日銀はついにこれまでの金融緩和政策(アホノミクス)に敗北宣言をした。金融緩和をしても金融機関の体力が落ちるだけで一向にデフレが改善されないからだ。政権は、嘘八百と美辞麗句を繰り返すのはお決まりであるが、これまで本来完全に独立して機能しなければならない、日本銀行がまんまと罠にはまってしまった。そして、自らの過ちを認め軌道修正を図ろうとしている。しかし、今の政権では簡単に軌道修正は許されないだろう。
ところで、そもそも何故日本で金融緩和は失敗したのかを考えてみよう。金融緩和は欧米諸国が始めとして効果を奏し、日本がそれを模倣する形で始めたものである。そこには日本の特殊な事情を完全に無視した形で欧米型を取り入れたところに問題がある。それは、日本人特有の貯蓄型消費である。日本人は貯蓄をして、余裕資金を使って消費する傾向にある。企業の動向も同じである。売り上げが伸び、利益が伸びて初めて賃金や設備投資にお金を使う。
ところが、金融緩和はただ市場に金をばらまくだけで生産性を産まない。すなわち、お金はどこかにプールされ市中には出回らない。ここが欧米の消費先行型社会と大きく異なる点である。
結論から言ううと、金利が上がらなければ、日本人は消費しないのである。例えば、預金金利が2%だとしよう。すると、100万円の預金金利が年利で102万円になる。お金を預けておくだけで、2万円のお小遣いが得られる。一方、アホノミクスのゼロ金利では、個人資産は増えないばかりか、生活費に要する金額を減らすと資産が目減りする一方であるので、庶民は消費を抑えるようになる。
確かに、ぜいたく品である車や家を買うローンは過去に比べて相当低い、しかし、それでもローンはプラスの利率として資産を目減りさせる。
これまでの、金融緩和政策は個人の資産を相当目減りさせ、脆弱にしてきた。庶民は安価なものしか買わなくなり、消費そのものを抑えざる負えないのである。ここに、日銀の金融緩和策が功を奏しない大きな間違いがある。
デフレをインフレにしたいのであれば、金利を上げて個人の資産を増やす方向へとかじ取りをしなければならない。バブル景気が何故起きたかといううと、金利が10%近くにまで上がり、個人の資産が大幅に増加したからである。もちろん、消費に支えられた企業の利益もうなぎ登りに上がり、資産は膨れ上がった。そこで、アメリカからバッシングが生じ、金融引き締めを行ったことによりバブルは崩壊した。
馬鹿な政治家は日経平均株価が景気のバロメータと思っており、株価が上がれば景気が良くなったと騒いでいるが、実質成長率はマイナスのままで、賃金も上がっていない。新しい株式会社が資金も信用力もなく東証一部に上がってきて、そこに資金が行き、その後は資金が引き上げられるという異常な現象までもが認められる。中小零細企業の資金力は大したことはない。したがって、売り上げ、利益、成長率は低い。これまでなら、マザーズにやっと残れる企業ばかりである。半面、大企業の株は上がらず低迷したままである。配当利率が3%を超えても資金は入ってこない。すなわち、行き場を失ったお金が投機的に中小小型株に流れて、まともに大企業に流れていない。だから、大企業は何時までたっても生産性が低いままであり、従業員の賃金も上がらないジレンマに陥っている。
日本人の習性、気質に沿った政策を行わなければ、金はとんでもない所へ流れて、個人は資産が目減りして貧困化している。こんな間違った政策をいつまで続けるつもりなのか。
政権は、日本人を諦め、外国人に活路を見出そうとしている。その結末は、日本人の人口が減少し、外国人の人口が増えるだけだろう。勤勉で倹約的な風土は失われ、日本人は排他的に排除され、外国人が闊歩し、政治にも当然介入してくるだろう。日本が滅亡するときである。国土は残るが、中身はまったく違った人種が支配する。戦後復興を果たしたような日本人的気合は望めるはずもなく、日本人は奴隷と化し辛酸をなめるようになるだろう。そして、荒廃した国土はやがて、ある国のリゾートアイランドと化し、一国の体をなさなくなる。
まことに滑稽である。