彼は乞食の子であった。
しかしその心は気高く、常に正義の心を誇っていた。
彼の父は、彼に美しい欠片を渡した。
その欠片を大切にせよ、と。
乞食の子は何故か幼き頃より父に剣を習わされた。
風が吹いた。
乞食の子の運命に風が拭いた。
乞食の子の前を走る豪奢な馬車。
その馬車を襲う野党。
御者の死体が持つ剣を手に取った乞食の子は、その剣を手に、野党を斬り伏せた。
おまえ、随分と強いのね。良いわ。あたしの騎士にしてあげる!
そばかす顔の姫が、顔を真っ赤にしてそう言った。
しかし乞食の子はあまりにもそばかす顔の姫が偉そうだったので、笑ってしまった。
笑わないで! だから、人と接するのは嫌なのよ。
そばかす顔の姫はそう言い、騎士となった乞食の子は姫に微笑んだ。