グルジア対ロシア紛争の本筋は。

2008-08-25 20:39:17 | 日記
8月25日 「地政学を英国で学ぶ」ブログより転載です。

 グルジアの南オセチア侵攻により起こされた紛争の本筋らしきものが解説してありましたので転載させてもらっています。

 やはりアメリカはポチの港でロシア軍との正面衝突を避けて、それより南に位置して歴史的にも重要なバトゥーミから入りましたね。賢明な選択です。

パイプラインばかりが注目される今回の紛争ですが、実は鉄道で運ばれているガスや石油ものもかなり多いんですね。マッキンダーやリストなどのいう「鉄道パワー」によるランドパワーです。

まずは今回のグルジア紛争で影響を受けると考えられるパイプラインですが、代表的なのは以下の三つでしょう。とりあえず自分にとってのメモ代わりに列挙しておきます。

1、 BTCパイプライン:アゼルバイジャンのバクー沖合から地中海のトルコ沿岸東側まで続く石油パイプライン。将来的にはカザフスタンからの石油も加わる予定。100万バレル/日。現在は8月4日にクルド系ゲリラによってトルコ内のラインで起こった爆発で停止中。11日に消火済み。

プロジェクトの内訳は INPEX 2.5% / BP 30.1% / SOCAR 25% / Chevron 8.9% / Statoil 8.71% / TPAO 6.53% / Eni 5% / TOTAL 5% / 伊藤忠 3.4% / ConocoPhillips 2.5% / Hess 2.36%

http://www.inpex.co.jp/business/project/caspian.html

2、バクー=スプサパイプライン(西ルート):トビリシまでBTCと一緒の石油パイプライン。そこから曲がらずに黒海沿岸のスプサへ一直線に抜ける。12日にロシアによるミサイル攻撃(?)で停止。アゼルバイジャンの公社であるAIOCが所有。15万バレル/日。

3、南コーカサス・ガス・パイプライン(SCP/BTE):バクーからトビリシまで行き、そこからトルコの東側の交通の要点であるエルズルムへと分かれる。天然ガス用。160億立方メートル/年。BP、SOCAR, StatoiHydro, LUKOIL, TOTAL, TPAO, イランの公社がオーナー。

この三つのパイプライン以外に、実は今回爆破された鉄道で運ばれているルートがあります。これがけこう重要です。

一、バトーゥーミ港のターミナル:今回の列車爆破はアゼルバイジャンからポチより南にある歴史あるこの港を目指していた。16日にはトビリシの西のカスピで鉄橋爆破で停止。鉄道ルートによって運ばれるターミナルで20万バレル/日。今年になってカザフスタンのカズムナイガス社に買われた。

二、クレビターミナル:グルジア沖の黒海沿岸にあるターミナル。これも列車で運ばれ、最大20万バレル/日が可能。原油やガソリンの積み出し用。アゼルバイジャン国営石油公社であるSOCARが所有。10日に操業停止。

とりあえずこの二つの鉄道ルートによる黒海沿岸の港から積み出しが困難になりますので、ロシアを通る北ルートのみが使えることになりますね。そうなるとロシアの独占状態。

この他に日本が絡んでいるものとしては

三、バクートビリシカルス新鉄道連結プロジェクト

というものがあります。上の資料でもお分かりの通り、けっこう日本はこの地域に権益を持っているんですね。それと今回の紛争ではアゼルバイジャンがロシアからかなり狙われていることがわかります。

間接的にカザフスタンも大迷惑。トルコは意外と良い立場におります。