日本戦略研究所

日本再興の砦

杉並区、扶桑社の歴史教科書採択

2005-08-13 11:33:54 | Weblog


左翼の組織的妨害活動にもかかわらず、杉並区は扶桑社(つくる会)の歴史教科書を採択した。
子供達のために最適な教科書を選択した委員の方に、そして左翼過激派の妨害を監視するために杉並区役所に集まった有志の方々に敬意を表します。(日本戦略研究所)


○杉並区、扶桑社の歴史教科書採択 【産経新聞 2005/08/12】
 東京都杉並区教委は十二日の臨時教育委員会で、区立中二十三校と区立済美養護学校中学部で来春から4年間使用する歴史教科書として、新しい歴史教科書をつくる会のメンバーらが執筆した扶桑社の教科書を採択した。来年度の1年生約二千百人が使用し、自治体としては最大数となる。東京二十三区での採択は初めて。

 杉並区教委の採択審議は四日に行われたが、歴史の採択で意見がまとまらず、公民、地理、地図とともに継続審議になっていた。再審議では五人の教育委員のうち、納富善朗教育長、大蔵雄之助委員(東洋大教授、元TBS報道局長)、宮坂公夫委員(幼稚園園長)が扶桑社を支持、丸田頼一委員長(千葉大名誉教授)と安本ゆみ委員(元杉並区立小PTA連合協議会会長)が他社を推し、扶桑社に決まった。公民は大阪書籍が選ばれた。

 扶桑社の教科書は栃木県大田原市が市区町村で初めて採択。東京では都立の中高一貫四校、ろう・養護学校二十一校や私立の玉川学園中などが採択しているが、市区町村立中での採択はこれまでなかった。

 区役所には過激派の中核派が支援する「『つくる会』の教科書採択に反対する杉並親の会」や共産党と友好関係にある「杉並の教育を考えるみんなの会」の活動家ら反対勢力のほか、扶桑社教科書を支持する人たちやインターネット掲示板「2ちゃんねる」の呼びかけで集まったグループなど計約1150人(警視庁調べ)が詰めかけ、騒然とした雰囲気の中で審議が行われた。


○杉並区、扶桑社教科書を採択 罵声の中冷静な審議 【産経新聞 2005/08/13】

 ■賛否両派ら1000人以上集まる
 「非難や中傷は非常に残念」「狂気じみた妨害活動」-。十二日行われた東京都杉並区教委の教科書採択審議への過激派を含む組織的圧力に、関係者は顔をしかめた。
扶桑社支持派や「過激派の妨害を監視する」とする中立派も集まり、千人以上が区役所にあふれた。新しい歴史教科書をつくる会幹部は賛否双方の教育委員に「妨害の中での理性的な議論に敬意を表明したい」と語った。(教科書問題取材班)

 ≪中核派関与≫
 杉並区で扶桑社採択反対運動が目立った背景には、中核派が都議選に出馬した支援候補の選挙運動と連動して活動を展開したことが大きい。機関紙「前進」は毎号一面で採択阻止を呼びかけ、「『つくる会』の教科書採択に反対する杉並親の会」を支援。公安当局は中核派の動きを注視してきた。扶桑社支持派も危機感を募らせ、警視庁によると、この日の動員は「親の会」280人 ▽共産党系など二百人 ▽扶桑社支持派四百人 ▽その他270人-と、賛成、反対がほぼ拮抗(きっこう)した。

 審議は公開で行われ、二十枚の傍聴券を求めて約930人が長蛇の列。抽選にもれた人たちは音声だけが流れる別室などで審議に聞き入った。午前十時過ぎから始まった審議は歴史だけで2時間を費やした。

 ≪偏見「論破」≫
 「(扶桑社で学べば)戦争に向かうのではないかと不安を持った」。審議で一貫して扶桑社採択に反対した安本ゆみ委員はこう主張した。

 これに対し納富善朗教育長は「過去の歴史は戦争や紛争ばかり。扶桑社は戦争がなくならない現実を踏まえて平和にどう貢献するかを考えさせる」と反論。一社だけを排除しようとする姿勢に異議を唱えた。

 安本委員は最終的には「私は歴史の専門家ではない」などとかわすのが精いっぱいだった。

 ≪教育長を中傷≫
 扶桑社採択が決まると傍聴席の反対派は「扶桑社は教科書でない」「(教育長は)退場だ」などと大声で叫び、納富教育長を名指しして「大罪を犯した」「歴史に汚点を残した」と罵声(ばせい)を浴びせた。

 審議終了後、納富教育長は「委員個人に対する非難や中傷が生じたのは非常に残念」とのコメントを発表。憤りをにじませた。

 審議を傍聴したつくる会の藤岡信勝副会長は報道陣に「狂気じみた妨害活動」と指摘。圧力にも負けずに冷静な審議を進めた委員五人について「心より感謝と敬意を表明したい」「非常にレベルの高い議論だった」と述べた。


○教科書採択 審議の要旨 【産経新聞 2005/08/13 】
 大蔵雄之助委員(東洋大教授、元TBS報道局長)
 前回皆さんからいろいろな意見も出たし、もう1回教科書を読み直してみた。8冊の教科書を読んでみて同じ記述があるかどうか見た。そういう作業をしたとき、扶桑社が一番指導要領に近い記述をしていることが分かった。

 安本ゆみ委員(元杉並区立小PTA連合協議会会長)
 教科書は、いろいろな立場の人が納得はできないが理解はできるという最大公約数であるべきだ。(扶桑社の教科書が)あの戦争で「日本の将兵は敢闘精神を発揮してよく戦った」「多くの国民がよく働き、よく戦った」と書くなら、苦しんだ普通の人々の生活も書くべきだ。日本に都合の悪い歴史の事実を書かないことで行間から戦争に向かうのではないかと不安を持った。

 宮坂公夫委員(幼稚園園長)
 (扶桑社以外の)他の教科書を見ると、何か日本の過去は戦争ばかりといった印象になるが、過去の日本人の中にも外国人に尊敬され感謝された人も大勢いた。こういった人を載せて、昔の日本人にも外国の人のために尽くした人物がいたと子供たちに知らせるのは大事だ。歴史の人物を伝える個所は扶桑社が一番多い。扶桑社に関しては韓国、中国などの外国も巻き込んで批判があるのは承知しているが、もしわれわれの中で韓国などがうるさいから見送ろうという考えがあるならば、反対に韓国、中国に対する最大の侮辱だと思う。言うべきことは言う、それが本当の友好につながる。

 納富善朗教育長
 帝国書院と大阪書籍、扶桑社の(平和構築への)書き方の違いだが、帝国書院と大阪書籍は理念型だ。扶桑社は戦争はなくなりそうにもない、としている。3社の教科書を見ていくと、少なくとも共通して言えるのは、多くのページが戦争と紛争と争いだ。過去の現実から未来の現実を予想すると、残念ながら戦争や争いはなくならないのではないか。現実を直視した書き方が、争いを賛美したり助長しているとは全く思わない。(教科書は)そういう現実を踏まえて、中学生が世の中をよく知って平和がどう構築されるのか見極めていく素材だから。扶桑社の書き方から戦争賛美とか戦争に向かうことになるとかは思わない。

 安本委員
 私は歴史の専門家ではないし私の価値観がある。一番大切なのは現場の先生の気持ちだ。(教員が書いた)調査票では帝国書院でよいと多く書かれていた。

 丸田頼一委員長(千葉大名誉教授)
 扶桑社は全般的に説明調だ。(これまでの議論で)帝国書院や扶桑社などが出てきたが、大阪書籍も捨てがたい。

 宮坂委員
 教育長も言ったが、争いはなくならない。日本も明治以降戦争を行ったが、原因がある。われわれの父祖にも言い分がある。その言い分を子供にも聞いてもらおう。その上で批判するならば批判をする。一方的に語るのでは駄目でバランスが非常に大事。バランスを持っているのがどこかというと、大阪書籍もいいが扶桑社の方が上ではないか。

 大蔵委員
 子供たちが自発的な学習をするのは、全体に興味を持ってからだと思う。興味を持たせる意味では扶桑社が成功している。
安本委員に聞きたいが、「行間から戦争に向かうと思った」では議論はできない。それはどこかを言わないと。(答えはなし)

 納富教育長
 人物、文化遺産を取り上げ伝統文化を築いた先人の担い手を受け継ぐには、どのような歴史を経ていくのか。それを一番伝えているのは扶桑社だと思う。オンリーワンとして一つ挙げるのはやめるが、あえて順位をつけるのならば扶桑社、大阪書籍、帝国書院となる。

 丸田委員長
 歴史については扶桑社を教科書として採択する。


                ◇
 ◆愛媛の採択仮差し止め却下 松山地裁「申し立て憤慨に過ぎぬ」

 松山地裁は十二日までに、中高一貫校など愛媛県立学校への中学校用教科書の採択から、扶桑社版歴史・公民教科書を排除するよう求めた市民活動家らの仮差し止め申し立てについて、「申立人らの歴史観、信念と異なる教科書を採用されることに対する憤慨に過ぎない」として却下した。愛媛県の一連の教科書裁判で司法判断が示されたのは初めてで、全国で作業が進む教科書採択にも影響を与えそうだ。

 県教委などを相手取り、教科書採択の無効確認訴訟などを起こしている「えひめ教科書裁判を支える会」のメンバーら県内の七人が、今月二日に「同教科書が公立学校で使用されれば、アジア地域の人々に耐え難い精神的苦痛を与える」と差し止めを求めていた。

 同申し立ての本訴に当たる扶桑社版教科書の採択からの排除を求める訴訟は、まだ期日が決まっていない。

○「戦争」発言で公開質問状 教科書つくる会 【産経新聞 2005/08/09】
 新しい歴史教科書をつくる会の八木秀次会長と藤岡信勝副会長は八日、東京都杉並区教委の教科書採択審議で扶桑社の教科書について「戦争に向かわせる」と発言した安本ゆみ教育委員(元区立小PTA連合協議会会長)に具体的な記述を明らかにするよう求める公開質問状を送った。

 安本委員は平成13年の採択審議で北朝鮮の拉致事件を「事実かどうか分からない」と発言。この問題も含め十一日正午までの回答を求めた。