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カタスミ

イラスト、漫画、自サイト更新情報、
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『図南の翼』小野不由美著

2024-09-07 09:02:10 | 小説感想
十二国記シリーズ6作目です。
今回は恭国に住む12才の少女珠晶が
国王になるべく黄海へ旅立つお話。
以下ネタバレあり。























今回って主立った人誰も死んでませんよね?
今までで1番読み終わった後に爽快感があったかも。
気が強くてこまっしゃくれの珠晶なので
時々イラっともしましたが、物分かりも良く、
ポンポンと物を言う様が小気味よい場面もあり、丁度良い塩梅かと。

珠晶は頑丘という朱氏を雇って蓬山を目指しますが
途中、利広という謎の青年も出てきて、
お供2人と珠晶という3人旅になります。
それに他の蓬山の人達も加わり
一悶着も二悶着もある訳ですが、
やっぱ珠晶は利広より頑丘と交流深めて欲しいなぁ…
と思ってしまいましたw

途中に出てきた犬狼真君が、実は更夜だったりで
驚いた訳ですが、彼は確か延王との約束で
黄海で妖魔と人が安心して暮らせる国を待つと
言ってたと思うのですが、あれから400年くらい経ってるのか…?
その間に彼が天仙になる何かしらのエピソードがあったのですよね。
西王母とかも元は人間で、どこかに存在しているって事なのかな?

後、国王ってどういう基準で選ばれるんでしょうね?
昇山しなくても選ばれてる人もいますよね?
例えば陽子然り、尚隆然り、奏の国王もですよね?
でも今回はわざわざ蓬山に登らないといけなかったのはなぜでしょう?
麒麟の性格によるのだろうか?
王を見つけられない麒麟の寿命は30年くらいって話だったので
供麒は27年目にしてやっと王を見つけた訳ですからギリギリって事ですね。
この王を見つけたり見つけられなかったりってのも
麒麟の性格や能力差なのだろうか?
あまり出歩かない内気な麒麟だと昇山しないと王になれないのかねぇ…
王ってのも資質を持ってる人は1人ではなくて何人かいるのかもあなぁ…
その中で天のお導きによって麒麟と出会えた者が王になるのかも…?
この辺の設定が複雑でよく分からないわ…
なのでさっさと迎えに来い!っていう珠晶の言い分もよく分かる気がするw

結局頑丘は珠晶の配下に下ったのかなぁ…?
利広の正体はだいたい合ってました(笑)
今回1番長く続いている奏の国王の事も知れて良かった。

今回も面白くて、珠晶が怒って道を別れた辺りから
手が止められなくなりましたw
しかし名前が難しくていつもブログ書くの苦労する…
もうちょっと漢字簡単にしてくれ~(;´Д`)

星は4つです。


『丕緒の鳥』小野不由美著

2024-08-22 00:30:14 | 小説感想
十二国記のシリーズ5作目です。
今回は短編集となります。
以下ネタバレあり。





















●丕緒の鳥
慶の羅氏、丕緒のお話。
羅氏は、鳥に模した陶製の的を射る儀式である
射儀を指揮する役割で、祭祀吉礼などの際に行われる
大射では創意工夫を懲らした射儀を披露する。
今回新たに新国王が誕生した為、
射儀を企画する射鳥氏より丸投げされてしまい、
過去を回想しながらどのような射儀を行うか考えて行く。
過去、様々な想いを射儀に込めて披露したが
王には全く届かなかった。
仲間達を失い、諦めの胸中で日々を過ぎしていた丕緒だが
過去に想いを馳せながら、失った仲間達の想いを乗せて
新たな射儀を披露する。

射儀、というのは花火みたいなものかなぁ…と
思いながら読みました。
結構難しいのでダラダラよみましたが、
最後の射儀の描写から、新国王(陽子)との対面までの流れが
非常に心打たれる表現で、自然と涙が出ました。
なんというか、心に染みる…というか、郷愁…というか
そんな重いがぶわっと広がる感じでした。

●落照の獄
国王の衰退が感じ取られる柳国でのお話。
何人もの人を殺した殺人鬼を死刑にするか否か、
という現代にも通じるテーマのお話でした。
死刑にしろ!という人達の意見も
その後の国に対して危惧する人達の意見も
どちらも納得する部分があり、非常に難しい話でした。
結局は結果論になってしまうと思うなぁ…
柳国は以前から国王の身に何かあったのでは…
という雰囲気を匂わせているので
今後も関連した話はあるのだろうか…

●青条の蘭
北にあるとある国のお話。
森の山毛欅の木が枯れ始め、
その事から災害が増え始める。
これを食い止める為の薬を見つけ出し、
森を救う為に奔走する男達の話。

最初にたき火していた男は
包荒だと思ったら興慶だったのですね。
最後の文章が続きで書かれててちょっと分かりにくかった。
どのみち2人ともどこかで里木に実がなるのを
ひたすら待ってるって事ですよね。

そして、その薬草を新国王の元へ届ける為
ひたすら進む標仲は志半ばで倒れてしまう。
しかし、その後名も無き国民達が繋いで行くのは
割と胸熱展開だった。

この国どこの国だろう…と思ってずっと読んでたのですが
関弓だとか玄英宮とかの名前なぞ
一切覚えている訳も無い私は
政に疎いって情報だけで(雁かなぁ…)
と思ってたら当たってましたww
そりゃ、最初から国の名前出してたら
読んでてハラハラする事もないから出せないよねww

■風信
家族を失った蓮花が予王没後に居着いた場所は
暦を作る役人のお屋敷。
一風変わった人達の中で自分の居場所を見つけていく蓮花。
偽王軍との戦いに巻き込まれたりと、その後も血生臭いことは絶えないが
蓮花は少しずつその居場所で心を癒やしていく。

予王時代の慶のお話。
女が全部狩られ、女を守る男も狩られ、
めちゃくちゃやなおい…と思いました。

暦を作る役人達は浮世離れしていて、
時々蓮花をイラッとさせるけれども、
逆にそれが良い効果を与えている場合も有り、
適切な居場所を見つけたんじゃないかなぁと思います。
もう少し我慢したら陽子が来るから、
それまで頑張って欲しいなぁ…



全体的に、いち国民の目を通してのお話で
一回一回区切れるので、ページをめくる手が止められない…
なんて事はなく、落ち着いて読めました。
今まで毎回、手が止まらなくてある意味しんどかったので
たまにはこういうゆったり読める話もよろしいかと。

星は3つです。


『風の万里 黎明の空 上・下』小野不由美著

2024-08-07 07:09:29 | 小説感想
十二国記シリーズ4作目。
以下ネタバレあり。




















今回は王になった陽子と、才国の海客鈴、芳国公主祥瓊の
3人の女性を軸に話が進みます。
王になったものの、こちらの世界の事が何も分からない陽子は
部下の言いなりとなり、自分に嫌気が差し下界へ降りる事に。
海客鈴は言葉が分からない為言葉の分かる仙となったがこき使われ、
なんとかそれを脱して慶の新女王に会いに旅に出る。
祥瓊は父である暴君峯王が討たれると、里家に送られ貧しい生活を送る。
その後恭国に送られるが、公主時代が忘れられず、
同年代の景女王に目をつけ恭国を逃げ出し慶を目指す。
といった感じで3者が同じ場所に集う事になります。
全体的には壮大な水戸黄門って感じのストーリーですが
なかなか読み応えがありました。

上巻はまだ鈴も祥瓊も考えが幼く、割とダラダラと読んでいましたが
上巻の終わりに清秀が殺された辺りから手が止まらなくなり、
下巻はあっという間に読み終わりました。

やはり言葉が難しく、里の規模や仕組み、役人の位、
町の城壁やなんやかや、その辺はよく分からずですが
まぁ、分からないなりに読んでも面白いのでそこはすごいところ。
もう少し分かりやすくしてくれれば更に面白く読めたのかなぁ…
例えば臥牀と書いてしんだいと読んだり、門闕でもん、
広途でおおどおり…などなど…読めるか~い!!
毎回フリガナふって。ていうか世界感を醸し出す為なんだろうけど
門闕だったら門でいいじゃないかと。臥牀は寝台でいいじゃないかと。
そういう言葉の難しさは本当になんとかしてほしい…(;´Д`)

陽子が最初の頃とはあまりにも別人過ぎて
いろいろあったにしても変わりすぎでは無いかと…
あんなにおどおどしていたのに、もう立派な王ですね…
こちらの世界に来て見た目が変わったのと同様に
性格も元来のものを取り戻しているのかもしれませんね。

やはり景麒は言葉が足りなさすぎて、陽子に対していろいろひどい。
そもそも拉致してきて、あんた国王だから、ならなかったら人が死ぬから
と言って帰れなくし、王になったら王になったで
あんた王様なんだから自分で考えて、っていやぁないわぁ…
私は言いましたって顔してたけど、あんなもん言ってへんに等しいわ!!
しかも予王の面影を見て全然信用してない所もさぁ…
それでも怒らず自分を責める陽子はなんて器の広いお方…
まぁ、私ならぶち切れますねw王にはなれませんわぁ…

そもそも、予王の在位が6年でしたっけ?
その頃には陽子はすでに誕生している訳で。
この時景国王になるべく人が2人いるのに
なぜ先に予王が選ばれたのでしょうね?
陽子はまだ幼く国王には向かない…という事なのでしょうが
もしかして予王って陽子が王位に就くまでの繋ぎだったんじゃ…?
なんて思ったりもします。

今も権力を振りかざし、民を犠牲にしながら
地方を治める役人どもをやっつける為
地方の民達が革命軍みたいなの作って暗躍するのですが、
その中に鈴や祥瓊も加わり、陽子も加わり、面白くなってきました。
水戸黄門やないか…助さん格さんやっておしまいなさい!
と思いながら読んでおりましたw
陽子が加わった地点で勝ち確!
禁軍がやってきた時の陽子の王様っぷりにはしびれましたね。
鈴や祥瓊に景国王であるのをばらしたのは割とあっけなくて予想外でした。
鈴や祥瓊も随分と成長し、同年代同志で仲良くなれたのは良かった。
しかし、祥瓊は一応恭国から逃げ出した犯罪者ですから、
今後また景に来ることはできるんでしょうかね?

でもって今回も楽俊が良い仕事してくれました。
祥瓊と出会って旅をする最中には
いいか祥瓊、楽俊は陽子のだから、惚れるなよ?
などと思いながら読んでしまいましたww
しかし楽俊が調べていた柳国の話は今回ふわっとで終わったので
また別の話で出てくるのでしょうかね?

なんとか陽子にとって動かしやすい国第一歩を踏み出せて良かった。
いかに佞臣、奸臣を退ける事が大事かって事ですね。
みんなが善人だといいのにね。
桂桂や夕暉など、若い世代を教育して次の世代に繋げて欲しいと思います。

星は4つです。

『東の海神 西の滄海』小野不由美著

2024-07-23 06:52:06 | 小説感想
十二国記シリーズ第3段です。
以下ネタバレあり。
























今回は延国王尚隆と延麒六太が
荒れた雁国を立て直している最中に起こった
謀反の話と、尚隆と六太の出会い、
また、六太が出会った更夜という少年、
その辺が入り乱れて話が進みます。

やはり、設定が難しく、
蓬莱国たら常世国たらよく分かってなくて
(蓬莱は我々の世界よね?)
最初の夜に目が覚めた2人の子供の話が
尚隆と六太だと思い込んで読んでいたので
最初の方なんか話が自分の中でかみ合わなかった。

相変わらず名前が難しく、そして役職もいっぱい出てきて
もうどれが名前でどれが役職名かさっぱり分からない(笑)
後漢字が難しくて変換しても全然出てこないのでなんとかしてww
多分今回出てきた人のほとんどの名前をすぐに忘れると思うwww

雁国の元州が、遊びほうけているという王の噂を耳にし、
そして国をよくする為に、国王とは別に国を動かす事の出来る地位を
自分達に賜りたい、と延麒である六太を攫う事に。
六太は昔会った妖魔に育てられた更夜を信じきって攫われてしまうのだが
なぜか最初六太は元州側に味方する。
とりあえずは国は良い方向に向かっているにも関わらず
なぜに尚隆を信じられないのか…

尚隆は安定感があり、読んでいてもとても安心できるが、
六太の方には随分と迷いが有り、とても不安定で、
結局は六太の心の迷いが今回の犠牲者を生んだのだなぁ…と。
特に六太を逃がした女官は六太が驪媚が死んだ後にすぐ逃げれば
犠牲にならなかったのでは…?
血を浴びて無理だったかもしれないけど…
そう思うと、シリーズ1作目で塙麟に陽子襲わせたのって
相当ひどい事だったのだなぁ…
もっと早くに漉水の治水工事をすれば良かったのにしなかったのは
今回の件を見越しての話のかねぇ…?
なんか遠山の金さんばりに遊び人の尚隆なのですが
王自ら敵方に潜入するのは面白かったです。

また、尚隆と六太の出会いの話も気になっていたので
今回語られて良かったです。
今まで蓬莱で育った中では尚隆が1番馴染んで生活してましたねw

これだけ大きな謀反になったのに
結局犠牲になったのは4人くらい…?
六太が更夜にもう少し用心深く会っていれば
もしかしたら誰も死ななかったのかもしれない。
これだけ荒廃していた国を豊かな国にした尚隆は
非常に優秀な国王だったのだわなぁ…
他の国もみんなこれくらいしっかり国を治めればいいのに、
なぜだんだんとおかしな方向にいっちゃうのですかね?

ちなみに、雁国の前王は梟王といい、
とにかく国民を殺しまくったと言う事でした。
泰国といい、ろくでもない王ばっかだな…

今回も面白くて一気読みしました。
星は4つ。

『風の海 迷宮の岸』小野不由美著

2024-07-10 06:54:08 | 小説感想
十二国記シリーズ2作目です。
以下ネタバレあり。



















魔性の子で出てきた高里君が幼い頃に神隠しにあった時の話。
プロローグが魔性の子と全く同じでした。
正直魔性の子はいろいろと不完全燃焼な所があり、
麒麟とか謎の白い手とか、結局はっきり分からなかったので
こっちを先に読んでおいた方が分かりやすいかもしれない。

魔性の子ではあんまり表情がない泰麒でしたが、
子供の頃は非常に愛嬌も有り気遣いも出来る大変良い子でしたので、
なんで実家のババアはあんなに目の敵にしてたのでしょうか…
母親を恋しがり、母親もまた息子をかわいがっていたのに
結局あんな結末になってしまってなんか悲しいわ…
もうちょっと救いがあっても良かった気が…

そもそも蓬莱の家族ってなんでみんな
あんな非情な感じの人ばっかりなのでしょうか…
元々生まれた世界が違う為の違和感のせい、というのが理由なのか
ストーリー展開的に蓬莱に気持ちを残さない為って事なのか…
だったらもう孤児院育ちとか、めっちゃネグレクトとか、
こう突っ切ってもらった方が読む方も気持ちよく
異世界の方に心を移せるのですが…
家庭としては割とまともなせいで、どうしても
元の家族の気持ちとかを考えてしまうわ…

さて、今回は泰麒が蓬山で王を選ぶというストーリーですが
普通の麒麟に出来る事が、蓬莱育ちのせいで出来ない泰麒。
不安とか申し訳なさとか、いろいろと彼の心情が
丁寧に描かれております。
景麒は相変わらずなのだが、泰麒に気遣いを教わってなおかつ
陽子にあの態度だったのか…と^^;

麒麟の生態や王を選ぶ為の流れなど
今回の話では丁寧に語られておりますが、
とにかく用語が難しくて、漢字が読めない~(;´Д`)
いっぺんフリガナふってあっても、次の時にはもう忘れるから
毎回フリガナふってちょうだい…

麒麟に転変する事も、使令を得る事も出来ない泰麒ですが
驍宗に出会う事でどちらもクリアする事が出来ます。
特に使令を得るシーンはなかなかに緊張感がありました!
驍宗を王に選んだ後も、天啓がないのに選んじゃったと
苦しむ泰麒に対し、景麒は何も申さず2日放置…
そして小芝居を打つ…
いや、その場で言ってあげればいいやん!
そういう所やぞ景麒…!!

驍宗を王に選び、さあこれから泰を再起するぞ…!
といった所で話は終わります。
でも確か泰麒ってもう一回蓬莱に来ちゃいますよね…?
あれってどうして…?今後に話があるのかな…?なんて思っておりまして。

それとは別に、そういえば驍宗の前の王様ってなんで
国を荒らしたんだっけ…?と思ってネットで調べたら
危うく今後のネタバレを食らいそうになってしまった…
チラ見だったのですが、多分魔性の子後の話、今後ありますね…
驍宗と泰麒は親子みたいで結構好きなのだが…
まだしっかりネタバレ見ていないので、今後の話を読むまでは考えない~!!
ネタバレは断固拒否派なので、
読み終わるまではネットで調べるのはやめた方がいいですね^^;

結局前国王の件はその後小説を何度もペラペラと読み返してみて
やっと見つけました…
驕王は遊びに耽って無駄金使いまくってたみたいですね…
麒麟が選んだ所で良くない王様も多くて、
どっちかって言うと荒れてる国の方が多いよね。

今回も面白かったです。
星は4つ。