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住民自治の探検へ~川崎市議会を語る会

「自治する力」を高め、地域をつくる

川崎市簡易宿泊所の内実~議会での新設反対の請願審査を通して

2015-05-24 21:00:57 | 川崎市議会
報道によれば、川崎市川崎区の簡易宿泊所火災の犠牲者は9名とのこと。宿泊客は高齢ひとり暮らしの生活保護者が多い…というよりはたまり場であった…。

3年前、市役所の裏側、堀之内本町あたりに、この手の宿泊所の建築計画があり、周辺住民から反対の請願が出された。「ホテル&リゾート 2012年09月15日発売号目次」に、「【宿泊施設】○福主美商事、川崎市堀之内町に23室の簡易宿泊所・ダイキン宮本町を新設」とある。建設を見越して川崎市議会は請願を健福委で審議の末、「趣旨採択」したのだろうか。

本稿は、当時のメルマガに掲載したもので、請願審議の中に、簡易宿泊所の内実を読み取ることができる。以下、本文。

探検!地方自治体へ ~川崎市政を中心に~ 第191号 2012/9/23
★『請願「民間の迷惑施設建設に反対」審議の分析・評価』★
  ~石田和子議員(共産党)の複合的アプローチ

 はじめに
 1.全体概要
 2.複合的アプローチと単発的アプローチ
  2-1 現実と法との裂け目~宿泊施設は「生活の拠点」か?
  2-2 法解釈と運用の固定化~宿泊料の上乗せ
  2-3 関連施策を含めた複合的議論~自立支援をキー概念に
  2-4 法律に書いていないことの取扱~4名の議員の指摘から
  2-5 住環境維持とまちづくりは同じか
 3.残された課題
  3-1 行政のチャレンジに答えられない議会~条例の検討
  3―2 住民対住民 まちづくり・住環境・迷惑施設
  3-3 自立支援のあり方~方法と官のリソース
 おわりに

1.全体概要
題材 請願第42号
「川崎区堀之内町に建設予定の簡易宿泊所に反対する」
要旨1.
 簡易宿泊所ではなく、第二種社会福祉事業宿泊所へ運営を見直す
要旨2.
 本施設は届出制でなく、地域住民の納得のうえ、許可制にする
 注…現状の法律
   簡易宿泊所
   ・基本的に衛生状態を満足すればOKの「許可制」
   第二種社会福祉事業宿泊所
   ・地域住民との協定を締結したうえでの「届出制」
審議結果=全会一致・趣旨採択
 *コメント
  要旨1は事業者、要旨2は国の意思決定によるのではないか。
  これを趣旨採択するなら、議会として今後の行動が必須。

2.審議から見出せること~複合的アプローチと単発的アプローチ
 請願の主題である「住環境の維持」の質問を始め、法的問題、施設の内容・
運営、事業者説明会、行政の立場、生活保護者の状況、自立支援の施策等、多岐にわたる質問があった。
 審議概要は「第2回定例会 健福委員長報告資料」(P3-7)を参照。

 審議の中で、石田和子議員(共産党・高津区)は、法解釈、事業者施設の実態、行政の関連施策を複合的に捉えた質疑を展開、行政に具体的な課題を認知させた。すなわち、他の議員の質問は、単発な項目の羅列であり、要望で収束させるだけであったのと比較し、一段と光るものがあった。

石田議員の質疑は複合的アプローチ、以下3点の「特徴」を有する。
(1)質問項目を有機的に関連させ、問題点を抽出する(複合的アプローチ)
(2)自ら関連資料を探査し、本請願と結びつける(2-3参照)
(3)見過ごしがちな記載から、問題点を見出す(2-1参照)

2-1 現実と法との裂け目~宿泊施設は「生活の拠点」か?
 旅館業法によって規定される簡易宿泊所が、第二種社会福祉事業宿泊所に
限りなく近い運営を行うと、その間に何らかの矛盾が生じる。それが「生活
の拠点」に表現されていることを鋭く見抜いた処がポイントだ。生活保護者
を主対象とした運営は単に宿泊ではなく、宿泊所の生活拠点化を事業者が意
識していると感じさせる。

◆石田和子 資料2:法第2条、宿泊施設の意味
 ・旅館業法は生活本拠を置くことを宿泊営業に該当させているか?
*行政回答
 ・「生活の拠点を有さないこと」は旅館業に該当するか否かの判断基準。

◆石田和子 資料3:市内の生活保護者数と簡易宿所の利用状況
 ・当該事業者の既存4施設の定員及びその中の生活保護者数は。
*行政担当
 ・4施設の定員272、そのうち、生活保護者数257。

◆石田和子 住民提供・説明会議事録:副管理人の旅館業法上の意義と役割
 ・副管理人は入居者と契約。定住が前提ではないか(特徴(3)に該当)。
*行政回答
 ・管理人の設置は必須。副管理人は事業者独自、行政は関知しない。
 ・法の原則は宿泊者を拒否できない、定住してはいけないとは言えない。

◆石田和子 上記議論のまとめ
 ・事業者施設4カ所の入居者95%は生活保護者、本施設も同様な運営。
 ・入居者は副管理人と契約必要、事業者は本拠とする人を想定している。
 
 石田議員は、実質的に第二種社会福祉事業宿泊所の運営を行っていると判断でき、行政は住民説明会を地域住民との協定に近づけるように指導はできないか、との方向を目指したと考えられる。一方、行政側は苦しげであるが、「定住」とは認めず、両者を分ける一線は維持した。それにしても「現実と法との裂け目」を具体的に明らかにし、事業者及び行政側に強いインパクトを与えたはずである。

2-2 法解釈と運用の固定化~宿泊料の上乗せ
 法律がそのときの状況、特殊な事情によって「運用」され、法解釈として「固定化」する。あたかも最初からの規則であるように「ルーティン化」し、「追随」される。ここでは更に、それを前提としたビジネスモデルによる事業展開が民間で図られる。

◆石田和子 資料3:簡易宿所と第二種社会福祉事業宿泊所との違い
 ・生活保護者の住居費は1人世帯5万3,700円、簡易宿所6万9,800円の理由。
*行政担当
 ・委員の疑問は納得。簡易宿所は1泊2,000円程度で設定。
 ・生活保護法上の運用、国も認め、横浜市、台東区でも同じ取扱い。

◆石田和子
 ・その当時の社会状況の中で、特殊事情として運用を認められてきた。
  しかし、通常より1万6,000円高い額を前提としたビジネスは、おかしい。
*行政担当
 ・非常によく判る。住宅費の特別基準の認定を再検討する。
 ・5万3,700円以内のアパート生活が可能な状況か、調査する。

◆石田和子 アパートに住んで自立する方向性を、行政は考えていくべき。
 簡易宿所の宿泊料金が高いことは「資料3」に出ているが、不思議に他の議員は聞かなかった石田議員の前に質疑した、竹田宣廣議員(みんな・宮前区)、木庭理香子議員(民主・麻生区)、松原成文議員(自民・中原区)は何も問題意識はなかったのか?松原議員は「宿泊費とは家賃か?」との質問の後、支払い方法の質問に逸れている。

 石田質問に対して行政側回答は「同感!」である。固定化した決定のなかで、おかしいとは感じても直すキッカケを掴めなかったと推定する。横浜市、台東区にも同じに感じた仲間がいたかも知れないが、ネットワークを組むことなど夢のまた夢であろう。「宿泊費」と「アパート」の具体的言質を得て、石田議員は次のステップへ進む。

2-3 関連施策を含めた複合的議論~自立支援をキー概念に
◆石田和子 ホームレス対応との整合
 ・シェルターの整備の考え方、就労自立支援センター等との関係は?
*行政担当
 ・自立支援施設は4カ所。ホームレスの窓口、シェルター的な対応。
 ・居住する施設ではなく、拠点として自立へ向け支援、形態は様々。

◆石田和子 複合的に捉えて議論の整理
 ・特殊な事情を当て込んだ事業がビジネスモデルになるのは問題。
 ・旅館業法が生活保護・自立支援室とリンクせずとの考え方は問題。
 ・ホームレスの自立に向けた事業と別ではなく、局内の連携が必要。
 ・ホームレスの収容人員も半減、定住に対する手だては更に必要。
*健康福祉局長
 ・生活保護者の経済・消費行動を対象に行う経済活動は当然である。
 ・不当に利益を得る、利用者に不利益を与えることがあれば問題。
 ・許容せずの場合、公正に配慮し、制度的に規制をかける必要。
 ・具体的には、住宅費の問題は、ぜひ検討していく必要がある。

 関連する施策である「自立支援計画」を事前に読み、就労自立支援センター機能を明らかにしたうえで、ホームレスの収容人員も半減と指摘、先の「アパート」を含めて、局内の縦割り行政を突き、「定住」問題へのアプローチを具体的に迫る。
 その結果、局長は住宅費の問題について検討を言明した。

◆石田和子 資料3:社会福祉法の住民との協定締結
 ・第二種社会福祉事業宿泊所と同等な内容のとき、
  地域住民と協定締結は可能か。
*行政担当
 ・簡易宿所は不特定多数が宿泊、規約を設けることは難をしい。

 施策間のリンクまで幅を広げた後、これまでは簡易宿所の「虚構性」を具体的に明らかにし、ここで本丸に辿り着いた感がある。複合的であると共に間接的アプローチだ。しかし、「定住」問題と同様に、「協定締結」問題も一線を画されてしまった。行政の立場としては当然であろう。
 一方、本請願に関わる状況に関し、全体として矛盾を孕むことを具体的に明らかにした意味は大きいと言える。
 以下は単発的アプローチの中から議員の盲点と感じられる質問を例示する。

2-4 法律に書いていないことの取扱~4名の議員の指摘から
 旅館業法第3条の営業許可に関し、施設周囲100m区域内にある学校、認可保育園等に対し、「清純な施設環境が害されないか」意見を聞く規定がある。ここでは認可外保育園があるが該当しないと行政側は説明する。これに対して質問・意見が集中する。

◆松原成文 資料2:法第3条第3項 意見を聞く施設
 ・認可の保育所であれば、それは申請を認めないということか。
*行政担当
 ・先の説明と同様、清純な環境を害するのか意見を伺う。
◆木庭理香子 同上
 ・認可外、認可、幼稚園、線引きで子どもをくくってよいか。
*行政担当
 ・保育所は認可が法律上の要件、意見を聞く必要がある。
◆竹田宣廣 同上
 ・法から飛び越える部分だが、認可外保育園に意見を聞けるか。
*行政担当
 ・意見を聞く施設ではないが、配慮するように事業者を指導。
◆石田和子 同上
 ・保育園の子どもにとって認可、認可外は関係なく、全く同じ。

 おそらく法の規定は「代表」を指定したのであろう。そうでなければ、近隣の、子どものいる全家庭に意見を聞く必要があるはずだ。議員が認可と認可外に拘るのは、法律文言への道徳的アプローチに思える。しかし、ここでの問題は法解釈ではないか。

 認可保育園に「意見を聞く」規定では、認可外保育園については何も規定されておらず、聞くか、聞かないかは任意であろう。また、現状の川崎市において、認可、認可外を同等に扱うのは議員諸氏の議論にあるように、特に不思議ではない。従って、市として条例、規則、要綱、要領、いずれかに認可外から意見を聞くと規定して、法律違反であろうか。竹田議員「法から飛び越える部分」との発言が、この点に関する問題意識の無さを示している。他の議員も、職員も全く同じに見える。法律に書いていないことを、法律の趣旨を勘案しながら判断することは、私たち自身がなすべきことではないだろうか。

2-5 「住環境維持」と「まちづくり」は同じか
 請願は現在の住環境を維持することを主張している。すなわち、迷惑施設への反対であり、運用の変更である。「まちづくり」そのものは請願の要旨に含まれていない。「まちづくり」を考えるならば、この種のいわゆる迷惑施設をどうするのか、ある範囲内で考える必要が出てくるからだ。

すべての地域が「まちづくり」を理由にして反対すれば、行き場のなくなる施設が出てくるのは必然だ。

◆木庭理香子 請願書:住環境(安心・安全)の維持
 ・市はどちらの立場に立って物を考えているのか。
 ・現行法の中での対応が不可能ならば、今後はどうするのか。
*健康福祉局長
 ・基本的に法令の定めに従って、行政処理を行う。
 ・事業者と住民の対立に対し、法的に公正な立場に立つ。
 ・事業者と住民が話し合い、納得するのが一番望ましい。
 ・まちづくりに法、条例があり、それに従った処理を行う。
 ・将来的に目指すことには、新たな立法措置が必要だ。

◆松原成文 請願書:住環境(安心・安全)の維持
 ・事業者と住民のトラブルを回避する新条例の方向性は?
*健康福祉局長
 ・紛争状態に関して関係法令は多く有り、野放しではない。
 ・一方的規制は良くない、事業者の活動を許容するのは当然。
 ・まちの状況に応じて的確な制度化は常に念頭に置く。

 具体的な問題を指摘せず、どちらの立場か、と迫るのは「2-4」とじく、極めて直線的なアプローチである。この方法の欠点は、立場を外されると何も言えずに、議論の行方がなくなることだ。討論の広場である議会としては好ましくない。上記の両議員に対する局長の答弁をみると、抽象的かつ常識的に、ほとんど同じことを言っている。結局は何も言質を与えていないのだ。

3.残された課題
 大きく眼についた今後の課題を三点、以下に述べる。
 1)議会による「条例」の提案・制定
 2)住環境維持と迷惑施設の設置
 3)自立支援のあり方~方法と官のリソース

3-1 行政のチャレンジに答えられない議会~条例の検討
 木庭議員「市はどちらの立場に立って物を考えているのか」との問いに、局長は「将来的に目指すことについては、新たな立法措置が必要になる」と答えた。これは議会に対する行政のチャレンジだ!「立法措置は議会の役目、必要と思うなら自分たちで作れ」と言っている(「2-5」参照)。しかし、何を言われているのか、木庭議員は理解できていないようだ。次の句は「…全く納得はできない…」である。

 松原議員「事業者と住民のトラブルを回避する新たな条例」、坂本茂議員(自民、川崎区)「関係した条例を見直すことも行政の重要な仕事」との発言に示されるように、議員が行政職員に対して「新たな条例」あるいは「条例の見直し」を要求する倒錯した意見が、委員会審議の場において、疑問なく出され、それに局長が常識的に答えると「非常に前向きなご意見」と持ち上げるのが、現実の川崎市議会の姿なのだ。

3―2 住民対住民 まちづくり・住環境・迷惑施設
 地域住民の住環境維持と事業者との対立は、実は「住民対住民」の図式になる。簡易宿所を利用する人が住民と考えれば、の話になるが。ともあれ、住民が利用者に不信感を持つ限りは「住民対利用者」の関係になる。「定住」の問題が再燃するかもしれないのだ。

 更に、まちづくりを考えると、迷惑施設の近隣にいて迷惑を被る住民と遠くにいて利益を享受する住民の対立が想定される。この「住民対住民」の最初のケースが東京都のゴミ戦争である。これはゴミの処理が集中する江東区民とゴミ処理施設の建設に反対する杉並区民との紛争であった。これこそが住民自治の論点になるのだが、ゴミ戦争は未だ後遺症を残しているようだ。

3-3 自立支援のあり方~方法と官のリソース
 石田議員が提起したように、アパートに住んで自立する方向性を行政が考えたとしても、実際にアパートを貸すことには、障害があるように思える。簡易宿所に対して地域住民が警戒心を持ったが、アパートについても事情は変わらないことは、十分予測できるからだ。

 そうなると、官が必要な施設を準備することが順序として考えられる。そこでの問題はリソースである。配分する金が少なければ、自立の支援は地域に投げ返されるかもしれない。そこまで想定すると、自立支援のあり方も変わってくる可能性があるだろう。

おわりに
 本稿は『市民による議会活動の分析・評価』の試論である。ここでの狙いは「議会審議の質的向上」と「市民生活へのインパクト」にある。その点、この趣旨採択が次の議会活動へどのように結びつくかが問題である。行政からのチャレンジを正面から受け止め、市民との対話を進めながら条例制定等へ進んでいく姿を示して欲しいものだ。

      



助産所の活用、市議会への請願が新事業に~委員会での優れた討論事例

2015-04-29 08:43:30 | 川崎市議会
助産所の活用、市議会への請願が新事業に~委員会での優れた討論事例

『市民による川崎市議会白書2011年度版』から委員会での出色の討論を紹介する。白書の中心「川崎市政の論点・争点・課題」の13ケースの中の一つだ。テーマ毎に、委員会での議案審議、事務事業報告、請願・陳情審査及び本会議での会派質問、議員質問から関連する内容をピックアップし、系統的に理解する。
今回は、「議事録」から以下を参照文献とする。
 健福委員会 H22/05/21 請願審査 「100号 地元で安心安全なお産を求める」
       H22/10/29 事業報告 「産科医療機関に対するアンケート結果」

「問題の所在」と筆者「コメント」との間に、以下の議論を展開する。
『基本的なデータ~現状認識と新たな課題~「位置づけ」から問い直す!~嘱託医がやめて2ヵ月機能せず~議員と局長とのギリギリの議論~議員の発想、局長の発想~ベクトル合わせ~医療機関の現状認識~周産期医療ネットワーク施策―基本計画への遡及~新たな事業として設置~医療全体の問題』

1.問題の所在
要約 「請願100号」の地元でのお産とは、助産所の活用であり、そのためには、医療機関と行政の継続的支援が必要だ。しかし、産科医療従事者の不足は深刻、一方で、医療費も増加傾向にある。審査では、具体的な住民の疑問から出発した質疑が展開され、認識が深まり、施策の方向も行政と一致して趣旨採択、最終的には23年度の新事業として実施された。請願・陳情が住民提案であることを示す貴重な例である。

「地域の『助産所』を最大限に活用、そのために嘱託医療機関の確保と円滑な連携」を市で主導する。これが請願の趣旨である。助産師は医療行為をできない。従って、助産所は、正常分娩が見込まれる妊婦を対象とする。一方、不足の事態が起きた場合は、嘱託医師の仕事になる。

川崎市は周産期も含めた救急体制において、救急車の待機時間がワーストワンを前年まで3年間続けた。医療従事者も不足する一方、高齢化社会が進むと共に医療費も嵩んでいく。医療全体の中で、所産所・助産師の位置づけは?ここから問題は始まる。

2.基本的なデータ
基本的なデータが健康福祉局から説明される。先ず、川崎市のゼロ歳児は約1万4千人。
 図表5-6-1 分娩取扱数(平成21年度)
  施 設  10,540人  
  病 院   6,777人 64%
  診療所   3,226人 31%
  助産所     537人  5%

 図表5-6-2 分娩取扱施設数
  施 設  30
  病 院  11
  診療所   9
  助産所  10

周産期救急体制については、3月に聖マリアンナ医科大学病院において、総合周産期母子医療センターが開院され、大きく改善されている。
 ハイリスクの集中治療室として、
 MFICU  6床
  NICU 12床
   GCU 24床
 が設置された。
市内では他に、NICUを市立川崎病院6床、日本医大武蔵小杉病院3床、それぞれ設置して21床、先ずの整備ができ、順当に稼働している。

3.現状認識と新たな課題
救急体制が整備された段階での正常分娩を対象とする助産所をどう位置づけるのか、請願審査での第一の問題となる。ここで、行政側は、助産所と医療機関との嘱託契約と連携を課題として両者が入るマッチング会議を行っており、これは政令指定市として川崎市と仙台市だけが行っている支援と説明する。一方、議員の認識はどうだろうか。

吉岡俊祐議員(公明党)『今後の問題は、ぜひ早期にめどをつけて頂きたい…』
斉藤隆司議員(共産党)『ぜひとも早く進めてほしいということを要望…』
石田康博議員(自民党)『環境整備をぜひ積極的に進めて頂きたい…と要望…』
他に志村勝議員(公明党)も含めて、救急体制及び医療全般に質問を波及させながら本テーマへは、様子見だけの反応であった。

4.「位置づけ」から問い直す!
しかし、基本に戻って問い直す議員も。
玉井信重議員(民主党)『…生む場所が少ないという…どうやってふやしていくのか…最も決定的な問題…。今、有床の病院、診療所が建設できない状況の中で…助産所の整備に力を入れていかなければならない…。助産所の位置づけをどうするのか。』
健康福祉局長『…連携のあり方、資源を有効に活用する方法も継続して検討…』
玉井議員『局長、具体的な話をしたい…助産所が非常に大きな課題を抱えている状態…局長の話は弱い…助産所を位置づけて増やす気持がないとだめなのでは…』
そこから請願の契機となった具体的な話に移す。

5.嘱託医がやめて2ヵ月機能せず
多摩区の稲田病院は嘱託医が辞め、2ヵ月間機能せず、ようやく東京都立川市で引き受けてくれる医療機関を見つけたことを指摘した後、
玉井議員『…部長は一般の正常分娩でも、いつ医療的なケアが必要になるか、わからないとおっしゃった。それだと立川市は不安だと、皆さんが感じる…なぜ切実に受けとめないのか、すぐ隣に多摩病院もある…なぜ連携がとれないか…。支援とはコーディネート機能だ。』

6.議員と局長とのギリギリの議論
局長『何を優先するか、パイの限りある中で助産所の嘱託医をやってくれということができかねる環境が片側にある。僕は、先ほどから何回も言っている。』局長クラスが“僕”と自らを呼ぶことは珍しい。普通は“私ども”、一人称を使う場合でも“私”である。図らずも口から出たこの言葉の中に、出来る限りのことはしているとの、局長の理解を求める本音が出ているようだ。
玉井議員『そこなんだよ、局長。今おっしゃったのは、現状そのものを肯定されている。新しいものとして助産所の位置づけをして、その支援体制を構築したらどうか。』
局長『度重なる質問の中の趣旨はよくわかっている。…行政も支援をしていきたい…マッチング会議等を開く…何故、嘱託医を受入られないのか、調査もやる…』

7.議員の発想、局長の発想
局長は、おそらく、ここまで問い詰められるとは考えていなかったのだろう。救急体制の施策をした。本件についても行政側も課題を認識して、マッチング会議を開催して検討をしている。従って、請願に対応する施策の内容は聞かれても、そこまでの経緯は踏み込まれない。全体として、その前に発言した吉岡議員、斉藤議員、石田康議員、志村議員の4名の内容程度に要望されるのが道筋だと読んだに違いない。

一方、玉井議員の発想の原点には、具体的経験による住民の市政への疑問がある。それをベースに議員として、広い立場で見直して位置づける考え方である。従って、原点にある疑問を乗り越えるのが議員の仕事との自負を感じさせる。施策が考えられたとしても、行政が置き忘れがちになる原点に拘る理由がそこにあるはずだ。

そう考えて行政側の最初の説明を読み直してみると、サラッときれいに書きすぎており、そんなことではないだろうと、ひっかかるところがある。例えば、玉井議員が指摘した嘱託医の交代問題である。平成21年に嘱託医師及び嘱託医療機関の変更が生じた助産所2施設について、『適正に手続が行われ、現在に至る』と述べている。

更に、川崎市の地形の特性から、市外に嘱託医師等を持つ助産所もあることを述べ、『他都市では、同一市内でも相当離れた場所に嘱託医師を持つ助産所もある…助産所助産師との連絡、連携を密にする制度の趣旨から、必ずしも行政区域にこだわらない』と述べ、現行での課題から外している。先の稲田病院の例と対比すると行政の発想と議員の発想の違いが良く判る。

8.ベクトル合わせ
お互いの立場の違いを改めて認識したことは、後の施策の議論にも影響するだろう。しかし、施策に対する方向はあっている。
玉井議員『局長、できるだけ折り合うような話でおさめたい。』
これで、つばぜり合いを収束の方向へ導く。すなわち、救急体制確立の施策が方向性として正しかったこと、また、本請願の趣旨に合った方向で行政側も今後の施策を考えていることをお互い確認した。

9.医療機関の現状認識
ここで話は「報告 産科医療機関に対するアンケート結果」に飛ぶ。行政側がこの問題に対する施策の最終案をまとめる際に、医療機関の考え方を確かめたものである。

図表5-6-3 対産科医療機関アンケート結果
1)助産所での分娩 『医師の常駐する施設での分娩が多数』
2)嘱託医療機関受託の意向 『受託を希望しないが多数』
3)受託を断る理由 『医師のマンパワー不足』
4)嘱託医療機関に必要なこと 『マンパワー確保』
5)助産所に必要なこと 『質の向上と安全管理』
6)市に求める支援体制 『診療報酬上の評価、人材育成』

市内で分娩を取扱っている病院11、診療所8、合計19医療機関のうち17箇所から回答を得ている。実際、議員だけでなく、住民も医療機関がどのような考え方で日頃の仕事に当っているのか、良く判らず、おそらく、不安に思っている人も多くいるのではないか。その意味では、議会だけに情報を閉じ込めておくのではなく、積極的に開示しても良いように思える。

しかし、ここまで議論を進める議員が現れてこないのが残念である。聖マリアンナ医科大学の巨塔とその中にある高額な設備、一方の我が家に近い助産所を共にイメージしたとき、住民に知らせる情報も議会として真剣に考える必要がある。

1)の回答は不測の事態に備えることを考えれば、当然の考え方であろう。それでも、2)において、希望しない12機関に対して、5機関が受託している。その受託せずの理由は3)マンパワーそのものである。これも先の局長発言に対応する医療機関側の状況の表れであろう。その裏返しが、4)の回答になる。

一方、2)の受託する医療機関として、助産所と市に求めることが6)である。質の向上と安全管理は常に求められる。具体的施策が何かを示せればもっと良い。これが施策として反映させるべきことになる。

10.周産期医療ネットワーク施策
この調査も参考にして「周産期医療ネットワーク」を推進する施策が示される。

図表5-6-4 周産期医療ネットワーク施策
 「施策1」 高次医療機関でのNICU等新設・増床及び運営を支援
 「施策2」 嘱託医療機関が行う助産所の安全管理指導を支援
 「施策3」 院内保育所の運営補助により女性医師等働きやすい職場環境
       づくりを支援

 ここで「施策2」が入ったことが請願の成果になる。
一方、「施策1」は従来の延長線上に位置づけられる。地域保健医療計画では、NICUの必要数を30床、現状は先に述べているように21床、新たに日本医科大学武蔵小杉病院で3床を増床予定で、合計24床、さらに、神奈川県立こども医療センターの21床の一部を含め、ほぼ必要数を充足できる。

また地域的には中原区で大規模なマンション建設により人口増加が著しく、22年9月1日現在の人口は約23万人、昨年の人口増加数は約4千人、女性人口15─49歳比率は約56%等、各区の中で最も高い数値を示している。この地区における周産期・小児救急医療体制の強化が必要である。

また、「施策3」は、アンケートで産科医師のマンパワーの必要性を指摘する意見に対応する。神奈川県保健医療計画では、25─29歳の産科・婦人科医師に占める女性医師の割合は約3分の2になる。

また、日本医師会の調査では、女性医師が仕事を続ける上で必要と思われる制度や仕組み、支援対策として約65%が託児所、保育園などの整備、拡充を、約62%が病児保育を挙げている。ここから院内保育所の運営支援が第一に必要と考えられる。そこで、現在10の医療機関の院内保育所への運営補助を県と協調して実施している。

11.基本計画への遡及
「施策2」に関する審議の議論に戻る。請願審査において玉井議員が具体論から迫った。これについて石田和子議員(共産)は、『かなり本質に迫る議論があった…』と評価しながら、20年度策定の県保健医療計画に関連した数値について質問する。

『分娩施設1箇所当たりの人口4万7千人に対して、全国平均は?』『持ち合せはないと言うが、請願文書では出ている。提示願いたい。』『分娩施設数の推移も県資料にはあるが、川崎市は数値がでてこない。』と資料を請求し、ここから県保健医療計画との比較に入る。

周産期救急医療について肯定的な評価の後、地域の診療所と助産所の活用について、横浜市が基本計画のなかに盛り込んでいることを指摘、川崎市も次の基本計画に盛り込むことを提案する。鋭意取組との回答を得て、更に、緊急対策も要望する。
玉井、石田議員を中心とした質疑の結果、請願は全会一致で趣旨採択される。

12.新たな事業として設置
周産期医療ネットワーク「施策2」は、上記の趣旨採択を受けた回答とも言える。石田議員は改めて「施策2」を市の基本計画(地域保健医療計画)に入れることを要望する。それと共に、支援対策の具体的中味を聞く。

新たな研修、資材・機材との回答は予算措置が必要であることを意味する。更に玉井議員の質問に対して、具体的な活動に見合った補助金を支出すると説明した。これが23年度予算に設置された。「助産所嘱託医療機関への支援事業」である。請願が、趣旨採択を経て、新事業として成立したのだ!
請願が住民提案であることを示す貴重な例となった。

13. 医療全体の問題
本件は医療全体の中でマンパワー不足の問題として位置づけられる。医師、看護師、介護士などは更に大きな問題であろう。それはまた、施設の問題と関連し、ひいては川崎市の人口増加、地形的構造から派生する問題に波及する。その間の事情と、それへの対応の難しさを、玉井議員は次のよう例から表現する。

『川崎は一つの医療圏だった。北部は実態的には不足していたが、新しい病院をつくれなかった。…何年間の努力の結果、南部と北部に分割、その結果、北部の不足が明らかになった。…実態と計画がそごをきたすことは往々にして起こる。』

更に、局長の許認可、費用負担、要員育成が絡んだなかでの、状況理解と判断の難しさの回答を受けて、
『まさに政治的な課題です。…きちんと向き合うには基礎的なものが必要と痛感する…。何が地域の中で必要なのか…明確なメッセージを出してほしい。課題がどこにあるか…政治の世界では判っているつもり…けれども、実際に、今の状況でどの程度要求をすれば良いか…具体的な数値がつかみ切れない。』

そして、最後に『一つ一つの課題が大きくて、なおかつ総合的に推進しなければならない…このことで解決するという短絡的な話ではない。…すべての状況をどう整えていくのかということだと思います。』と結ぶ。

14.コメント
高度経済成長の時代は上へ伸びていく政策をとれば良かった。一転して縮小の時代は、一律切下げることで逃れた。しかし、何を伸ばし、何を抑えるのか、判断が必要な今の時代は、その選択と程度をすべてにおいて、見比べる必要がある。また、選択、程度それぞれに、お互いの意見が異なるのだ。

それだからこそ「政治・議会」が必要となるのだ。地方自治体議会の改革が必要な理由もそこにある。
子育て・福祉・医療に代表される住民に身近な政策の議論では、単純な増加、一律の削減は通用しないだろう。全体と部分を往復しながら、お互いの認識を深め、効果を勘案しながら、意見の統合へ向けて調整することになるだろう。行政機構は統計的事実と具体的事象を踏まえたデータの整理が必要、それをベースに議論に慣れることが先ずの課題ではないか。


「探検!地方自治体へ~川崎市政を中心に~第174号 2011/10/3」から転載
1.問題の所在
2.基本的なデータ
3.現状認識と新たな課題
4.「位置づけ」から問い直す!
5.嘱託医がやめて2ヵ月機能せず
6.議員と局長とのギリギリの議論
7.議員の発想、局長の発想
8.ベクトル合わせ
9.医療機関の現状認識
10.周産期医療ネットワーク施策
11.基本計画への遡及
12.新たな事業として設置
13. 医療全体の問題
14. コメント

      

3月議会市民委員会審議結果~討論無、全案可決

2014-04-06 08:32:27 | 川崎市議会
川崎市議会平成26年第1回定例会 市民委員会委員長報告資料
平成26年3月24日

○「議案第5号 川崎市スポーツ・文化総合センター条例」
○「議案第25号 スポーツ・文化複合施設整備等事業の契約締結」
○「議案第26号 川崎市スポーツ・文化総合センターの指定管理者指定」
≪ 一括審査の理由≫
いずれも川崎市スポーツ・文化総合センターの整備に関する内容で3件を一括して審査
≪ 議案第5号の審査結果≫
全会一致原案可決
≪ 議案第2 5 号の審査結果≫
全会一致原案可決
≪ 議案第26号の審査結果≫
全会一致原案可決

≪ 主な質疑・答弁等≫
* 川崎市体育館利用者への代替施設の案内について
富士見周辺地区の再編整備が進む中、利用団体や個人利用者に対し、当該体育館の工事期間中は施設を利用できない旨を適宜案内してきた。代替施設の利用を希望する利用者に対してはその使用目的に応じて、教育文化会館やサンピアンかわさきなど近隣の代替施設を案内しており、一定の理解を得ているものと考えている。

* 代替施設の利用料金について
利用料金は施設の規模、機能、築年数など様々な要因により決定されており、当該体育館と同程度の施設であれば、利用料金に大きな違いはないものと思われる。

* 第4庁舎内体育館の市民開放について
本庁舎の耐震化工事に伴い、今後第4 庁舎を活用していく予定であるため、市民への開放は困難な状況である。

* 別用地への建て替えの検討について
富士見周辺地区の再編整備については、地域代表や利用団体、学識経験者等の委員から構成される「富士見周辺地区整備基本計画策定検討会」によって平成1 9 年度に基本計画が策定され、重要項目の決定に際してはパブリックコメントの実施により市民意見を反映してきた。当初は施設の位置についての意見は出なかったため、現在地での建て替えを前提として、施設機能の検討へと順次計画を実施してきたところである。また、施設の配置に際しては、富士見公園全体のバランスを勘案しており、駅からの距離等も配慮して現在地での建て替えを決定したものである。

* 工事期間中の選挙事務について
従来、選挙の開票所として当該体育館を使用してきた経緯があるが、工事期間中は使用することができないため、今後、選挙事務に関しては近隣の学校等と調整を進めていくものと考えている。

* 建築資材高騰の影響について
入札説明書の中に「工事着工時までに資材費等の物価が1 . 5 % を超える高騰をした場合は、契約金額を増額する」という項目があり、契約者の一方的な不利益とならないよう配慮している。

* 民間活用推進委員会による評価結果について
指定管理予定者は選定基準の「その他に関する事項」の点数が他の応募団体より低いが、これは他の応募者が自由提案施設として売店の設置等を提案したのに対し、指定管理予定者に同様の提案がなかったためである。しかし、自由提案施設は必須ではなく、他の選定基準項目の優秀性が合計点に影響したため、結果的に指定管理予定者の総合評価点が他の応募者を上回ったものである。

* 指定管理料の算定根拠について
本施設を整備している事業者からの提案金額を算定の根拠としている。設計・建設費及び管理運営費を合計した金額での契約となるため、総額約181億円のうち設計・建設費として約138億円、管理運営費として約4 3 億円となり、1 年間当たりの指定管理料としては約4億円という計算となっている。

* 指定管理予定者の概要について
指定管理予定者は、本PFI事業を実施するために立ち上げられた会社である。他の体育館の建設やホール等の運営において実績や信頼のある企業が出資しており、指定管理予定者も同等の信頼性が担保されるものと認識している。

*BTO方式を採用した理由について
BTO方式とは、民間事業者による設計・建設後に市に所有権を移転することにより、公の施設として施設運営及び維持管理を行っていくものである。市の財産として広く市民利用を図れることや、固定資産税等の税制面に関して民間が保有するよりもメリットがあると判断したことから、本方式を採用することとしたものである。

* 長期の指定管理期間とした理由について
今後、富士見公園内の他の施設に関しても指定管理者制度の導入を予定しており、全体的なパークマネジメントの観点から、各施設の指定管理期間の切替え時期を合わせるため、1 0 年6 か月の指定管理期間を設定したものである。通常の指定管理期間と比較すると長期となるが、市の財産として責任を持って管理していけるよう、指定管理予定者と連携して管理運営していきたいと考えている。

≪ 意見≫
* 川崎マリエンなどの臨海部の施設は、川崎駅からの交通の便が良くないため、当該体育館利用者の代替施設としての利用を促進するよう、臨海部へのアクセスに関する対応を検討してほしい。

* 川崎球場に併設している多目的屋内施設「かわQ ホール」など、近隣には代替施設として検討の余地がある施設も多数存在すると思われるため、是非積極的に利用調整を行ってほしい。

* 整備計画を進める際には、複数の選択肢がある段階で市民に提示し、市民意見を反映できるようにすべきである。工事により利用できない期間が発生することを計画の初期段階で気付かなかった可能性もあるため、今後の計画策定に際しては将来的に発生する事象に注意して、市民に情報を適切に周知するよう配慮してほしい。


○「議案第6号 個人市民税の控除対象となる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人の基準等に関する条例改正」
○「請願第8号 富士見公園内の川崎競輪場整備に関する請願」
≪ 一括審査の理由≫
いずれも川崎競輪場再整備に関する内容であるので、2件を一括して審査

≪ 請願第8号の要旨≫
耐震化を中止しメインスタンドを至急コンパクト化すること、選手宿舎を競輪場内に設置すること及び地下駐車場を設置することを求めるもの。
≪ 理事者の説明要旨≫
川崎競輪場は、富士見周辺地区整備基本計画の下、競輪事業の収益を積み立てた競輪施設等整備事業基金を財源として、平成22年9月に川崎競輪場再整備基本計画を策定し、競輪場敷地のコンパクト化を順次進めることとした。施設の耐震化については、平成19年度の緊急耐震補強工事により耐震強度B ランクとなっているが、当該施設が耐震改修促進法に基づく特定建築物に該当することから、平成27年度末までに耐震強度Cランクまで引き上げる予定である。選手宿舎は平成11年の建築であり比較的新しく、競輪場敷地のコンパクト化が進む中で新たな選手宿舎を敷地内に建設することは困難であることから、再整備後も既存の選手宿舎を引き続き利用する予定である。また、都市計画法による制約から、競輪場敷地内には公園施設以外の地下階を持つ建築物を建てることができないため、地下駐車場は設置しないこととしている。

≪ 主な質疑・答弁等≫
* メインスタンドの全面改築を行わない理由について
競輪場の耐震化を含むコンパクト化については、富士見周辺地区整備基本計画を根拠とした段階的な整備を進めることとしている。その中で、メインスタンドの全面改築に当たっては、建築物の階数制限、財源の確保、工事期間中の経営面への影響などといった課題があるため、まず第一段階として全面改築ではなく耐震補強工事を実施することとしたものである。

* 防災関係施設としての競輪場の活用について
防災機能については、富士見中学校や宮前小学校などの既存の避難所が近隣に多数存在するため、これらを補完するための施設として、ボランティアや物流機能のバックアップの面での活用を検討している。

* 来場者の客層について
年間約100万人が来場するが、約6 割が一人で来場する客であり、これに友人同士の来客が続いており、家族連れの来客は依然として少ない状況である。このため、今後富士見公園の再編整備により新たな客層の開拓を進めていきたいと考えている。

* 選手宿舎と競輪場の距離について
幸区にある選手宿舎と川崎競輪場の間は約3 k m の距離であり、他都市の場外に選手宿舎がある競輪場と比較すると1km程度離れている状況であるが、選手専用の移動手段が確保されているため、競輪の開催には特に影響はないものと考えている。

* 耐震補強用構造物の内装工事について
市民が利用する室内に設置された耐震補強用の構造物については、露出させたままではなく何らかの内装工事を行うが、どのような内装とするかは今後の工事設計の際に、利用する市民の利便性に配慮しながら検討していきたいと考えている。

* 競輪事業特別会計の収支状況について
競輪事業特別会計からは、例年約1 億円を一般会計へ繰り出しており、その他の収益を競輪施設等整備事業基金に積み立てている。一般会計繰出金と基金積立金の合計額は、平成2 4 年度実績で約3億4 ,000万円である。川崎競輪場では、約48億円の基金残高を基に第一段階のコンパクト化を進めている。車券売上は平成24年度実績で約158億円であるが、平成23年度は東日本大震災の影響で桜花賞が開催できなかったため、約118億円の売上げであった。

* オリンピック関連の誘致に係る展開について
川崎競輪場は、オリンピックにおける自転車競技の規格とは競輪場のバンクの材質や距離等が異なるため、練習場等としての誘致を行うことは難しいものと考えている。オリンピックに向けて、競輪界全体として来年度以降に資金面での支援を検討している。

≪ 意見≫
* 富士見公園の一部として、イベントでの活用やレストラン機能、屋外ステージなどの整備を通して、様々な魅力の創出を図ることも重要であるが、競輪場を保有する本市としては自転車競技のファンを増やしていくことも大切な役割であると考えている。他都市での取組として、例えば岸和田市では競輪場敷地内におけるB M X コースとしての市民利用の実績もある。本市も若い世代の興味や関心を引くような施策を通して、自転車競技のファン層の拡大に努めてほしい。

* 公園機能を強化していく中で、施設の耐震化は市民の安全を守るためにも必須であるが、多額の費用をかけての全面改築を含む再整備は不要である。公営ギャンブルの在り方自体にも否定的な意見があるため、全面改築の是非については更なる競輪場コンパクト化の検討の際に改めて議論する必要があると考えている。

* 中原区の平和公園内にすり鉢状のホールがあるが、音を出すような利用は騒音規制の関係で制限されているため、音が出せる野外ステージの存在は貴重であると思われる。競輪開催期間以外の野外ステージの利用については、広く市民利用が可能となるよう積極的に検討を進めてほしい。

○「議案第20号 川崎競輪場メインスタンド耐震補強その他工事請負契約締結」
≪ 議案第20号の審査結果≫
全会一致原案可決

○「議案第21号 川崎市多摩スポーツセンター建設等事業の契約変更」
≪ 審査結果≫
全会一致原案可決

○「議案第22号 高津区における町区域の設定」
○「議案第23号 高津区における住居表示の実施区域及び方法」
≪ 一括審査の理由≫
いずれも高津区末長地区において住居表示を実施するため所要の手続を定める内容であるので、2件を一括して審査
≪ 議案第22号の審査結果≫
全会一致原案可決
≪ 議案第23号の審査結果≫
全会一致原案可決

○「議案第24号 川崎シンフォニーホールの指定管理者指定」
≪ 審査結果≫
全会一致原案可決

≪ 主な質疑・答弁等≫
* 指定管理者の総括評価に対する民間活用推進委員からの意見について
指定管理者からは毎月1 回の書面による報告のほか、頻繁に意見交換を行っており、その内容を受けて総括評価を実施した。民間活用推進委員からは、来場者の興味をひくような多彩な事業展開を行うべきであるとの意見や、国際的な認知度の更なる向上を図るべきであるとの意見、施設の効果的な修繕計画を進めていくべきであるとの意見等があった。

* 指定管理料の算定根拠について
第2期指定管理期間の運営費用を平均することで、指定管理料を算定してい
る。ただし、平成23年度及び平成24年度については東日本大震災の影響によりホールが休館していたため、平成20年度から平成22年度までの期間を対象とした。

* 民間活用推進委員会の構成人数について
当該施設は運営費用の規模も大きく、本市にとっても非常に重要な施設である。本件の委員は3 人であるが、適切な構成人数については今後協議を進めていきたいと考えている。

* 当該施設の市民利用状況について
市民合唱祭やシニア音楽祭などを通し、プロの音楽家と同じステージで演奏する機会を提供している。また、第3 期指定管理期間においては、ジュニアオーケストラ育成事業が指定管理予定者から提案されており、青少年人材育成の観点からの事業展開も予定している。

* 当該施設における企画実施時の行政による関与について
初期の段階で市から企画を提案し、指定管理者はその提案を受けた上で専門的な視点から実施方法の検討を行い、双方の協議の下で事業の実施を進めている状況である。

* 広報活動に関する費用対効果について
第2期指定管理期間における広報宣伝費は約1 億円であり、内訳は新聞広告やチラシ作成等によるものである。指定管理予定者である現指定管理者は、第3 期指定管理に向けて広報営業課を新設することにより、市民ニーズの把握や統計分析を踏まえた戦略的な広報活動を実施していく予定である。このことにより、収益性の改善につなげていきたいと考えている。

* 指定管理予定者の収支計画について
収入の内訳については、指定管理料として6割、チケット収入等として3割、会議室等の利用料として1割を見込んでいる。積極的な広報活動等により、チケット収入の増加につながるよう努力していきたいと考えている。

≪ 意見≫
* 指定管理予定者の代表は長期間理事長職を務めているが、市の再就職規程から見ても異例であり、本来的には後継者を育成し人事の入替えを適宜行うことで、団体運営の透明性を確保していくべきである。文化行政の推進に重要な人材とのことだが、不健全な運営との疑念を呼ぶことのないよう、今後の人材育成については十分配慮してほしい。

* 毎日映画コンクール授賞式での当該施設の利用は、本来の音楽ホールとしての活用以外の可能性を示す、非常に効果的な利用方法であったと思われる。利用目的によっては条例改正の必要が出てくる場合もあるかと思うが、当該施設の活用について、広く可能性を検討してほしい。

* 行政側の専門的な知識レベルを高めていかなければ、当該施設に関連のある音楽家やコーディネーターなどの関係者に対し、対等な立場での対話や交渉が行えなくなっていく懸念がある。行政内部においても専門的人材の育成に努めてほしい。

* 市からの指定管理料に依存するのではなく、収益性を考慮した事業展開を是非進めてほしい。

○「議案第27号 北部地域療育センターの指定管理者の指定について」
≪ 審査結果≫
賛成多数原案可決

≪ 主な質疑・答弁等≫
* 当該施設における医療体制の充実について
これまでは非常勤医師のみが配置されていたが、今回の指定管理者制度導入に当たっては、常勤医師を1 名配置することを条件とした。このことにより、診察までの待機時間の解消や、医師の指導下での作業療法士及び理学療法士による訓練実施など、医療体制の充実が一歩前進するものと認識している。

* 再指定の際のインセンティブに関する考え方について
指定管理者に対しては、毎年の民間活用推進委員会による年度評価と、指定期間全体を通した総括評価により、より適正な運営となるよう指導を行っている。今後、良好な運営を実施している事業者に関しては、再指定の際に何らかのインセンティブを与えるような仕組みについて検討していきたいと考えている。

* 業務の引継ぎ及び当該施設における人員配置について
指定管理予定者は、4 0 年にわたり多くの事業を実施してきた経験と実績のある法人であり、7 5 0 名の職員が在籍している。同法人が既に指定管理を行っている中央療育センターでの経験をいかし、当該施設の引継ぎにおいては、初期段階に各職種の中核となる職員を部門ごとに配置することで、施設運営における要点把握に努めていく。運営開始に当たっては、中堅職員や研修後の新規採用職員を順次バランスよく配置していくことにより、円滑な施設運営を実施していきたいと考えている。

* 保護者の不安解消について
指定管理者制度導入により、児童福祉施設の運営事業者が替わることは、保護者にとっては大きな不安要因となる。指定管理予定者に対しては、保護者の不安を解消するため、引継期間中から積極的に送迎時の保護者と対話するなど、接触の機会を増やしていくことにより、良好な人間関係の構築に努めるよう指導している。

≪ 意見≫
* 指定管理者制度の導入により民営化が進むことに不安の声があるが、これまでに導入された施設においては適切な療育支援事業が実施されており、職員も研修制度をいかして真剣に業務に取り組んでいる様子がうかがえる。子どもたちの順応性も高く、導入当初の不安は単なる杞憂であったようにも思える。このように、民間事業者の中にも優秀な事業者も存在するので、今後の施策展開の中でもそのような認識が広まるよう努めてほしい。

* 公営施設におけるこれまでの職員と利用者の人間関係を断ち切ってまで、民営化する必要はないと考える。児童福祉施設への指定管理者制度導入にこれまでも反対してきた経緯があるため、本議案には賛成できない。

○「議案第28号 川崎市消費者行政推進委員会委員の選任」
≪ 審査結果≫
全会一致同意

○「議案第53号 平成25年度川崎市港湾整備事業特別会計補正予算」
≪ 審査結果≫
全会一致原案可決

≪ 主な質疑・答弁等≫
* 浮島2 期廃棄物埋立護岸建設事業の計画期間及び工事費の平準化について浮島廃棄物埋立処分場における建設残土の埋立てについては、平成39年頃を目途に埋立地の開口部を閉鎖し、平成60年頃に処分場の埋立てを完了する予定である。処理費用の一時的な増加を避けるため、埋立護岸整備計画の策定に関しては工事費の平準化に努めてきたところであるが、埋立てに当たっては関係部局と調整の上、今後も急激に負担が増えないよう注視していきたいと考
えている。

* 市内事業者の参入について
これまで行ってきた浮島での工事は主に海上での作業であるため、市内中小企業等、専門業者以外の参入は難しい状況であった。今年度、護岸本体の整備が完了したので、今後は陸上からの移動が可能となるため、小規模な補修工事とあわせて市内の事業者にも参入の機会が増えるものと考えている。

≪ 意見≫
* 港湾関係の工事は本市にとって非常に重要なものであると認識しているが、工事には莫大な費用がかかるため、市内事業者の参入を保証するなど、地元への還元が進むように工夫してほしい。

     

3月議会総務委員会審議結果~討論無、全案可決

2014-04-05 18:37:22 | 川崎市議会
川崎市議会平成26年第1回定例会 総務委員会委員長報告資料
平成26年3月24日

○「議案第1号 川崎市職員定数条例及び川崎市上下水道局企業職員定数条例の一部を改正」
≪ 審査結果≫ 賛成多数原案可決
≪ 意見≫
* 今回の一連の職員定数に係る条例の改正は、全体で326名を減員するものであるが、その内訳は保育園の民営化や指定管理者制度の導入等による減員であり、市民生活に直結する業務に関連する部署が減員されてしまう。また、職員の長期療養者が増加傾向にあることや、予算不足等の理由により時間外勤務手当が申請されず、表面化していない時間外勤務があると聞いていることから、過重な負担が職員に課せられていると感じられる。本市は人口が増加傾向であることからも、定数削減は市民サービスの低下につながるとともに、職員間の技術等の継承の断
絶を招くことが懸念されるため、職員定数の削減を行うべきではないと考える。
したがって、本議案には賛成できない。

○「議案第2号 川崎市職員の給与に関する条例の一部を改正」
≪ 審査結果≫ 全会一致原案可決

○「議案第3号 川崎市職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正」
≪ 審査結果≫ 全会一致原案可決

○「議案第17号 川崎市社会教育委員条例の一部を改正」
≪ 審査結果≫ 全会一致原案可決

○「議案第18号 包括外部監査契約の締結」
≪ 審査結果≫ 全会一致原案可決 

○「議案第19号 川崎市固定資産評価審査委員会委員の選任」
≪ 審査結果≫ 全会一致同意

○「議案第51号 平成25年度川崎市一般会計補正予算」
≪ 審査結果≫ 賛成多数原案可決
≪ 意見≫
* 会派として、昨年の9月議会で可決された職員給与を減額する条例に反対した経緯があるが、本議案はその可決された条例の内容が反映されている。したがって、本議案には賛成できない。

○「議案第54号 平成2 5 年度川崎市公債管理特別会計補正予算」
≪ 審査結果≫ 全会一致原案可決

○「議案第57号 川崎市立小学校及び聾学校冷房化等事業の契約の変更」
≪ 審査結果≫ 全会一致原案可決

○「議案第58号 平成25年度川崎市一般会計補正予算」
≪ 審査結果≫ 全会一致原案可決