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ローマとカルタゴ(12)

 原本はイギリス人、Shippen Edwardにより書かれた「Naval battles of the world: from Salamis to Japan Sea」(1905年刊)で、サラミスの戦いから日本海海戦までの歴史的な海戦を紹介している。 日本は周囲を海に囲まれてはいるが、とても海洋国家とはいえない。日本人がはるかなる海に眼を向けたのは、室町や明治のほんの一時期にすぎない。世界では海の支配をめぐり、いくたびかの戦いが繰り広げられた。それを垣間見ることにより、歴史の舞台では忘れられがちな部分にスポットを当ててみよう。

ROMANS AND CARTHAGINIANS (12)
     “Sink them, or disable their oars, and endeavor to render their military machines, on which they greatly rely, wholly inoperative.” Loud and continuous acclamations proclaimed the good disposition of his men, and Hamilcar forthwith ordered the advance to be sounded, signaling the vessels of the first division-which would be the first to engage-to retreat in apparent disorder when they came down close to the enemy.

     The Carthaginians obeyed his order to the letter, and, as if terrified by the Romans array, turned in well simulated flight, and were instantly pursued by both columns, which as Hamilcar had foreseen, drew rapidly away from the rest of the fleet. When they were so far separated as to preclude the possibility of support, the Carthaginians, at a given signal, put about, and attacked with great ardor and resolution, making a desperate effort to force together the two sides of the “foeceps” in which the Romans were formed.

     But these facing outward, and always presenting their prows to the Carthaginians, remained immovable and unbroken. If the Carthaginians succeeded in ramming one, those on each side of the attacked vessel came to her assistance, and thus outnumbered, the Carthaginians did not dare to board.

ローマとカルタゴ(12
     “やつらを沈めるか、やつらのオールを使えなくしろ。 やつらが頼りにする戦闘マシーンを徹底的に叩き潰して、放棄させろ!”  大きな歓呼の声が、部下の素晴しい気持ちを表していた。  ハミルカルは、ざわめき目立つローマの第1船団-最初に戦闘することになるだろう船団-への突進を命じた。  そして、十分敵に近づいた時、混乱の態で後退するよう命じた。  

     カルタゴ軍は、彼の命令に文字通り従った。  あたかもローマ船団を恐れるかのごとく、よくシュミレートされた飛行のように、カルタゴ軍は反転した。  その結果、ハミルカルが予想したように、カルタゴ軍はローマの2つの船団に追われ出し、残りの船団から彼らを急速に引き離したのである。  彼らが助けることできない程、十分に離された時、カルタゴ軍は与えられた合図のもと、向き直り、大いなる情熱と決意をもってローマ軍を攻撃した。  ローマ軍がフォーメーションした陣形“ピンセット”の2つの側面共に押し捲るため、向こう見ずの奮闘を行ったのである。

     しかし、ローマ軍の両側面は、常に船首をカルタゴ軍に向け、不動で、ばらばらにはされなかった。  もし、カルタゴ船がローマ船に突き当たるのに成功しても、攻撃された船の側面の何隻かの船が助けに駆けつけたのである。  カルタゴ軍は数では勝っていたが、敵船に乗り込む勇気がなかった。

(ひとこと)
     参考文献によれば、3段櫂ガレー船のオールのみによる速力は2~3ノット、帆も使っても5ノット程度とのことです。  1ノットは1.852 Km/時ですから、オール使用の戦闘時は早足程度の遅さ、帆を使っても自転車程度です。  速度からいっても、陸戦感覚だったと想像できます。  ちなみに、人力(オール)による最大速力がでるよう、極限まで細長く、かつ軽く設計されたレース用カッターでも、8ノットで30分が限界のようです。
〔参考文献:塩野七生著「悪名高き皇帝たち」、新潮社〕
〔参考文献:塩野七生著「ハンニバル戦記」、新潮社〕

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