せっかくなので、ウィンドウズ7のマインスイーパ動画をアップ。
Minesweeper pwnage
ついでに、マインスイーパ映画版の予告編。すばらしいセンス。
Minesweeper: The Movie
Macに変えて、いいこと尽くめのPC環境だが、ひとつだけ困っていたのはこのブログのエディタがMac対応していないこと。Macに慣れるにつれ、自宅のウィンドウズPCの前に座る機会が激減したので、自然とブログの更新も止まってしまっていた。
不思議なことに、他のウィンドウズ専用アプリは問題なくMac上で動いており、問題があるのはこのブログエディタだけ。たとえばシステムダイナミクスやオペレーションの授業で使うウィンドウズ専用アプリは、Fusionを使ってMacに乗せたウィンドウズXPで快適に動いている。ところがこのブログエディタは、何度やってもインストールが失敗してしまうのだ。もしかしたらXPが英語版なので、それが問題なのかも知れないと思いつつ、解決策なく二三ヶ月ほったらかしてあった。
そんな中、ウィンドウズ7 RC版配布のニュース。さっそくMac上にインストールしてみた。XPをアップグレードする手もあったが、万が一誤動作するようになったら後が面倒なので、別のPertitionを切ってインストール。ウィンドウズ7の動作が問題ないことを確認してから、XPをアンインストールすることにした。これでこのMacbook上ではMac OS X、ウィンドウズXP、ウィンドウズ7の三つのOSが並列で走ることになる。ホントVirtualizationってすごい。
インストールが完了して、さっそくブログエディタをダウンロード。これでダメだったらまたブログほったらかしだな・・・なんて思いながらインストールしたら、見事成功!きっちり動いてます。よかったー。
ウィンドウズ7、使ってすぐのインプレッションとしては、動作スピードが早く、なかなか快適。インターフェースも(Macをまねて?)改善され、使いやすくなっている。うまくいけばビスタで著しく落ちたウィンドウズブランドも、一気に復権できるのではないかという印象を受けた。ただし、ビジネス面ではいくつか課題がありそうだ。ひとつはGoogleの各種サービスやSaaSなどの発達によりOSの相対的な影響力が落ちている点が、どう販売に影響するか。もうひとつは、景気低迷でIT投資が中期的に落ち込む中、どれだけ法人の更新需要を喚起できるか。
ビルゲイツなきマイクロソフト帝国の今後に注目だな・・・がんばれウィンドウズ7。 と考えながら、さあブログを更新だ!
でもまずはマインスイーパーをやってみよう。
おお、ちょっと見た目が変わってる!
歴代内閣の支持率ワースト3は、森政権、竹下政権、そして麻生政権だそうである。
森元首相といえば、報道にはよく自民党のご意見番、影の権力者の一人、という感じで出てくる。
そして麻生政権を支えようとしている重鎮の一人でもある。報道によれば。
支持率 超低迷でも延命する内閣と、それを支えようとする支持率ワーストだった元首相。
この構図を見て、つくづく日本という国では、政治と国民の距離は遠いのだなぁと実感した。
ホイホイ変わればいいっ、てものでもないけどね。
しばらく前になるが、パソコンを盗まれた。学校の近くのカフェで友人としゃべっていて、油断していたスキにバッグごとやられた。
で、仕方なく新しいパソコンを買うことにした。ビジネススクールの毎日は、パソコンなくしてはまったくありえないのだ。
今回は思い切ってMacに乗り換えることにした。ずっとウィンドウズユーザーで来たが、iPhone買ったころからなんとなくMacが気になっていたからだ。今やVirtualizationのおかげでMacでもウィンドウズを動かせるという安心感も決め手となった。
というわけでMacを使い始めての感想だが、ものすごーく満足している。ウィンドウズに比べてすごく速いし、妙な強制終了もほとんどない。操作が直感的でわかりやすいし、なにより操作していて楽しい。こんなにいいのなら、もっと早くにウィンドウズからMacにしていればよかった。アップル万歳、て感じである。
ドロボウに背中を押される形でMacに乗り換えたわけだが、ドロボウめも、盗まれたこっちが、こんなに満足しているとは夢にも思うまい。
ざまみろ。
経済危機が本格的に街中に広がってきた。
あの手この手で消費者の財布のヒモを緩めようとする小売業の動向がとても興味深く、ウォッチしている。
まず今年は年末セールの出足が早かった。毎年、アメリカ年末商戦の幕開けはサンクスギビングデイ翌日の大セール(ブラックフライデー)である。しかし今年はそれより前に、大々的なセールを行う小売店が多かった。そしてブラックフライデー後の週末も、”セール延長”と銘打った広告をよく見た。
そして今年は、従来ディスカウントをしなかったブランドの中にも、大幅な割引を敢行しているところを見かける。例えばTUMI は、元々一切割引をしないブランドであるが(アウトレットでは10%引き)、今年はなんと商品によっては40%近くのディスカウントを行っている。ディスコンになる商品の在庫処分らしいが、それでも異常な割引率である。前述のSloanGearではTUMI製品を取り扱っており、学校関係者に”学割”価格(一律20%引き)で商品を販売しているのだが、本家に40%もの大幅ディスカウントをされてはこっちの商売あがったりである。幸いTUMIと交渉した結果 ”学割”は維持できた(つまり商品ごとに市中価格よりも安くする)が、TUMIの担当者と話す中に不況の影を感じる、印象的な体験であった。
オンラインショッピングにも例年との違いが見られた。一番の違いは、Free Shipping (送料無料)だ。例年は送料無料をオファーするサイトと、そうでないサイトがあるのだが、今年は軒並み送料無料。そしてクリスマスが近くなった先週にはAmazonなどから、”Free 2 day shipping! (速達無料)” というダイレクトメールが入るようになった。Regular Shipping(通常配送)が無料というのは過去からあるが、2 day shipping を無料にするのは珍しい。これも実質値下げの一例だろう。
そんな中でもディスカウントをしない方針の会社もあるが、大きなしっぺ返しを受けているらしい。アパレルメーカーが各社激安セールを展開する中、Abercrombie & Fitchはディスカウントなしで年末商戦に望んだのだが、売上げは前年比で大幅減。株価も競合比で大きく下げたという記事が、先日Wall Street Journalに載っていた。ついでにその記事では、今業績を上げているのはWallmartとMacdnald's だと報じていた。象徴的でおもしろい。
割引というのは本来劇薬のようなもので、相当慎重に行わないと企業業績にとってはダメージを与える可能性がある。例えば粗利率40%の小売業者が小売価格で10%の割引セールをすれば、粗利率は30%(40%-10%)となる。同じ売上高しか上がらないとすると、利益は25%のダウンだ($100の売り上げに対して、利益は$40⇒$30)。もちろんセールによる売上げアップは見込める。ではどれだけ売上げアップすれば従来並みの利益($40)が上がるかというと、$40 ÷ 30% = $133。つまり、従来より売上げが33%もアップしないと、割引セールのメリットはないのである。今はそんなことを言っている場合ではないので、各社がんばって需要喚起を優先させているのだが、中期的にはダメージを避けられないはずだ。
一消費者としては、割引セールがどこまで続き、値段がどこで底をつくかに注目したい。年末商戦が盛り上がらない中、一月のAfter Christmas Saleは例年以上に値段が下がりそうな予感である。不況下では、企業も消費者も賢く動かなくては。
ちょっと前、感謝祭休暇のことだが、ご近所の日本人ご家族をお邪魔した。
旦那さんとは、前々から飲みましょう!と話していたのだけれど、ようやく実現。
献立は、おでんです。
本格的に寒くなった今のボストンで、最高のごちそうです。
このご家庭はご夫婦でお医者さんである。
自分は医療の世界を全く知らないので、お話を伺っていて、なかなか面白く勉強になった。
よく聞く問題点
例えば医療訴訟とか、産婦人科の不足とか、色々問題がありそうに見える日本の医療。
報道を見ていて、なんとなくお医者さんや病院経営、つまり医療提供者側の問題のように見えていた。
しかし、お医者さんの立場から見ると、また違った側面があるようだ。
例えば、先日7つの病院に受け入れを拒否され、産気づいた母親が亡くなる事件があった。
素人の自分は、なんで受け入れを拒否するんだ、ひどいぞ日本の医療現場は、と思っていた。
子供のある人は、誰もがそう思っただろう。
なんとも痛ましく、やりきれない話だ。
医療現場の事情
一方医療側から見ると、この件は純粋な医療行為として難しい点の多い事例だったようだ。
まず、母親が脳出血を併発していたため、処置には最低でも三人の医師が必要だという。
産科、脳外科、小児科の三人。
この三人が当直で揃う病院は、元々多くない。
たいがいの病院は人不足も手伝い、そんな陣容を急には揃えられないという。
さらに、自治体と医療現場の連携も、事態を難しくする。
救急車(消防)の責任は、患者を病院に引き渡した時点で終わる。
一方病院のドクターは、患者を一度引き受けてから処置が不可能だと分かったら、自分で対応が可能な別の病院を探して、自ら(!)電話で要請をしなくてはいけないそうだ。
この、【受入れ→診察→対応無理と判断→次の病院探し→受入れ先確保】のプロセスに、時間がかかることは容易に想像がつく。
一刻を争う状況だと分かっていればいるほど、手元のリソースが足りないと判断すれば、無為な時間を省くため受入れ前に他の病院を当たるよう薦めるという。
メディアの対応
こういう現実を聞くと、ニュースで感じた印象とだいぶ違う気がしてくる。
改めて記事をいくつか引いてみたが、ほとんどの記事は 「病院側が受入れ【拒否】」 したものと報道していた。
しかし前述の事情を考えると、【拒否】というあたりの語感がかなり違う。
受け入れたくても受け入れられない病院が多かったわけだから。
もう少しフェアな報道の仕方もあったのではないだろうか。
実際、このお医者さんは事件の結果には本当に残念がっていて、むしろメディアの報道の仕方に疑問を抱いていた。
負のループ
当然、医者不足は解消されるべき問題だ。
特に産婦人科医の不足は叫ばれて久しい。
しかし驚いたのだが、「産科医」は確かに減っているのだが、「婦人科医」は増えているのだという。
なぜか?
お話を伺った結果を総合すると、つまり背景にはこういう負のループがあるということだ。
「医療訴訟が起こる医者のリスクが増大する産科を廃業して婦人科に専念する ⇒ 産科の数が減る(婦人科は増える)」
そして新たに産科医を目指す若手も以下のように減っていく。
「産科の数が減る一人当たりの仕事量が増える ⇒ 超激務になる ⇒ その超激務を、インターンが目撃・体験する ⇒ 産科医を進路として選ぶインターンの数が減少する ⇒ 更に産科の数が減る」
おそらくこの産科医の減少が、また医療訴訟を増やす要素になってしまう。
ポリシーメイキングの大事さ
この負の連鎖を止めるのには、まずこのループを正確に理解すること。
そしてそのループの力を弱めるか、より強い別のループを作ることだ。
簡単な理屈に見えるが、実行は難しい。
特に「負の連鎖を正確に把握」というのが、実は一番難しいことを今期のシステムダイナミクスで学んだ。
問題の把握が間違っていたばかりに、失敗に終わったポリシーの例も多く見た。
冒頭の事件を契機に政府の緊急対策会議が開かれているようだが、是非複雑に絡むループを正確に判断して、効果のあるポリシーメイキングをして欲しい。
次男の出産に立ち会ったが、あんなに感動的なイベントは人生そうそうない。
大げさかもしれないけど、がんばる妻と子供が神々しく見えたものだ。
安心して産める世の中になって欲しい。
こんなところで注目されるとは思わなかっただろうなあ、JALも。
When is the last time you saw such a CEO?
GMなど米自動車会社のBailout(緊急援助)の行方が注目だ。
GM 120億ドル、フォード 90億ドル、クライスラー 70億ドル。
しめて日本円にして3兆円弱なり。
GMはこれに60億ドルのクレジットラインを要請している。
GMが昨日(12月2日)議会に提出した”ビジネスプラン”は下記で読めます。
勉強の一環と思い、途中まで読んだけど、これがなかなか面白い。
ただ内容は、率直に言って説得力が薄く、かなり苦しんで書いた感じがする。
http://www.house.gov/apps/list/press/financialsvcs_dem/press1202082.shtml
先日、システムダイナミクスの祖であるJay Forrester名誉教授が、この危機は”クリーニングタイム” だ、と表現していた。
競争力のない産業を大掃除するチャンスという意味だと思う。
自動車産業を名指してはしていなかったと思うが。
とにかく、政治的意図が入れば、救済は行われるだろう。
しかし今度は、3年、5年後にどうなるのか。
そしてどの程度、その中長期を見据えた判断が下されるのか。
注目したい。
A GM Bailout: How It Might Work
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少し前からではあるが、LiveScribe社の製品がけっこう店頭に並んでいる。
LiveScribe社は今年一月のテクノロジートレックで訪問したベンチャー企業の一社。
コンピュータのようなペンを開発している。
MITの売店(Coop)にもあるし、大手量販店のTargetにも並んでいる。
商品宣伝用のディスプレイも設置してあったりして、結構な扱いだ。
一月の訪問時に見せてもらった商品はまだベータ版だったから、順調にローンチできたというところか。
しかしスタートアップの活動が活発なのはさておき、流通側もすごいなあと思う。
こういう実績もない商品を、Targetのような大手量販店が大々的に取り扱うのだから。
LiveScribe側が相当なマーケティング費用をかけていることには違いないんだろうけど、米国では流通も進取の気性が旺盛で、それがニュービジネス立上げのサポートになっているのではないかと思う。
LiveScribe on NBC
自宅の近くにアメコミの専門店がある。
(勉強部屋と化しているスタバの数軒となり)
今日通りかかったら、店頭にこんなコミック?が飾ってあった。
長期戦ながらずっと盛り上がっていた今回の選挙、開票日まであと二日。
記事書いちゃうよ
とある会社さんからこのブログ経由ご連絡をいただき、会社さんのサイトで記事を書くことになりました。
月二三回のペースで書けばいいそうなので、このブログと並行してやっていこうと思います。
こちらがそのサイトです。ぜひ冷やかしに行ってみてください。
えーっと。
なんだかアレですな。
たいそうなタイトルですな。
特に「ビジネスリーダーを目指して」ってあたりが、肩にかなりの力が入った感じで、ドライバーで打ったら思いっきりスライスしそうです。
いきなり第一回から、「ビジネスリーダー」じゃなくて「何でも屋」になりたいって書いちゃったし・・・。
ところでビジネスリーダーって、二つの意味がありますね。
経営者って事と、リーダーって事と。似ているけど微妙に違うこの二つ。
MBAではこういう話はよく出るけど、こうやって書いてあるのを見ると、なかなかヘビー。
あんまりきちんと考えたことなかったな・・・。「目指して」いるとか、いないとか。
とにかく折角つけていただいたタイトルに負けないよう、記事はがんばって書いていこうと思います。
日本の経営者
ビジネスリーダーといえば、ビジネススクールに来て以来、日本の経営者・リーダーについて、色々な方とお話をさせていただくことが多くなった。
だいたいは、「日本では経営者が育っていない、数が足りない」 という意見だ。
ここでいう経営者とは、「グローバルスタンダードのリーダー・経営者」を指す。
その理由について・・・
とあるコンサルティング会社のパートナーは、内部昇格の多さを挙げていた。
日本では組織内から成り上がる人が多いため、社長になってもプレイヤー目線のままだという。
とあるファンドのパートナーは、日本の資本市場の機能が発展途上であることを挙げていた。
日本市場で企業は、株主の意向を聞く必要性が薄いため、経営者が本来負うべき利害調整機能や、資本市場に関する理解を欠いているという。
とある友人は、日本の文化と、そこから出来上がった会社の内部システムを挙げていた。
日本人には米国型のリーダーシップは似合わず、井戸端会議でモノを決めるのが性に合っている。
稟議に代表される日本の会社運営は、その象徴だという。
ニッポン発
どの意見も、正しい気がする。
一方で、ニッポンはこれほど成功してきた国なのだから、世界に出しても恥ずかしくない経営者は、実はゴマンといるのではという気もする。
そういう社長さんたちがいるとしたら、どんどん世界に発信をしていって欲しい。
会社としてではなく、一経営者として。
英語がイマイチでも、勢いで何とかする他の国の人たちを見習えばいい。
日本には謙譲の美徳があるが、世界では前に出たもの勝ち、というケースが多いから。
きっといる気がしたこと
実際、日本にもきっといるよ経営者、というのを感じたことがある。
ずいぶん前に来校した元IBMのルイ・ガースナー氏のスピーチのときのことだ。
放つ存在感、人を魅了するスピーチはさすが!であったが、全体的に自分が受けた印象は日本にいがちな頑固オヤジ風上司そのもの。
「頑固オヤジ」というのは、いい意味で、である。念のため。
実際、話す内容や立ち居振る舞いが自分の元上司にそっくりであった。
世界的経営者のルイ・ガースナーが元上司のそっくりさんだったなんて。
先日お会いした楽天の三木谷社長が経営者に必要な三つの要素を挙げておられた。
そこで氏に、「日本の”経営者”に足りないものは何ですか?」という質問をしてみた。
答えは、「うーん、それぞれちょっとずつ足りないのかもしれないけど、足りない部分があったとしても、ほんの少しですよ。私の見る限り。」
なんとなくそれが正しい見方のような気がした。
今ちょうど、Trekの参加者がバンバン日本で撮った写真をアップロードしているFacebook。
コイツが上陸すると、日本のSNS界も変わる気がする。
これはいい。楽しく、実用的。
マックブックエアやiPodタッチの影に隠れているけど、このアップルTV、実はかなり革命的な商品なのではないかと思う。
買いです。
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サンクスギビング(感謝祭)の休暇は家族サービスに徹した。子供と野球をして、家族でボストン近郊のアウトレット、Wrentham Premium Mallに出かけ、そしてボストンハーバーにあるニューイングランド水族館に遊びに行った。
この水族館、我が家にとっては思い出の場所だ。初めての家族旅行で来たのがこのボストンで、最初に訪れたのがこの水族館だったからだ。
思い返せばちょうど6年前の話。まだ長男が生後10ヶ月で、次男はまだこの世にいなかった。初めての家族旅行だったからだろう、その後いくつも ほかの水族館に行ったけれど、あのときの思い出は格別だ。
さて6年越しのニューイングランド水族館。二度目だけれど なかなか面白い。大人も子供も楽しめるのが水族館のいいところだ。ニューイングランド水族館は中央に巨大な水槽があり、その周りに配置された通路に沿って地上4階までらせん状に上りながら海の生き物を観察する。そして通路沿いのところどころに、展示されている生物にちなんだ【豆知識コーナー】がある。【豆知識コーナー】の大半は、環境問題に関するものだ。ゴミを川に流すと、海でクラゲが増えて、美しいさんご礁や魚がいなくなってしまうよ、といった内容を分かりやすく解説している。たとえば、一説にはこのままいけば2030年に世界のさんご礁は絶滅してしまうという。2030年といえば、今から23年後。長男はまだ29歳、次男は27歳だ。そのとき彼らが生活する環境がどうなっているのかを考えると、心が痛む。
何かをしなければいけない、という気持ちが募る。
環境問題は、昨今ビジネストピックとしての関心を呼んでいる。米国ではビジネストピックとしての環境問題や代替エネルギー(Alternative Energy: 石油・石炭・天然ガスなどの炭化水素系エネルギー以外のこと)を総称して、Sustainability(持続可能性)と読んでいる。
MIT Sloanでも、Sustainabilityに関する講演会や議論が盛んだ。
先週はSustainabilityをテーマにして、マッキンゼーの講演会が行われた。環境問題を専門にしているコンサルタントが、代替エネルギーの現状・見通しについて解説してくれた。ランチタイムの講演会としては、同じくSustainabilityをテーマにしたVinod Khosla 氏のときと同じか、それ以上の参加者があり、Sloan生の関心の高さを物語っていた。(そのときのエントリーはこちら)
また感謝祭の直前に、とあるボストン在のベンチャーキャピタリストと個人的にお話をする機会を得たが、その際もトピックはSustainabilityであった。このVC Firmはもともとバイオ・ファーマ分野に特化している典型的なボストンVCであるが、SustainabilityをテーマにしたDealが数多く入ってくるようになったため、リサーチを開始するという。まずは波力発電と廃棄物発電に興味があるとの話であった。
さらには10日ほど前、とある大手コンサルファームの日本支社が主催するランチレセプションに出たときのこと。歓談の際にパートナーの方が熱く語っていたのも、やはりSustainabilityについてであった。
当然これだけブームになると、ビジネスとして加熱しすぎ、という見方も一方にはあって、"SustaiabilityはあとどれだけSustainできるのか?" という冗談もよく聞く。だが一年や二年ではなく中期的にホットな話題であることは間違いないし、その取り組みの意義が薄れることはまずないだろう。
とにかく個人的には、ニューイングランド水族館での【豆知識】を読み、水槽にしがみついてきれいな魚に魅入る子供たちの後頭部をみたとき、確実に何かが心に刺さった。
何ができるだろう?
何をすべきだろう?
いま明確な答えがあるわけでない。
だけどこの二年間には、考えを深めるチャンスはたくさんありそうだ。
メキシコ湾のサンゴ礁は夏の満月の日、日没後の約一時間に一斉に産卵するという。
なぜ、どうやって全てのサンゴが、一年にたった一時間の時間を選んで産卵をするのかは、分かっていないという。
ぜひこういうすてきな話を子供たちに受け継いでいきたい。
そう思った。
少しゆっくりやることにした。
最近 目の前に来たことを【こなす】感じになってきたからだ。
8月にMBAをスタートして以来、津波のように押し寄せるイベントや学びの機会に時間の許す限り参加してきた。
やってきたことは大きく分けて三つある。
1.クラス
MBA学生としての本業である、授業や宿題、それに伴うチームミーティングなど。
2.課外活動
Mandatoryではないが、MBAに準備された多くの学びの機会のこと。
講演会への参加、ビジネスプランコンペティション関連のイベント、ジャパンクラブ関連のイベント。
そして普段は会えない人々と会って、議論を交わすこと。
3.キャリア系イベント
インターンシップを獲得するために会社説明会への参加、インタビュー、それに伴う情報収集。
* インターンシップは学んだことを実践に移すいいチャンスで、MBAプログラムの一環だと自分は考えている。
実は最近、これに一番時間を割いていた。大変だけれど楽しいからだ。日米のいろいろな業界の人と会えてフランクな話を聞けるし、思いがけない大物の方と親しくお話をしてそのWisdomに触れることもできる。
どれもすばらしい経験で、本当に寝る暇も惜しい。
もともといっぱいいっぱいの状態で走ることには慣れているというか、そうしないと気が済まないタチだ。
だからオーバーロード気味なまま、目いっぱいのアクティビティを小脇に抱えて走ってきた。
ただ最近余りに幅を広げすぎて、大事なことがおろそかになってきた。
ひとつは経験したことを振り返ること。毎日がジェットコースターの速さで進んでいくので、今日学んだこと、今週学んだことを十分に「復習」できていない。(その復習の場として機能するはずのこのブログの更新が途絶えているのは、そういうわけです)
もうひとつは、家族。家族と過ごす時間がまったくない。認めたくはないが、プライオリティーリストの中で家族との時間がかなり低くなっている。恐ろしいことに、先週はヨメの誕生日をすっかり忘れていた。これはさすがにまずい。
というわけで、意識してペースダウンすることにした。
そして自分で学びを振るかえる余裕と、家族との時間を意識して作っていこうと思う。
E&Iのクラスで、音響機器メーカー・Boseの元社長であるMr. Sherwin Greenblatt の講演が行われた。Boseは1964年にMITのGraduate Studentsが数人で立ち上げたベンチャーで、Greenblatt氏は創業メンバーの一人。Greenblatt氏の話は、ビジネス立ち上げ時の苦労と興奮が伝わってくるすばらしいものであった。
『私はここMITでElectronical Engineering(電気工学)を学ぶ一介の学生だったので、ビジネスの事や世の中の事なんて何にも知らなかった。同僚のBoseと一緒に研究内容をビジネスにしよう、と決めたときにも実はまだ何の商品アイデアもなく、会社の設立の仕方さえも知らなかったんだ。でも我々はエンジニアであり、エンジニアは”問題を解決すること”のトレーニングを受けている。そしてビジネスとは”山ほどの問題を解決すること”だと思ったから、それなら自分たちにもできる、と思ったんだ。』
『でも言うは安し、行うは難し、だった。最初はとにかく生き残る事で必死だったよ。特にお金についてはとてもシビアだった。最初は委託研究みたいなことをやって日銭を稼いでいたんだけれど、当然それだけでは会社が持たない。そこでベンチャーキャピタルやエンジェルから資金調達をするべきかどうかが議論に上った。ここでも自分たちはビジネス素人だったので、”エンジニア的”な方法で検討をした。すなわち、売り上げ・コスト・従業員数の伸びなど、あらゆるパラメーターを計算して、いつどのくらいの資金需要がいるのかを計算したんだ。今では当たり前の手法だけれど、なにせ50年近く前の話だよ。コンピュータもエクセルもない。全て手計算で、間違ったら最初からやりなおし。徹夜続きで二週間くらいかかったよ笑。』
『今Boseは音響機器のトップブランドとして有名だが、当時は世の中で何が売れるのかまったく検討もついていなかった。決まっていたのは電気工学の研究を利用した商品を売ろう、ということだけ。そこで自分たちの直感で、二つの商品を作ってみた。ひとつは当時は特殊だった電気信号の変換機で、もうひとつが音響スピーカーだ。実はBoseも私も音楽が大好きで、すばらしい音楽を如何に忠実に再現できるか、という問題にとても興味があったんだ。それがBoseのスピーカーを生んだ、原動力だった。』
このようにして始まった MIT発ベンチャーは、今では年商30億ドル(3千5百億円)の国際企業に発展している。そしてGreenblatt氏はBoseを引退し、現在はMITのVenture Mentoring Service でリーダーシップを発揮しているそうだ。
話を聞いていて印象的だったのは、Greenblatt氏がとにかく楽しそうに話をすること。とにかく前向き、という印象を与える人柄だった。失礼ながら全般には素朴なおじさん風で、特にカリスマ的な雰囲気の方ではない。でもとにかく前向きで、ポジティブな波動を回りに与える人柄だから成長企業を引っ張ってこれたのだろうし、諦めずに困難に立ち向かってこれたのだと思う。
* 一方で彼が自分の好きな分野=音楽を仕事のテーマにした事も見逃せない。好きな仕事だから楽しくやってこれた、ともいえるだろう。
自分はMBAで多様なリーダーに触れ、リーダシップの形を学びたいと思っている。Greenblatt氏は『前向きである事』がとても大事なリーダーの資質であるという事実を再確認させてくれた。
そして”ビジネスは問題の山で、我々は問題に直面するのが仕事”という創業当初の発想。かっこいいなぁ、と思った。問題は解法ではなく、解くぞという覚悟と胆力が重要だと思う。Boseの創業者たちのように、最初っから”さあいらっしゃい、問題の山!”と構えておくのはグッドアイデアだと思った。