午前3時ごろコロンバンガラ島にたどり着き、味方からの信号で目的の入江に滑り込む。
すぐさま、南東支隊の兵士が、密林から切り出した枝葉で舟艇群を偽装する。
次の夜、撤退する兵士を満載した舟艇部隊が、チョイセル島を目指す。復路では、敵の更なる警戒が予想される。
しばらくすると、敵魚雷艇が黒い不気味な姿を現した。
送り狼のように、仲間を呼び寄せ、その数を増してゆく。
その内の3隻が急速に接近してきて、機銃を撃ちかけてきた。
我が魚雷艇が、敵と舟艇部隊の間に割り込む。
「後方に敵艦多数!」
敵の駆逐艦隊だ。それらが一斉に砲撃を開始する。
「散開!」 ドカ、ドカ、ドカッ。
左回頭を始めた舟艇群の間に砲弾が落下し、水柱を上げる。
敵艦隊の舟艇部隊への攻撃方法は、こうだ。まず、レーダーのきかない相手を魚雷艇で探し出す。機銃射撃をして、駆逐艦に敵の位置を知らせる。味方の魚雷艇は弾着圈外に退避する。駆逐艦の砲撃で相手を撃破する。
403号艇らは隊を離れ、敵艦隊の方向に突撃する。
敵魚雷艇群の手前で魚雷を発射する。敵が回避行動をしてくれれば、その分、舟艇部隊が助かる。
舟艇群は散開して全速力で退避するので、駆逐艦も暗闇の中、高速力で追いかけるわけにはいかない。やたらに星弾を打ち上げ、目暗滅法に射ちまくる。
舟艇群は無数の水柱の中を疾走する。中の兵士達は生きた心地がしない。
2時間の死の追跡を逃げ切り、舟艇部隊はチョイセル島にたどり着いた。
この撤退作戦で、機動舟艇部隊は大発30隻を失い、102名の戦死者をだした。しかし、南東支隊1万2千名は200名の戦死者をだしただけで、無事撤退に成功した。
最新の画像もっと見る
最近の「大西洋」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
- クリミアの歴史(7)
- 「オリエント急行」バルカンを行く(9)
- ウイルスって何だろう(6)
- 不死身の通信ネットワークを構築せよ!(6)
- ヒトラーのいない第二次世界大戦(7)
- 不思議な病気(8)
- 秀吉の野望と挫折(9)
- 生命の源「アミノ酸」(6)
- 「ドイツ民主共和国」の消滅(8)
- ナイルの水争い(8)
- ドン・カザーク(19)
- 貧者の空軍(9)
- 地震って何?(7)
- 遥かなる海へ(16)
- 北軍兵士の見た「風と共に去りぬ」(12)
- 脳内麻薬を捜せ!(9)
- 19世紀パリの光と影(9)
- 若宮丸の航跡(9)
- 原爆スパイ(8)
- 「北京の55日」番外編(8)
- 「地球外生命」はいるか?(5)
- 「林彪事件」の謎(8)
- 金(きん)(8)
- 国歌いろいろ(6)
- 悪党(鎌倉末期)(6)
- 老化を防げ!(5)
- 森の中に消えゆくトラ(4)
- テスラー成功と挫折(7)
- 国境とは?(25)
- 日記(0)
- 大西洋(696)
- ソマリアの青い海(20)
- 吹雪のバルト海(24)
- ペルシャ湾波高し(24)
- ロック・オン(20)
- ワレ「雪風」ト共ニ(20)
- 騎兵隊、前へ!(26)
- 惑星の動きを探れ!(19)
- 東方見聞録序章(25)
- 元素を捜せ!(25)
- レアメタルは戦略物質だ!(6)
- 種はどこから?(17)
- 智の都、アレクサンドリア(20)
- 文化大革命の嵐(22)
- 世界は微生物で満ちている!(19)
- 連合艦隊の誕生(17)
- 鉄砲見参!(18)
- 成功は失敗の始まり(17)
- 黒船の影(19)
- 石油の一滴は血の一滴(15)
- 前門の虎、後門の狼(8)
- 月をめざして(18)
- 水の不思議と太陽の恵み(17)
- がんの正体をあばけ!(10)
- 旅行(0)
- グルメ(0)
バックナンバー
人気記事