければ退陣する/靖国参拝を争点にする気ない


 小泉純一郎首相の八日夜の記者会見の要旨は次の通り。

【冒頭発言】
 本日、衆院を解散した。私が改革の本丸と位置づける郵政民営化関連法案は参院で否決された。国会は郵政民営化は必要ないという判断を下した。私は、今年の通常国会の施政方針演説で郵政民営化の必要性を説いた。そして、今国会で法案を成立させると言ってきた。しかし、残念ながら法案は廃案となった。

 国民のみなさんは郵政民営化が必要ないのか、聞いてみたい。今回の解散は郵政解散だ。郵政民営化に賛成するのか反対するのか、これをはっきりと国民に問いたい。

 私は4年前の自民党総裁選で、自民党を変える、変わらなければぶっ壊すと言った。今まで全政党が郵政民営化に反対してきた。なぜ民間にできることは民間に、といいながら郵政三事業だけ民営化してはならないのか不思議で仕方がなかった。いまだにその主張、考え方に変わりはない。

 民主党は民営化の対案ぐらいは出してくれると思っていた。
ところが、民主党までもが民営化に反対し、対案も出さない。そして自民党の民営化反対勢力と一緒になって法案を廃案にした。

 このままで行政改革、財政改革ができるのか理解に苦しむ。郵政民営化よりもっと大事なことがあるという人がいる。
しかし、この郵政民営化ができないで、どんな大改革ができるのか。

 率直にいって、選挙のときに郵政三事業に携わる国家公務員の大事な選挙支援、応援をしてもらわないといけないのは分かる。しかし、国民全体を考えれば、民間にできることは民間に任せる時代になってきた。

 反対勢力は、公務員の特権を守ろうとしている。そういう既得権を守る、現状維持がいいという勢力と戦っていく。自民党は、本当に改革勢力になる。

 自民党は郵政民営化に賛成する候補者しか公認しない。はっきりと改革政党となった自民党が民営化反対の民主党と戦って、国民の支持をもって過半数の勢力を得ることができれば、再度、国会を開いてこれを成立させる努力をしたい。


【なぜ解散か】
 郵政法案が参院で可決されるのは厳しいということは承知していた。衆院で通過して参院で否決されたのに解散するのはおかしいというが、これは小泉内閣の構造改革の本丸だ。なぜこれだけ反対するのか理解できない。否決は、小泉不信任、小泉内閣が進めてきた構造改革に対する不信任だと受け止めるとはっきり申し上げてきた。


【分裂選挙について】
 多くの自民党の皆さんからよく言われた。自民党が分裂して選挙に勝てるわけないじゃないか。だから、否決されても解散するな。もう1回、継続審議にして臨時国会を開いて成立させればいいという話も聞いた。しかし、私は今国会で成立させたかった。

 自民党が分裂選挙に勝てるかどうか。率直にいって、選挙はやってみないとわからない。しかし、選挙後、私は郵政民営化に賛成の勢力と協力していきたい。だからこそ、賛成の自民党と公明党が衆院の議席で過半数を得ることができるように全力を尽くす。

 過半数をとることができなかったといって、民営化反対の勢力と協力することはない。自民党と公明党が国民の審判によって、過半数の議席をとることができなかったら、私は退陣する。

 欠席、棄権の方は郵政民営化に賛成するといえば、公認も考える。


【政治空白の恐れ】
 空白をつくるかどうか。政治に小休止なしだ。閣僚も首相もやるべきことが山積している。全力投球してやっていかなければならない。九月十一日に選挙を終えて、混乱のないように政局を収拾していかなければならないと思う。


【靖国神社問題】
 靖国参拝を争点にする気は全くない。今の日本の平和と繁栄は、現在生きている人だけで成り立っているのではない。心ならずも戦場に行き、家族や愛する人たちと別れ、命を落とさなければならなかった人たちの尊い犠牲の上にある。

 こういう方々に対し、心から敬意と感謝をささげたいという気持ちで参拝している。これは人間の自然な心情だと思う。



○  労組と特定局長会 対立一転、和解 「郵政一家」窮余の結束 造反組を全面支援 【産経新聞 2005/08/11 大阪夕刊】

 小泉純一郎首相が「郵政解散」と名づけ、郵政民営化問題が総選挙の“踏み絵”とされる中、特定郵便局長のOB団体や郵政関連の労働組合が、歴史的和解を経て、かつてない「郵政一家」の結束を見せている。特定郵便局長は自民党造反組を全面支援、労組は長年の公明党との連携を解消する…。民営化を強力に進める自公政権への恨みが“呉越同舟”を生んだ格好だ。「それだけ郵便局という組織が追い詰められたということ」。関係者は強い危機感をのぞかせた。


 「公社形態でさらなる改革を進め、国民サービス向上に努める」。八日の衆院解散直後、敵対していた全国特定郵便局長会(全特)と日本郵政公社労働組合(JPU、旧全逓)に、旧同盟系の全日本郵政労働組合(全郵政)を加えた三組織の代表が勢ぞろい。民営化反対を訴える共同コメントを出した。

 和解は、五月下旬、大阪市で開かれた全特の総会ですでに成立していた。全国から集まった約一万人の局長らを前に、初めて総会に出席したJPUの菰田義憲委員長は「かつて特定局長にご迷惑を与えた事実がある」と頭を下げた。会場からは、大きな拍手。中には涙ぐむ局長もいた。

 世襲反対などを理由にかつて特定郵便局撤廃を掲げて対立路線を敷いていた旧全逓。労働交渉の過程で、特定局長側に自殺者が出たこともある。

 「IT(情報技術)普及で郵便の利用は減っており、民営化で保険、貯金が分割されると経営がもたない。いつか手を取り合わなければと考えていた」と、JPU近畿地方本部の酒井義弘副執行委員長は「和解」の背景を説明する。

 総会会場には、全郵政も初めて出席。郵政民営化阻止の旗の下、「郵政一家」の事実上の総決起集会となった。

 しかし、思想信条も支持政党も根本的に異なる“労使”の結束は、郵政の立場が弱体化したことの表れでもある。

 過去には百万票以上を集め、自民党の「最強集票マシン」として名をはせた全特。だが、平成13年の参院選で元近畿郵政局長、高祖憲治候補(自民)をめぐる組織ぐるみの選挙違反事件以降、その力は急速に衰えたといわれる。

 「あの事件の打撃が大きかった。郵政民営化の先鞭(せんべん)になったとも思っている」と、郵政OBらでつくる大樹近畿地方本部の木村一臣事務局長は振り返る。

 厳しい現状認識は労組側も同じだ。全郵政は七月、昭和61年から、大阪などで選挙支援を行ってきた公明党との関係解消を決めた。逆に、これまで推薦していない候補者でも、反対票を投じた民主議員を軸に、自民議員でも推薦の方向で検討するという。

 参院での民営化法案否決の瞬間、全郵政近畿本部では「ビールかけでもしたいくらいだ」との声も上がったという。しかし、山地正勝書記長は「本当にビールかけをするのは、選挙結果が出て小泉内閣が退陣してからだ」と厳しい表情を崩さなかった。


○ ニッポン政治 私はこう見る コロンビア大教授 ジェラルド・カーチス氏 【産経新聞 2005/08/10】

 ■改革後退なら経済に影響
 私は、衆院を解散した小泉純一郎首相の決断を支持する。

 小泉首相が自民党総裁に選ばれたことは、派閥の力関係で総理・総裁が決まっていた古い体制から、真に国民に人気のある政治家が首相に選ばれるという新しい体制へ日本の政治文化が変化したことを示していた。その首相が国民に約束したことを党が実行できないというのなら、解散もやむをえない。

 郵政民営化に反対する議員たちは、とにかく郵便局長たちの支持票を維持することだけを考え、改革の中身をまじめに議論することをしなかった。たしかに、小泉首相の党内の根回しは不十分だったかもしれないが、根回し上手の指導者というのは、こうした大胆な決断はできないものだ。

 民主党の責任も大きかった。代案として抜本的な改革案を提示していたならば、より建設的な議論が可能になり、修正などによって歩み寄ることが可能だったかもしれない。自民党から共産党まですべて現状維持を望む中では、小泉首相としては他に打つ手はなかっただろう。

 選挙結果を予測することは困難だ。国民がどれだけ小泉首相を支持するかにもよるが、自民党が造反議員の多くを公認しないとなると、公明党とあわせてぎりぎりというところではないか。民主党がどういう選挙戦略で臨んでくるかということも大きい。
もし民主党が郵政改革を阻む自民党の守旧派と同じだと国民からみなされたら、勝利は困難だろう。全逓系議員を抱えているためとはいえ、
そもそも民主党の郵政改革反対は失敗だったと思う。民主党としては、選挙に向けて、いかにして改革に向けたイメージをつくりあげるかが課題だ。

 選挙後にもし、小泉政権が退陣を余儀なくされ、かりに亀井静香氏といった抵抗勢力による政権が登場した場合、日本の改革は後退するという印象を与え、市場も敏感に反応するだろう。日米関係への影響はもちろん避けられないが、現在の日米関係は、政治家個人の関係に支えられているような底の浅いものではない。むしろ、日本の経済に与える影響のほうが大きい。(ワシントン 樫山幸夫)                  ◇

 ■1940年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大で博士号取得。米国での日本政治研究の第一人者。日本の政財界に知己が多く、首相はじめ有力政治家からアドバイスを求められることも少なくない。「代議士の誕生」は日本型政治の特殊性を論じた名著として有名。

森喜朗の最後の談判

2005-08-07 10:45:08 | Weblog
「おれに対して、こんな対応ですよ。さじ投げたな。私に何をしろって言うの。解散阻止なんかできないでしょ」

 6日夜、首相公邸。森喜朗にすれば、最後の談判だった。すしでも取ってくれるだろうし、2人でゆっくり話しあおう。そう思って手ぶらで足を運んだ森喜朗だったが、
小泉純一郎が差し出したのは缶ビール10本。さかなは「これしかないんだよ」というひからびたチーズとサーモンだった。

会談後、森喜朗は干からびたチーズのかけらやビールの空き缶を見せながら、記者団に怒りをぶちまける。

「すしぐらいとってくれるのかと思ったら、出てきたのは世界各国のビール。公邸にこれしかないんだって自分で抱えてきたよ。
ビール10本を二人で飲んで、なくなったからもうビールないのかと聞いたら、ないと。
冷蔵庫開けてみろといったら本当にない。それで持ってきたのがウーロン茶。
ビールのさかなに出してくれたのは、ひからびたチーズと、サーモンみたいなもの。それしかない。かんだけど硬くて食べられない。
こんな待遇で1時間半も話したんだ。もうちょっといてもいいと思ったけど、ビールはなくなったし、お茶もなくなったし。
歯が痛くなるようなこんなもん食わされて。かむんだけど、硬くてかめないんだよ。腹も減ってくるし。」

森喜朗が手にした缶はつぶれていた。

「外交だって山積みだ。予算もある、経済もある」。森喜朗は約1時間半にわたって解散を思いとどまるよう説得した。だが、小泉純一郎は一切耳を貸そうとしない。

森喜朗 「解散回避に努力している人たちを苦しめて、何の意味があるんだ。」

小泉純一郎 「おれは総理大臣だ。郵政民営化をずっと言い続けてきた。絶対に可決する。可決のため努力してくれ」「郵政民営化はおれの信念だ。殺されてもいいという気構えでやっているんだ」

10本の缶ビールも尽きていく。「もうこうなると変人以上だな。」とあきれる森喜朗に、「そうだ。それでいい。おれは非情なんだ。」

別れ際、小泉純一郎は言った 「可決したらごちそうします」

「そんなもの食べたくもない。メシくらい自分で食う」 森喜朗はそう言い捨てるのがやっとだった。