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第5話(5)

撤退(5)

 午前3時ごろコロンバンガラ島にたどり着き、味方からの信号で目的の入江に滑り込む。
すぐさま、南東支隊の兵士が、密林から切り出した枝葉で舟艇群を偽装する。

 次の夜、撤退する兵士を満載した舟艇部隊が、チョイセル島を目指す。復路では、敵の更なる警戒が予想される。

 しばらくすると、敵魚雷艇が黒い不気味な姿を現した。
送り狼のように、仲間を呼び寄せ、その数を増してゆく。

 その内の3隻が急速に接近してきて、機銃を撃ちかけてきた。
我が魚雷艇が、敵と舟艇部隊の間に割り込む。

 「後方に敵艦多数!」
敵の駆逐艦隊だ。それらが一斉に砲撃を開始する。

 「散開!」 ドカ、ドカ、ドカッ
左回頭を始めた舟艇群の間に砲弾が落下し、水柱を上げる。

 敵艦隊の舟艇部隊への攻撃方法は、こうだ。まず、レーダーのきかない相手を魚雷艇で探し出す。機銃射撃をして、駆逐艦に敵の位置を知らせる。味方の魚雷艇は弾着圈外に退避する。駆逐艦の砲撃で相手を撃破する。

 403号艇らは隊を離れ、敵艦隊の方向に突撃する。
敵魚雷艇群の手前で魚雷を発射する。敵が回避行動をしてくれれば、その分、舟艇部隊が助かる。

 舟艇群は散開して全速力で退避するので、駆逐艦も暗闇の中、高速力で追いかけるわけにはいかない。やたらに星弾を打ち上げ、目暗滅法に射ちまくる。
舟艇群は無数の水柱の中を疾走する。中の兵士達は生きた心地がしない。

 2時間の死の追跡を逃げ切り、舟艇部隊はチョイセル島にたどり着いた。

 この撤退作戦で、機動舟艇部隊は大発30隻を失い、102名の戦死者をだした。しかし、南東支隊1万2千名は200名の戦死者をだしただけで、無事撤退に成功した。

     
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