日本戦略研究所

日本再興の砦

郵政民営化は「小さな政府」の原点

2005-08-11 20:51:27 | Weblog
○ 郵政民営化は「小さな政府」の原点=竹中担当相

竹中経済財政・郵政民営化担当相は、ロイターのインタビューに応え、郵政民営化は「小さな政府」の入り口の問題だとし、国民に「小さな政府」か「大きな政府」かの選択を迫る選挙だと述べた。
大きな政府とは、役人天国・官僚天国・重税国家だとも指摘、郵政民営化の是非を問う今回の選挙は、政権のためではない、日本の将来を決める選挙だと熱く語った。

 一方、郵政民営化に反対しながらも対案も出せない民主党には、「小さな政府」は実現できないとした。

 <総選挙の争点は、郵政民営化>
 総選挙の争点について、竹中担当相は、「今までの政治史のなかで、今回の選挙ほど、論点が明確な選挙はない。小さな政府か、大きな政府かを問う選挙だ」とし、「小さな政府を創るということの象徴に郵政民営化がある」と位置づけた。

 大きな政府では公務員は減らず、役人天国・官僚天国・重税国家だとも指摘。2年後には人口減少国家に入る日本にとって、「小さな政府を創らないと大変なことになる」と強調した。今後控える年金改革や財政再建も、「大きな政府のもとで行うか、小さな政府のもとで行うかで、国民の税負担は全く違ってくる。だからこそ、小さな政府(が必要)。その入り口に郵政民営化があり、全ての問題に共通する原点だ」と強調した。
 さらに、今回は郵政民営化法案が否決され、国民に信を問うとして衆議院を解散したのであり、総選挙の争点は、「郵政民営化、それに尽きる」と述べた。

 <民主党の「小さな政府」は中身もみえない>
 民主党が掲げる「小さな政府」についても、「全く理解できない。郵政公社の民営化に反対し、民間で出来る仕事を公務員にさせておいて、小さな政府を創るとは誰が考えても理解できない」と批判。3年間で10兆円の歳出削減を目指すとする民主党のマニフェスト(政権公約)の柱についても「一方で、高速道路は無料とする。そのための支出は国が負うことになる」と述べ、
郵政民営化に反対しながらも対案は出せず、歳出カットの中身も矛盾する民主党の「小さな政府」は、「中身をみるにも中身が見えない」と切り捨てた。

 さらに、郵政民営化に反対した自民党反対議員や民主党など野党には共通点が2つある、と指摘。
竹中担当相は、
(1)自民党では特定郵便局長の、民主党では労働組合の既得権益を守るという力学が働いていること、
(2)民営化に反対はするが対案も出さない──をあげ、既得権益を守り批判のみの対応であったことの問題を指摘した。

 <郵政民営化法案はベストの法案>
 選挙の行方や、参議院の構成が変わらない状況で法案を提出して可決されるかなどについて、竹中担当相は、「国民の審判を受けるのだから」として論評を避けた。ただ、「いずれにしても、これは、ひとつの政権のためではない。日本の将来のために、小さな政府か大きな政府かを決めてもらうこと。私は、小さな政府でなければ困ると思う。全力を傾けて訴えていきたい」と、熱い思いを語った。

 自民党反対派議員への対抗馬として衆議院への鞍替え要請があれば受けるかとの質問意対しては、「私の役割は全国を回って郵政民営化に対する支持を頂く。私が、ひとつの選挙区に張り付いてしまって、全国を回れなければ、それは得策ではない」と述べ、「現実的に考えてもらえば、あり得ない選択だ」と明確に否定した。
 一方、小泉首相は総選挙で勝った後、法案を再提出する意向を固めている。与党内調整で民営化の理念が後退したともみらえる法案の修正の可能性について、竹中担当相は、金融、財政、行政改革、物流にかかわるルールと制約のなかで、「今の法案は非常によく出来た法律だ。ベストだと思っている。一部を変えたら、整合性が取れなくなるという完成度の高い法律になっている。この体系はしっかり維持しなければならない」と述べ、法案修正の考えがないことを示唆した。 [東京 11日 ロイター] 


○ 郵政解散 小泉首相会見要旨 【産経新聞 2005/08/09】

■不思議でならない反対/再度、成立へ努力したい
 ■過半数取れなければ退陣する/靖国参拝を争点にする気ない


 小泉純一郎首相の八日夜の記者会見の要旨は次の通り。

【冒頭発言】
 本日、衆院を解散した。私が改革の本丸と位置づける郵政民営化関連法案は参院で否決された。国会は郵政民営化は必要ないという判断を下した。私は、今年の通常国会の施政方針演説で郵政民営化の必要性を説いた。そして、今国会で法案を成立させると言ってきた。しかし、残念ながら法案は廃案となった。

 国民のみなさんは郵政民営化が必要ないのか、聞いてみたい。今回の解散は郵政解散だ。郵政民営化に賛成するのか反対するのか、これをはっきりと国民に問いたい。

 私は4年前の自民党総裁選で、自民党を変える、変わらなければぶっ壊すと言った。今まで全政党が郵政民営化に反対してきた。なぜ民間にできることは民間に、といいながら郵政三事業だけ民営化してはならないのか不思議で仕方がなかった。いまだにその主張、考え方に変わりはない。

 民主党は民営化の対案ぐらいは出してくれると思っていた。
ところが、民主党までもが民営化に反対し、対案も出さない。そして自民党の民営化反対勢力と一緒になって法案を廃案にした。

 このままで行政改革、財政改革ができるのか理解に苦しむ。郵政民営化よりもっと大事なことがあるという人がいる。
しかし、この郵政民営化ができないで、どんな大改革ができるのか。

 率直にいって、選挙のときに郵政三事業に携わる国家公務員の大事な選挙支援、応援をしてもらわないといけないのは分かる。しかし、国民全体を考えれば、民間にできることは民間に任せる時代になってきた。

 反対勢力は、公務員の特権を守ろうとしている。そういう既得権を守る、現状維持がいいという勢力と戦っていく。自民党は、本当に改革勢力になる。

 自民党は郵政民営化に賛成する候補者しか公認しない。はっきりと改革政党となった自民党が民営化反対の民主党と戦って、国民の支持をもって過半数の勢力を得ることができれば、再度、国会を開いてこれを成立させる努力をしたい。


【なぜ解散か】
 郵政法案が参院で可決されるのは厳しいということは承知していた。衆院で通過して参院で否決されたのに解散するのはおかしいというが、これは小泉内閣の構造改革の本丸だ。なぜこれだけ反対するのか理解できない。否決は、小泉不信任、小泉内閣が進めてきた構造改革に対する不信任だと受け止めるとはっきり申し上げてきた。


【分裂選挙について】
 多くの自民党の皆さんからよく言われた。自民党が分裂して選挙に勝てるわけないじゃないか。だから、否決されても解散するな。もう1回、継続審議にして臨時国会を開いて成立させればいいという話も聞いた。しかし、私は今国会で成立させたかった。

 自民党が分裂選挙に勝てるかどうか。率直にいって、選挙はやってみないとわからない。しかし、選挙後、私は郵政民営化に賛成の勢力と協力していきたい。だからこそ、賛成の自民党と公明党が衆院の議席で過半数を得ることができるように全力を尽くす。

 過半数をとることができなかったといって、民営化反対の勢力と協力することはない。自民党と公明党が国民の審判によって、過半数の議席をとることができなかったら、私は退陣する。

 欠席、棄権の方は郵政民営化に賛成するといえば、公認も考える。


【政治空白の恐れ】
 空白をつくるかどうか。政治に小休止なしだ。閣僚も首相もやるべきことが山積している。全力投球してやっていかなければならない。九月十一日に選挙を終えて、混乱のないように政局を収拾していかなければならないと思う。


【靖国神社問題】
 靖国参拝を争点にする気は全くない。今の日本の平和と繁栄は、現在生きている人だけで成り立っているのではない。心ならずも戦場に行き、家族や愛する人たちと別れ、命を落とさなければならなかった人たちの尊い犠牲の上にある。

 こういう方々に対し、心から敬意と感謝をささげたいという気持ちで参拝している。これは人間の自然な心情だと思う。



○  労組と特定局長会 対立一転、和解 「郵政一家」窮余の結束 造反組を全面支援 【産経新聞 2005/08/11 大阪夕刊】

 小泉純一郎首相が「郵政解散」と名づけ、郵政民営化問題が総選挙の“踏み絵”とされる中、特定郵便局長のOB団体や郵政関連の労働組合が、歴史的和解を経て、かつてない「郵政一家」の結束を見せている。特定郵便局長は自民党造反組を全面支援、労組は長年の公明党との連携を解消する…。民営化を強力に進める自公政権への恨みが“呉越同舟”を生んだ格好だ。「それだけ郵便局という組織が追い詰められたということ」。関係者は強い危機感をのぞかせた。


 「公社形態でさらなる改革を進め、国民サービス向上に努める」。八日の衆院解散直後、敵対していた全国特定郵便局長会(全特)と日本郵政公社労働組合(JPU、旧全逓)に、旧同盟系の全日本郵政労働組合(全郵政)を加えた三組織の代表が勢ぞろい。民営化反対を訴える共同コメントを出した。

 和解は、五月下旬、大阪市で開かれた全特の総会ですでに成立していた。全国から集まった約一万人の局長らを前に、初めて総会に出席したJPUの菰田義憲委員長は「かつて特定局長にご迷惑を与えた事実がある」と頭を下げた。会場からは、大きな拍手。中には涙ぐむ局長もいた。

 世襲反対などを理由にかつて特定郵便局撤廃を掲げて対立路線を敷いていた旧全逓。労働交渉の過程で、特定局長側に自殺者が出たこともある。

 「IT(情報技術)普及で郵便の利用は減っており、民営化で保険、貯金が分割されると経営がもたない。いつか手を取り合わなければと考えていた」と、JPU近畿地方本部の酒井義弘副執行委員長は「和解」の背景を説明する。

 総会会場には、全郵政も初めて出席。郵政民営化阻止の旗の下、「郵政一家」の事実上の総決起集会となった。

 しかし、思想信条も支持政党も根本的に異なる“労使”の結束は、郵政の立場が弱体化したことの表れでもある。

 過去には百万票以上を集め、自民党の「最強集票マシン」として名をはせた全特。だが、平成13年の参院選で元近畿郵政局長、高祖憲治候補(自民)をめぐる組織ぐるみの選挙違反事件以降、その力は急速に衰えたといわれる。

 「あの事件の打撃が大きかった。郵政民営化の先鞭(せんべん)になったとも思っている」と、郵政OBらでつくる大樹近畿地方本部の木村一臣事務局長は振り返る。

 厳しい現状認識は労組側も同じだ。全郵政は七月、昭和61年から、大阪などで選挙支援を行ってきた公明党との関係解消を決めた。逆に、これまで推薦していない候補者でも、反対票を投じた民主議員を軸に、自民議員でも推薦の方向で検討するという。

 参院での民営化法案否決の瞬間、全郵政近畿本部では「ビールかけでもしたいくらいだ」との声も上がったという。しかし、山地正勝書記長は「本当にビールかけをするのは、選挙結果が出て小泉内閣が退陣してからだ」と厳しい表情を崩さなかった。


○ ニッポン政治 私はこう見る コロンビア大教授 ジェラルド・カーチス氏 【産経新聞 2005/08/10】

 ■改革後退なら経済に影響
 私は、衆院を解散した小泉純一郎首相の決断を支持する。

 小泉首相が自民党総裁に選ばれたことは、派閥の力関係で総理・総裁が決まっていた古い体制から、真に国民に人気のある政治家が首相に選ばれるという新しい体制へ日本の政治文化が変化したことを示していた。その首相が国民に約束したことを党が実行できないというのなら、解散もやむをえない。

 郵政民営化に反対する議員たちは、とにかく郵便局長たちの支持票を維持することだけを考え、改革の中身をまじめに議論することをしなかった。たしかに、小泉首相の党内の根回しは不十分だったかもしれないが、根回し上手の指導者というのは、こうした大胆な決断はできないものだ。

 民主党の責任も大きかった。代案として抜本的な改革案を提示していたならば、より建設的な議論が可能になり、修正などによって歩み寄ることが可能だったかもしれない。自民党から共産党まですべて現状維持を望む中では、小泉首相としては他に打つ手はなかっただろう。

 選挙結果を予測することは困難だ。国民がどれだけ小泉首相を支持するかにもよるが、自民党が造反議員の多くを公認しないとなると、公明党とあわせてぎりぎりというところではないか。民主党がどういう選挙戦略で臨んでくるかということも大きい。
もし民主党が郵政改革を阻む自民党の守旧派と同じだと国民からみなされたら、勝利は困難だろう。全逓系議員を抱えているためとはいえ、
そもそも民主党の郵政改革反対は失敗だったと思う。民主党としては、選挙に向けて、いかにして改革に向けたイメージをつくりあげるかが課題だ。

 選挙後にもし、小泉政権が退陣を余儀なくされ、かりに亀井静香氏といった抵抗勢力による政権が登場した場合、日本の改革は後退するという印象を与え、市場も敏感に反応するだろう。日米関係への影響はもちろん避けられないが、現在の日米関係は、政治家個人の関係に支えられているような底の浅いものではない。むしろ、日本の経済に与える影響のほうが大きい。(ワシントン 樫山幸夫)                  ◇

 ■1940年、ニューヨーク生まれ。コロンビア大で博士号取得。米国での日本政治研究の第一人者。日本の政財界に知己が多く、首相はじめ有力政治家からアドバイスを求められることも少なくない。「代議士の誕生」は日本型政治の特殊性を論じた名著として有名。

1 コメント

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Unknown (みんなのプロフィール)
2005-08-12 02:44:17
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