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第3話(3)

 崩壊(3)

 先行きが見えなくなったヒョードルは、早く技術を身につけようと大学を中退し、父親の働いているヤンタリ造船所に就職した。

 トロール船を設計している部署に回されたが、造船所では全てが混乱していた。

 まず、船の仕様が、発注元の混乱でころころ変わる。
建造部材価格の高騰で、仕様通りの設計ができない。
その部材の納期が、全く当てにならない。

 造船所の労働者は、生活に追われ無断欠勤し、建造が進まない。
その内、仕様変更になり、最初からやり直しとなる。

 設計長がうんざりして、嘆く。
「これでは、つくったのは良いが、引き取り手がいなくなるぞ!」


 独立採算制になった造船所では、資金繰りが苦しくなり、給与の遅配が続く。
たまらず、従業員達は造船所幹部の所に押しかける。

 「これでは生活ができない。給与を支払え!」

「資金援助してくれと州知事に掛け合っているんだ、もう少し待ってくれ。」


 改革派と保守派の板挟みになったゴルバチョフは、打つ手がなくなってしまった。
70年続いた体制の崩壊が近づいてきた。

 参考図:「ソ連崩壊」、日本テレビソ連横断特別取材班、日本テレビ放送網(株)、1991
     
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