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住民自治の探検へ~川崎市議会を語る会

「自治する力」を高め、地域をつくる

記事の掲載は以下のブログになります

2015-08-01 10:43:11 | 地方
掲載する記事が少ないため、以下のブログに適時、掲載します。

散歩から探検へ~政治を動かすもの

最近は地方自治関連で、以下の記事を掲載しました。

150731『省時間ビジネスとしての地方議員事業~職業としての「口利き」』

150730『“議会改革ゴッコ”が終わる時~住民の見方は変わらない』

150729『議会報告会の現状とあり方~地方議員と住民の姿勢が試される』



ムチャクチャな表現、地方創生~地方は消滅のか?

2014-11-02 18:06:54 | 地方
創生と言う言葉を聞いて、確か創生日本とかいう政治団体があったな、と思い浮かんだ。これはボーンアゲインということか?あるいは維新であるのか?ともかく、直近の世界を否定した革命的変革を起こすということだろう。

しかし、イデオロギーであるならともかく、現実に多くの人たちにとっての「生活の場」を新たに生まれるかのように創るという表現は信じ難い表現だ。メチャクチャな日本語の使い方だ。それなら、大地震と津波によって破壊された地域を創生出来るのか?3年が経過しても、復興は遅々として進んでいない。

その中で、増田レポートが地方消滅を警告し、その反動を利用して「地方創生」を提言して金を引っ張り出そうとしている。これに対してまちづくりを長年、手がけている木下斉氏が増田レポートのスタンスを鋭く批判している。

木下氏の議論を以下にまとめて見よう。
「大筋「地方が消滅する可能性がある」という話は間違っていない。しかし、一連の「地方消滅」の議論では、「地方そのものの衰退問題」、「地方自治体の経営破綻の問題」、「国単位での少子化問題」、この3つが全て混在する。しかも、東京から地方への人口移動を中心に据えれば、地方も活性化、地方自治体も存続、さらに少子化まで解消する、としている」。そんなうまい話は無いのだ。

結局、木下氏は増田レポートのイデオロギー性を指摘しているのだ。イデオロギー性とは問題の誇大化と単純化である。ここでの誇大化は地方人口の減少=地方消滅であり、単純化とは人口問題に還元していることだ。

以下、論考では、次の順に話を進める。
1.消えるのは、「地方そのもの」ではない
2.自治体は直近の財政破綻を危惧すべき
3.国民を移動させる前に、自治体経営の見直しを
4.大都市部の少子化問題と向き合うべき
5.ギャンブルのような一発逆転ではなく、潰れない地方政策を
6.繰り返される地方政策の間違いと向きあおう

「増田レポートは「今の単位の地方自治体…今のまま経営…潰れる」と云っている。人口減少が続き半減…その自治体は立ち行かない…消滅。自治体はその地域における行政のサービス単位…その単位は常に組替を含めて環境に対応して再編…人々の生活を支えていくのが基本。」

「人々は、自治体が人々の生活を支えるという「機能」のために納税…自治体のために地方に住んでいるわけでも、自治体を支えるために納税しているわけでもない」。

論考の中での「1-4」は特に真新しい問題では無く、過去から連綿として指摘され続けている。何故、そうなるのか?欧州先進諸国がEUを運営しながら、少しずつ難問に取組む中で、日本が取り残されている感があるのは何故か?それが「5-6」に展開される。

先ず、繰り返される地方政策の間違いと向きあおうことだ。場当たり的で、言葉だけで口当たりの良いことを云い、結局、ハコモノ行政で土建業者を中心に金と施設をばらまいていることになる。
論考の中で紹介されているのは、「岩手県紫波町「オガールプロジェクト」 補助金に頼らない新しい公民連携の未来予想図」だ。

「国に頼らず、地方自治体の経営を見直し…地域自体に新たな経済を生み出す知恵が生まれ…必要なのは手助けではなく、現実と向き合い、未来に対して行動する地域の人たちの決意と知恵…現場での取組…可能性を強く感じる」。

「この10年…地域再生法、都市再生法、中心市街地活性化法…今回の地方創生で語られて施策と予算…山ほど供給。」「国のモデル事業に取り組んで幸せになった地域はどれだけあるか?」

「「地方消滅」と煽り…国が積極的に関与…自治体に計画…予算をつける…従来型の政策…繰り返す…地方の消滅を早めてしまいかねない。」「「地方消滅」の中身…分類して精査…過去の施策の過ちと正面から向き合うことが必要」。

従って、「地方創生」というメチャクチャな日本語に象徴される「人口が爆発的に増加する時代に対応した自治体経営や各種社会制度」「非効率な「量」を追う施策」ギャンブルのような一発逆転」ではなく、「潰れない地方自治体の構築を可能にする、生産性の高い地方のあり方を検討すること」だ。



交通網の発達で人もお金も地方から大都市へ~木下斉と飯田泰之との対話(1)

2014-10-10 07:17:10 | 地方
突如、降って湧いたかのような安倍政権の重要課題、「地方創生」。選挙対策とは巷の噂であるが、日本の衰退を加速する政策との批判も大きい。地方の現実、裏を返せば都会の現実を、先ずは冷徹に認識する必要がある。

まちの立て直す事業に携わる木下斉氏と都市と地方のあり方を模索する飯田泰之氏との対談、「地方の現実を見よ」は4回シリーズで「ウェッジ」に掲載される。第1回は表題の如く、戦後日本と地方の関係を象徴する「新幹線」を問い直すことから始まった。以下、エッセンスを抜き書きする。

木下:北陸新幹線が来春に開通→地元に流入するお金が増加するのか?
飯田:頻繁に東京とその地区を行き来する人にとっての利便性
  :空港から大きな街が近い、新幹線の駅前が中心街…関東近県の不便
  なところよりも「東京に近い」
木下:アクセス圏内に駅か空港…地域内から外への人の移動は確実に増大 飯田:入ってくる人が多く→出ていく人が多くなる

木下:お金に余裕、消費意欲がある人の財布ほど、消費地に吸い寄せられる
   企業などの場合…新幹線が開通…分散して支社・支店を統廃合。
   東京資本の企業の支店勤務者は地方では高所得者層…一気に薄くなる。
   事務所機能…大都市に、一気に吸い上げられていく。
飯田:交通網の発達…地方から大都市に吸い寄せられる「ストロー現象」
   近年の典型例は東北新幹線…割を食うのが盛岡と仙台
   地方の富裕層が東京に出て消費…地元経済には非常に深刻な問題

木下:地方の富裕層は本当に良いモノを知っている…消費地に出る生活
   北陸新幹線の開通…吸い上げられる危機感を優先すべき
飯田:大消費地→新規顧客のチャンス…「地元のため」ではない面
木下:便利→「国」はメリット、「地方」は同じ構造とは限らない
飯田:交通手段の発達→都市への集中はますます進む
木下:今後はさらにより大きな都市への集中がどんどん進む。
   危機感を持たなければいけない人たちが、今は持っていない

飯田:知的生産やクリエイティブな職種ほど、同じ職種の人が集積
木下:「分散するだろう」と言われていたのとは、逆の現実
飯田:なぜシリコンバレーがいまだに存在…を考えれば明白
木下:わざわざ全てを分散させるメリットを探すほうが難しい
   多くは付加価値の高い生産…大都市で暮らすコストは吸収…
   規模が大きくなったらやはり大都市に出てこざるを得ない

飯田:何をすれば「地域活性化」なのか
木下:「域内を会社として見立てる」…その「会社」の収支を改善する
   地域に入る金を増加させ、出て行くお金をセーブする
   域内に留保させ、地域内での消費を活性化させる環境を整備
   今は資金も人材も出て行く一方というのが多くの地方の現実
  「地方の衰退」=「地方の貧困」として捉えている
   教育機会も低下、学力の高い子ほど高校入学時点から地域外に出る
   地域の人口規模減少で出せる教育負担の総額は縮小
   これは貧困の連鎖…産業、所得、税収の問題…経済に立脚

飯田:稼げる都市か否かの方が収入には有意に影響する
   そのキーになる移住の可能性を高めるのは学歴
   大卒者が少ない地域…「大学に行く」概念が希薄…文化資本の問題
   先進国に共通の現象…大卒者の年収の伸び→経済成長率と同じペース
   マーケティング理論…「消費者の選択肢に入る」を重視…人生も同じ
   カルチャーの有無…世代を重ねる…地域間の格差を拡大させる

木下:分離していく方向性は強い…Uターン組が役所に就職
飯田:大卒、地方で雇われる…選択肢は公的セクターに
木下:地元に残った人達が、自分でできる範囲の商売
   高度教育を受けた人材が行政で地域経済の重荷
   リスクを取って起業する志向がない→地元に戻って役所に就職
   仕事の枠組み、進め方を自分で開拓しない
   若手の一部には環境に毒されずに…このあたりを狙い撃ちに
   やる気、リスクもとる人…地域で事業を起こし始める
   地元で相容れない層が、互いのメリットを認めて事業をやる枠組
飯田:合理的に判断する人ほど、給料が高ければ公務員になる

木下:ビジネスマインドのある人は東京に…海外に行く
   行政のポジションが低い「大都市集中」が進むのは自然な流れ
   地域経済の規模は小さいが、さまざまな「調整」要
   ビジネスの自由さや公正さでいえば、大都市のほうがフェア
飯田:「都市は人を自由に」…地方で事業を興して継続…難しい現実

(同時投稿)