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カタスミ

イラスト、漫画、自サイト更新情報、
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『月の影 影の海 上・下』小野不由美著

2024-06-27 00:38:27 | 小説感想
十二国記シリーズ第一弾です。
以下ネタバレあり。






















めっちゃ面白かった!!
いやぁ、読む手が止まらないよぉぉ…

真面目で大人しい高校生の陽子が
突然別の世界に連れてこられ、
何が何だか分からない中、
人や怪物に襲われながらも、
戦い、成長していく話。

もう陽子が可哀想すぎてさぁ…
訳の分からない世界で、周りは敵だらけで
孤独に必死に生きている姿が辛い…
景麒に対して腹が立って仕方なかった。
もう少し説明しろよ…
まず高校に乗り込むなと…
全く説明もなしに強引に周り巻き込むの
すげぇ嫌いだわ…
離れずに忠誠を誓う…とか言ってるのに
速攻離れとるがな…なんやこいつ…

もしかして、これって
主としての自覚を持たせる為にわざと
陽子を放置してるのか…?
そんなんだったらマジでむかつくんだけど…
と思って読んでいたら、あれ?
途中から風向きが変わってきましたぞ…
なんかあんなに偉そうだった景麒が
敵方に捕らえられとるのだが…
陽子を助けに行ったはずが
陽子に助けられてるんだが…
もしかして、この人…ポンコツ?

もう一度お目にかかれるとは思っていなかったとか
とんでもない無責任な発言だと思うのだけど
前景王を選び損なっているあたり
もしかして相当のドジっ子なのでは…?
陽子に生きる力があったから良かったものの
これだけ陽子が苦労したのは絶対に
景麒のやり方が下手くそだったせいだった思うのだわ…
最初の方読み返してみても、もうちょっと説明の仕方が
あるやろがい!と思ってしまうわ…^^;
そのくせめっちゃ上からもの言うから…
ちょっとは反省せい!

逆にずっと一緒にいてくれたジョウユウは本当に良い働きをしたと思う。
いつもいるかいないかよく分からなかったジョウユウが
語りかけてくるシーンはなんかジーンときてしまった。胸熱。

陽子がこちらの世界に来た事で
元の世界の人達の反応もうかがえるのですが
あの父親の態度は無いよなぁ…
仮にも一人娘でしょうに…
あの状況でなんで家出だって思えるのかなぁ?
逆に母親は自分に言い聞かせているようにも見えて辛い…
せめて母親にだけでも最後のお別れ言えないのかなぁ…?
こっちの世界に未練が無いようにとの描写でしょうが
あまりにもみんな冷たくて悲しい…

とにかく味方がいない陽子だったので
楽俊の存在がほんと救いになりました。
てか、普段ネズミで時々人間になれて
しかも陽子のちょっと年上の若い男性とか
萌えるんですけど…w
ちょいちょい仲睦まじい描写もあって
萌えるんですけど…www

面白くて手が止まらないのですが
設定が複雑で、覚えるのが大変…
とにかく国の名前は全然覚えられませんでしたw
多分これからも覚えられないでしょう…
他にもいろいろと用語が出てきて
えっとなんだっけ…となりながら読んでおり、
ちょっと間があくとすっかり忘れてしまいそうなので
シリーズ続きで読み進めていこうと思います。
久々に面白い本に出会えました。お勧め頂き本当に感謝です!

星は4つ。


『プラスティック』井上夢人著

2024-06-18 06:58:57 | 小説感想
あらすじを見て、面白そう!となって買いました。
以下ネタバレあり。

















出張中の夫の帰りを待つ向井洵子。
ワープロの上達の為日々日記を書いて
フロッピーに保存しているのだが、
毎日奇妙な出来事が起こるようになる。
はじめて行った図書館で、すでにカードが作られていたり、
はじめて電話した夫の会社で、奥さんとはよく話をするから
お前は奥さんではない、と言われたり。
そんな日々の出来事をフロッピーに保存していく洵子。
そしてある日、向井洵子の遺体が発見される。

そのフロッピーを受け取った同じフロアに住む奥村恭輔。
自分の家の新聞受けに入っていたフロッピーに興味を持ち
中身を読んでしまう。
殺人事件とこのフロッピーの謎に惹かれ、
特に、フロッピーの中に出てきた本多初美と言う人物に注目し
彼女の事を調べ始める。

こんな感じの導入なのですが、
他にも高幡英世、若尾茉莉子、藤本幹也など
計6人の書き込んだ文書が交互に記載されていく。

読んでいくと大体話の想像は付きました。
向井と若尾、藤本は全て本多初美の別人格、という事は
想像ついていたのですが、まさか奥村と高幡もだとは思いませんでした。
特に奥村は探偵役かと思っていたので、こいつも!?となりました。
向井が捕まった後からちょっと気になって一気読みしてしまったw
結局気の毒なのは本物の向井夫妻で、幸せそうな新婚の洵子に憧れた
初美が勝手に自分の中に想像の洵子を作り出してしまった結果
殺されてしまったという…夫の方も殺されるし…
初美と仲良くなってしまったのが運の尽き…(ノД`)

元ネタはビリー・ミリガンなのかな?
ワープロだ、フロッピーだという話からしても
結構前に書かれたものみたいですね。
井上夢人氏って岡嶋二人の片割れだったのですねw
そう言われれば、まどろっこしい感じが
ちょっと似ているかもしれないw

期待していたものとはちょっと違ったのですが
まあまあ面白く読めました。
星は3.5です。

『誰か Somebody』宮部みゆき

2024-06-03 06:59:30 | 小説感想
買った後にあらすじ読んでみて
なんで買ったか分からなかったw
多分宮部みゆきだからだろうけど。
以下ネタバレあり。



















会社会長のお抱え運転手が自転車でひき逃げされ死亡。
その娘達が犯人を捕まえる為父親の生涯を綴った本を出そうと計画。
会社会長に相談し、会長が娘婿の主人公に出版を手伝うよう依頼する。
しかし、娘達二人のうち、姉の方は昔誘拐にあったと主張し、
両親の背景に暗いものを感じており、あまり本の出版に乗り気ではない。
主人公は少しずつ運転手の人生を辿っていく。

というお話。
なんかどど~ん、と盛り上がる感じではなく
ダラダラとお話が続く展開。
宮部みゆきってこういう流れが多い気がする…(まだそんなに冊数読んでないけど)

誘拐の方は実は運転手とその妻が以前の職場で仲良くなった女性が
殺してしまったという父親の遺体を埋めに行く間に幼い姉を預けていた結果
そういう記憶になってしまった、と言うことでした。
いやぁ、埋めに行かなくても、なんか他にやりようがなかったんかいな…
ろくでもない父親なのだから、勝手に転んだとか、暴力ふるわれてやり返したとか。
結局その女性は一生引きずって日陰で生きているから、軽い罪で終わらせた方が
後の人生ずっと幸せに生きられたかもしれない…

結局ひき逃げ犯は中学生で、そちらを探し当てる方は大して盛り上がらず
盛り上がったのは姉の婚約者を妹が奪うという話で
うわぁ、えげつね…と思いました。
こんな男まじでやめた方が良いけど、姉が良いって言うなら…ねぇ?
妹も性悪でなにこいつら…って感じの終わり方。
最近ざまぁ系の令嬢漫画でもよくある展開ですが、
それでざまぁが無いってのが全然すっきりせんわ…

せめて主人公家庭が奥様と娘さんと末永く幸せに…と思っていたら
この主人公で他にもシリーズがある模様。
どれどれ…とあらすじだけ見てみたら、主人公離婚してるや~ん!
しかも奥様の不貞って…あ~、これは先も読む気が失せました…(-_-)

だらだら続くけど、飽きるって事はなく、
だらだら読んでられるのはやはり文章力なのでしょうか?
星は3つです。

『コロナと潜水服』奥田英朗著

2024-05-24 00:19:33 | 小説感想
自分的にはだいたい外れなしである奥田英朗の短編集。
以下ネタバレあり。



















■海の家
妻の不倫が原因で、しばらく海の近くの古民家を借りて
一人暮らしする事になった小説家の浩二。
しかし、一人暮らしのはずが他の誰かの気配が。
どうやら昔この家に住んでいて亡くなってしまった子供タケシ君が
居着いている様子。不思議な二人生活がはじまる。

面白かった。私の好きな幽霊系ではないですか!
しかし不倫した妻が全然反省していないので
もう少し痛い目見せても良かったのではないでしょうか。
唐突に古民家を離れてしまい、タケシ君ともちゃんとお別れしてないので
その辺も含めちょっとモヤッと感が残るお話でした。

■ファイトクラブ
会社の追い出し部屋である危機管理課に配属された武彦。
部屋の片隅にあったボクシング用具一式で暇をつぶしていた所
謎の老人に手ほどきを受け、毎日ボクシングの練習をする事に。

面白かったけど、前話と同様幽霊ネタだったので
ちょっとかぶっちゃった感がありました。
まぁ、後々全話不思議系で統一されていると知るので
そうなればそこまで違和感なかったかも。
何も知らずに読むと、また幽霊?となってしまった^^;

■占い師
野球選手の彼氏を持つ麻衣子。しかしその彼氏は今や時の人となり
あちこちにひっぱりだこ。女子アナとも噂があったりで
不安いっぱいの麻衣子は紹介された占い師に相談に行く。

あの占い師は結局自分だったの?
今回も幽霊のような、そうでもないような。
パラレルワールドの自分なのかいな?
あの彼氏はどのみちあんまりだったし
麻衣子も肩書ばっか気にしてるから
お互い様って事で、自然消滅で良いのではって思う。

■コロナと潜水服
コロナが流行り出し、自分の幼い息子がどうも
コロナウィルスを感知する能力があるようだと気づく康彦。
息子の反応で自分がコロナウィルスに感染している事を知り
潜水服を着て乗り切ろうとする。

コロナってちょっと前なのにもうあんまり覚えてないわw
2週間の待機期間だったっけ?
自分がかかってないからもう当時の記憶もおぼろ気w
人間そんなもんですよなぁ…w
しかし潜水服着たらコロナうつらないっていうのは
なんか違うような気がするw
とりあえず自らが触った所はアルコール消毒しないと
意味なさそうな…^^;
息子はなぜ父ちゃんが出かける時だけ止めなかったんだろうかw

■パンダに乗って
憧れの自動車初代フィアット・パンダを手に入れたい直樹は
中古車を全国探し回り、新潟で販売している店を見つける。
購入の為、東京から新潟まで出かけ、手に入れたパンダに乗って
新潟から東京へ帰ろうとすると、カーナビが見知らぬ方向を指し示す。
それを辿ると、昔このパンダに乗っていた若い男性の
知人に行き当たる事に気づく。

今回この話が一番良かった。てか泣いたw
懐かしいって感情が結構涙腺に来るんですよw
エモいって言うんですか?
亡くなった男性の昔の知人をめぐる、
みんなその男性の事を懐かしんで話す、
思い出される、記憶に残っている、
なんか、切ないというか、悲しいとは違って
哀愁って感じ?う~ん、説明は難しい…
とにかく気持ちをぐわっとわしづかみにされるお話でした。

下ネタの無い奥田英朗の短編はやっぱ最高ですね。
ただしララピポ、おめーはだめだ(笑)
星は4つです。


『ジャンプ』佐藤正午著

2024-05-13 00:36:51 | 小説感想
付き合っている彼女がりんごを買いに行ったまま
行方不明になる、というあらすじが面白そうだったので購入。
以下ネタバレあり。



















う~ん、なんというか文章がまわりくどい。
1行で表現出来そうな事が10行くらい使われているような感覚。
特に最初の方はそういう表現が多い気がしました。

主人公の三谷は付き合って半年の彼女みはるの家に向かっていた。
次の日札幌への出張があり、みはるの家からだと飛行場に近い為
デートの後にお邪魔させてもらう事にしていたが、
三谷はお酒に相当酔っており、彼女の家に着く頃にはグロッキー状態。
そんな中、毎日欠かさず食べているりんごを買い忘れた事に気付いたみはるが
一人でコンビニに買いに行く事に。三谷は先にみはるの部屋で休んでいたが
気付けばぐっすり眠ってしまっていた。
起きたのは今すぐ出かければフライトに間に合う、というくらいギリギリの時間。
しかしどうもみはるが帰ってきた様子がない。連絡も付かない。
気になったものの、彼は出張に行く事を選び、部屋から出かける事に。

という導入です。
深夜に買い物に行った彼女が戻って来ていなかったら
何かあったのじゃないか?と思うのが通常ですが、
確かに重要な仕事があって、実際どうなっているのか分からなくて
通報したら出張に間に合わない、という状況なら
優柔不断な人なら決めかねずに仕事に行ってしまうかも…?
しかし何か事件に巻き込まれていたら大変だと思うので
せめて警察に連絡くらいはして欲しいところ…

一応出張から帰ってきてから本格的にみはるを探し始めるのですが
どうもこの男非常にいろいろとはぐらかす…
特にもう一人の彼女の存在は最初の方はほんと、あんまり情報が出てこないから
なんかこうモヤッとしながら読みましたよね…
もう一人の彼女、早苗は同じ会社の同僚で、一つ年上。
どうも早苗の方は三谷に好意があるようだが
三谷はあんまり気が無い模様…
しかし1回は体の関係があるみたいで、それはみはると付き合う前?
日曜に呼び出されるとほいほい出かけてお茶をして映画を見る。
現在はそういう関係ではないようなので、上記くらいの行動なら
二股とまでは行かないのか…?
しかし早苗の気持ちを考えると、非常に思わせぶりな行動をする男である。
こういう飼い殺しみたいな事する人、個人的には嫌いw

そんなこんなで、早苗とは時々お茶しつつ、みはるの行方を捜す三谷。
どうもみはるは事件などには巻き込まれておらず、自分で行方をくらましている。
なんでみはるは行方をくらましたのか…?その1点だけが気になって読み進める。

半年後、5年後…と章が別れており、5年後!?ってなりましたw
結局三谷はみはるを探す事が出来ず、早苗と結婚して子供もいる。
そんなある日たまたま出張先でみはるを見つけた三谷は
みはるに事の真相を問いただす。
みはるは最初はいろいろとアクシデントがあり帰るに帰れなかったが、
早苗から手紙をもらっており、手紙にあったとおりの場所で
早苗と三谷がデートをしているのを目撃して身を引こうと決意したよう。
しかし、身を引くにしても、もうちょっとやり方があるだろうに。
ちゃんと話あって別れるとかさぁ…
一切連絡せず、引っ越しもして行方をくらますのって
結局は二股かけてた三谷への復讐も入ってるのかなぁ…?と思った。
三谷もみはるを探し続けたのは、彼女を愛していたからとか、
心配だったから、とかではなくて、
自分のプライドが許さなかっただけっぽいので、
なんともなぁ…という気持ちになった。

結局おさまる所におさまって良かったのではないだろうか?
たかだか半年しか付き合っていない、大して気持ちもない同志、
別にさっさと別れて正解では?
早苗さんも想いを成就できたようですし、今は二股もかけてないようですしw
三谷にもみはるにもいまいち感情移入できないし、
何ならこの半分のページですみそうな話をダラダラ読まされたような気がします。
星は3つ。