知らん間に、村上春樹が翻訳していた。
10年前に「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を出した時は、やれやれ、と思ったものだが。
野崎孝の名訳があるのに、何でまたわざわざ?
野崎訳は「Catcher」を「つかまえ手」とかけて訳しているのに、村上訳はカタカナのままか、とまた例によって難癖をつけていた。
今度は「フラニーとズーイ」かよ。
ついに「グラース・サーガ」に手をつけたか。
実を言うと、「ライ麦畑でつかまえて」は、あまり好きになれなかった。
それよりも、「ナイン・ストーリーズ」の「バナナフィッシュにうってつけの日」から始まる作品群の方がおもしろかった。
「フラニーとゾーイー」、「大工よ、屋根の梁を高く掲げよ」、「シーモア -序章-」、「ハプワース16 一九二四」と続く、一連の「グラース・サーガ」だ。
あまり読まないアメリカ文学の中でも、サリンジャーは好きだった。
サリンジャー選集まで書棚に並んでた。
ただ、何せ30年以上前のことなので、はっきりとは覚えていない。
作者のJ.D.サリンジャーは、1965年に「ハプワース16 一九二四」を発表したのを最後に、沈黙を守り続けていた。
ニューハンプシャーの田舎で隠遁生活を送り、インタビューには一切応じず、写真も撮らせない。
そして、2010年に亡くなった。
「禅」などの東洋思想に関心があったらしい。(ルーテシアのゼンも「禅」!)
庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」は、「ライ麦畑でつかまえて」の影響を受けているとも言われているが、「赤頭巾ちゃん…」の方がはるかにおもしろかった。
こちらも、「赤頭巾ちゃん気をつけて」、「さよなら快傑黒頭巾」、「白鳥の歌なんか聞えない」、「ぼくの大好きな青髭」の4部作を出した後、文壇から姿を消してしまう。
というわけで、読んでいない本の書評でした。
ぜひ、「バナナフィッシュにうってつけの日」を読んでみて下さい。
http://as-happy-days.blog.so-net.ne.jp/2010-09-09
ポール・オースターはおもしろいと思う。
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