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第4話(3)

 ボロジノ(3)

 戦線中央部の大多面堡では激戦が続いた。
ナポレオン軍は何度も大多面堡を占領したが、そのつどロシア軍の反撃に遭い、奪取された。

 そんな時、ロシア軍はコサックと軽騎兵の大軍をナポレオン軍の左翼に送り込み、その後方を遮断しようとした。
ナポレオンは驚き、戦線から騎兵隊を引き抜き、迎撃にあたらせた。

 ギイ達の連隊もモスクワ川を越え、敵を撃退すべく前進した。
1時間ほど進むと、疎林の向こうから、地うなりのような馬蹄の響きと喚声が聞こえる。
「急げ!」

 急ぎ駆けつけると、数百の人馬が絡み合っている。
ロシアの騎兵隊がフランスの騎兵隊に襲いかかっているのだ。
「抜刀、進め!」

 ギイ達は、コサック部隊に後方から突撃した。
敵は馬首をめぐらし、躍り上がって、疾駆してくる。

 ギイは同年兵のピカールとの打合せ通り、2騎で並走する。

 1人のコサック兵を挟み込むように馬を進めた。
ピカールに切りつけようとするコサック兵の肩口に、鐙に立ち上がってサーベルの切っ先を当てた。

 馬首をめぐらし、速度が落ちた相手の馬に追いついた。
鞍に伏せたコサック兵の頭にサーベルを叩きつけ、帽子もろとも、頭蓋骨を断ち割った。


 フランスの増援部隊に不意を突かれた、敵機兵部隊は退却を始めた。
ギイ達は勢い込んで、敵の後を追う。

 疎林の外れで、馬を失った敵兵がギイに騎兵銃を向けているのが眼に入った。
バン!
ギイの馬はもんどり打って倒れ、ギイは放り出された。

 ピカールが敵兵を切り伏せる。

 「大丈夫か、ギイ?」
「馬がやられた。腕も動かない。」
 
 参考図:「Napoleon戦争従軍画集」、徳間書店、1989
     
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