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住民自治の探検へ~川崎市議会を語る会

「自治する力」を高め、地域をつくる

議会は自治体経営へ参加可能か~栗山町議会の先端的事例を巡って

2015-08-05 21:49:01 | 議会改革
掲載する記事が少ないため、以下のブログに適時、掲載します。

散歩から探検へ~政治を動かすもの

最近は地方自治関連で、以下の記事を掲載しました。

総合計画は、その自治体の胆だ。それを議会で議論し、修正案を作成し、可決したことは、自治体経営への積極的参加というよりは、経営者そのものとしての活動だ。

議会は自治体経営へ参加可能か~栗山町議会の先端的事例を巡って

意思決定・施策評価・情報提示・提案発掘~基礎自治体議会の主な仕事

2015-04-02 07:28:23 | 議会改革
二元代表制における基礎自治体・川崎市における議会の業務内容の試案だ。これをざっくりと割合で表示すれば以下の様になる。
 予算等の意思決定;0.1
 行政の施策を評価;0.4
 住民への情報提示;0.4
 住民の提案を発掘;0.1
これに対して首長の仕事は行政に関する一連の計画・実施・評価だ。

これは、やや極端な形で示している。恐らく、市長も住民との対話を通して、情報提示、提案発掘をする必要がある。しかし、140万市民をひとりの首長が対応することは困難だ。

また、二元代表制とは云っても、首長の守備範囲は行政にほとんど限られる。一方、議会は意思決定といっても、提案は基本的に行政側から出される。従って、筆者の言葉では、承認型意思決定が主になる。これに関しては、選挙の時期になるとマスメディアの批判の種になる。それは当たっているのだが、しかし、機能の違いを区別する必要もあるのだ。

議会の役割を二つに分けて考えている。
1)首長・行政への対応(予算等の意思決定;0.1 行政の施策を評価;0.4)
2)住民への対応   (住民への情報提示;0.4 住民の提案を発掘;0.1)

特に2)は基礎自治体として“住民自治”に関わる部分だ。現在でも、請願・陳情の審査を通して議会は強く住民と結びついている。しかし、住民への情報提示、住民の提案を発掘することについては全くのところ不十分だ。これを埋めるのが、議会報告・意見交換・自由討論を組み合わせた住民と議員との交流会議だ。

以上のことは何を意味するのかと云えば、「議会―住民」の関係を密にし、住民の市政に対する意思をまとめる機能を議会が積極的に果たすように、姿勢を転換することだ。それは間接的に行政に対する議会の統治を強めること、即ち、住民自治を確立していくことになる。

住民が「自治」という政治的方法を身につけていくには、住民の意思を統合するすべを知らなくてはいけない。それには中心となる「場」を必要とする。それを議会に与えるのだ。そのために、議会は今までの様に、行政を直接的に動かすことから、住民がより良い判断を行うように、住民への情報の提示と意見交換を直接的な対話を核にして、調査機能も充実させ、飛躍的に増加させる必要がある。

そこから行政に対して意見を提起する機能へ結びつけ、首長の機能をサポートしていく。その過程において、議会の中にも新たなリーダーが必要になってくる。政治家が育つ基盤にもなる。

これがマックス・ウェーバーの云う意味での「行動する議会」(『新秩序ドイツの議会と政府』(「政治・社会論集」所収(河出書房新社)1965)への道であろう。


“有権者改革”は天声人語の勇み足か~“議会改革”との異質性

2015-03-30 07:00:00 | 議会改革
朝日新聞・天声人語が「地方議員をどう選ぶか20150326」で流山市議会の松野豊議員のブログを取り上げ、その中で“有権者改革”という言葉を用いていた。松野氏は議会改革を日本の中で先導した議員として名高い。
筆者はこれを川口市の市民団体が発行する「議会改革のブログ」で読んだ。しかし、瞬間、筆者はこの言葉に相当な違和感を持った。

国民、住民、市民等について、意識改革という言葉はマスメディアには良く登場する。おそらく今回の言葉も有権者の(政治)意識改革との表現と推察される。それが“有権者改革”に圧縮されたのは、字数制限もあるだろうが、“議会改革”との対応をとった表現とも感じた。しかし、“有権者改革”とは耳慣れない言葉だ。

天声人語は次の様に云う。
「昨今、地方議員には逆風が吹く。それでなくても何をしているか見えにくく、遠い存在と思われがち。どう選べばいいのか、住民が困るのも当然だ…松野さんは「有権者改革」が今後は必要という。議会や役所を変えるだけでは民主主義の質は高まらないと思うから。特に下がり続ける投票率を気にする」。

早速、「有権者改革」で、ググってみたが、天声人語で紹介された以外に松野氏自身の発言は見出せなかった。
先にも述べたように、有権者改革は議会改革と並べたものだ。しかし、議会は職業に関わるものであり、当事者も限定される。ビジネス(改革)と同じで、一つの組織体として存在する。しかし、有権者は、職業人として日頃は仕事に勤しみ、選挙の際に投票し、後は当選者に信託するのだ。もとより、政治団体等に所属する人たちを除いて単なる個人だ。これが改革の対象になるのだろうか。

松野氏は、天声人語で引用している「統一地方選挙!良い候補者選び10の基準」の中で次の様に云う。「地方統一選での投票率は、年々低下している!また、昨年末の衆院総選小選挙区の投票率は過去最低の52.66%であった」。

「投票は、義務ではなく権利(参政権(憲法第15条))、主権者が代表者に権利を信託する行為だ。投票率50%以下で当選した政治家が「本当に民意を反映できるのか?」。一方、白紙委任をして、後から文句を言う有権者は「公共を担う市民の一員として、健全と言えるのだろうか?」。

「しかし、「誰に投票したら良いのかワカラナイ…」ということもあり、投票の基準が明確にして、投票率の向上を図りたい。そこで、市議会議員の視点から「候補者を見極める基準」「候補者に求められる資質」をまとめた。これは、周囲の人と自分の街の将来や選挙について話し合うきっかけを提示することが目的だ」。

松野氏は“有権者改革”とは云っていないようだ。本人に確かめて使っていれば別だが、天声人語が松野氏のブログの内容を簡潔に紹介し、まとめて“有権者改革”としたのなら、ジャーナリズム特有の誇大表現と考える。天声人語にあっては、自らは有権者より優越し、有権者を啓蒙する役割を担うという発想が潜んでいるように思える。

松野氏の「10の基準」に戻ろう。
この基準も、それに続く、駄目な候補者のパターンも、それぞれ尤もで有り、読み物としては有益だ。しかし、実践的かと云えば、そうではない。先にも述べた様に、また、筆者がそうであった様に、投票日、投票所に行ってからポスターの掲示板を見て、投票先を決める有権者も少なくない。
 『新顔と情報を住民へ提供する議員を比較~直観による一票の決断150316』
 
そうでなくても、日常、仕事に多くの時間を割き、その他は、細切れの時間を過ごす一般の有権者にとって、観念的には権利で有り、公的責任を持つことは判っていても、他者に負託するだけの行為に時間を割くことはではない。

また、情報が多くなるほど、選択が容易になるわけでもない。却って迷いが増すことにもなる。有権者は、人間本来の五感を使って判断したいのかもしれない。従って、選択の精度は落ちるにしても、少ない情報で、短い時間の中で判断する方法を、それこそ、16年間の議員生活を活かして提示することも有益な行為と思われる。

改めて確認するが、
議員と有権者は、権力という軸をとれば、立ち位置は天と地の違いがある。議員の職業人としての意識改革及び組織体としての議会改革は求められて当然だ。
一方、有権者個人の意識改革は、あるとしても個人に委ねられ、一群としての有権者改革は言葉として成立しない。

     

地方議会の役割と住民の姿勢~2006年頃に考えていたこと

2015-03-29 21:48:36 | 議会改革
前々回の統一地方選挙、2007年4月の少し前頃から川崎市議会の実情に触れるようになってきた。屋外少年スポーツ施設のあり方、圧倒的に野球のグランドが多いことに疑問を持ち、議会に、筆者として陳情第1号を提出した頃だ。

今にしてみると、青臭い処もある。しかし、考え方としては、約10年弱、一貫している。改めて、今度の選挙後に向け、考え方をしっかりさせるため、読み直してみる。

議員による議会活動情報の編集・(住民への)報告、住民の議会への参加、に関して充分に考えられていなかった。最近は、その辺りの考え方が進化している。新たな提案も想い浮かんでいる。以下、2006年頃に記載した文章を載せる。

議会の役割と住民の姿勢
 1.問題の所在~自治体議会と住民
 2.当面、議員に望むこと
 3.住民としての課題克服へのアプローチ

1.問題の所在~自治体議会と住民

議会側
1)地方自治体議会は何をする?議員がいれば「議会」、ではない
2)自治体全体に係わる“課題”を考える議員が揃って議会となる
3)その“課題”は多面的な側面を有する複雑な問題だ
4)議員が“課題”を考えれば、意見、考え方は多様になる
5)従って、何をするにも討論が必要である、“討論”こそ、議会の真髄だ
6)更に、住民代表としての議会は統合された“提案”で最大に機能
7)現状を一言で言えば、「議員あって議会なし」
8)“行動する議会”に向けてあるべき「自治体議員像」を構築していこう

住民側
1)選挙で代表としての議員を選出する住民の立場はどうか?
2)議員或いは業界、町内会、財団法人等の中間団体に白紙委任では?
3)マニフェスト・公約を先ず「検証を前提とした政策体系」と捉えよう
4)選挙においてマニフェスト・公約は投げられたボールとして受けとめる
5)政策を検証してみる、そのために状況をフォローすることが必要
6)ひとりでは不案内で時間が掛かる、仲間を募って手分けしてみる
7)“日常的フォロー・検証”へ、日頃の会話で政策を話題に!!

2.当面、議員に望むこと

1)具体的な問題を議会において「川崎市全体の課題」として提起すること
2)会派で、更に議会としての意思統一を図る
  ・「マニフェスト・公約」による会派としての意思表示と実行
  ・議会改革に向けて行動すること

3.住民としての課題克服へのアプローチ

1)川崎市議会 における定例会、委員会内容を分析する
2)興味をひく「課題」に関連する政策について調べる(*を参照)
3)自分自身が共感する議員の活動をサポートする

  *「課題」の進行(問題生成ー課題提起ー認識共有ー課題克服)
   ・政策の循環を螺旋状に進むサイクルとして提起する
   ・各段階におけるポイントを提起、具体敵に検証する

      


地方議会における決算・予算・実算~後向きで前へ歩く

2015-03-22 10:23:10 | 議会改革
地方議会では3月議会で予算案を審議し、9月議会で決算案を審議する。そして、年間を通して実行中の予算をチェックする。これは試みに「実算」と呼ぼう。即ち、“予算―実算―決算”のサイクルになる。

しかし、これは行政サイドから分け方によるサイクルになる。議会にすれば、行政側が策定して提案した予算案を審議し、基本的にはその案を可決する。例えば、修正があっても、一部だけであって、大勢には影響しないことが多いのではないか。そうでなければ、首長が選ばれた意味がなくなるはずだ。地方自治法の規定の考え方も、将に二元代表制の考え方沿っている。

そこで、議会の役割は条例を策定することを除けば、行政をチェックすることになる。そのチェックの仕上げが決算の認定になる。これも認定はするのだが、具体的な予算の使い方についての問題点をまとめる必要がある。そうでなければ、議員は仕事をしていないことに等しい。

そのまとめのツールとして「事業仕分け」が有力な方法だ。即ち、具体的な事業運営が有効に行われたのか、本来の趣旨を全うしているのか、行政の担当レベルから聴く必要があるからだ。

しかし、これは全体をまとめて、類似の問題がないのか、行政側にチェックさせる必要がある。そのチェック結果も含めて次年度の予算に反映するのが議会の仕事となるはずだ。そこでのサイクルは“決算―予算―実算”になる。

議会は決算から始まる。
それは、後を向きで前へ歩く、ことに準えることができる。既に終わった仕事を検証することで次年度の予算に対して、何らかの形において、変更を加えることだ。当然、行政側の協力が必要になるし、それ以上に、議会の位置づけに対する理解が大切だ。

それは「二元代表制」に対する理解と同じだ。先にも論じたように、予算案の承認的意思決定だけでは、「1.1元」にしかならない。これは両者の機能を考えたときに、理解できることだ。
 『地方議員候補は予算案に対する意見表明を~統一地方選での課題』

それを少しでも「二元」に近づけるには、議会内活動として上記のサイクルを固める必要があるのだ。おそらく、それでも「二元」には到達できないであろうから、「住民への使者としての議員」を提案した。
 『ヘルメスとしての地方議員~票と利益の交換を超えて』
 
さて、川崎市議会は今年度から決算委員会の形式を変えた。決算を重視する筆者の立場からは非常に大きなことになる…可能性がある。
議会かわさき 第102号-平成26/11/1発行』には、決算審査特別委員会の審査方法が変わったことが書かれている。

「決算審査が来年度予算により的確に反映されるよう、今回の決算審査特別委員会から、常任委員会単位の分科会で決算議案を審査し、分科会での審査を踏まえ市長と総括質疑を行うという運営方法に見直しました。」

「また決算審査の見直しに伴い、9月4日に都井清史氏(公認会計士)を講師に迎え、特別会計や企業会計の見方などについて「決算審査に当たっての着眼点と議会に求められるチェック機能」をテーマに議員研修会を開催しました。」

しかし、変えたことによって、前年度までと比較して、厳しい審査をできたのか?何も答は書かれていない。議会として市民への報告義務があるのではないか。尤も事業仕分けによる評価はなされておらず、極めて不十分であることは想定できるのだが。